【表紙】
| 【提出書類】 | 有価証券報告書 |
|---|---|
| 【根拠条文】 | 金融商品取引法第24条第1項 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2026年6月26日 |
| 【事業年度】 | 2025年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
| 【会社名】 | ドイツ銀行 (Deutsche Bank Aktiengesellschaft) |
| 【代表者の役職氏名】 | チーフ・エグゼクティブ・オフィサー (Chief Executive Officer) クリスティアン・ゼーヴィング (Christian Sewing) チーフ・ファイナンシャル・オフィサー (Chief Financial Officer) ラジャ・アクラム (Raja Akram) |
| 【本店の所在の場所】 | ドイツ連邦共和国 60325 フランクフルト・アム・マイン タウヌスアンラーゲ12 (Taunusanlage 12, 60325 Frankfurt am Main, Federal Republic of Germany) |
| 【代理人の氏名又は名称】 | 弁護士 黒田 康之 |
| 【代理人の住所又は所在地】 | 東京都千代田区大手町1丁目1番1号 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 |
| 【電話番号】 | 03(6775)1000 |
| 【事務連絡者氏名】 | 弁護士 黒田 康之 同 佐々木 公樹 同 角 勇輝 同 大島 考雄 同 川崎 薫 |
| 【連絡場所】 | 東京都千代田区大手町1丁目1番1号 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 |
| 【電話番号】 | 03(6775)1828 |
| 【縦覧に供する場所】 | 該当なし。 |
(注1)本書において、別段の記載がある場合を除き、「提出会社」または「当行」とはドイツ銀行を指し、「当行グループ」とは当行およびその連結子会社を指す。
(注2)原則として、本書において便宜上記載されている日本円金額は、2026年5月29日現在の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信売買相場の仲値(1.00ユーロ=185.66円)により計算されている。
(注3)本書の表で計数が四捨五入されている場合、合計は計数の総和と必ずしも一致しないことがある。
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
概 説
ドイツ法は、各種の企業形態について規定している。
- 合名会社(Offene Handelsgesellschaft-「OHG」)
商法第105条ないし第152条の適用を受け、組合員全員が組合の負債につき無限責任を負う。
- 合資会社(Kommanditgesellschaft-「KG」)
商法第161条ないし第179条の適用を受け、最低1名の社員(無限責任社員)が無限責任を負うのに対し、他の(有限責任)社員はその出資額を限度とする責任を負う。
- GmbH & Co.KG(合資会社の特殊形態)
有限会社がその唯一の無限責任社員となる。この種の会社は、合資会社に適用ある規定の適用を受ける。
- 有限会社(Gesellschaft mit beschränkter Haftung-「GmbH」)
有限会社法の適用を受け、法人格を有する。会社債権者に対する債務は、会社の資産のみをもって弁済され、出資した持分の払込みをなした社員は責任を負わない。
最低25,000ユーロの固定資本を有し、かかる資本は持分に分割される。ただし、持分は公正証書によってのみ譲渡可能である。
- 株式会社(Aktiengesellschaft-「AG」)
株式会社法の適用を受け、有限会社と同様法人格を有する。会社債権者に対する債務は、会社の資産のみをもって弁済され、出資した株式の払込みをなした株主は責任を負わない。最低50,000ユーロの固定資本を有し、かかる資本は株式に分割される。株式は、公証人の認証がなくとも譲渡可能であるが、一般に、株式会社法上認められた会社の構造は、有限会社法上のそれと比べると柔軟性に乏しい。
株式会社(以下単に「会社」という。)としての当行に適用される法律は、1965年9月6日付株式会社法(改正済)である。当行に適用される同法の主要な規定の概要は以下のとおりである。
設 立
会社を設立するには、1人以上の者(「発起人」)が、取得する株式の額面金額に等しいかまたは額面金額以上の出資により当該会社の株式を取得し、かつ当該会社の定款を作成しなければならない。定款の記載事項は以下のとおりである。
- 会社の名称および所在地
- 会社の目的
- 資本の額
- 株式の額面金額(もしあれば)および各額面金額ごとの株式数、株式が複数の種類の株式の場合は、各種類株式の名称および株式数
- 株式の記名式・無記名式の別。ドイツの証券取引所に上場されている会社の場合は、記名式株式および無記名式株式はどちらも同等に一般的である。
- 取締役の員数または員数決定の根拠となる規則
- 会社の公告に関する規定
会社は、管轄裁判所から認証を受けた後その所在地において商業登記簿に登記されなければならない。会社の定款も、当該管轄裁判所に提出しなければならない。登記事項には、以下の事項が含まれている。
- 名称および所在地
- 目的
- 資本の額
- 定款作成日
- 取締役の氏名およびその代表権の範囲
定款の変更は、商業登記簿に登記されたときに有効となる。
株 式 資 本
会社の資本は、株式に分割される。当該資本はユーロ建てで、1株当たりの最低額面金額、または場合により、各無額面株式の株式資本組入最低部分を1ユーロとし、かつ最低資本金の額は、50,000ユーロである。株式を、額面以下で発行してはならない。株式には種々の権利、特に、利益および会社資産の分配に関する権利を付与できる。同一の権利を付与された株式は、すべて同一種類の株式とする。
会社は、株式会社法第71条および第71条a)ないしd)に定めるところに従い、一定の例外的な場合に限り自己株式を取得することができる。会社は、自己株式によっては権利または利益を享受することができない。
資本増加は、準備金の転換による一定の増加を除き、新株の発行のみによりなされる。取締役会は、株主総会から適法に委任された場合に限り、現金による払込みまたは現物出資による資本増加を決議することができる。株主は、株式会社法第186条第(3)項および第(4)項の場合を除き、当該新株式につき新株引受権を付与されなければならない。資本増加は、商業登記簿に登記されたときに法律上有効となる。
株主総会は、会社が発行を認めた転換権または新株引受権を担保するため条件付資本増加をすることができる。かかる資本増加は当該株式が発行されたときに法律上有効となる。
株 主 総 会
定時株主総会は、会社の各営業年度の開始後8か月以内に開催される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック危機の間、バーチャル株主総会は適用除外として許容されていたが、法改正により恒久的にバーチャル株主総会の開催が可能となった。2023年9月1日以降に全面適用となったこれらの新たな規則のもと、株主総会で定款を変更した場合のみ、バーチャル株主総会の開催が可能である。かかる変更は恒久的に認められるものではなく、遅くとも5年後に更新が必要となる。定時株主総会以外の株主総会は、会社のために必要な場合に随時これを開催することができる。
株主総会は、取締役会または監査役会が招集することができる。株主総会は、また、資本金の5%を有する株主が取締役会に書面で招集を請求した場合にも招集することができる。(定款により、当該株主総会招集権をより低い比率の資本金を有する株主に付与する旨定めることができる。)株主総会の招集通知は、総会の会日、または、会社の定款により株主による事前の通知が要求される場合、総会に出席しようとする株主が出席の意思を通知しなければならない日の最終日、または無記名式株式を発行している上場会社の場合、基準日における株式保有の証明が会社に対して提供されなければならない日(いずれも当該日を含まない)の30日以上前に、連邦官報に公告する。すべての株主の氏名が判明している場合は、書留郵便により株主総会を招集することもできる。
総会招集通知または書留郵便には、総会の日時、場所および上記の出席のための一切の条件ならびに各議案に関する取締役会および監査役会(一定の場合、後者のみ)の提案事項を含む議事日程を掲載する。株主(ただし、資本金の内5%以上または50万ユーロ以上を有する者)は、議案を提案することができる。
下記事項の決定権は、株主総会に保留される。
(1)監査役会における株主代表の選任
(2)貸借対照表に記載された配当可能利益の処分
(3)上場会社の取締役および監査役の報酬体系および報酬報告書
(4)取締役および監査役の責任解除
(5)決算監査人の選任
(6)定款変更
(7)資本増加および資本減少
(8)特別監査人の選任
(9)会社の解散
株主総会は、取締役会から請求された場合に限り会社の業務執行に関する事項につき決議する。
株主総会において、各株主は、株式会社法第131条第(3)項に規定された場合を除き、請求する情報が当該議案を客観的に判断するのに必要な場合に限り、取締役会から回答を得る権利を有する。
議決権は通常、所有株式の額面金額に比例するが、2023年12月以降は、影響を受けるすべての株主の承認を得て、複数議決権株式を記名式株式として設定することができる。非上場会社に限り、1名の株主が行使しうる議決権の数を、定款により制限することができる。本人または所定の様式もしくは定款により規定された他の方式により適法に授権された代理人が議決権を行使することができる。
株主総会の決議は、原則として、行使された議決権の過半数により行われる。定款変更、資本増加もしくは資本減少または会社解散の場合には、出席株式総数の4分の3以上の多数の賛成によらない限り決議することができない旨の規定が、株式会社法にある。定款により、多数決の要件を加重し、また一定の場合には緩和することができる。
上場会社の株主総会の議事録は、公証人が作成する。議事録は、一定の書類を添付して株主総会後不当に遅滞することなく商業登記所に提出する。
経営陣の構成
株式会社法は、取締役会および監査役会について規定している。いかなる個人も取締役会および監査役会の構成員を同時に兼務することはできない。
取 締 役 会
取締役会は、1名以上の法律上完全な行為能力を有する自然人により構成される。各取締役は、監査役会により選任され、その任期は5年以内とする。各取締役は、最高5年を任期として、監査役会の決議により再任されまたは任期の延長が許される。取締役会が複数の取締役で構成される場合、監査役会は、取締役会会長を選任することができる。
取締役会は、第三者に対して裁判上および裁判外において会社を代表する。取締役会が複数の取締役で構成される場合、定款により、取締役は単独もしくは共同して、または会社の適法に授権された他の代理人1名と共同して会社を代表することができる旨定めることができる。取締役会およびかかる代表権を付与された取締役は、1名の取締役または取締役以外の者に対し、一定の商取引または一定の種類の業務を執行する権限を委任することができる。取締役会全体としての会社を代表する権限を、制限することはできない。
取締役または会社を代表するその他の者の変更については、商業登記簿に登記しなければならない。
取締役会は、その責任において会社の業務を執行する。取締役会は、監査役会が取締役会規則を定めることを決定した場合、または定款により監査役会に取締役会規則を定める権限が付与されている場合を除き、取締役会規則を定めることができる。
取締役会は、監査役会に対し、営業方針、会社の収益性、業務の展開、会社の現況、会社の収益性もしくは流動性に重大な影響を及ぼす取引および会社にとって非常に重要なその他の一切の事項について報告しなければならない。
取締役会は、株主総会の決議事項のうちその権限の範囲内にあるものを執行する。
監査役会は、取締役全員の報酬を決定する。上場会社の報酬体系は会社の持続可能な発展を図るものでなければならず、当該報酬体系に重要な変更があった場合および少なくとも4年に一度は株主総会の承認を要する。
監査役会の明示の承認がある場合に限り、取締役に対し貸付を行うことができる。かかる貸付は、従業員が一般的に利用できる条件または通常の取引条件の下でのみ認められる。米国2003年サーベインズ・オクスリー法に基づき、ある一定の貸付はいかなる場合も取締役に対して実行してはならない。
監 査 役 会
一般に従業員が20,000名以上の会社の監査役会は、株主により選任される10名の監査役およびドイツの従業員により選任される10名の監査役で構成される。後者の10名のうち、7名は会社の従業員とし、3名は労働組合の代表とするが、この3名が会社の従業員である場合もある。
法律上完全な行為能力を有する自然人のみが会社の監査役となることができる。下記の者は、会社の監査役となることはできない。
- 監査役会の設置が義務付けられている10の企業の監査役にすでに就任している者(注)
(注)会長職は2社と数え、最高5社までの、当該企業の子会社もしくは当該者が取締役となっている会社に支配されている会社の監査役職は、上記の計算に含めない。
- 当該会社の被支配会社の取締役会(もしくは同等の機関)の構成員である者
- 当該会社の取締役が監査役に就任している会社の取締役会(もしくは同等の機関)の構成員である者
- 当該会社の取締役もしくは副取締役である者または当該会社を代表する権限を付与されているその他の者
- 直近の2年間に当該会社において取締役会の構成員であった者。ただし、その選任が当該会社の株主の総議決権の25%超を保有する株主の提案によるものである場合を除く。
ドイツ銀行法(Kreditwesengesetz – KWG)第25d条第(3)項および(3a)項は、銀行および金融持株会社の監査役会の構成員に関していくつかの追加的制限を規定している。2015年、株式会社法により、完全な共同決定に服する上場会社の監査役会においては、原則としてその構成員の男性および女性の構成比をそれぞれ30%以上とすることを内容とする追加的な制限が規定された。
ただし、監査役会は、欠員または出席不能の取締役に代わる1名以上の者を、その構成員の中から1年以下の期間を任期として取締役に選任することができる。取締役に選任された者は、その任期中監査役としての職務を行うことはできない。
株主を代表する監査役10名は、株主総会で選任される。従業員を代表する監査役選任については、共同決定法第9条ないし第24条および2004年5月28日に同法に基づき公布された三つの規則により定められた細則が適用される。選任手続は複雑で、多くの子会社を有する親会社の場合には少なくとも31週間を要する。
監査役の任期は、就任後4営業年度目に係る同監査役の責任解除につき決議する株主総会をもって終了する期間、すなわち約5年を超えることができない。再任することは妨げない。
監査役に変更が生じた場合は、取締役会は監査役全員を記載したリストを商業登記所に提出しなければならない。
監査役会は、会社経営の監査を職務とする。監査役は、会社の会計帳簿および資産を自ら監査するか、または、他の監査役、また、特定の範囲につき適切な専門家に、かかる監査を委任することができる。監査役会は、会社の利益のために必要な場合は株主総会を招集しなければならない。監査役会は、業務執行をすることはできない。ただし、監査役会または定款は、一定の種類の取引については、監査役会の承諾ある場合に限り、これを行うことができる旨定めることができる。
監査役の報酬は、定款または株主総会により決定することができる。上場株式会社においては、報酬は少なくとも4年に一度、株主総会によって決定される。
監査役に対し、取締役に対する場合と同様の基準により貸付を行うことができる。
財 務 書 類
会社は、商法および株式会社法の規定に従い取引、資産および負債に関し適正な記帳をする。取締役会は、当営業年度の開始後3か月以内に、前営業年度についての貸借対照表、損益計算書およびそれらの注記(合わせて「財務書類」と総称する。)ならびにマネジメント・レポートを作成する。財務書類の形式および内容については、株式会社法、商法および信用機関および金融サービス機関による会計規則(RechKredⅤ)に規定されている。かかる商法および会計規則には、1990年11月30日の銀行会計の内容を指示する法律(Bankbilanzrichtlinie-Gesetz)により制定され、1993年1月1日以降の会計年度に適用しなければならない銀行の財務書類に関する特別規則(下記にその一部を記載する。)が含まれる。
財務書類およびその基礎となる会計帳簿については、株主総会で選任された決算監査人または決算監査法人が監査する。決算監査人はまた、監査意見書に監査結果の要約を記載しなければならない。かかる監査意見には、監査範囲、採用した会計・監査原則および監査結果を記載するものとする。決算監査人は、特に、当該監査意見の留保事項の有無につき記載しなければならない。
決算監査人は、財務書類に上記の意見を記載することができない場合は、その旨を明示した報告書を発行しなければならない。
取締役会は、財務書類を監査役会に提出し、決算監査人は、監査報告書を提出し、その監査結果を報告し、次いで監査役会がこれらの書類を監査し、監査結果を書面で株主総会に報告する。監査役会は、決算監査人の報告書について意見を述べ、異議を申立てるか否か、および財務書類を承認するか否かを記載しなければならない。年次決算書は、監査役会が承認すれば、最終財務書類となる。取締役会および監査役会は、財務書類の承認を株主総会に委ねる旨決定することができるが、通常は委ねない。いずれの場合にも、財務書類は次に株主総会に提出される。
会社の法律上の代表者は、当該財務書類を、株主に提示された後遅滞なく、かつ貸借対照表の日付の後12か月以内(上場会社の場合は4か月以内)に、決算監査人の監査報告書もしくは監査意見の範囲限定報告書、マネジメント・レポート、監査役会報告書を付して電子化の上、会社の登記所(Unternehmensregister)に提出しなければならない。当該事業年度の純利益または純損失の明細を決定した利益処分案および利益処分決議も、同時にもしくはそれらの決定後不当に遅滞することなく提出しなければならない。会社の代表者は、これらの書類が、提出後不当に遅滞することなく会社の登記所に送付されるよう手配しなければならない。
利 益 処 分
配当可能利益の処分は、株主総会で決定される。株主は、法律および会社の定款により、株主総会で別段の処分を決議しない限り配当可能利益の配当を請求する権利を有する。
会社が清算されない限り、配当可能利益だけを株主に配当することになる。
企 業 契 約
企業契約は、会社がその経営を他の会社に委任する契約、または他の会社に自己の利益および損失の全部を移転する契約ならびにその他の同種類の契約をいう。企業契約は、法律および定款に規定された多数決による株主総会の承認がある場合に限り、締結および改定することができる。各株主は、請求すれば株主総会前に当該契約の写しを受領する権利を有する。当該契約は、契約中の一定の重要な規定が会社所在地の商業登記簿に登記されたときに有効となる。当該商業登記簿を管轄する裁判所は、電子的方法により新しく登記された事項を公告する。
定 款 変 更
会社の定款は、株主総会の決議のない限り変更することができない。法律および定款は各種の定款変更決議に必要な多数を規定する。定款の変更は、会社所在地の商業登記簿に登記されたときに有効となる。一定の定款変更はまた、裁判所により電子的方法により公告されなければならない。
連結財務諸表
統一的な経営に服する会社グループについては、親会社は連結財務諸表も作成しなければならない。商法第315条aおよび国際財務報告基準(IFRS)の適用に関する欧州議会および欧州連合理事会2002年7月19日規則第1606/2002号は、欧州連合内で上場しているドイツの会社は、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成すべきことを要請している。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
A.株 式
当行の株式はすべて記名式である。無記名式株式も発行することができる。
B.株 主 総 会
取締役会および監査役会のその営業年度における行為についての責任解除、利益処分、決算監査人の選任、および場合により年次決算書の承認(定時株主総会)につき決議することを目的として招集される株主総会は、各営業年度の開始後8か月以内に開催される。
株主総会の招集通知は、総会への出席を希望する株主が出席意思を登録しなければならない最終日の遅くとも30日前(公告日および最終日を日数の計算に算入しない。)までに連邦官報に公告する。登録要件および株主総会の出席票発行に関する詳細は、招集通知に記載されなければならない。
1株1議決権とする。
法律または定款の強行規定に別段の定めのない限り、株主総会の決議は、議決権の単純過半数により採択される。発行済株式総数の過半数が要求される場合には、発行済株式総数の単純過半数により採択される。
C.取 締 役 会
取締役会は、3名以上の取締役により構成される。
監査役会は、取締役を選任し、かつ取締役の員数を決定する。
当行は、取締役2名により、または取締役1名および委任状(Prokurist)を有する代理人により適法に代表される。
取締役会は、実業界との近密な関係を維持し、かつ業務上の諮問を受けるため、諮問委員会および地方諮問委員会を設置することができる。
D.監 査 役 会
監査役会は、20名の監査役で構成される。
監査役会の決議は、法律に別段の定めのない限り、議決権の単純過半数により採択される。可否同数の場合は、共同決定法第29条第(2)項および第31条第(4)項により会長が決する。
以下の場合には、監査役会の承認が要求される。
a)事項を特定しない一般的な代理権の授与
b)500百万ユーロ超に相当する不動産の取得および処分
c)他の会社の持分の取得を含め、ドイツの銀行法により金融機関の監査機関の承認を要する信用の供与
d)10億ユーロ超に相当する他の持分の取得および処分
500百万ユーロ超にかかる持分の取得または処分は、監査役会に遅滞なく報告されなければならない。
(1)b)およびd)についての承認は、当該取引が従属法人においてなされた場合にも必要とされる。
(2)監査役会は、監査役会の承認を要する取引を追加的に定めることができる。
E.年次決算書および利益処分
当行の営業年度は暦年である。
取締役会は、各営業年度の開始後3か月以内に、前営業年度に関する年次財務諸表(貸借対照表、損益計算書および注記)ならびにマネジメント・レポートを作成し、これを当該年度の決算監査人に提出する。取締役会は、年次決算書を、決算監査人は、監査報告書を、監査役会に提出する。
監査役会は、当該書類の提出を受けた日から1か月以内に取締役会に監査役会の報告書を提出する。
配当可能利益は、株主総会が別段の決議をしない限り、株主に分配される。
当行が利益分配証書を発行し、当該利益分配証書の条項により、利益分配証書の保有者に配当可能利益の分配請求権が付与されている場合、配当可能利益の該当部分に対する株主の請求権は排除される(株式会社法第58条第(4)項)。
株主に対する配当は、常に、株式資本に対する持分株式の出資の比率および出資期日から経過した期間に比例して行われる。
新株式発行の場合、当該株式について異なる配当を決定することができる。
2【外国為替管理制度】
欧州連合の他の加盟国と同様に、国連安全保障理事会の決議を遵守するための欧州連合の管轄当局の規制により、当該規制の指定する一定の法人および自然人に対する資産凍結命令がドイツにおいて発効した。また、欧州連合は、イランに対し独自の様々な経済制裁および金融制裁を課してきた。欧州連合は包括的共同作業計画に基づき、イランに対する核関連の経済制裁および金融制裁を2016年1月16日にすべて解除したが、2025年10月をもって同合意が失効したことにより、当該制裁が再発動された。
さらに、ウクライナでの戦争を受けて、欧州連合、米国、英国およびその他の国々がロシア、ベラルーシおよびウクライナの特定の地域の居住者であり、ならびに/またはロシアもしくはベラルーシに国籍を有する自然人および法人に対して広範にわたる制裁を課した。
若干の例外を除き、ドイツの居住者である法人または個人は、非居住たる法人または個人から受領しまたはこれらに対してもしくはこれらの勘定で行われる12,500ユーロ(または外国通貨による相当額)を超える支払いについて、ドイツ連邦銀行への報告が求められる。この報告要件は、統計上の目的によるものである。
上記の例外および適用される制裁を除いて、現在、ドイツの居住者またはドイツ市民以外の株主に対する資金の移管または配当その他の支払いの送金を妨げるドイツの法律、判決または規制は存在しない。
また、ドイツの非居住株主または外国人株主の当行株式の保有または適用ある議決権行使の権利は、ドイツの法律または当行の定款に基づき制限を受けることはない。ただし、投資額が一定の基準に達しまたはこれを上回った場合には、一定の報告義務が適用され、また当該投資がBaFin、欧州中央銀行およびその他の管轄当局による審査対象になることがある。
3【課税上の取扱い】
ドイツの課税上の取扱い
当行によって日本国居住者に支払われる配当金(日本において無制限の納税義務に服する。)は、25%のドイツの源泉課税の対象となる。源泉税には5.5%の追加税が課せられ、その結果、税率は合計26.375%となる。
所得に対する租税およびある種の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツとの間の協定(DTT)に従い、ドイツの源泉税は配当の15%を超えることはできない。DTTのもとで適用される源泉税と実際に源泉徴収される税額(26.375%)の差額の救済は、還付を申請することにより受けることができる。
還付を受けるためには、特別な申請書が連邦中央税務署(Bundeszentralamt für Steuern)に電子的に提出されなければならない。そのため、申請者はBZSt-Online-portal(BOP):https://online.portal.bzst.de/DE/Home/home\_node.htmlを利用しなければならない。申請書は、源泉課税年度以後4年以内に提出されなければならない。
日本国居住者が得る当行の株式の売却益(日本において無制限の納税義務に服する。)は、その株式が日本企業のドイツ国内に有する恒久的施設(Betriebsstätte)の営業用資産の一部となっている場合、またはその株式が業務上のサービスを実施する目的をもって日本国居住者がドイツ国内において利用しうる恒久的施設に属する場合を除き、ドイツの所得税の対象とならない。
自然人である日本国居住者が所有する当行の株式は、当該日本国居住者が個人またはその関係者とともに当行の株式資本の10%以上を所有する場合にのみドイツの相続税(Erbschaftsteuer)が課される。
日本の課税上の取扱い
所得税法、法人税法、相続税法およびその他の関連法令に従いかつその制限のもとで、日本国の個人または法人は、適用ある租税条約に従い、上記で述べたところに従って個人または法人の各所得について(また個人については相続についても)支払ったドイツ税額につき日本の税務当局に税額控除を請求することができる。下記「第8 本邦における提出会社の株式事務等の概要-2.日本における実質株主の権利行使に関する手続-(4)配当等に関する課税上の取扱い」の項を参照のこと。
4【法律意見】
当行グループの法務部は、ディレクター兼アソシエイト・ジェネラル・カウンセルであるローランド・シュミットブレーチャー(Roland Schmidtbleicher)氏およびディレクター兼上席法律顧問であるティーロ・シューラー(Thilo Schüler)氏による次の趣旨の法律意見書を提出している。
(1)当行は、ドイツ連邦共和国の法律に基づき有効に存続する株式会社である。
(2)本書に記載されているドイツ連邦共和国の法律に関する記述は、当該記述が本書で説明されるドイツ連邦共和国の法令の特定の規定を要約した記載である限りにおいて、すべての重要な点において真実かつ正確である。
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(a)ドイツ銀行グループ(連結ベース)(注1)
| (特に表示がない限り単位:百万ユーロ(億円)) | |||||
| 年 度 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
| 信用損失引当金繰入額控除後の純利息収益 | 10,640 (19,754) | 12,425 (23,068) | 12,097 (22,459) | 11,235 (20,859) | 13,985 (25,965) |
| 利息以外の収益合計 | 14,255 (26,466) | 13,560 (25,175) | 15,277 (28,363) | 17,027 (31,612) | 16,404 (30,456) |
| 純収益合計 | 25,410 (47,176) | 27,210 (50,518) | 28,879 (53,617) | 30,092 (55,869) | 32,096 (59,589) |
| 税引前利益(損失) | 3,390 (6,294) | 5,594 (10,386) | 5,678 (10,542) | 5,291 (9,823) | 9,731 (18,067) |
| ドイツ銀行株主およびその他の資本構成要素に帰属する純利益(損失) | 2,365 (4,391) | 5,525 (10,258) | 4,772 (8,860) | 3,366 (6,249) | 6,931 (12,868) |
| 包括利益(損失)合計(税引後) | 3,844 (7,137) | 5,392 (10,011) | 4,255 (7,900) | 4,236 (7,865) | 3,999 (7,425) |
| 普通株式 | 5,291 (9,823) | 5,291 (9,823) | 5,223 (9,697) | 5,106 (9,480) | 4,891 (9,081) |
| 株主持分合計 | 58,027 (107,733) | 61,959 (115,033) | 64,486 (119,725) | 66,276 (123,048) | 66,933 (124,268) |
| 資産合計 | 1,323,993 (2,458,125) | 1,336,788 (2,481,881) | 1,312,331 (2,436,474) | 1,387,177 (2,575,433) | 1,435,067 (2,664,345) |
| 普通株式等Tier1資本比率(CRR/CRD4適用ベース)(%)(注2) | 13.2 | 13.4 | 13.7 | 13.8 | 14.2 |
| Tier1自己資本率(CRR/CRD4適用ベース)(%)(注2) | 15.7 | 15.7 | 16.1 | 17.0 | 17.5 |
| 基本的流通株式1株当たり純資産 (ユーロ(円)) | 27.62 (5,128) | 29.74 (5,522) | 31.64 (5,874) | 33.41 (6,203) | 34.51 (6,407) |
| 基本的1株当たり利益(損失)(ユーロ(円))(注3) | 0.96 (178) | 2.42 (449) | 2.07 (384) | 1.40 (260) | 3.16 (587) |
| 希薄化後1株当たり利益(損失)(ユーロ(円))(注4) | 0.93 (173) | 2.37 (440) | 2.03 (377) | 1.37 (254) | 3.09 (574) |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | -2,952 (-5,481) | -2,113 (-3,923) | 5,606 (10,408) | -28,584 (-53,069) | 47,064 (87,379) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 23,595 (43,806) | -17,175 (-31,887) | -2,576 (-4,783) | -6,781 (-12,590) | -26,311 (-48,849) |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 1,630 (3,026) | 614 (1,140) | -2,852 (-5,295) | -646 (-1,199) | -6,834 (-12,688) |
| 現金および現金同等物の期末残高 | 179,946 (334,088) | 165,626 (307,501) | 163,768 (304,052) | 130,666 (242,594) | 138,277 (256,725) |
| 従業員数(常勤相当)(人) | 82,969 | 84,930 | 90,130 | 89,753 | 89,879 |
(注1)連結財務諸表は、IFRSに基づき開示されている。
(注2)CRR/CRD4フレームワークの暫定適用ベースに基づいている。自己資本比率は、対象となる資本とリスク・ウェイテッド・アセットとの関連を示している。
(注3)各年度の基本的1株当たり利益(損失)は、ドイツ銀行株主に帰属する純利益を普通株式の平均流通株式数で除して計算されている。2025年の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとして支払われた761百万ユーロ(税引前)によって調整されており、そのうち2025年第2四半期に728百万ユーロ、また2025年第4四半期に32百万ユーロが計上された。2024年第2四半期、2023年第2四半期、2022年第2四半期および2021年第2四半期の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとしてそれぞれ支払われた574百万ユーロ、498百万ユーロ、479百万ユーロおよび363百万ユーロ(税引前)によって調整されている。
(注4)各年度の希薄化後1株当たり利益(損失)は、ドイツ銀行株主に帰属する純利益を普通株式の平均流通株式数(いずれも想定される株式転換後の数値)で除して計算されている。2025年の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとして支払われた761百万ユーロ(税引前)によって調整されており、そのうち2025年第2四半期に728百万ユーロ、また2025年第4四半期に32百万ユーロが計上された。2024年第2四半期、2023年第2四半期、2022年第2四半期および2021年第2四半期の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとしてそれぞれ支払われた574百万ユーロ、498百万ユーロ、479百万ユーロおよび363百万ユーロ(税引前)によって調整されている。
(b)ドイツ銀行(非連結ベース)
| (特に表示がない限り単位:百万ユーロ(億円)) | ||||||
| 年 度 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 収益合計 | 26,252 (48,739) | 44,592 (82,790) | 79,246 (147,128) | 85,519 (158,775) | 65,126 (120,913) | |
| 営業利益 | 121 (225) | -217 (-403) | 5,466 (10,148) | 2,509 (4,658) | 6,285 (11,669) | |
| 当期純利益(損失) | 1,919 (3,563) | 5,506 (10,222) | 4,999 (9,281) | 2,883 (5,353) | 6,183 (11,479) | |
| 資本金 | 5,291 (9,823) | 5,291 (9,823) | 5,223 (9,697) | 5,106 (9,480) | 4,891 (9,081) | |
| 資産合計 | 1,020,109 (1,893,934) | 1,052,343 (1,953,780) | 1,060,231 (1,968,425) | 1,128,403 (2,094,993) | 1,186,374 (2,202,622) | |
| 純資産額(資本金および剰余金) | 34,913 (64,819) | 39,625 (73,568) | 43,552 (80,859) | 44,884 (83,332) | 48,669 (90,359) | |
| 1株当たり純資産額(1株当たり 資本金および剰余金)(ユーロ(円))(注1) | 16.89 (3,136) | 19.17 (3,559) | 21.35 (3,964) | 22.50 (4,177) | 23.60 (4,382) | |
| 1株当たり利益(損失) (ユーロ(円)) | 0.93 (173) | 2.66 (494) | 2.45 (455) | 1.45 (269) | 3.24 (602) | |
| 1株当たり配当 (ユーロ(円)) | 0.20 (37) | 0.30 (56) | 0.45 (84) | 0.68 (126) | 1.00 (186) | |
| 配当性向(%) | 21.5 | 11.3 | 18.4 | 47.0 | 30.9 | |
| 従業員数(人)(注2) | 35,848 | 35,325 | 36,285 | 36,815 | 36,320 | |
(注1)配当可能利益を除く。2025年の数値については、配当可能利益は資本金および剰余金から差し引かれている。
(注2)常勤相当の平均従業員数。
2【沿革】
当行の法律上および商業上の名称は、ドイチェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフト(Deutsche Bank Aktiengesellschaft)という。当行は、ドイツの法律に基づき組成された株式会社である。
ドイチェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフトは、ハンブルグのノルトドイチェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフト(Norddeutsche Bank Aktiengesellschaft)、デュッセルドルフのライニッシュ・ヴェストファリッシェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフト(Rheinisch-Westfälische Bank Aktiengesellschaft)およびミュンヘンのズートドイチェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフト(Süddeutsche Bank Aktiengesellschaft)の統合により設立された。金融機関の業務地域に関する法律(Law on the Regional Scope of Credit Institutions)に基づき、これらの銀行は、1870年に設立されたドイツ銀行から1952年に分割された。当該合併およびドイツ銀行の名称は、1957年5月2日、フランクフルト・アム・マインの地方裁判所の商業登記簿に登記された。
ドイツ銀行は、登録番号HRB第30000号で登記されている。ドイツ銀行の登記上の住所は、ドイツ、60325フランクフルト・アム・マイン、タウヌスアンラーゲ12であり、ドイツ銀行の電話番号は、+49-69-910-00である。
重要な資本的支出および資産の処分に関する情報については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-経営および財務の概況-ドイツ銀行グループ-ドイツ銀行の組織-重要な資本的支出および資産の処分」の項に記載されている。
3【事業の内容】(2025年12月31日現在)
(1)会社の目的
ドイツ銀行は、定款に記載されたとおり、一切の銀行取引業務、金融その他のサービス提供および国際的経済関係の推進を目的とする。当行は、本目的を当行自身により、または子会社および関連会社を通じて、達成することができる。当行は、法律により許容されている範囲内で、不動産の取得および処分、ドイツ国内外の支店の設置、他の企業への参加権の取得、管理および処分ならびに企業の利益参加に関する契約の締結を含む、当行の目的を促進するとみなされる一切の取引を行い、また一切の手段を講じることができる。
(2)事業の内容
ドイツ銀行は、フランクフルト・アム・マイン(ドイツ)に本店を置くドイツ最大の銀行であり、2025年12月31日現在の総資産規模が1兆4,350億ユーロで、世界最大の金融機関の一つである。2025年末現在、当行内部の従業員数は常勤相当で89,879名であり、55ヶ国において1,179支店(このうち64%がドイツ国内)を運営している。
ドイツ銀行のバリュー・チェーン
ドイツ銀行のビジネス・モデルは、当行のバリュー・チェーン(上流バリュー・チェーン、当行のオペレーションおよび下流バリュー・チェーンから成る。)のもと、環境・社会・ガバナンスの問題に関する影響、リスクおよび機会を考慮している。下表は、ドイツ銀行のバリュー・チェーンを図示し、その構成要素を説明したものである。
グローバル・ハウスバンク
ドイツ銀行の2025年の戦略および財務のロードマップは、当行を強固なヨーロッパの基盤および幅広い国際ネットワークに裏打ちされたグローバル・ハウスバンクとして位置付けることを目標としていた。戦略は2025年財務目標および資本目標を達成することに集中し、継続的な地政学的およびマクロ経済的不確実性の中で、さらに重要となってきている優先事項であるリスク管理、サステナビリティおよびテクノロジーという三つの主要な柱を基礎としていた。2025年末までに、当行は主要な財務目標および資本目標を達成または上回り、その結果、グローバル・ハウスバンクを拡大するための堅固な基盤を築いた。
2025年11月のインベスター・ディープ・ダイブ(Investor Deep Dive)において、ドイツ銀行は戦略の次の段階ならびに2028年の財務目標および資本目標を発表した。当行の収益性回復および基盤強化を踏まえ、当行はグローバル・ハウスバンクの拡大で価値創造を加速させることに注力する。ドイツ銀行の目標は、変化する環境の中で顧客から信頼されるパートナーとしての立場を土台に、さらなる大きな成長の可能性を引き出すことである。当行の長期展望は、欧州水準で重要な事業セグメントにおけるリーダーシップ、市場を牽引する利益率、深さと規模を兼ね備えたグローバルな存在感およびAIを活用したイノベーション重視の組織によって特徴付けられる、銀行業務における欧州チャンピオンになることである。
ドイツ銀行の2025年重要評価指標
財務目標:
- 当行グループの税引後平均有形株主資本利益率を10%超とする。
- 2021年から2025年までの複合年平均収益の伸び率を5.5%から6.5%の間とする。
- 費用収益比率を65%未満とする。
資本目標:
- 普通株式等Tier1(CET1)資本比率を13.5%から14.0%の範囲で運用し、最大分配可能額(MDA)に対して200ベーシスポイントの距離を下限とする。
- 2025年以降の配当性向合計を50%とする。
すべての分野での進捗により成長の次の段階のための強固な基盤を築く
ドイツ銀行は、2025年にグローバル・ハウスバンク戦略の加速実行におけるすべての柱で、目標を達成した。
収益成長の観点では、2025年の純収益は321億ユーロに増加し、2024年の301億ユーロから7%の伸びとなり、2025年の当行の収益目標である約320億ユーロに沿うものとなった。2021年から2025年末までは、複合年平均収益の伸び率6.0%(当行の目標範囲である5.5%から6.5%の中間値)で収益が成長した。
業務効率化の面では、ドイツ銀行は2025年末までに25億ユーロの業務効率化プログラムを予定どおり完了した。施策には、ドイツ国内の当行プラットフォームの最適化および特に顧客対応以外の業務における人員削減が含まれていた。
ドイツ銀行の資本効率化プログラムは、2025年末までに累計で310億ユーロ相当のリスク・ウェイテッド・アセット(RWA)削減効果をもたらし、2025年末の目標範囲の250億ユーロから300億ユーロの上限を上回った。これらの効率化により、当行の2025年末のCET1資本比率は14.2%となり、当行が目標とする運用範囲の13.5%から14.0%をやや上回り、2024年末の13.8%から上昇した。
2025年中、当行は2024年に係る資本分配23億ユーロを実施した。これは2024年から約50%の増加であり、1株当たり0.68ユーロ、合計で13億ユーロの配当および10億ユーロの自社株の買戻しが含まれていた。2026年については、ドイツ銀行は2026年5月の当行の年次株主総会において、2024年の1株当たり0.68ユーロから50%増配して、2025年度に係る配当を1株当たり1.00ユーロ、合計で約19億ユーロとすることを提案する予定である。当行はまた、2025年に係る追加の自社株の買戻しの上限を10億ユーロとする通常の承認も得ていた。以上のこれらの施策により、株主への累積資本分配はさらに29億ユーロ増加し、2025年に係る分配は当行のコミットメントである2025年の配当性向50%に一致する。したがって、2022年から2026年に支払われる予定である2021年度から2025年度に係る累積資本分配は合計85億ユーロとなり、当行の当初の資本分配目標である80億ユーロを上回る。
サステナビリティ
サステナビリティは、ドイツ銀行の戦略の基本的な側面である。2025年、当行はサステナビリティ戦略の四つの柱であるサステナブル・ファイナンス、方針およびコミットメント、人材および自社の事業運営ならびにソート・リーダーシップおよびステークホルダー・エンゲージメントに引き続き注力した。
ドイツ銀行は、パリ協定の目標および国連(UN)の持続可能な開発目標の達成への貢献を最大化するため、意欲的な目標を設定した。サステナビリティに関する主な目標および目的は以下のとおりである。
- ドイツ銀行は、2020年から2030年末までの期間を対象に累計9,000億ユーロのサステナブル・アンド・トランジション・ファイナンス目標を新たに設定し、グローバルな改革の中で当行の顧客から信頼されるパートナーとしての役割を強化した。当行は、2020年1月から2025年末までに合計5,000億ユーロのサステナブル・ファイナンスおよびESG投資の取引高累計(アセット・マネジメント(DWS)を除く。)を実現することを目標とした。2025年末までに、ドイツ銀行の取引高累計は4,710億ユーロ(アセット・マネジメント(DWS)を除く。)に到達し、取引高の増加分は2024年の930億ユーロから2025年には980億ユーロに増加した。当初の目標は2025年末までに達成されなかったが、ドイツ銀行は引き続き顧客に対するサステナブル・ファイナンスおよびESG投資ソリューションの提供に尽力しており、2026年上半期に5,000億ユーロを上回る見込みである。期間中の当初目標達成の進捗は、金利上昇、規制の動向および政策環境の変化といった、複数の要因の影響を受けた。
- ドイツ銀行は、国連の持続可能な開発目標に沿って、生物多様性および生態系の保全・回復を支援するため、2027年末までに300件の取引を促進するという自然に関する目標を導入した。
- ドイツ銀行は、排出量ネットゼロを2050年までに達成することに尽力している。過年度において、ドイツ銀行は法人向け貸出金残高における八つの炭素集約型セクターについてのネットゼロ目標を設定し、この中間目標を2030年末まで、最終目標を2050年末までとした。
- ドイツ銀行は、2025年までに、電力の100%を再生可能エネルギー源から調達することを計画し、この目標を達成した。
- 2021年、当行は2025年末までに世界全体(アセット・マネジメントを除く。)のマネージング・ディレクター、ディレクターおよびヴァイス・プレジデントの構成において、少なくとも35%を女性が占めるという意欲的な目標(「’35 by 25’program」として知られる。)に尽力した。2025年末には、世界全体で当行のマネージング・ディレクター、ディレクターおよびヴァイス・プレジデントに占める女性の割合は34.1%となり、2021年から2025年にかけて上級役職における女性の割合は4.2パーセント・ポイント増加した。
- 当行は、取締役会の二階層下(MB-1およびMB-2)でジェンダー多様性を高めることを目指し、2025年末までにこれらの職位において女性が30%を占めることを目標としている。これにより、取締役会の後継者パイプラインにおける機会均等を促進する。当行はMB-1については実質的に目標を達成し、MB-2については28.2%に達した。ドイツの法的要件に従い、当行は取締役会の二階層下に対する目標を2025年以降も継続し、現地法を考慮した上で、2026年末までにMB-1およびMB-2ともに女性比率を32.5%とすることを目標とする。
2025年、ドイツ銀行はサステナビリティ・アジェンダの実施をさらに進展させ、これが大手ESG格付機関から評価された。ドイツ銀行は、CDP、スタンダード・アンド・プアーズ・コーポレート・サステナビリティ評価およびサステナリティクスによるESG格付において格上げされ、MSCIで良好な評価を得たことを確認した。
2025年、ドイツ銀行は初のトランジション・ファイナンス・フレームワークを公表し、排出削減が困難なセクターにおけるネットゼロ移行のための資金調達に関する明確なルールを定めた。さらに、当行は最新のデータおよび主要な実績を反映して移行計画を更新し、サステナブル・ファイナンス・フレームワークに対する関連する調整に合わせてサステナブル・インストルメント・フレームワークを2026年1月1日付で更新した。
ドイツ銀行のサステナビリティ戦略および独自のサステナビリティ戦略を設定しているDWSの詳細については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ガバナンス」および下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-サステナビリティ戦略」の項を参照のこと。
グローバル・ハウスバンクの拡大
当行は、ドイツ銀行の改革で得られた進展が、2028年まで持続可能な成長を実現するための強固な基盤を築いたと考えている。2025年11月のインベスター・ディープ・ダイブで、ドイツ銀行は2028年までの期間の戦略および財務のロードマップを提示し、グローバル・ハウスバンクとしての地位をさらに拡大する計画の概要を発表し、2028年の財務目標および資本目標を示した。
ドイツ銀行の2028年重要評価指標
財務目標:
- 当行グループの税引後平均有形株主資本利益率を13%超とする。
- 費用収益比率を60%未満とする。
資本目標:
- CET1資本比率を13.5%から14.0%の範囲で運用し、最大分配可能額(MDA)に対して200ベーシスポイントの距離を下限とする。
- 2026年以降の配当性向合計を60%とし、CET1資本比率が持続的に14%を超過する場合の余剰資本を配分する。
三つの戦略的手段による価値創造の加速
ドイツ銀行の戦略の次の段階は、焦点を絞った成長、規律ある資本管理および拡張性のあるオペレーティング・モデルという三つの手段を中心としている。これらの手段は、株主付加価値(SVA)に対する揺るぎないコミットメントに中心となる運営指針として固定されており、意思決定を研ぎ澄まし、資源配分を価値創造に整合させ、説明責任の文化を強化することを目的としている。グローバル・ハウスバンクの拡大という野心を軸に、ドイツ銀行はその全能力を提供するために、顧客エンゲージメントを深め、セグメント間の連携を強化することを目指している。
焦点を絞った成長:焦点を絞った成長は、ドイツ銀行の2028年までの戦略的目標の中核的な牽引力である。当行は、焦点を絞った成長分野が、当行グループ収益を320億ユーロから2028年までに約370億ユーロへと増加させて約50億ユーロの増分収益を創出することを目標とした長期的な収益拡大に大きく寄与すると見込んでいる。この軌跡は、手数料を生む活動および金利に敏感な活動にわたるバランスの取れた増分を反映しており、構造的ヘッジのロールオーバー、ドイツにおける預金のフランチャイズの強さおよび当行全体での焦点を絞った貸出の伸びによって裏打ちされた約26億ユーロの追加的純手数料およびフィー収益ならびに23億ユーロの純利息収益を含んでいる。コーポレート・バンクおよびインベストメント・バンクが共同で法人顧客および機関投資家顧客を支援し、プライベート・バンクおよびアセット・マネジメントが投資ソリューションおよび退職者向けソリューションを強化し、各セグメントが顧客業務に対する比重を高めることによって、より一層連携した顧客カバレッジがなされ、成長が促進される見込みである。
規律ある資本管理:ドイツ銀行は資本を戦略的手段として管理し、確実に利益率が最も高い領域に配分し、当行のSVA指針と整合させている。当行の資本戦略は、規律あるバランスシート管理を基礎としており、資本増加に寄与する活動へ資源を再配分することに注力している。2028年末までに、ドイツ銀行はRWA(オペレーショナル・リスクRWAを除く。)に対する収益率を100ベーシスポイント超、増加させることを目指しており、これは価格統制の強化、バランスシートの回転率向上ならびにリスク移転および証券化チャネルの拡大によって支えられる。当行はCET1資本比率を13.5%から14.0%の範囲で維持し、MDAに対して200ベーシスポイントの距離を下限とすることを目指している。当行は2026年以降の配当性向合計を60%とし、CET1資本比率が持続的に14%を超過する場合の余剰資本を配分することを目標としている。
拡張性のあるオペレーティング・モデル:ドイツ銀行は、当行グループ全体の長期的成長および生産性向上を支えるため、オペレーティング・モデルの拡張性および回復力を強化することを目指している。当行の目標は2028年に約6%の営業レバレッジ(収益性の向上)を達成することで、これは先見性のある投資および規律あるコスト管理をバランスよく組み合わせることで可能になる。対象の15億ユーロの増分投資は、技術、人工知能および事業主導の施策を含み、当行の中核プラットフォームを近代化しつつ早期の効率向上をもたらすよう設計されている。これらの投資効果は、フロントオフィスからバックオフィスまでのプロセスの最適化、ITアーキテクチャの強化およびインフラ機能全体の改革により推進される業務効率化にかかる少なくとも20億ユーロを上回ることが見込まれている。この手法は、事業主導の投資を除く費用はごく控えめな増加を見込みつつ、コスト規律を維持しながら、2028年までに60%未満を目標とする費用収益比率の持続的な改善を支える。
税引後平均有形株主資本利益率は非GAAP財務指標である。2026年第1四半期をもって、ドイツ銀行は調整済コストおよび営業関連以外のコストの個別報告を中止する予定である。
ドイツ銀行の事業セグメント
持続可能な成長および収益性の伸びを実現する部門を超えた明確な牽引力
| コーポレート・バンク | インベストメント・バンク | |
|---|---|---|
| - 2021年度以降の収益の伸び率は40%超であり、コーポレート・バンクはさらなる収益性の高い成長を遂げるための体制を構築 - すべての地域で預金が増加し、預金マージンの減少による影響を概ね相殺 - 2025年度に純手数料およびフィー収益が5%増加し、グローバル・ハウスバンク・モデルを拡大 | - 2021年度から部門別の収益および収益性が大幅に増加 - 債券のフランチャイズの強みを維持しつつ、アドバイザリーおよびエクイティ・キャピタル・マーケッツ(ECM)の態勢を拡大するため、IBCMを再配置 - FICのフランチャイズの持続的な強みを通じた顧客支援により、顧客取引は前年比11%増加 |
| プライベート・バンク | アセット・マネジメント | |
|---|---|---|
| - 成長および改革の恩恵を反映して収益性が向上 - 利息以外の費用は126支店の閉鎖および1,600名の人員削減によりさらに減少 - 運用資産(AuM)が増加し、ウェルス・マネジメントも継続的に拡大 | - 欧州へのゲートウェイとして、顧客に魅力的な欧州における投資機会を提供 - 欧州のETF市場における強固な基盤が、継続的な新規資産の正味の増加をもたらす - アクティブETFを含むXtrackersにおける商品の幅を拡大 |
グループ合計額であり、各部門の寄与額にコーポレートおよびその他は含まれない。
コーポレート・バンク
当行は、キャッシュ・マネジメント、貿易金融および貸出しならびに法人信託サービス業務におけるコーポレート・バンクの態勢によって、顧客の主要なニーズに応えることができる。コーポレート・バンクは、インベストメント・バンクの外国為替業務との緊密な協力のもとに、顧客の運転資金および流動性の最適化、グローバルなサプライチェーンおよび販売チャネルの確保ならびにリスク管理を支援している。さらに、コーポレート・バンクは専門化したサービスを金融機関に提供しており、コルレス銀行業務および法人信託サービス業務を行っている。コーポレート・バンクは、法人信託・取次ぎサービス業務および証券サービス業務を統合し、2025年半ばに新たな組織として法人信託サービス業務を設置した。最後に、ドイツ銀行は、標準化された商品を通じて、ドイツ国内の中小企業および起業家の顧客を対象として、ビジネス・バンキングのサービスを提供している。
2025年、コーポレート・バンクは、特にすべての地域にわたり純手数料およびフィー収益が増加するとともに、預金マージンの正常化が金利ヘッジおよび大幅な預金の増加により一部相殺されたことで、その戦略的目標に向けて前進し続けた。コーポレート・バンクは、ファイナンス・バンケン・サーベイ(FINANCE Banken-Survey)の「最優秀トレード・ファイナンス・バンク(No. 1 Best Trade Finance Bank)」およびIJグローバル・アワーズ(IJ Global Awards)の「ワールド・ベスト・コーポレート・トラスト・バンク(World's Best Corporate Trust Bank)」を受賞した。ドイツ銀行は、これらの賞は、コーポレート・バンクの顧客との関係の深さおよび顧客中心のソリューション提供が評価されたものと考えている。
コーポレート・バンクの2028年までの戦略は、焦点を絞った成長、厳格な資本規律および拡張性のあるオペレーティング・モデルを中核としており、ドイツ銀行のグローバル・ハウスバンク拡大戦略を支えている。2025年のインベスター・ディープ・ダイブで示された方向性に沿って、ドイツ銀行は、法人、機関投資家および中小企業といった中核となる顧客グループ全体における有意義な拡大を期待している。また当行は、プラットフォームを拡大し、顧客の戦略的要求に対応した個別のソリューションを提供することを目指している。コーポレート・バンクは、ドイツ国内における強力なリーダーシップを基盤として、財政拡大およびドイツ銀行の各事業セグメント間の連携強化に支えられながら、ドイツ経済および欧州経済における信頼されるパートナーとしての地位を強固にすることを目指している。
コーポレート・トレジャリー・サービスは、サブハードル事業から資本を再配分しつつ、そのプラットフォームを主要な商品全体にまでさらに拡大し、顧客サービスの密度を高め、範囲を拡大することを目指している。機関投資家向けサービスは、インベストメント・バンクと連携して顧客基盤を拡大し、より幅広い商品を提供することで浸透を促進し、コルレス銀行における米ドル市場シェアを回復させることを目指している。ビジネス・バンキングは、特にデジタル・セールスからの獲得ならびにより焦点を絞ったアウトリーチおよびより高い転換率を可能にする人工知能およびデータ駆動型の自動化キャンペーンの取組みの活用による顧客基盤の拡大を目指している。
ドイツ銀行は、トランジション・パートナーとして、サステナブル・ファイナンスの機能をトレジャリーおよび資金調達業務に統合するとともに、セクターのバリューチェーン全体において、顧客の戦略的目標の達成、競争力および回復力の強化ならびに金融業務の管理を支援している。当行は、高度化する顧客の要求に応え、ビジネス・モデル全体における移行を可能にするために、セクター別のサステナブル・ファイナンスの機能を引き続き変化させながら、深い業界知識と顧客に応じた金融ソリューションを組み合わせることで、ネットゼロ目標に向けた展開を促進させる。
コーポレート・バンクは、かかる目標を支援するため、効率性を高め、顧客サービスを強化し、持続可能な成長に向けた事業を位置付ける、拡張性のあるオペレーティング・モデルを構築している。当セグメントは、テクノロジーを活用したソリューション、決済機能の強化ならびに人工知能および自動化により実現される実行の迅速化に投資している。これらの取組みは、グローバルなフランチャイズ全体における信頼性、標準化およびスピードを向上させるためのプロセスの再設計およびプラットフォームの統合により補完されている。
コーポレート・バンクは、グローバルなリーチと深い地域の専門知識を組み合わせ、140ヶ国超にわたるその広範な国際ネットワークをさらに活用することを目指している。かかるアプローチは、コーポレート・キャッシュ・マネジメントおよび機関投資家向けキャッシュ・マネジメント、貿易金融および貸出し、法人信託サービス業務ならびにビジネス・バンキングにおけるシームレスな提供を支援する。コーポレート・バンクは、変化する市場環境において、拡張性のある技術開発およびオペレーション統合の促進を通じて、生産性を向上させ、回復力を高め、競争力の差別化を推進することを目指している。
コーポレート・バンクは、その戦略的優先事項に従い、高い貸付基準を維持し、貸出ポートフォリオの質を保持しながら、厳格な資本規律および慎重なリスク管理に引き続き尽力する。コーポレート・バンクは、株主価値の向上に寄与するポートフォリオへのリスク・ウェイテッド・アセットの再配分を継続し、販売主導型のストラクチャリングの拡大およびローン・シンジケーションの拡充を通じて、バランスシートの流動性を高める予定である。コーポレート・トレジャリー・サービス、機関投資家向けサービスおよびビジネス・バンキングにおける焦点を絞った成長および拡張性のあるプラットフォームを通じて、コーポレート・バンクはグローバル・ハウスバンク拡大への寄与を強化し、持続可能な成長ならびに顧客および株主への規律ある還元の遂行を目指している。
インベストメント・バンク
インベストメント・バンクは、債券および為替(FIC)ならびにインベストメント・バンキングおよびキャピタル・マーケッツ(IBCM)の二つの主要な事業から構成される。これらの事業全体を通じて、法人顧客および機関投資家顧客に、資金調達、マーケット・メーキング、リスク管理ソリューション、アドバイザリーならびに債券および株式の発行を含む包括的なサービスを提供している。当セグメントは、欧州地域、米州地域およびアジア・太平洋/中東・アフリカ地域を地域別にカバーしている。
2025年、インベストメント・バンクのパフォーマンスは堅調であり、2024年と比較して収益が9%増加し、株主資本利益率は大幅に向上し費用収益比率も改善した。このパフォーマンスは、近年の戦略的優先事項の実行、顧客へのサービス提供の向上およびフランチャイズ展開の強化を反映したものである。またドイツ銀行は当年中、「2025年ユーロマネーFXアワード(2025 Euromoney FX Awards)」において「ワールド・ベスト・FXバンク(World's Best FX Bank)」に選出され、かかる市場における主導的な銀行の一つとしての当行の地位を再確認するとともに、顧客サービスの向上を示した。
インベストメント・バンクは、当セグメント全体における焦点を絞った収益成長を推進するため、競争優位性のある分野に注力する予定である。当セグメントは、三つの補完的な優先事項を通じてこれを追求する。
重点分野の一つは、中核となるセクターにおけるIBCMの地位の強化ならびにアドバイザリーおよびエクイティ・キャピタル・マーケッツの機能拡大を目指して、債券のフランチャイズの強みを維持しつつ、IBCMを欧州のフランチャイズを主導する事業として位置づけ、ドイツのリーダーシップおよび焦点を絞ったグローバルなサービス提供を構築することである。これには、コーポレート・バンクおよび貸出しと密接に連携した法人顧客との関係の深化、対象業界を拡大するための新規顧客の獲得、ならびにセクターおよび商品の専門知識への投資が含まれる。主要な優先事項は、エクイティ・キャピタル・マーケッツの成長を支援する株式の販売機能を向上させることである。
当セグメントは、並行して、強固な世界的地位をさらに向上させるため、FICのプラットフォームへさらに投資を行う予定である。米州地域では、選定された事業分野への焦点を絞った投資による成長が見込まれる一方、資金調達業務への資本配分は、顧客関係の深化に向けた取組みに支えられ、スプレッド縮小の影響の相殺に寄与する見込みである。
これらの取組みを補完するため、当該戦略では、アドバイザリーおよびリスク管理、プライベート・バンクならびにアセット・マネジメント全体をカバーする、コーポレート・バンクとの事業横断的な連携を推進することで、グローバル・ハウスバンクをさらに活用し、資産のオリジネーション、販売および共同商品開発の機会を創出することを企図している。
当セグメントは、テクノロジーおよび人工知能を活用し、管理された環境下での顧客サービスおよびその提供の変革を目指している。今後3年間の技術投資により、高度なデータ分析および実行を通じた顧客体験を向上させるソリューションの提供が見込まれている。人工知能の導入により、自動化および一貫した手続の再設計が可能になり、効率性が向上することで顧客エンゲージメントの時間の増加を実現し、競争力のある費用/収益比率を維持するとともに、安全かつ持続可能な拡張性を確保するための管理枠組みを強化する。
資本は、優先的な成長分野の支援ならびにアドバイザリーおよびエクイティ・キャピタル・マーケッツ等のキャピタルライト・フランチャイズの展開のために選択的に分配される予定である。当セグメントは、効果的にリスクを分散させるため、当セグメントの機能および投資家ネットワークを活用しながら、この規律ある資本の活用を高収益の機会に結び付けたいと考えている。最後に、インベストメント・バンクは、リレーションシップ・レンディングの残高を最適化し、高度な分析を通じて顧客レベルでの価値創造を推進する予定である。
中核となるフランチャイズにおける焦点を絞った成長、拡張性のあるテクノロジー主導のオペレーティング・モデルおよび規律ある資本配分を組み合わせることで、インベストメント・バンクは、グローバル・ハウスバンク拡大におけるその役割を強化し、持続可能な収益性を実現する体制を整えている。かかる戦略は、顧客および株主のための長期的な価値を創造するという2028年以降のドイツ銀行の意欲を支えるものである。
プライベート・バンク
プライベート・バンクは、世界の60の市場で20百万を超える顧客にサービスを提供している。プライベート・バンクは、パーソナル・バンキングおよびウェルス・マネジメント(旧ウェルス・マネジメントおよびプライベート・バンキング)の二つの顧客部門で構成される。ドイツ国内においては、パーソナル・バンキングが約18百万の顧客を有して市場を主導しており、金融アドバイスを提供するハウスバンクとしてのドイツ銀行および日常の銀行業務のデジタル・ファースト・プロバイダーとしてのポストバンクという二つの主要かつ補完的なリテール・ブランドを通じて事業を行っている。さらに、ノリスバンク(norisbank)はすべてのサービスをデジタル・バンキングで提供しており、またBHWは住宅金融ソリューションを専門としている。イタリア、スペインおよびインドにおいては、パーソナル・バンキングは個人顧客および新興富裕層を支援し、ウェルス・マネジメントへの導入の役割を担っている。ドイツ国内および国際市場全体においては、ウェルス・マネジメントはグローバル・ハウスバンクのサービスを富裕層および超富裕層の個人およびファミリーオフィスに提供するとともに、欧州の富裕層顧客にもサービスを提供している。
2025年、パーソナル・バンキングは、物理的な販売ネットワークの規模の適正化、現代的な支店形態への投資、リモート・アドバイザリーの改善ならびにデジタル・サービスおよびモバイル・サービスの展開の加速により、デジタル・ファーストかつオムニチャネル型のビジネス・モデルに向けた変革の過程を大幅に前進させた。主要なマイルストーンは、ドイツ銀行およびノリスバンクのオンライン・サービス、モバイル・サービスおよびテレホン・バンキング・サービスをクラウドに移行し、新たなデジタルの機能のより迅速な導入を可能にしたことである。これらの改善は、デジタル・チャネル全体にわたる顧客エンゲージメントを強化するとともに、預金キャンペーンの成功を後押しした。
ウェルス・マネジメントでは、投資ソリューション、特に一任ポートフォリオ運用において堅実に資産を集め、国内市場および国際市場の両方で収益が増加した。また当該フランチャイズは、DWSおよびスイスを拠点とするオルタナティブ・アセット・マネージャーであるパートナーズ・グループ(Partners Group)との協業による新たな私募ファンドの立上げに後押しされ、オルタナティブ投資のサービスを拡大した。起業家およびファミリーオフィス顧客との取引は、コーポレート・バンク、インベストメント・バンクおよびDWSとの間のワンバンク(One-Bank)連携の深化に支えられ、その勢いを維持した。ウェルス・マネジメントの提案の進化は業界内でも評価され、2025年にはユーロマネー誌による15部門の「プライベート・バンク最優秀賞(Best Private Bank)」(3年連続の「起業家向け最優秀銀行賞(Best Bank for Entrepreneurs)」を含む。)ならびに地域別および市場別の賞を受賞した。
プライベート・バンクは、焦点を絞った成長、厳格な資本規律およびより拡張性の高いオペレーティング・モデルを通じて株主価値を高めるという2028年に向けた目標を示した。
両顧客部門において、焦点を絞った成長が引き続き中核をなしている。パーソナル・バンキングでは、預金サービスおよび新たな口座モデルを潜在顧客への入り口として位置付けるとともに、一任投資および年金ソリューションにより、顧客関係を長期的なエンゲージメントへと進化させることを目指している。人工知能主導の洞察に補強されたオムニチャネル型の取引およびアドバイザリーにより、顧客体験のさらなる向上が期待されている。ウェルス・マネジメントでは、中核市場における資産の拡大ならびに超富裕層の個人、ファミリーオフィスおよびファミリー起業家との関係の深化により、顧客資産を拡大させることを優先事項としている。かかる目標は、戦略的な雇用、貸出能力の強化および一連の投資ソリューションの拡大により支えられている。
パーソナル・バンキングは、厳格な資本規律を強化するため、個人向けの貸出しの証券化および株主価値の向上に係る目標を達成できないポートフォリオの最適化を通じて、資本を解放することを計画している。解放された資本は、ウェルス・マネジメントに自己の成長資金として再配分され、戦略的イニシアチブへの投資を加速させることが見込まれている。
プライベート・バンクは、商品、プロセスおよびITを簡素化することで、オペレーティング・モデルの合理化および拡大を目指している。当該計画は、ワークフロー全体の自動化を目的としており、旧来のインフラの現代的なクラウド・ベースのコア・バンキング・プラットフォームへの統合およびエージェント型人工知能の導入が含まれる。パーソナル・バンキングでは、顧客の嗜好に合わせた支店網の再編および効率化に向けた取組みの推進により、より拡張性の高いデジタル化されたサービス・モデルを支援し、当該事業の販売ネットワークをさらに最適化している。ウェルス・マネジメントは、コスト管理を維持し、グローバルな一貫した顧客体験を提供すると同時に、ブッキング・センター全体における人工知能主導のプロセスおよびプラットフォームの効率化の実現を見込んでいる。
プライベート・バンクは、焦点を絞った成長、厳格な資本規律および拡張性のあるオペレーティング・モデルを通じて、グローバル・ハウスバンクへの全体的な寄与を強化するため、長期的な発展に向けた基盤を構築している。
アセット・マネジメント
ドイツ銀行のアセット・マネジメント部門は、連結の業績において79.5%を占める上場関連会社のDWSグループGmbH & Co. KGaA(DWS)で構成されている。当セグメントは2025年において、成長、価値、構築および削減の四つの戦略的柱を実行することにより、ドイツ銀行の戦略を前進させた。同時に、当セグメントは2028年までに、焦点を絞った成長、厳格な資本規律および拡張性のあるオペレーティング・モデルの三つのレバーを適用する準備を行った。
成長においては、Xtrackersブランドに代表されるパッシブ運用業務のフランチャイズがサステナブルETF、テーマ別ETFおよびアクティブ運用ETFにより欧米で拡大し、オルタナティブ運用業務はインフラ市場およびプライベート市場において勢いを増した。DWS、ドイツ銀行およびパートナーズ・グループにより設立された欧州長期投資ファンド(ELTIF)は、投資家のプライベート・エクイティ、プライベート・クレジット、不動産およびインフラへのアクセスを拡大し、かかる分野におけるフランチャイズをさらに強化した。
価値においては、アセット・マネジメントは、株式および債券全体において成熟したアクティブ運用戦略を実行し、引き続きマルチアセット・ソリューションを拡大し、機関投資家向けの堅調なサービス提供ならびに年金、投資アドバイザリーおよび外部委託最高投資責任者(CIO)サービスの重要性向上に注力した。
構築においては、組込型投資ソリューションおよびデジタル資産の開発、販売パートナーとのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)主導のエコシステムの確立ならびにAllUnityによる規制されたユーロ建ステーブルコインの発行の推進により、事業のデジタル化を推進した。
削減においては、資金移転、合併および閉鎖により、資本および資源が収益性の低いまたは規模の小さい商品から優先分野に再配分され、自己資金による成長を実現した。
アセット・マネジメントは、五つの優先事項、厳格な資本規律およびより拡張性の高いオペレーティング・モデルに焦点を絞った成長に注力することで、2028年までにグローバル・ハウスバンクの拡大を支援することを目指している。
アセット・マネジメントは、欧州へのゲートウェイとして、コーポレート・バンクおよびインベストメント・バンクとともにインフラ投資を加速させ、プライベート・クレジットを拡大することを企図しており、また特定地域への拡大ならびに革新的な商品およびデジタル投資ソリューションのプライベート・バンクとの共同開発を通じて、販売を拡大することを目指している。
五つの優先事項はすべて、世界の五大経済圏において拡張性のある地位を確立するため、ドイツ国内における市場のリーダーシップを構築し、ハーベスト・ファンド・マネジメント(Harvest Fund Management)との中国における戦略的パートナーシップを強化し、現地のプレイヤーとの連携を開始することを目指している。Xtrackersは、欧州における強固な基盤ならびにアジア/太平洋地域および米国におけるテーマ別商品の需要から利益を得る一方で、ソリューションのフランチャイズは、第三者保険のマンデートを含む機関投資家向けチャネルにおいて拡大している。
今後、資金調達業務においては、APIエコシステムを通じて組込型投資を促進し、ステーブルコインおよびオンチェーン商品等のデジタル資産サービスを開発し、ポートフォリオの構築、リスクの洞察および事業活動に人工知能を応用することが期待されている。
アセット・マネジメントにおいては、ブリッシュ・ドイツおよびグローバル・ハウスバンクの下で、ドイツの国内市場における機会を獲得し、オリジネーション、ストラクチャリングおよび販売全体でドイツ銀行のバリューチェーンを活用することが期待されている。
アセット・マネジメントにおいては、高収益の機会に向けた資源の再配分、商品およびオペレーティング・モデルの合理化ならびに人材の最適化、自動化、AIおよびニアショア開発を通じた効率性の向上により厳格な資本規律を維持し、それによりグローバル・ハウスバンクの拡張性のある成長を推進し、収益およびコスト効率の改善を支援する。
拡張性のあるオペレーティング・モデルは、成長を収益に転換できるよう規律ある設計がなされている。アセット・マネジメントは、Xtrackersのプラットフォームの拡大ならびにデータおよびデジタル機能への投資と同時に、プラットフォームの最適化、主要機能のニアショアへの移行および内部化、支援チームの構築ならびにオルタナティブ運用業務における焦点を絞った雇用を行うため、その戦略を継続する。かかるアプローチは、成長に反して追加コストを抑制し、営業レバレッジにより2028年までの間のコストおよび収益のプロファイルを改善することを目指している。
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)ガバナンスおよびリスク管理
ガバナンスおよびリスク管理については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-リスク・レポート-リスク種類の管理-エンタープライズ・リスク管理-環境、社会、ガバナンスに関するリスク」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-サステナビリティ・ステートメント作成の基礎」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ガバナンス」および下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ダブル・マテリアリティ評価」の項を参照のこと。
(2)戦略ならびに指標および目標
戦略ならびに指標および目標については、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等-事業戦略-サステナビリティ」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-サステナビリティ戦略」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ステークホルダー・エンゲージメントおよびソート・リーダーシップ」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-環境トピックに関する情報-サステナブル・ファイナンス」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ESGデューデリジェンス」、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-ガバナンス・トピックに関する情報-サプライ・チェーン管理」および下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-報酬報告書-事業年度における報酬制度の適用-長期報奨(LTI)」の項を参照のこと。
(3)人的資本
人的資本については、上記「第2 企業の概況-5 従業員の状況-(3)」または下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-従業員」および下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-社会的トピックに関する情報-自行従業員」の項を参照のこと。
3【事業等のリスク】
本項は、2026年3月12日付の当行のForm 20-Fの「リスク・ファクター」の項の和訳である。
ドイツ銀行の証券への投資は、様々なリスクを伴う。潜在的な投資家は、ドイツ銀行の証券に関する投資判断を行う場合、ドイツ銀行が晒されるリスクに関する以下の情報を、本書のその他の情報と合わせて十分に検討すべきである。これらのリスクのいずれかが現実のものとなった場合には、ドイツ銀行の財務状態、業績、キャッシュ・フローまたはその証券の価格に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
なお、本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、上記Form 20-Fの日付現在において当行が判断したものである。
事業等のリスクの概要
マクロ経済環境、地政学的環境および市場環境に関連するリスク ドイツ銀行は、世界のマクロ経済状況、地政学的状況および市況により重大な影響を受ける。進展する国際貿易の緊張、政情不安、資産価値の下落、市場のボラティリティおよびマクロ経済環境の悪化から大きな課題が発生しうる。これらのリスクは、事業環境に悪影響を及ぼし、経済活動の低迷および金融市場のより広範な調整につながる可能性がある。これらのリスクが顕在化した場合、ドイツ銀行の業績および財務状態ならびに当行の戦略的計画および財務目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行の戦略および事業に関するリスク 世界的なマクロ経済環境の著しい悪化ならびに銀行セクターおよび/または顧客行動に対する市場の信頼感の悪化により、ドイツ銀行が2028年の財務目標を達成できない場合、当行は予想外の損失を被るか、または計画していた収益性を下回る可能性がある。その結果、当行の資本基盤または流動性基盤が損なわれる可能性があり、当行が市場または当行独自の流動性に制約がかかる期間中に債券資本市場にアクセスまたは資産を売却する能力に悪影響が及ぶ可能性がある。これはドイツ銀行のビジネス・モデル、業績ならびに希望する現金配当および自社株の買戻しを行う能力に重大な影響を及ぼす可能性がある。
規制および監督に関するリスク 金融業界に影響を及ぼす健全性改革および規制の監視強化は、今後もドイツ銀行に多大な影響を及ぼし、当行の事業に悪影響を及ぼす可能性があり、遵守されない場合、配当金の支払い、自社株の買戻しもしくはドイツ銀行の規制資本商品に関する支払いの禁止または規制自己資本および流動性要件の強化を含む、当行に対する規制上の制裁につながる可能性がある。規制上の変更は、主要な子会社の資金調達方法に影響を与える可能性があり、事業運営の方法に影響を及ぼし、業績に悪影響を与える可能性がある。また、ドイツ銀行は規制上の措置により、そのビジネス・モデルの変更を余儀なくされるか、または一部の事業活動が実行不可能となる可能性がある。規制上および法律上の変更により、ドイツ銀行は、厳格化された流動性要件を遵守するため、破綻処理シナリオにおいてベイルイン対象となる資本および債務の増加を維持することが求められる可能性がある。当行がその自己資本要件または流動性要件を満たすことができない可能性があるとの市場の認識があった場合、当行の事業および業績に対するこれらの要因による影響が強まる可能性がある。
ドイツ銀行の内部管理態勢に関するリスク 当行は、更新された規制要件に適合させ、当行ならびに/または規制当局および監視当局によって特定された差異を埋めるため、継続的に内部管理態勢の有効性を高め、インフラを改善する。進捗が予想よりも遅い場合または当行が持続的な改善を実現できない場合、ドイツ銀行のレピュテーション、規制上の地位および財務業績に悪影響が及ぶ可能性がある。
テクノロジー、データおよびイノベーションに関するリスク 人工知能(AI)等の分野におけるデジタル化およびイノベーションのスピードは、新たな競合他社に市場参入の機会を提供する可能性がある。AIは、様々な領域にわたる既存のリスク要因を増幅させる可能性がある。エージェント型AIソリューションの登場により、プロセス内での自律的な意思決定が可能となる可能性があり、その結果、見逃されるミスが発生する確率が高まる。例えば、自律的なAIエージェントは、定義された目標を歪曲または上書きする可能性があり、コンプライアンス義務、公正基準または重要な品質管理よりもスピードまたは運用指標を優先する等、規制、倫理または運用の安全策を損なう方法で最適化する可能性がある。ドイツ銀行がこれらの新たなリスクに対処しない場合、当行はコンプライアンスの問題、非効率な運用および潜在的な損失に加え、責任を持ってAIを適用するドイツ銀行の能力に対する市場の信頼を損ない得るレピュテーション・リスクに直面する可能性がある。
訴訟、規制上の執行案件、調査および税務調査に関するリスク 当行は、規制が厳しく、訴訟が頻繁に行われる環境下で業務を行っており、これにより当行は、多額で見積ることが困難な負債およびその他の費用ならびに法律上および規制上の制裁ならびにレピュテーション・リスクに潜在的に晒されている。訴訟手続または捜査の結果、当行が適用ある法律を遵守しなかったとされた場合、または有罪答弁もしくは有罪判決を下された場合、ドイツ銀行は多額の損害賠償、罰金、事業活動の制限、是正の誓約、刑事訴追または当行の財務状態へのその他重大な悪影響に晒され、結果としてメディアの大きな注目を集め、当行のレピュテーション・リスクおよび潜在的な事業上の損失のリスクにも晒される可能性がある。
気候変動および環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連する事項に関するその他のリスク 地球温暖化の影響ならびに地球温暖化および自然環境悪化を抑制するために必要な関連政策、技術および行動の変化により、財務リスクおよび非財務リスクの新たな要因が生じた。これらのリスクには、異常気象による物理的リスクの影響ならびに各国政府、規制当局、株主およびその他の組織による監視の強化によって金融機関が直面するリスクが含まれる。法域によって大きく異なる(時には矛盾する)ESG規制および/または開示基準が出現した場合、遵守費用を含む費用が増加し、各法域でそれぞれの規制要件を満たせないリスクの増大につながる可能性がある。
その他のリスク ドイツ銀行は、以下を含むその他のリスクにも晒されている。
- ドイツ銀行のリスク管理の方針、手続および手法により、当行は認識していなかったリスクまたは予想していなかったリスクに晒される可能性があり、重大な損失を被る可能性がある。
- ドイツ銀行は、ビジネス・モデルに課題を抱える従来のインフラ・プロバイダーに依存しているため、当行はクラウドベースおよびデータ集約型プラットフォームへの依存を高めており、その結果、集中リスクが増加している。
- ドイツ銀行は、その事業および業務を支えるために様々な第三者と取引を行っている。第三者により提供されるサービスは、ドイツ銀行が社内でサービスを履行した場合と同様のリスクを伴う。かかる第三者が適用ある基準または当行の期待に沿って業務を遂行しない場合、ドイツ銀行が重大な損失、規制措置、訴訟またはレピュテーションの毀損に晒される可能性がある。
- 当行のプロセスの履行上の誤り、当行の従業員の行為、アクセス管理の不足、ITシステムおよびIT基盤の不安定性、不調もしくは停止もしくは事業継続の喪失または当行のベンダーに関する同様の問題から発生しうるオペレーショナル・リスクにより、ドイツ銀行の業務が妨げられ、重大な損失を被る可能性がある。
- ドイツ銀行の大規模な清算および決済業務は、たとえ短期間であっても適切に行われなかった場合にはリスクをもたらす。
- のれんおよびその他の無形資産の減損ならびに将来的な繰延税金資産の減額は、ドイツ銀行の収益性、資本および財務状態に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
- ドイツ銀行の伝統的な銀行業務である預金業務および貸付業務に加え、当行は、取引を通じて与信が拡大される非伝統的な与信業務にも従事する可能性があり、これらは当行の信用リスクへのエクスポージャーを著しく増大させる。
- 当行の資産および負債の大部分は、公正価値で計上される金融商品から構成されており、公正価値の変動は損益計算書において認識されているため、将来的損失が生じ、収益性に影響を及ぼす可能性がある。
- ドイツ銀行は、その年金債務の算定に重大な影響を及ぼす可能性のある年金リスクに晒されており、当行の収益に重大な影響を及ぶ可能性がある。
- デジタル資産の進化により、オペレーショナル・リスク、流動性リスクおよび財務リスクが増加し、ドイツ銀行の業績に影響を及ぼす可能性がある。
- ドイツ銀行は、金融上および取引上の制裁および通商禁止措置に関する法律およびその他の要件の適用を受けており、違反した場合、当行は、重大な規制上の執行措置および罰則の対象となる可能性がある。
- 米国国務省により、米国経済制裁の対象者またはテロ支援国家として指定された国々の取引相手方と取引を行った結果、潜在的顧客および投資家が取引またはドイツ銀行の証券への投資を回避し、当行のレピュテーションが損なわれ、または規制措置もしくは執行措置が講じられることとなる可能性があり、当行の事業に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
マクロ経済環境、地政学的環境および市場環境に関連するリスク
ドイツ銀行は、世界のマクロ経済状況および市況により重大な影響を受ける。進展する国際貿易の緊張、政情不安、資産価値の下落、市場のボラティリティおよびマクロ経済環境の悪化から大きな課題が発生しうる。これらのリスクは、事業環境に悪影響を及ぼし、経済活動の低迷および金融市場のより広範な調整につながる可能性がある。これらのリスクが顕在化した場合、ドイツ銀行の業績および財務状態ならびに当行の戦略的計画および財務目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。ドイツ銀行は、リスク管理およびヘッジ活動を通じてこれらのリスクを管理するための措置を講じているが、これらのマクロ経済リスクおよびマーケット・リスクに引き続き晒されている。
2025年のマクロ経済環境および市場環境は、長引く不確実性、政策の相違およびボラティリティ要因の高まりによって特徴づけられ、これらが全体として当行および当行のステークホルダーのリスク環境を形成した。これには、米国政権による包括的な「相互」関税の発表および中国を対象としたさらに厳しい制裁措置を受けて特に上半期に国際貿易の緊張が著しく高まったこと、ウクライナにおけるロシアの戦争をめぐる不確実性が継続していることならびに中央銀行の金融政策に関する世界的な相違が大幅な為替変動を引き起こしたことが含まれる。欧州では、一部の経済大国の政治的安定および財政状態をめぐる不確実性がソブリン信用格付の引下げおよび債券の利回りへの圧力につながり、その結果、経済が悪影響を受け、最終的には欧州の顧客の信用力に影響を及ぼす可能性がある。米国経済は2026年に成長が見込まれているものの、インフレ率は当面高止まりすることが予想され、労働力の伸びの鈍化は米ドル為替レートにおける価値の引下げやボラティリティをもたらし、これにより当行の収益および業績に悪影響が及ぶ可能性がある。
2025年中、米国との貿易摩擦の激化および特に自動車セクターにおける中国との競争激化が市場活動および市場心理に影響を及ぼしたため、ドイツ経済は停滞し、欧州全体で成長は低調となった。2026年も外部からの逆風が続くと予想され、財政緩和によるインフレ圧力および労働市場の逼迫はインフレ・リスクおよびECBへの利上げの圧力につながる可能性がある。これらのリスクは欧州経済に悪影響を及ぼし、ドイツ銀行の貸出の伸びおよび当行の戦略的目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
大型テクノロジー株は、潜在的なAIバブルに対する懸念を強めている。不確実性が続く中、投資家が安全な資産を求めたことで金価格は記録的な高値となった一方、長期債券の利回りは財政および政治のダイナミクスの変化に応じて変動した。資産価格および債券の利回りにおけるボラティリティもしくは急落または市場の調整は、当行の収益性に悪影響を及ぼし、財務上の損失につながる可能性がある。
商業用不動産(CRE)は、特に米国において、借換の問題および価格安定化の見通しが依然として不透明であることから、引き続き信用損失引当金繰入額の潜在的な増加につながる主要なリスクである。市場の指標はCRE価格の安定化を示しているものの、物件の種類および地域(例えば、米国西海岸のオフィス物件)によっては依然として重大な減損リスクが残っており、その結果、ドイツ銀行は予想を上回る信用損失引当金を計上する可能性がある。
民間信用およびノンバンク金融機関(NBFI)の活動は、金利上昇、借換リスクおよび投資家心理の低迷による圧力に引き続き直面した。米国における一部のサブプライム金融機関の破綻を受け、民間信用に関連するリスクへの投資家の関心が高まり、引受基準および不正リスクに対する懸念が広まった。ドイツ銀行はNBFIに関連する重大なリスクにさらされていないものの、当行は相互に関連するポートフォリオおよび取引相手方を通じて、潜在的な間接的信用リスクに直面する可能性がある。
全体として、上記のリスクは、単独でも、地政学的リスクの潜在的な増大(下記を参照のこと。)等のその他のリスク要因との組合せによっても、ドイツ銀行のポートフォリオの質の悪化および予想を上回る信用損失ならびに顧客の資金調達枠の実行に伴う資本需要および流動性需要の増加につながる可能性がある。金融市場のボラティリティの高まりは、証拠金請求の増加、マーケット・リスクRWAの増加および評価性準備金の増加につながる可能性がある。投資家の意欲への悪影響は、資本市場コミットメントを配分し、リスクを削減する当行の能力にも影響を与える可能性があり、損失をもたらす可能性があるとともに、価格設定およびヘッジがより困難かつ高コストとなる可能性がある。厳しいマクロ環境の中、資本市場のボラティリティが高まることにより、取引処理および内外の不正行為を含む複数のオペレーショナル・リスクにおける固有のリスクも増加する可能性がある。このことはまた、証券金融取引における不足金等、直接的にも間接的にも、取引相手方の特異な事象によるリスクを増大させる。
貿易摩擦の再燃、財政不安および無秩序な市場調整等、複数の下振れリスクが同時に顕在化した場合、これらのリスクはドイツ銀行の財務業績ならびに2028年の財務目標および資本目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
様々な地政学的・政治的リスクおよび事由は、当行の2028年の財務目標を達成する能力を低下させる可能性のある経済活動の低迷、金融市場の調整またはコンプライアンス・リスク等を含め、ドイツ銀行の事業環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
地政学的な動向は、引き続き複雑で変化の大きいリスク環境を示しており、これは、ドイツ銀行の経営環境、市場でのパフォーマンスおよび2028年の財務目標の達成に影響を及ぼす可能性がある。
中東においては、米国主導のイランへの軍事侵攻およびイランによる中東の標的への報復攻撃は、当該地域における不確実性を長期化させる可能性がある。主要なリスクは、ホルムズ海峡を通じた供給が長期間制限される場合における、石油価格およびガス価格の上昇が長期化する可能性である。ドイツ銀行の中東に対する直接的なエクスポージャーは限定的だが、広範にわたる地政学的な不安定化は当行の顧客に悪影響を及ぼす可能性があり、またドイツ銀行の財務業績(信用損失引当金の増加を含む。)および業務に悪影響を及ぼす可能性がある。
ベネズエラにおいて、米国がニコラス・マドゥロ大統領を逮捕した最近の事象は、地政学的な緊張の著しい高まりを示すものであり、これにより地域の不確実性、制裁、市場のボラティリティおよび国境を越えた政治的リスクが増加する可能性がある。また、グリーンランドに対する米国政権の主張等の新たな領有権の主張は、大西洋横断パートナーシップに不確実性をもたらし、欧州の安全保障協力の枠組みにも影響を及ぼす可能性がある。他の地域へさらなる措置が取られる場合、ソブリンストレスおよび/または市場の混乱を含む市場全体への影響が懸念される。かかるリスクは、ドイツ銀行の業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
米国と中国の関係は、継続して当行の主要なリスク要因である。貿易障壁および報復措置の緩和を目的とした最近の米国および中国の二国間合意にもかかわらず、米中間の緊張の高まり、継続中のクロスボーダー投資の規制ならびに潜在的な関税、制裁、輸出規制、レアアースおよび重要技術の貿易、香港および人権をめぐる紛争は、経済のさらなる分断ならびに米国主導および中国主導の明確な貿易ブロック出現の懸念を高めている。報復措置およびより広範にわたる国際貿易の分断リスクが高まる可能性があり、これが当行のクロスボーダー業務および顧客基盤に悪影響を及ぼす可能性がある。
欧州連合は、国内産業保護のための措置を講じ、鉄鋼の輸入割当量の大幅な削減および割当超過分に対する関税の50%への引上げを提案した。かかる措置は、報復的な貿易措置のリスクを高め、国際貿易における緊張を一層悪化させるものであり、当行の貸出ポートフォリオに悪影響を及ぼす可能性がある。制裁の制度はより複雑かつ広範囲となり、2025年後半には制裁がさらに強化された。例えば、EUはロシアに対する第19次制裁措置を採択し、ロシア産液体化天然ガスの輸入の段階的な禁止、銀行および仮想通貨取引所への規制強化ならびに第三国の機関に対する二次制裁の拡大を行っており、これにより、当行のオペレーショナル・リスクおよびコンプライアンス・リスクが増加する。
ロシアによるウクライナ戦争は継続しており、ロシアによる攻撃が激化する中、ウクライナを支援する西欧諸国には倦怠感と分断の兆候が生じている。停戦への期待は依然として不確かであり、不安定な状況が長期化するリスクにより、世界の投資家からの信頼が損なわれ、市場のボラティリティが高まった。ロシアでは、緊急の手続で可決された法案により外国が所有する資産の売却が可能となったが、これにより外国企業の収用の可能性への懸念、および不利な規制措置または政府措置のリスクが高まり、このことがロシア国内におけるドイツ銀行の業務に悪影響を及ぼし、財務上の損失が生じる可能性がある。
ハイブリッド戦争およびサイバー戦争ならびにオペレーショナル・リスクは、重大なテーマとなった。海底ケーブルは、国家および非国家組織による攻撃の標的となり、リアルタイムでの取引、決済およびサービスの提供を脅かしている。当行のベンダーは、地域的な通信障害の発生時に潜在的な接続の問題に直面しており、これによりレピュテーション・リスク、規制リスクおよび財務リスクが増加している。
全体として、2025年の地政学的状況は、長引く不確実性、リスクの変容および急速な事態の悪化の可能性によって特徴づけられた。貿易政策、制裁、地域紛争および業務への脅威の相互作用により、当行の業務および利用可能な資源に困難な状況が生じ、それが当行のビジネス・モデルに潜在的な影響をもたらす可能性がある。ドイツ銀行は、2026年においてもこの不確実性が継続すると予測しており、これが当行の業績または2028年の財務目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行の戦略および事業に関するリスク
ドイツ銀行が2028年の財務目標を達成できない場合、または将来の損失もしくは収益性の低下を被る場合、ドイツ銀行の財務状態、業績および株価は重大な悪影響を受ける可能性があり、当行は、予定された分配または自社株の買戻しを行うことができなくなる可能性がある。
2025年11月、ドイツ銀行はグローバル・ハウスバンク拡大戦略の新たなフェーズについて公表した。当行は、2028年までの期間における財務目標および目的ならびに次のフェーズにおいて経営陣がグローバル・ハウスバンクの拡大による価値創出の加速に焦点を当てることについて公表した。ドイツ銀行は、継続的に計画を立て、変化する状況に適応しているが、世界的なマクロ経済環境の著しい悪化、銀行セクターおよび/または顧客の行動における市場への信頼性の悪化、ならびに競争の激化、インフレまたは予想外の費用により、2028年末までに当行の財務目標および目的を達成できないリスクがある。加えて、ドイツ銀行は、減損および引当金を含む予想外の損失、計画していた収益性を下回る実績、または当行の資本もしくは流動性ベースの減少、もしくはより広範な財務状況の悪化を被る可能性があり、これによりドイツ銀行の業績および株価に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。これには、ドイツ銀行が希望する現金配当および自社株の買戻しを行うことができないリスクも含まれており、これらは、規制当局による承認、株主の承認およびドイツ会社法の要件に服する。このような状況において、当行グループは、最低資本または流動性目標を確実に達成するために行動する必要がある。これらの行動または施策は、ドイツ銀行の事業、業績、戦略的計画または当行の財務目標および資本目標の達成に悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、13.5%~14.0%の範囲で推移し、最大分配可能額(MDA)の基準値を200ベーシスポイント以上上回るCET1比率を有する強固な資本基盤を維持することを目標としている。当行グループの自己資本比率の推移は、とりわけ、当行の中核ビジネスの業績、例えばフロントオフィスとバックオフィスの間の最適化プログラムおよびAI導入プログラムを含む改革イニシアチブによる関連利益の計上、潜在的な訴訟および規制上の強制措置に関連する費用、業務部門の貸借対照表の利用の増大、当行の税金および年金勘定の変動、その他の包括利益への影響、ならびに規制および規制技術基準における変更等(資本フロアに関してCRR3規則においてなされた仮定を含む。)を反映している。
ドイツ銀行は、通常の事業過程の一環として、契約および基本合意書を締結する。これらが暫定的な性質のものまたは条件付である場合、当行は、最終的な合意の履行または提案された合意が締結に至らず、かかる合意に伴う便益を得ることが危うくなるリスクにさらされる。
M&A、合弁事業、戦略的提携、計画的なコスト削減およびその他の投資から期待される利益が実現しない場合、当行の財務業績に悪影響が及ぶ可能性がある。また、事業整理の可能性により、当行が追加コストを被る可能性がある。同時に、いかなる統合プロセスも多大な時間とリソースを必要とし、当行がそのプロセスを適切に管理できない可能性がある。
上記のすべてが、当行のCET1比率および財務目標に重大な影響を及ぼす可能性がある。したがって当行は、例えば、13.5%~14.0%の範囲で推移し、MDAに対して200ベーシスポイントの距離を下限とするCET1比率、2026年以降の配当性向合計を60%とすること、およびCET1比率が継続的に14%を上回る場合の剰余金の配当といった特定の資本目標を達成できない可能性がある。
本項「3 事業等のリスク」に記載されているその他のリスクに加えて、以下の事項が当行の戦略的目標ならびに2028年の財務目標および資本目標を達成する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
- ドイツ銀行の財務計画および資本計画のベースケース・シナリオには、マクロ経済の動向、市場の手数料プールおよび全体の手数料プールに占める市場シェア等の多くの要因に依拠する増収見込みが含まれている。当該分野が停滞または低迷した場合、増収を生み出す当行の能力に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、このベースケース・シナリオには、将来における当行のコスト管理能力に関する仮定も含まれている。
- さらに、当行のベースケース・シナリオは、現在の市場のインプライド・フォワード・インタレスト・レート・カーブ、インフレ水準および為替レートの予測に基づいている。もしこれらが当行の予想どおり推移しない場合、ドイツ銀行の収益およびコストに悪影響を及ぼす可能性がある。
- レピュテーション・リスクまたはドイツ銀行に対する市場における否定的な評価は、顧客数、預金または資産の流出に影響を及ぼす可能性がある。
市場のボラティリティの悪化、資産価格の下落および慎重な投資家心理は、ドイツ銀行の収益および営業利益、特にインベストメント・バンキング、仲介業務およびその他の手数料・報酬を収入ベースとする業務に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、金融市場に対して相当なエクスポージャーを有しており、主に伝統的な銀行業務に従事する機関に比べて、金融市場の軟化によるリスクに晒される機会が多い。長引く市況の低迷により、過去に当行は収益の減少およびヘッジ費用の増加を経験し、重大な損失を被ったことがあり、また将来においてもその可能性がある。
特に、オリジネーションおよびアドバイザリー手数料の形態によるインベストメント・バンクの収益は、当行が手がける原取引の数、規模および資産価値に直接関連しており、長期にわたる市場の低迷または市場シェアの低下により悪影響を受けやすい。また、市場の低迷と不確実性の期間には、特にマージンの高い取引において取引高やインベストメント・バンキングおよびキャピタル・マーケット(IBCM)の収益の重要な原動力となる、マーケット・リスクおよび信用リスクに対する顧客のリスク志向は弱まる傾向にある。過去において、顧客のリスク志向の低下は、IBCMにおける取引高や収益性レベルの低下を招いた。市場の取引量が低下した場合、またはIBCMが期待される市場シェアを獲得できない場合、ドイツ銀行の収益および収益性に悪影響を及ぼす可能性がある。
市場の低迷は、過去に当行が顧客のために行う取引高の減少を招いており、また将来においても減少させる可能性があり、これにより利息以外の収益が減少する可能性がある。当行が顧客のポートフォリオの管理につき請求する報酬は、多くの場合、当該ポートフォリオの価格またはパフォーマンスに基づいているため、市場の低迷により顧客のポートフォリオの価格の下落や資金流出が増加すると、アセット・マネジメント業務およびプライベート・バンク業務から得られる収益が減少する。市場が低迷していない場合でも、アセット・マネジメントの投資ファンドが市場を下回るまたはマイナスのパフォーマンスを示す場合には、資金流出が増加し、資金流入が減少し、ドイツ銀行の収益に影響を及ぼす可能性がある。顧客は、顧客の勘定でポジションを取得したことにより被る損失につき責任を負うが、当行が十分な担保を保有していないまたは期待される担保価値を実現できない場合に、当行はさらなる信用リスクおよび当該顧客の損失を填補する必要性に晒される可能性がある。顧客が損失を被り、ドイツ銀行の商品および業務に対する顧客の信用を失った場合にも、ドイツ銀行の業務が阻害される可能性がある。
また、ドイツ銀行がトレーディング・ポジションおよび投資ポジションならびに当該ポジションに関連する当行の取引から得られる収益および利益は、市場価格により直接不利な影響を受ける可能性がある。ドイツ銀行が資産を保有している場合、市場価格の下落により、当行は損失を被る可能性がある。インベストメント・バンクのより高度な取引の多くは、価格変動および価格差の影響を受ける。予想しない形で価格が変動した場合、当行は損失を被る可能性がある。さらにドイツ銀行は、一定の資本市場取引を促進する目的で資本を投入し、マーケット・リスクを負っており、これにより当行は収益の変動の他、損失を被る可能性がある。かかる損失は、とりわけ流動性の高い市場で取引されていない当行の保有資産において発生する。市場相場価格が付けられていない銀行間のデリバティブ契約等の証券取引所またはその他の公開取引市場で取引されない資産は、当行がモデルを利用して計算した価格が付けられる場合がある。この種の資産の価格の下落を監視することは困難であり、当行が予想しなかった損失を被る可能性がある。また、リスクに対する一般的認識が投資を躊躇している投資家に引き続き市場参加をためらわせて顧客の取引を縮小し、ひいては取引フローに依拠する事業の活動水準も低下させる場合には、ドイツ銀行は悪影響を受ける可能性がある。
ドイツ銀行の資金流動性、事業活動および収益性は、市場全体または当行独自の流動性に制約がかかる期間中には、債券資本市場にアクセスできないことまたは資産を売却できないことにより、悪影響を受けるおそれがある。
ドイツ銀行は、事業活動に資金を提供するため、流動性資金を継続的に必要としているが、当行が有担保債および/もしくは無担保債の市場にアクセスできない場合、子会社からの資金を利用できない場合、事業全般に流動性資金を適切に配分できない場合、資産を売却できない場合、または現金もしくは預金の予測不能な流出を被る場合、当行の資金流動性は損なわれる可能性がある。これらのような状況は、流動性資金の制限を含む金融市場における混乱、取引相手方による債務不履行、不履行、または金融機関に影響を及ぼすその他の不利な展開から生じる可能性がある。このような不利な展開には、訴訟事案、規制措置または類似の事案に起因する今後の資金流出(預金の流出を含む。)に関する認識を理由として、取引相手方または市場がドイツ銀行の事業に対する資金提供を控える可能性がある。これらの事項は、当行の事業、ビジネス・モデルもしくは戦略もしくは経済状況や市況の悪化にドイツ銀行が対応するための回復力において、実際に脆弱性がある場合または脆弱性があると認識される場合がある。かかる状況が生じた場合、ストレスのかかったシナリオの期間における利用可能な流動性資金に関する内部の見積りがマイナスの影響を受ける可能性がある。
加えて、かかる認識は、様々な形でドイツ銀行に影響を与える可能性があり、市場に対する否定的な見方は、ドイツ銀行の資本市場へのアクセスに係るコストを引き上げ、当行の資金調達曲線に悪影響を与え、資金調達スプレッドを拡大させる可能性がある。かかる状況は、当行の資産に係るリファイナンス、事業活動の支援または資本水準の維持を妨げる可能性がある。その結果、当行は、不利な価格での資産の売却または貸出しを含む事業活動の縮小を余儀なくされる可能性がある。
流動性リスクはまた、ドイツ銀行の質の高い流動資産(HQLA)の価値および市場性が低いことから生じる可能性があり、ストレス事象においてキャッシュ・アウトフローをカバーするための資金の額に影響を及ぼす。既に減損した資産価値に加え、追加的なヘアカットが生じる可能性がある。さらに、有価証券は、レポ/ホールセールの資金調達市場における価値だけでなく、中央銀行との与信枠取引を行うための担保として適格性を失う可能性もある。
より広範な金融業界における不利な展開に起因して、預金保護制度で保証されていない預金の引出し、またはその他の投資商品への預金の移動により、追加的な流動性リスクが発生する可能性がある。経済の不確実性または市場ストレスが生じた場合、デジタル・バンキングにより、預金者はデジタル処理で迅速に他の市場参加者に資金を移動させることができるようになり、より急激かつ大規模な預金の流出につながる。このリスクは、欧州の即時決済規則の施行により深刻化する可能性があり、これにより日中流動性へのニーズの増加に加え、通常の営業時間外における流出の加速につながる可能性がある。加えて、金利の上昇より、銀行間でのリテール預金の価格競争が促進され、ドイツ銀行の資金調達コストが増加する可能性がある。また、ドイツ銀行の主要な資金調達源の一つであるリテール預金の取扱高についても、さらなる圧力がかかる可能性がある。
不透明なマクロ経済の展開は、FX市場のボラティリティに起因して、または相手方が合意された取引条件を満たす当行の能力を懸念してエクスポージャーを制限しようとする場合、ドイツ銀行の外国為替(FX)取引を行う能力に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、中央銀行の緊急FXスワップ執行ファシリティが撤廃された場合、FX市場におけるスプレッドの拡大、外貨調達コストの増加および市場における米ドルの流動性の低下につながる可能性がある。さらに、ユーロ(ドイツ銀行の報告通貨)が他の主要通貨に対して大幅に下落した場合、当行の貸借対照表上のFXミスマッチが拡大し、担保流出の増加につながる可能性があり、異なる通貨で流動性のニーズをサポートすることが困難になる可能性がある。
エマージング・リスクの一部として、デジタル決済およびブロックチェーンは、市場流動性の深さおよびボラティリティならびに資金調達に影響を与える可能性がある領域として評価されており、資金調達コストに一時的な影響を与え、それによって収益性に悪影響を与える可能性がある。
将来、信用格付が投資適格未満に引き下げられた場合、資金調達コストおよびドイツ銀行と取引する相手方の意欲に悪影響を及ぼし、当行のビジネス・モデルの側面に影響を及ぼす可能性がある。
格付機関は定期的に当行の信用格付の見直しを行い、かかる見直しは時の経過とともに変化する多くの要因により悪影響を受ける可能性がある。かかる要因には、信用格付機関による当行の財務状況の評価または当行の実際の業績が戦略的目標と著しく異なる場合が含まれる。
ドイツ銀行の信用格付の投資適格未満への引下げにより、当行の短期金融市場へのアクセスに影響が生じ、当行の預金ベースが縮小するか、追加担保もしくはその他の要求が生じる可能性がある。その結果として、当行の資金調達コストに悪影響を及ぼし、当行との取引を希望する取引相手方の範囲が限定される可能性がある。これにより、ドイツ銀行の競争力、財務成績が悪影響を受け、ドイツ銀行の短期ないし中期的な見通しを脅かす可能性がある。
ドイツ銀行は、ビジネスまたは資産の有利な価格での売却が困難となり、市況にかかわらず当該資産の売却により重大な損失を受ける可能性がある。
ドイツ銀行は、自己資本要件およびレバレッジ要件を充足またはこれらを超える水準を達成し、また有形株主資本利益率の目標の達成を促進する戦略の一環として、資産の売却またはかかる資産へのエクスポージャーを削減していくことを検討する場合がある。当行がビジネスを売却する場合、当行は、関連する売買契約の条件に基づく一定の損失またはリスクに引き続き晒される可能性があり、かかるビジネスの分離および売却のプロセスもまた、オペレーティング・リスクまたはさらなる損失が生じる可能性がある。厳しい事業環境や市況により、当行は、ビジネスまたは資産を有利な価格で売却すること、または事業もしくは資産の売却自体が困難となる可能性がある。
ドイツ銀行が財務実績に影響を与えうる企業結合またはその他の種類の投資を特定し、それらを実施し、完了することは困難となる可能性がある。さらに、ドイツ銀行が必要なときに戦略的取引を実行できない場合、当行の業績および株価が著しく損なわれる可能性がある。
ドイツ銀行は随時、事業統合およびその他の種類の投資を検討している。投資家が、重要な事業統合が高額すぎる、既存株主にとって希薄化をもたらす、または当行の競争力向上につながらないと判断した場合、ドイツ銀行の株価は著しく下落する可能性がある。また、事業統合において特定のクラスの資産を公正価値で再評価する必要性は、取引を実行不可能にする可能性または発生したのれんに減損が生じる可能性がある。さらに、事業統合またはその他の種類の投資が予想どおりに運ばない可能性、または当行が統合対象法人の業務をうまく統合できない可能性がある。発表した事業統合を完了できなかった場合、または当該事業統合もしくは当該投資において予想された恩恵を享受できなかった場合、収益性に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。買収が失敗した場合、重要な従業員の退職を招く可能性もあり、また従業員の残留を促すために報奨金が必要となる場合は、追加的な費用が生じる可能性もある。
ドイツ銀行がさらなる事業統合を行うことを回避した場合もしくはさらなる事業統合を行うことができなかった場合、または発表したもしくは予想された事業統合を実現できなかった場合、市場参加者は、当行に対して否定的な認識を持つ可能性がある。当行はまた、特に新たな事業分野への事業の拡大を自律的成長のみによって行う場合には、競合他社と同様に迅速に、あるいは成功裏に実行することができないおそれもある。これらの認識や制約は、ドイツ銀行の事業に損失をもたらし、また当行のレピュテーションを毀損する可能性があり、当行の財務状態、業績および流動性に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行の本国ドイツの市場およびグローバルな市場における激しい競争は、収益および収益性に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、すべての業務部門において競争の激しい市場で事業を展開している。当行が、収益力のある魅力的な商品およびサービスの提供をもって競争環境に対処できなかった場合、当行は、市場シェアを失うか、または損失を被る可能性がある。また、かかる市場における景気の低迷は、価格圧力の増大や取引量の減少等を通じて、競争を激化させる可能性がある。また、収益拡大のために資本を配備し、投資資金を調達することができない場合、ドイツ銀行の競争力は損なわれる可能性がある。当行は、市場での地位を守り、成長機会を実現するために、競争の進展を継続的に監視し、対応している。このような状況における競合他社には、大規模な国際銀行、小規模な国内銀行、ドイツ市場に参入する新たな国際銀行ならびに新興およびノンバンクの競合他社(例えば、デジタル・ファーストまたはフィンテック)が含まれる。重要な競合他社が合併または買収された場合、ドイツ銀行のビジネス・モデルおよび将来的な非有機的成長の機会に悪影響を及ぼす可能性がある。
規制および監督に関するリスク
金融業界に影響を及ぼす健全性改革および規制の監視強化は、今後もドイツ銀行に多大な影響を及ぼし、当行の事業に悪影響を及ぼす可能性があり、遵守されない場合、配当金の支払い、自社株の買戻しもしくは当行の規制資本商品に関する支払いの禁止または規制自己資本および流動性要件の強化を含む、当行に対する規制上の制裁につながる可能性がある。
政府および規制当局等は、規制の枠組み変更を通じて、特にバーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」という。)によって概要を示された規制改革計画の最終的な実施、およびより最近では持続可能な経済への想定される移行を通じて、金融業界の将来の危機からの回復力を強化するための取組みを引き続き行っている。
規制枠組改革の中核的要素として、バーゼル委員会は、ドイツ銀行に適用される最低自己資本および流動性の基準に関する包括的な一連の規則およびその他の規則(バーゼルIII)を策定し、精緻化を続けてきた。2024年6月のEU官報への掲載を受けて、2024年7月、EUの健全性ルール(自己資本要求規則および自己資本要求指令-CRR3およびCRD6)が発効した。改革は、バーゼル委員会のバーゼルIIIの最終改革を実施するものである。これらの改革により、EUの銀行がそれらのリスク・ウェイテッド・アセットを計算する方法が変更される。改革の大部分は、欧州委員会が委任法を通じて2027年1月まで延期した、マーケット・リスクに関する規則(トレーディング勘定の抜本的見直し(FRTB)の実施)を除き、2025年1月現在から適用が開始されている。資本フロアは、内部モデルによるRWAを最終的に標準的手法によるRWAの72.5%に制限するもので、2030年1月に完全に適用される。バーゼルIIIの最終化は、当行のRWAおよび関連する自己資本要件を引き上げる。このバーゼルIIIの改革はまた、世界のすべての主要法域で異なるスケジュールにより実施されている。2024年初頭、欧州銀行監督機構(EBA)は、健全性評価に関する規制技術基準(RTS)の改正について協議した。この基準は、EU内で業務を行う金融機関が、健全性評価を目的として公正価値の資産および負債の評価に適用すべき要件を定めている。EBAは寄せられたコメントを精査しており、最終的な見解によっては、ドイツ銀行のCET1要件の引上げおよびCET1比率に悪影響を及ぼす可能性がある。EBAはまた、2025年8月にオフ・バランスシート項目に関するRTSの最終案を公表し、異なるレベルの換算リスクを反映したオフ・バランスシート項目を割り当てる基準を定めた。RTSにおけるクレジットカード・チャージバック・リスクの取扱いを網羅するという、協議段階での先の提案は、取り下げられた。
新たな規制要件の導入または追加的、個別的もしくは引き上げられた自己資本要件の導入、または銀行監督当局による同様の裁量的判断は、自己資本比率にマイナスの影響を及ぼすとともに、事業機会を減少させ、リスク資産の削減または規制上の自己資本の引上げを要求する可能性がある。
さらに、欧州中央銀行(ECB)を含むドイツ銀行の金融監督機関は、EUの単一監督メカニズム(以下「SSM」という。)に基づき、監督上の検証・評価プロセス(以下「SREP」という。)に従って、ストレス・テストならびに資産品質およびリスク管理プロセスの定期的な検証を実施している。健全性に関する規制当局は、一般的な自己資本規則(第1の柱)で十分にカバーされていないと判断したリスクに対して、金融機関に自己資本の上積みを課すか、または事業の制限や変更等のその他の措置を課す裁量を有する。こうした状況の中、ECBは、ドイツ銀行にSREPに基づく個別の自己資本要件(「第2の柱の要件」と呼ばれる。)を課しており、これによりドイツ銀行は、Tier1資本の75%以上およびCET1資本の56.25%以上を満たさなければならない。第2の柱の要件は、法定の最低所要自己資本水準およびバッファー要件に加えて満たす必要があり、これらの要件を満たさなかった場合は、配当支払いの制限等の法的措置を直接課される可能性がある。さらに、規制監督当局は、過去に発行されたガイダンスの解釈を変更し、金融機関に遡及的に新しい解釈を適用することを要求する可能性があり、これは当行に悪影響を及ぼす可能性がある。
2025年のSREPの後、ドイツ銀行は、2026年1月1日から維持される健全性自己資本要件に関するECBの決定により、ドイツ銀行の第2の柱の要件がRWAの2.85%となり、そのうち少なくとも1.60%はCET1資本で、2.14%はTier1資本でカバーされなければならないと通知を受けた。さらに、決定には、2025年8月1日に公表された、欧州の銀行は重大な仮想的な景気後退下においても回復力を維持することを示す、2025年のEBAのストレス・テストの結果を含め、EBAまたはECBが実施した規制上のストレス・テストからECBが導き出した結論が含まれている。同様に、2026年のSREPは、2026年のECBのテーマ別地政学的リスクリバース・ストレス・テストの結果を考慮する。ECBは、第2の柱の要件の水準に関する決定を通知するために、各銀行の実績を定性的な観点から、また第2の柱のガイダンスの水準を評価する際の一つの側面である定量的な結果から評価を行う。ECBは、過去にもSREPの決定においてこれらの権限を行使しており、立入検査で特定された事項に対処するため引き続きこれらの権限を行使する可能性がある。極端な場合には、ECBは各管轄内で特定の活動または営業許可を停止すること、またガイドラインに適用される規則に従わなかった場合には罰金または自己資本の上積みを科すこともできる。
規制当局は、銀行の規制方法に対して実質的な裁量を有しており、かかる裁量および規制当局が利用できる権限は、近年着実に増加している。また、進行中または将来の危機(世界的なパンデミックまたは気候変動等)を受けて、政府および規制当局により、新たな規制が臨時に課される可能性があり、特にドイツ銀行のようなシステム上重要とみなされる金融機関に影響を及ぼすおそれがある。
ECBは、2024年にサイバー耐性のストレス・テストを初めて実施し、これにより、欧州連合内の銀行が改善すべき点として、事業継続の枠組み、インシデント対応計画、バックアップ・セキュリティおよび第三者のサービス・プロバイダー管理等の特定の分野がECBにより明らかにされた。このため、ITセキュリティおよびサイバー・リスクに関するオペレーショナル・レジリエンスの枠組みの不備は、ECBの2025年-2027年の監督上の優先事項の一部となっている。
ドイツ銀行が規制要件(特に法定の最低所要自己資本水準、または第2の柱の要件)を遵守しなかった場合や、ドイツ銀行のガバナンスおよびリスク管理プロセスに不十分な点があった場合には、管轄規制当局は当行に対し、株主に対する配当支払いもしくはその他の規制資本商品の保有者に対する分配を禁止する、または当行の戦略、収益性、資本および流動性プロファイルに影響を及ぼす可能性のある措置を講じるよう要求することができる。こうした事態は、例えば、当行が収益の減少により十分な利益を得られなかった場合や、訴訟事案、規制措置および類似の事案に起因する多額の資金流出の結果として生じる可能性がある。定量的または定性的な規制要件が満たされない場合、ドイツ銀行に対して他の形態での規制上の強制措置が講じられる可能性があり、その結果、罰金を含む制裁が科される可能性がある。かかる強制措置は、ドイツ銀行の現在および将来の事業、財務状態および業績(株主に対する配当支払いまたはその他の規制資本商品に関する分配を行うドイツ銀行の能力を含む。)に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
規制環境および法的環境はいずれも引き続き大きく変化し、ドイツ銀行の収益および費用(例えば、継続的および将来的なコンプライアンスを確保するためのコスト)に影響を及ぼす可能性がある。さらに、特定の非欧州地域における規制条件緩和の見通しは、当行にとって競争上不利に働く可能性がある。
ドイツ銀行は、自己資本およびベイルイン可能債務(銀行破綻時にベイルイン対象となる債務)を維持し、流動性要件を遵守することを要請された。これらの要件が当行のビジネス・モデル、財務状態、業績および競争環境全般に重大な影響を与える可能性がある。当行が自己資本要件または流動性要件を十分なバッファーをもって達成することができない可能性があるとの市場の認識や、当行がかかる要件を上回る自己資本もしくは流動性を維持すべきであるとの市場の認識、またはこれらの要件を満たすことができないような場合は、当行のビジネス・モデルおよび業績に対するこれらの要因による影響を強める可能性がある。
上記のとおり、ドイツ銀行は、とりわけ、適用ある法律に基づく自己資本要件の強化および流動性要件の厳格化に従うものとし、その一部には追加的な自己資本バッファー要件も含まれている。ドイツ銀行が規制自己資本または流動性要件を満たすことができない場合、当行は、執行措置の対象となる可能性がある。さらに、流動性の維持または増加を求める要件により、当行の収益および利益の増大を追求する活動が減少する可能性がある。
規制自己資本および流動性要件に加えて、ドイツ銀行は、破綻銀行を税金に頼らずに破綻処理することを確保するため、破綻処理における損失を吸収できる十分な額の金融商品の保持も要求されている。これらの規則は、「TLAC」(総損失吸収力)および「MREL」(自己資本および適格負債に関する最低基準)要件という。これらの要件を遵守しなければならないことにより、ドイツ銀行の事業、財務状態および業績に影響が及ぶ可能性があり、特にその資金調達費用が増加する可能性がある。
ドイツ銀行は、これらの規制要件またはその他の規制要件を満たす十分な自己資本またはその他の損失吸収負債を有しないまたは発行できないこととなる可能性がある。それは、適用ある基準のもとで規制自己資本もしくは損失吸収負債として認識される証券を当行が新規に発行できないといった規制上の変更その他の要因によっても、従前より厳しいリスク測定規則の適用やユーロの価値の対他通貨での将来の下落の結果としてリスク・ウェイテッド・アセットが増加することによっても生じうる。
上記の規制要件を満たす十分な自己資本をドイツ銀行が維持できなかった場合、当行は、執行措置の対象となり、配当の支払い、自社株の買戻し、その他の規制資本商品に関する支払いおよび任意の報酬支払いを制限される可能性がある。また当行は、リスクに基づく自己資本比率やレバレッジ比率引上げの要請を満たすため、マージンの高いリスク・ウェイテッド・アセットを減少させることを含め、収益の発生および利益の増大よりも、自己資本の保全および増大を重視する戦略を採用する可能性がある。かかる場合に、もしドイツ銀行が資本市場を通じた新たな資本調達により、またリスク・ウェイテッド・アセットの減少その他の方法により、その自己資本比率を規制上の最低基準まで増加させることができないような場合には、当行は、当行グループ再建計画の実施を要請される可能性がある。すなわち、これらの措置またはその他の私的なもしくは監督当局による措置によっても要求される自己資本比率水準まで回復せず、当行が破綻状態に陥るかまたはその蓋然性が高くなったとみなされる場合には、管轄当局は、単一破綻処理メカニズム(SRM)ならびに適用ある規則および規制に基づく破綻処理権限を適用する可能性がある。これが適用された場合、当行の株主利益の重大な希薄化をもたらすおそれがあり、また当行の株主または債権者の投資のすべてを失わせるおそれもある。
ドイツ銀行は、異なる法域、特に米国におけるその現地事業に関して、流動性およびリスク管理それぞれに関する規則を遵守するため、自己資本を満たすことが求められる。
連邦準備制度理事会は、ドイツ銀行のような特定の外国銀行組織(FBO)の米国での業務について、必要とされる体制を定めた規則およびFBOの米国での業務に適用される高度健全性基準を採択した。ドイツ銀行は、これらの規則に基づき、当該FBOの米国子会社に対する保有持分のほぼすべてを保有し、別途の資本金を有する一流の米国中間持株会社である、DB USAコーポレーション(DB USA Corporation)およびDWS USAコーポレーション(DWS USA Corporation)(それぞれを、以下「IHC」という。)の2社を指定した。各IHCは、米国のバーゼルIII自己資本規制フレームワークに基づくリスクベース資本要件およびレバレッジ資本要件、資本計画およびストレス・テストの要件、米国流動性バッファー要件ならびに米国の大手銀行組織に適用あるものと同等のその他の高度健全性基準に、連結ベースで服している。また、両IHCは、補足的レバレッジ比率要件ならびにTLACおよび長期債の維持に関する要件にも服している。両IHCおよびドイツ銀行の米国における主要な銀行子会社であるドイチェ・バンク・トラスト・カンパニー・アメリカズは、流動性カバレッジ比率および安定調達比率要件にも服している。
ドイツ銀行は、ドッド・フランク法に基づき、破綻処理計画(米国破綻処理計画)を作成し、連邦準備制度理事会および連邦預金保険公社(以下「当該機関」という。)に対して当該機関により設定されたスケジュールで提出することが義務付けられており、完全版計画および焦点を絞った計画を交互に提出している。米国破綻処理計画においては、ドイツ銀行がその米国における指定された重要法人および業務の秩序ある破綻処理のために戦略を実行する能力があることを証明しなければならない。ドイツ銀行の米国破綻処理計画では、ドイツ銀行の米国における重要法人および業務に関する一元的破綻処理戦略が説明され、DB USAコーポレーションが、米国におけるその重要法人子会社に対し流動性および資本援助を提供し、適用ある破綻処理手続によらず、当該子会社の部分的な売却または支払能力を維持した業務撤退を確保する旨が規定されている。
ドイツ銀行は、2025年10月1日の提出期限までに最新の完全版米国破綻処理計画を提出しており、次回は、2028年7月1日を提出期限とする焦点を絞った計画である。もし当該機関が、共同でドイツ銀行の米国破綻処理計画を信頼性が低いと判断し、ドイツ銀行が、規定された期間内にこれらの指定された問題点を是正できなかった場合には、当該機関がドイツ銀行の米国事業(米国のIHCまたは米国の規制対象子会社を含む。)に制限を課すまたは事業、法人、オペレーショナル・システムおよび/もしくは企業内取引を再構築もしくは再編することを求められる可能性があり、これにより当行の運営および/または戦略にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。さらに、当該機関が、より厳しい自己資本要件、レバレッジ要件もしくは流動性要件をドイツ銀行に課すまたは一定の資産もしくは事業を売却することをドイツ銀行に要求する可能性もある。
IHCはそれぞれ、毎年、連邦準備制度理事会の監督当局によるストレス・テストおよび自己資本計画要件の対象となる。また、各IHCは、大手銀行持株会社およびIHCの自己資本および計画の実務を評価する監督当局による年次調査である連邦準備制度理事会の包括的資本分析検査(以下「CCAR」という。)の対象である。CCARプロセスは、CCARの定量的評価および連邦準備制度理事会の自己資本規則におけるバッファー要件を統合し、2.5%を下限とする金融機関固有のストレス資本バッファー(SCB)要件を算出する。監督当局による2025年ストレス・テストの結果に基づくDB USAコーポレーションおよびDWS USAコーポレーションのSCBは、それぞれ11.5%および5.3%に設定された。これらのSCBは、2025年10月1日から発効した後、一般からのフィードバックを反映したモデルに基づいて新たな要件が算出可能となる2027年まで有効である。SCBの増加によって、当行に対して、当行の運営および戦略にマイナスの影響を及ぼすような方法で自己資本の増加または事業再編を求められる可能性がある。
上記を含む米国の規則および解釈により、当行は、米国内に保有する資産の削減、もしくは資本および/もしくは流動性の投入またはその他当行の米国事業の構造の変更を余儀なくされ、また米国子会社が配当を支払う能力またはその配当金額が制限される可能性がある。当行が、米国での事業縮小を余儀なくされたり、他に投入すればより多くの利益を上げられたであろう資本または流動性を米国に投入することを余儀なくされたりする限り、かかる要件は、当行の事業、財務状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
上記の米国での自己資本要件およびその他の要件ならびに他の法域での類似の動向が、グローバルな銀行に対する監督が分断化を招き、その結果、当行が自己資本比率要件、多額のエクスポージャー制限および一定の組織要件について、連結ベースおよび非連結ベースの両方ではなく連結ベースのみで遵守することを認める規制上の免責への依拠に悪影響を及ぼす可能性があるかは、現時点では不明である。当行は、かかる免責に依拠することができなくなった場合、連結ベースに加えて非連結ベースの自己資本規制およびその他の要件に対応しなければならず、またこれを遵守するために必要な措置を取らなければならなくなる。その結果、コストも大幅に上昇し、当行の収益性および配当支払能力にも悪影響が及ぶ可能性がある。
ドイツ銀行は、規制自己資本比率、流動性比率およびドイツ銀行の株式または規制資本商品に関する分配に利用可能な資金に関して事業上の決定を行う可能性があるが、当行の決定とかかる金融商品の保有者の利益は一致しない可能性がある。ドイツ銀行は、適用ある法律および関連する金融商品の条件に従って、その株式または規制資本商品に関する支払額を削減するか、または全く支払いを行わない決定を下す可能性がある。
ドイツ銀行の規制自己資本比率および流動性比率は、多くの要因(当行がその事業および業務ならびに資本基盤、リスク・ウェイテッド・アセットおよび貸借対照表の管理に関して行う決定を含む。)による影響を受ける。これらの決定は、当行の資産のリスク・ウェイトに関する規制、商業上のリスクおよびマーケット・リスクまたは当行の訴訟もしくは規制手続に係るコスト等の外的要因の影響を受ける可能性がある。ドイツ銀行はその決定において(特に、収益が低調で、自己資本要件が強化された状況においては)、規制を受ける機関としての当行の利益ならびにその株主および債権者の利益を含む広範な事項を考慮するが、資本および流動性の確保のための規制要件が当行の決定に影響を与える可能性がある。したがって、当行は、資本および流動性管理に関する決定を行うにあたり、ドイツ銀行の株式またはその他Tier1資本商品のような規制自己資本への算入が認められる発行済の金融商品の保有者の利益を固守する必要はない。当行は、たとえ当該措置を講じなかった結果としてドイツ銀行の規制資本商品に関して不払い、評価減またはその他の再建もしくは破綻処理関連措置が発生することとなる場合であっても、実現可能な時期に行う増資を含め、一定の措置の実施を差し控えるよう決定する可能性がある。ドイツ銀行の決定により、かかる規制資本商品の保有者が当該金融商品の価値の全部または一部を失う可能性があるが、当該保有者は、ドイツ銀行に対してかかる決定に関する請求権を有しない。
また、年度の利益および分配可能な準備金は、株式に関する配当の支払いおよびその他の規制資本商品に関する支払い(各資本性金融商品につき、その条件または法律に基づき決定される。)に利用可能な資金の重要な一部を構成しており、ドイツ商法(Handelsgesetzbuch)において規定されるドイツ会計規則に従い、通常、非連結ベースで計算される。ドイツ銀行の財務状態もしくは収益性またはドイツ銀行の分配可能な準備金(それぞれ非連結ベースで計算される。)の不利な変動は、配当またはかかる資本性金融商品に関するその他の支払いを行う当行の能力に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。加えて、既存の引当金を上回る訴訟の和解および年次見直しの一環としてドイツ銀行の単体貸借対照表上での子会社の帳簿価額の減少させる減損により、将来的に利益または分配可能な準備金に影響をもたらす可能性がある。非連結ベースの利益または分配可能な準備金を減少させるような将来の減損またはその他の事象により、当行は将来、かかる支払いの一部または全部ができないこととなる可能性がある。
さらに、ドイツの法律は、株主またはその他の規制資本商品(その他Tier1資本商品等)の保有者に分配される、非連結ベースで計算される年度の利益およびその他の分配可能な準備金の範囲に制限を設けている。ドイツ銀行は、適用ある法律に従い、適用ある会計原則に基づき分配に利用可能な資金の計算に関連する金額に影響を与える広範な裁量を有する。かかる決定は、配当または当行の規制資本商品の条件に基づくその他の支払いを行う能力に影響を及ぼす可能性がある。
欧州およびドイツの法律に従い、ドイツ銀行に、破綻処理の実現可能性がある場合または破綻処理措置が課された場合には、ドイツ銀行の事業運営が重大な影響を受ける可能性がある。かかる措置により、当行の株主および債権者が損失を被る可能性がある。
ドイツは、銀行同盟に加盟しているEU加盟国の銀行の破綻を処理するための主要な権限およびリソースを欧州レベルで一元化する単一破綻処理メカニズム(SRM)に参加している。ドイツでEUの銀行再建・破綻処理指令を実施したSRM規則およびドイツ再建・破綻処理法(Sanierungs- und Abwicklungsgesetz)は、銀行に対し再建・破綻処理計画の策定を要求し、かつ、公的機関に対し、破綻したまたは破綻しそうな銀行に介入する広範な権限を付与する。破綻処理中の銀行に課されうる破綻処理措置には、当行の株式、資産もしくは負債の他の法的主体への譲渡、株式の額面価額の減額(ゼロにすることも含む。)、株主利益の希薄化もしくは株式の消却、または当行の発行済負債性金融商品の条件の修正、変更もしくは改定(例えば、償還延期や適用金利の引下げ等)が含まれる可能性がある。さらに、当行が破綻処理の対象となった場合、一定の適格無担保負債(特にドイツ銀行法に明記される特定の上位非優先債務)が評価減され(ゼロにすることも含む。)、または資本に転換される(一般に「ベイルイン」と呼ばれる。)可能性もある。
破綻処理法は、また、破綻した銀行が公的支援を必要としないようにするか、またはかかる必要性を減じることを目的としている。したがって、そのような銀行への公的金融支援(もしあれば)は、ベイルイン権限等の破綻処理権限が最大限行使され、利用された後の最終手段としてのみ行われる。管轄機関が破綻処理実現可能性の障害を取り除くために措置を講じることは、当行の業務に重大な影響を及ぼす可能性がある。破綻処理の実行は、株主利益の著しい希薄化、さらには株主または債権者の投資全額の喪失を招く可能性がある。
採択または提案されたその他の規制改革(例えば、デリバティブ業務、報酬、銀行税、預金保護およびデータ保護等に関する広範な新規制)は、ドイツ銀行の営業コストを大幅に増大させ、またそのビジネス・モデルにマイナスの影響を与える可能性がある。
上記の自己資本要件およびその他の要件に加え、ドイツ銀行は、様々な規制改革(とりわけ、ドイツ銀行のデリバティブ業務、報酬、銀行税、預金保護およびデータ保護に関する規制等)の影響を受けており、今後も受けることが予想される。
ドイツ銀行は報酬の規制(当該法令、ドイツ銀行法ならびに金融機関の報酬に係る規制(Institutsvergütungsverordnung)を含むその他の適用ある規則および規制に定義される「重大なリスク・テイカー」およびその他の従業員に付与される賞与の上限設定を含む。)の対象である。かかる報酬の規制が法律によるものでも、またはEBAが公表した指針によるものでも、当行は、有能な従業員の勧誘および雇用において、特にこうした上限やその他の制約の適用を受けない欧州連合域外に所在する競合他社と比べて不利になる可能性がある。
とりわけドイツ等のSRMに参加するEU加盟国では銀行税が定められている。2023年末現在、SRMに参加する加盟国のすべての銀行の付保預金残高の1%という単一破綻処理基金(SRF)の目標水準が達成されたため、2025年にはSRFへの事前の拠出は不要となった。2026年も同様に、当行はSRFに対する拠出を行うことは見込んでいない。しかしながら、この想定にはかなりの不確実性が伴うため、当行はSRFに対する金融債務に影響を与えうる進展を注意深く監視していく。さらにドイツ銀行は、英国等のSRMの非参加国においても、銀行税の支払いを求められる可能性がある。
加えて、ドイツ銀行は、改正欧州連合預金保険指令(以下「DGS指令」という。)および欧州連合投資家補償制度指令に基づき、ドイツの法定預金保険制度および投資家補償制度への拠出を行わなければならない。ドイツの法定預金保険制度では、ドイツの銀行に対し、保護対象預金の0.8%に相当する事前積立金を維持することが義務付けられている。この水準は2024年7月までに達成されたが、補償事案発生後に、預金保護制度の資金を補充する目的で、追加の賦課金が課される可能性がある。また、ドイツ銀行は、参加者からの拠出金により資金を調達する、ドイツの民間銀行のための預金保護基金(Einlagensicherungsfonds)を通じて、自主的な預金保護制度にも参加している。現時点で将来の賦課金の全体的な影響を定量化することはできないが、想定以上の拠出金を参加者に要求されるようなことを引き起こす特定の市況または事由が発生する可能性もあり、これにより、将来的に当行の事業、財務状態および業績に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。銀行の破綻、破綻処理措置およびSRMまたは関連する預金保険制度によって保有される資産価値の下落により、不足額を補うため、拠出金が増額される可能性がある。
ドイツ銀行は、一般データ保護規則(GDPR)に服しており、これにより、個人データの処理に関するその規制上の義務(GDPRのデータ保護原則の遵守、データ主体の権利の数の増加および厳格なデータ漏洩通知の義務を含む。)を増大させた。GDPRは、監督当局に対して広範な執行能力(不遵守に対して多額の罰金を科す能力を含む。)を付与し、またGDPR違反により影響を受ける個人が提訴できる権利を規定する。GDPRの遵守には、技術上および組織上の適切な措置への投資が必要となり、当行はデータ保護に多大な資源を継続的に投入することを余儀なくされる可能性がある。当行がGDPRにより要求される基準を満たしていないことが判明した場合、当行のレピュテーションが損なわれ、データ保護監督当局により多額の罰金を科されるかまたは当行の個人データ処理能力に関する制限が課せられ、影響を受ける個人により提起された賠償請求に対して防御することが必要になる可能性がある。これらはすべて、当行に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
より一般的には、金融サービス会社によるマネーロンダリング防止(AML)およびテロ資金供与防止規則の遵守について、EUおよび非EU当局の両方から引き続き監視されており、その結果、様々な法域において会社に対する数々の規制上の手続、刑事訴追および多額の罰金を含むその他の強制措置が発生している。
当行の内部管理態勢に関するリスク
当行が適用される法律、規制および関連する監督当局の期待に沿って業務を遂行し、プロセスを実行することを確保するためには、堅固かつ効果的な内部管理態勢および適切なインフラ(人材、方針および手続、管理態勢、テスト、ITシステムならびにデータから構成される。)が必要である。ドイツ銀行は、更新された規制要件に合わせて内部管理態勢の有効性を高め、当行ならびに/または規制当局および監視当局によって特定された差異を埋めるよう努めているが、進捗が予想よりも遅い場合または当行が持続的な改善を実現できない場合、ドイツ銀行のレピュテーション、規制上の地位および財務業績に悪影響が及ぶ可能性がある。
ドイツ銀行の事業には、多様な市場における複雑で大量の取引を幅広く処理および監視するための効果的な管理が必要であり、管理の有効性は、当行の方針、管理テストの手順、ITシステムおよび従業員の能力の盤石さに依存している。これらのシステムが、包括的なリスク管理および規制上の報告にとって重要なすべてのリスクを特定、監視、集計、測定、軽減および報告しなければ、ドイツ銀行の業績および規制上の立場に悪影響を及ぼす可能性がある。
改善は行われているものの、当行の管理態勢および支援インフラの特定の要素は依然として目標を下回っており、一部の分野ではレガシー・テクノロジー、データの断片化および手作業によるプロセスが残っている。これらの状況は、内部報告および規制当局の報告の適時性および質を妨げ、事業および法人間における一貫したリスク集約を妨げる可能性がある。当行は、アーキテクチャの簡素化、データ・ガバナンスの強化および管理の自動化のために複数年にわたるイニシアチブを実施しているが、構造的な複雑さ、エンドユーザー向けツールへの依存および不均一なシステム統合は、引き続きオペレーショナル・リスクをもたらしている。これらのリスクが顕在化すると、中核プロセスの中断、戦略的変革プログラムの実施の遅れおよび外部の運用環境における課題に対するオペレーショナル・レジリエンスの低下が生じる可能性があり、その結果、顧客リスク、規制リスクおよびレピュテーション・リスクの観点からドイツ銀行に悪影響を及ぼす可能性がある。
情報技術およびセキュリティ、金融犯罪およびデータ・ガバナンスを含む管理分野にわたる専門知識を維持することは、依然として困難であり、第三者およびクラウドサービス・プロバイダーへの依存度が高まることで、監視および回復力に関する追加的な考慮事項が生じる。主要な人材の維持や第三者リスクの効果的な管理ができない場合、当行が健全な管理を維持する能力または規制当局の指摘事項を解消する能力が損なわれる可能性がある。
BaFin、ECB、英国の健全性規制機構および連邦準備制度理事会を含むドイツ銀行の主要な規制当局は、ドイツ銀行の取締役会およびグループ内部監査部門とともに、内部管理およびインフラを綿密に検証し続けている。これらの評価では、金融犯罪、情報セキュリティ、ITの回復力、取引処理、データ管理および与信プロセスなどの分野で必要な強化が特定されている。是正措置は進行中であるが、これらのプログラムの広範さおよび相互依存性は、改善が完了し、検証され、時間の経過とともに効果的に運用されるまで、実行リスクは依然として高いままであることを意味する。
これらのリスクに対処するため、当行はクラウド導入を含む技術の近代化および回復力と、リスクおよび管理テストを強化するための高度な分析に投資している。しかし、これらの対策が正常に統合されること、またはリスクを正常に是正することは保証できない。これらの機能は監視体制の改善に寄与する可能性があるが、データ品質、AIガバナンスおよびサイバー・レジリエンスなどの強力な管理および保証を必要とする新たなリスクをもたらす。
当行のAMLおよびKYCプロセスならびに金融犯罪を実行するために当行の商品およびサービスを悪用することを防止するための管理は、これまでも、また引き続き一部の法域で規制当局による評価、調査、強制措置の対象となっている。ドイツ銀行が定められた期限までに当行のインフラおよび管理態勢を大幅に改善することができない場合、当行の業績、財務状態またはレピュテーションは重大な悪影響を受ける可能性がある。
2018年9月、BaFinはドイツ銀行に対して、マネーロンダリングおよびテロリストへの資金供与を防止する内部予防策の実施および一般的デューデリジェンス義務の遵守を命じた。2019年2月、BaFinはコルレス銀行における当行グループ全体のリスク管理プロセスの見直しおよび必要に応じた調整に関する命令を延長した。2021年4月には、BaFinはその命令をさらに拡大し、追加的な内部予防策およびコルレス銀行取引関係を含むデューデリジェンス義務の持続的な遵守を要求した。2021年4月の命令はその後、当行の取引監視システムの強化を含むよう延長された。2023年、BaFinはドイツ銀行に対して、取引監視のためのデータ処理システムの具体的な改善の実施を指示する追加の命令を発出し、履行されない場合には罰金を科す可能性があると警告した。命令された措置の実施を監視するため、BaFinは2018年に特別代表を任命した。その任期は、継続的な監視および進捗評価を確保するため、各命令が延長されるたびに延長された。かかる任期は2024年10月30日に終了した。当行は、期限内に残りの措置を実施するため、引き続きBaFinに全面的に協力し、必要な資源の配分に尽力する。
2023年7月、ドイツ銀行、ドイツ銀行ニューヨーク支店(Deutsche Bank AG New York)、DB USAコーポレーション、ドイチェ・バンク・トラスト・カンパニー・アメリカズおよびDWS USAコーポレーションは、制裁および通商禁止措置およびAMLコンプライアンスの遵守に関する事前命令および和解ならびにリスク管理上の問題に関する是正合意および義務に関して、連邦準備制度理事会との同意命令および書面による合意を締結した。2023年付同意命令は、2015年および2017年に当行が連邦準備制度理事会と締結した事前同意命令で要求された、和解後の制裁および通商禁止措置ならびにAML管理強化措置の履行が不十分で遅滞していると主張している。2023年付同意命令はさらに、そこに記載された安全でなく不健全な慣行または違反を是正することを著しく怠った場合、ドイツ銀行に対する連邦準備制度理事会による追加的かつ段階的に拡大した正式措置(追加罰則または追加的な積極的是正措置を含む。)が必要となる可能性があることを規定している。連邦準備制度理事会に要求された制裁および通商禁止措置ならびにAML管理強化措置を当行が適時に完了できない場合、損害は甚大となり、当行の業績、財務状態およびレピュテーションに与える影響は重大となる可能性がある。
ドイツ銀行が、連邦準備制度理事会が満足する水準までそのインフラおよび管理態勢を改善することができない場合、当行の業績、財務状態またはレピュテーションは重大な悪影響を受ける可能性がある。規制当局は、罰金を科し、または、当行に対して一定の種類の商品もしくは事業、または、取引相手方もしくは地域との関係へのエクスポージャーの削減、または、その終了を要求することができる。また、当行は今後、他の法域におけるものを含め、当行の事業および収益性に重大な影響を与える新たな法的手続、調査または規制上の措置を受ける可能性がある。その場合、その結果生じる要求の程度によっては、当行のレピュテーションおよび現在のビジネス・モデルに基づき利益を計上する当行の能力が著しく損なわれる可能性がある。
テクノロジー、データおよびイノベーションに関するリスク
イノベーションの速度および新規市場参入者は、競争を激化させ、ドイツ銀行の事業を混乱させ、投資コストを増大させる可能性がある。
デジタル化およびAIなどの分野におけるイノベーションの速度は、異業種からの参入企業、グローバルなハイテク企業およびフィンテック企業等、新たな競合他社に市場参入の機会を提供する可能性がある。さらに、銀行業界の競合他社は、主にデジタルサービスで当行の中核市場に参入するためにビジネス・モデルを構築する可能性がある。したがって、ドイツ銀行は、当行の事業においてデジタル製品、AIおよびプロセス・リソースへの投資に対する必要性が増加すると予想している。上記の投資が行われない場合、またはドイツ銀行がこれらの新規参入者と競争できない場合、ドイツ銀行は市場シェアを失い、それが当行の財務業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行のGoogle Cloudとの戦略的パートナーシップを通じて、ドイツ銀行はITの柔軟性および回復力を向上させることを目的に、アプリケーション環境の一部をパブリッククラウドに移行している。パブリッククラウド・サービスの導入は依然として規制当局の大きな関心事項であり、当行は、顧客情報および当行の情報を保護するために、データの機密性およびセキュリティに適用される基準を遵守し、導入しなければならない。これを達成できなかった場合、顧客の信頼を損ない、金銭的損失が発生し、規制当局による罰金、訴訟および損害賠償義務が生じる可能性がある。
AIは、当行にとって変革的な技術になる可能性がある一方で、ハルシネーションまたはバイアスなどの新たな課題をもたらし、それによって正確性および説明可能性の検証ならびにデータのプライバシーおよび主権の確保が必要になる。エージェント型AIソリューションの出現は、プロセス内での自律的な意思決定を可能にし、検出されないミスの可能性を高める可能性がある。ドイツ銀行はAIリスクを当行の管理フレームワークに組み込んでいるが、これらの技術が進化するにつれて、当行に対する追加的なリスクが発生する可能性がある。例えば、自律型AIエージェントは、定義された目標を歪めたり上書きしたりする可能性があり、コンプライアンス義務、公正基準または重要な品質管理よりも速度またはパフォーマンス指標を優先するなど、規制、倫理または運用上の予防策を損なう方法で最適化する可能性がある。ドイツ銀行がこれらの新たなリスクに対処しなければ、コンプライアンスの問題、運用の非効率性および潜在的な損失に加え、AIの責任ある利用を実践するドイツ銀行の能力に対する市場の信頼を損なう可能性のあるレピュテーション・リスクに直面する可能性がある。
ドイツ銀行は、国家主体による活動ならびに人工知能および量子コンピューティングの技術的進歩によってもたらされるような進化するリスクを含むセキュリティの脆弱性を悪用する可能性のある脅威を積極的に追跡している。当行は、ランサムウェアおよびサービス拒否を含む一般的な攻撃シナリオについても引き続き注意深く監視している。ドイツ銀行はかかるサイバー事象に対する保険に加入しているが、サイバー事象に起因するすべての損失または負債を補償するのに十分であるという保証はない。
データ管理リスクは、データの収集、保存、処理、管理および使用の方法に関するプロセスに弱点がある場合に発生する可能性がある。これは、当行または当行のステークホルダーの財務上、評判上または規制上の結果に悪影響を及ぼす可能性がある。情報に基づいた意思決定、サービスのパーソナライズ、イノベーションの推進および大規模なAIの導入を行う当行の能力は、組織全体で信頼性が高く、アクセス可能で、適切に管理されたデータを持つことに依存する。ドイツ銀行は、組織全体のデータ管理機能を確立しており、現在は堅牢なデータ管理フレームワークの導入に注力している。しかし、残存するデータ管理リスクには、移行中または移行後に持続する可能性のある、データ品質、システム統合および規制の不遵守における潜在的なギャップが含まれる。
ドイツ銀行は、継続的に進化する厳しく規制された環境で事業を行っており、当行の技術基盤がこれらの規制の変更に適応し、整合性を維持する必要がある。デジタル・オペレーショナル・レジリエンス法(DORA)などの最近の規制の変更により、追加の取組みおよび特定のタスクの優先順位の再設定が必要となる可能性がある。これを怠ると、新しい規制への不遵守リスクが生じ、罰金、訴訟、その他の強制措置ならびに評判の低下につながる可能性がある。
当行の事業領域およびインフラ領域における主要な技術改革は、専用のイニシアチブを通じて実施される。しかしながら、これらのプログラムを実施する上では、人材および財務上の制約、他のプログラムおよび主要な成果物への依存、長期化する実装スケジュール、好ましくない変化に関連する管理態勢への影響、アップグレードされたアプリケーションまたはその基盤となる技術における機能上の問題等、様々なリスクが伴う。かかる大規模な技術変革を適切かつ適時に実施できない場合、ドイツ銀行の事業および業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
訴訟、規制上の執行案件、調査および税務調査に関するリスク
ドイツ銀行は、規制が厳しく、訴訟が頻繁に行われる環境下で業務を行っており、これにより当行は、多額で見積ることが困難な負債およびその他の費用ならびに法律上および規制上の制裁ならびにレピュテーション上の悪影響に潜在的に晒されている。
金融業界は、最も厳しく規制されている業界の一つである。全世界における当行の業務は、ドイツ銀行が業務を行う法域の中央銀行および規制当局による規制および監督を受けている。近年、多くの分野において規制および監督は強化され、規制当局、法執行当局および政府機関等は、金融サービス提供会社に対して、より厳しい監督および検査を受けるよう求めており、その結果、規制上の調査や執行措置が追加され、民事訴訟に発展することも多い。金融機関に対する法律上および規制上の手続の和解のために規制当局および法執行当局が要求する条件は急激にその厳しさを増しており、近年の和解では、前例のない高額な制裁金や刑事上の制裁が含まれている。その結果、ドイツ銀行は、義務負担や規制当局による制裁の水準の増大に引き続き対処しなければならず、また、これらの義務負担や制裁に応じるために費用の増大および追加資金の投入を余儀なくされる可能性がある。規制当局による制裁は、現地ライセンスの地位の変更または特定のビジネス慣行の廃止命令を含むことがある。
当行およびその子会社は、世界中の法域において様々な訴訟手続(民事集団訴訟を含む。)、仲裁手続およびその他の第三者との紛争に加え、行政手続ならびに民事および刑事双方の当局による調査に服している。ドイツ銀行は訴訟および規制執行事項の解決に進展を遂げているが、当行に対する係属中の訴訟もしくは新たな訴訟、執行または類似案件は、短期ないし中期的にドイツ銀行に多額の費用を生じさせ、これらの案件が不利な方向に進展した場合、その事業、財務状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。訴訟および規制案件には多くの不確実性が伴い、各案件の結果を確実に予想することはできない。当行は、最終的な判決が下され責任が確定する前に、訴訟または行政手続を和解で解決する可能性がある。ドイツ銀行は、請求に対して有効な防御策を有すると確信する場合であっても、かかる責任につき争い続けることによる費用、経営努力または業務上、規制上もしくはレピュテーション上の悪影響を回避するためといった様々な理由により、早期和解を図る場合がある。ドイツ銀行はまた、勝訴できなかったことによる潜在的な影響が和解費用に比べて過大であると考えられる場合に、かかる早期の解決を行う可能性がある。さらに当行は、同様の理由により、当行に補償義務がないと確信する場合でも相手方の損失を補償する場合がある。法的リスクの財務上の影響は大きい可能性があるが、その予測および定量化は困難または不可能であり、最終的に支払われる金額は、かかるリスクを補償するための引当金やかかるリスクを評価した偶発債務を上回る可能性がある。
刑事上の手続における当行もしくはその関連会社の有罪答弁もしくは有罪判決、または当行もしくはその関連会社が対象となっている規制命令もしくは執行命令、和解もしくは合意は、当行の一部事業に悪影響を及ぼす結果をもたらす可能性がある。さらに、これらの事象が、コストもしくは当行の事業に要求される変更の点において当行の予想よりも不利な条件で解決された場合、またはこれらの事象に関連して当行の事業および見通しに関する否定的な見方ならびに関連事業への影響が増大した場合、ドイツ銀行は、当行の戦略的目標を達成することができないか、またはその変更を余儀なくされる可能性がある。
ドイツ銀行またはその現在もしくは過去の従業員に対する現在係属中の訴訟は、当行に対して、判決、和解、罰金または制裁金だけでなく、レピュテーション上の重大な悪影響をもたらす可能性がある。かかる手続により生じる当行のレピュテーションの毀損のリスクもまた、定量化が困難または不可能である。
規制当局は、その和解提案において、以前にも増して不正行為の認諾を求めるようになっている。これは、その後の民事訴訟またはいわゆる「常習犯」法に基づく措置におけるエクスポージャーの増加につながる可能性があり、ある法律に基づき罪を犯したと決定された個人または主体は、その他の法律に基づく事業活動の制限やレピュテーション上の悪影響を受ける可能性がある。また、米国司法省(DOJ)は、ある会社が不正行為に係る民事上および刑事上の調査協力による減免措置を受けるためには、疑われている不正行為に責任を有する個人に関するすべての関連事実を当該会社が調査当局に提供することを条件としている。この方針により、当行が調査に関連して該当する個人について十分な情報を提供していないとDOJが判断した場合には、罰金および制裁金の増額が生じる可能性がある。他の政府当局も同様の方針を採用する可能性がある。
また、当行が服するいくつかの案件の類似案件から発生する法的リスクの財務上の影響は、金融業界の多くの関係者にとって非常に大きなものとなっており、罰金や和解金の額は市場参加者の予想を大幅に上回り、近年では上記のとおり予測不能な水準にまで急激に増大した。類似案件における他社の経験(和解条件を含む。)は、当行がこれらの法的リスクについて、当行が計上する引当金の水準を決定する際に考慮する要素に含まれる。他の金融機関が関与する案件の近年の展開が結果の予測可能性をより不確実なものとしており、ドイツ銀行は引当金を追加しなければならない可能性がある。また、これらの事象が、コストもしくは当行の事業に要求される変更の点において当行の予想よりも不利な条件で解決された場合、またはこれらの事象に関連して当行の事業および見通しに関する否定的な見方ならびに関連事業への影響が増大した場合、ドイツ銀行は、当行の戦略的目標を達成することができないか、またはその変更を余儀なくされる可能性がある。さらに、これらの案件に関する当行の調査および防御のコストは、それ自体が多大なものである。異なる法域の規制当局間または同一法域内の異なる権限を有する規制当局間の調整不足により、さらなる不確実性が生じる場合があり、その結果、当行が各規制当局との間で同時に和解に至ることが困難になる可能性がある。ドイツ銀行が、当行の服する訴訟および規制案件から、当行の予測および適用ある会計規則に従って計算した金額を上回る財務上の影響を受ける場合、当該リスクに関する引当金は、これらの影響を補填するには大幅に不足する結果となりうる。これは、当行の業績、財務状態またはレピュテーションならびに自己資本比率、レバレッジ比率および流動性比率を市場参加者および規制当局が期待する水準に維持する当行の能力に重大な悪影響を与える可能性がある。その場合、当行は、これらの比率を改善するために、不足額への引当による悪影響に相当する金額につき、リスク・ウェイテッド・アセットの削減(当行に不利な条件によるものを含む。)または大幅なコスト削減を行うことが必要と認識する可能性がある。
ドイツ銀行は現在、ポストバンクの全株式の取得に関するドイツ銀行の任意的公開買付に関連した民事訴訟に関与している。本件に対する当行の財務的エクスポージャーの程度は、当行が計上した引当金を超えるエクスポージャーを含め、重大なものとなる可能性があり、当行のレピュテーションが損なわれる可能性がある。
2010年、ドイツ銀行は、ドイツ・ポストバンクAG(Deutsche Postbank AG)(以下「ポストバンク」という。)の全株式を取得する任意的公開買付を行うことを決定したと発表した。ドイツ銀行は、ポストバンク株主に対し、ポストバンク株式1株につき25ユーロの対価を提示した。この任意的公開買付は、合計で約48.2百万株のポストバンク株式について応諾された。
任意的公開買付に応じたポストバンクの旧株主の相当数は、ドイツ銀行が、遅くとも2009年には強制的公開買付を行う義務があったと主張し、ドイツ銀行に対して訴訟を提起した。原告は、ポストバンクの株式に提示した対価は、1株当たり57.25ユーロまたは64.25ユーロまで増額される必要があると主張している。2025年12月31日現在、ドイツ銀行は、当該訴訟における原告の請求金額の90%(主張された保有株式に基づいて算出)について和解に達しており、残りの原告の請求金額112百万ユーロ(利息を含む。)の引当金を計上している。詳細は、下記「「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-⑦ 連結財務諸表に対する注記-連結貸借対照表に対する注記-注記27 引当金」」の項を参照のこと。
ドイツ銀行が、2010年の任意的公開買付の前にすべてのポストバンク株式について強制的公開買付を行う義務を負っていたか否かの法的論点は、係属中の2件の価格評価請求手続(Spruchverfahren)に影響する可能性がある。これらの手続は、2015年のポストバンク株主のスクイーズアウトに関連して支払われた35.05ユーロの現金対価、ならびに2012年のDBフィナンツ-ホールディングAG(DB Finanz-Holding AG)(現DBベタイリグングス-ホールディングGmbH)とポストバンクの間の経営支配および損益移転契約(Beherrschungs- und Gewinnabführungsvertrag)の締結に関連して提示された25.18ユーロの現金対価およびこれに関連して支払われた1.66ユーロの年間補償の増額を求めて、ポストバンクの旧株主により提起されたものである。経営支配および損益移転契約に関連する25.18ユーロの補償は、約0.5百万株のポストバンク株式に対して受け入れられた。2015年のスクイーズアウトに関連して支払われた35.05ユーロの補償は、約7百万株のポストバンク株式に関連していた。
価格評価請求手続において、申立人らは、適切な現金対価を決定するにあたっては、ドイツ銀行が57.25ユーロの提示価格でポストバンクの強制的公開買付を実施すべき潜在的な義務があったことは明白であると主張している。ケルン地方裁判所は、当初この2件の手続においてこの申立人らの法的見解を容認していたが、2019年6月の判決において、同裁判所は、経営支配および損益移転契約の締結に関連して、当該価格評価請求手続におけるこの法的見解を明確に拒絶し、ドイツ銀行が、2010年の任意的公開買付の前にすべてのポストバンク株式について強制的公開買付を行う義務を負っていたか否かは、適切な現金対価の決定には関連性がないと結論付けた。ドイツ銀行は、ケルン地方裁判所がスクイーズアウトに関連する価格評価請求手続においても、同一の法的見解を取ると予想している。
2020年10月、ケルン地方裁判所は、経営支配および損益移転契約に関する価格評価請求手続において、ドイツ株式会社法第304条に基づく年間補償をポストバンク株式1株につき0.12ユーロ増額して1.78ユーロとし、ドイツ株式会社法第305条に基づく補償をポストバンク株式1株につき25.18ユーロから29.74ユーロに増額する決定を下した。この和解金額の増額は、旧ポストバンク株式約0.5百万株に関連するものであり、年間補償の増額は、旧ポストバンク株式約7百万株に関連するものである。ドイツ銀行および申立人らは、この決定に対し、これを不服として上訴しており、その上訴は現在も係属中である。2025年12月12日、デュッセルドルフ高等裁判所(HRC)は、2012年に締結された経営支配および損益移転契約に関する価格評価請求手続において、示唆的決定(Hinweisbeschluss)を発した。HRCは、当初支払われた1株当たり25.18ユーロの補償を、2010年の公開買付で主張されている適切な提示価格(1株当たり少なくとも57.25ユーロ)まで引き上げるべきであるという申立人らの主張を退けた。
さらに、HRCは、特定の評価側面に関する追加の専門家報告を求め、ケルン地方裁判所の判決で定められた補償よりも低い和解案を提示した(ケルン地方裁判所の判決で定めた1株当たり29.74ユーロの代わりに28.00ユーロの補償案)。2026年1月、当行はHRCの和解案に同意すると表明したが、価格評価手続の和解成立に必要な条件である申立人全員が同意したわけではなかった。したがって、HRCは2026年2月4日に新たな独立専門家を任命した。専門家は、HRCが特定した残りの評価側面について補足的な意見を提出するよう求められている。HRCはさらに、専門家に対し、補足的な評価意見に基づいて適切な年間補償の修正計算を行うよう指示した。
当行が計上した引当金を超えるものも含め、これらの件に対するドイツ銀行の財務的エクスポージャーの程度は重大なものとなる可能性があり、当行のレピュテーションが損なわれる可能性がある。
ドイツ銀行は現在、配当金の支払いに対して課される源泉徴収税に関するドイツの税額控除または還付を受ける目的で、ドイツ株の顧客により配当金基準日前後に行われた取引(いわゆるCUM-EX取引)に関して、規制当局および法執行当局による業界全体に対する照会および調査の対象とされている。さらに当行は、潜在的な税金負債および第三者(例えば元取引相手方、保管銀行、投資家および他の市場参加者)による潜在的な民事上の請求(当行が直接関与していない刑事手続における判決の結果によるものを含む。)に晒されている。これらの事案の最終的な結果は予測不能であるが、ドイツ銀行の業績、財務状態およびレピュテーションに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行グループは、ケルンの検察官(Staatsanwaltschaft Köln-「CPP」)による継続中の刑事捜査およびCUM-EXに関連する民事訴訟の対象となっている。さらに、ドイツ銀行の現従業員および元従業員ならびに元取締役会メンバー7名は、CPPによる刑事捜査の対象となっており、旧ドイツ・ポストバンクAGの元従業員(氏名不詳)も同様である。CUM-EX問題をめぐる継続的なメディアの注目ならびに当行またはその元従業員および取締役会メンバーにとって不利な将来の刑事判決により、レピュテーション・リスクが生じる可能性がある。罰金の賦課および利得の返還または刑事罰としての財産没収は、当行の財務状態、業績およびレピュテーションに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行はさらに、ドイツ税務当局および第三者による、潜在的な税法上および民事上の返還請求および損害賠償請求の主張に晒されている。
CUM-EX問題に起因するリスクは定量化が難しく、これらのリスクが顕在化する可能性を予測するのは困難である。既に主張されている民事上の請求または将来第三者により主張される可能性のある請求について、ドイツ銀行が最終的に責任を負うことになった場合、当行の財務状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。個々の訴訟に関するさらなる詳細については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-⑦ 連結財務諸表に対する注記-連結貸借対照表に対する注記-注記27 引当金」の項を参照のこと。
ドイツ銀行は、その金融犯罪対策管理(米国およびドイツにおけるものを含む。)について、規制当局および法執行当局との手続に関与している。法律または規制の違反が生じたことが判明した場合、これに関する法律上および規制上の制裁は、当行の業績、財務状態およびレピュテーションに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、過去数年間にわたり、一般的および特定の顧客、取引相手方または事象への関連の両面から、その金融犯罪対策管理(米国およびドイツにおけるものを含む。)について、規制当局ならびに法執行当局との手続に関与している。これらの照会の範囲には、顧客の新規登録および顧客情報管理プロセス、取引監視システムおよび手続、疑わしい取引の報告を行うか否かの意思決定プロセス、エスカレーション手続ならびにその他の関連するプロセスおよび手続が含まれる。法律または規制の違反が生じたことが判明した場合、これに関する法律上および規制上の制裁は、当行の業績、財務状態およびレピュテーションに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
フランクフルトの検察官は現在、金融犯罪対策管理関連の疑惑との関連で、特に、疑わしい取引の報告の提出遅延に関して捜査を行っている。ドイツ銀行の事務所は、これらの捜査との関係で、フランクフルトの検察官によって捜索を受けた。
ドイツ銀行は、ドイツ銀行が業務を行う法域の税務当局により継続的に調査を受けている。税法は一層複雑化し、発展している。慣例的な税務調査、税務訴訟およびその他の形式の税務手続または税務争訟の解決によって、当行に発生する費用が増加する可能性があり、当行の事業、財務状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、ドイツ銀行が業務を行う法域の税務当局により継続的に調査を受けている。税法はより一層複雑化している。現在の政治および規制環境において、税務当局および裁判所の税法および規制の解釈ならびにその適用は発展しており、税務当局による審査は厳しくなっている。経済協力開発機構(OECD)の税源浸食と利益移転施策により生じた国際課税原則の広範囲かつ継続的な変更は、当行およびその子会社に対して多大な不確実性を生み出しており、また、各加盟国が当該要件の国内法化にあたり、異なるアプローチを採用しうるため、あるいは一方的措置を講じることを選択しうるため、税務争訟または二重課税の事例が増加する可能性がある。例えば、これには、2024年課税年度から施行されているOECDのグローバル・ミニマム課税制度が含まれる。税務当局(ドイツを含む。)は、一定のクロスボーダー貸付またはデリバティブ取引に関連する配当に係る源泉徴収税の減額の適用を受ける納税者の適格性にも注目している。2017年の米国税制改正により導入された税源浸食濫用防止税、2022年米国インフレ抑制法で制定された法人代替ミニマム税および2025年に米国で成立した一つの大きな美しい法案(U.S. one Big Beautiful Bill Act)の規定の適用に関してはいくつかの不確実性も残っている。これらの発展は、確定しない課税期間の数が増えることとなり、潜在的に調整を受ける可能性がある。その結果、慣例的な税務調査、税務訴訟およびその他の形式の税務手続または税務争訟の解決ならびに急速に変化し、より一層複雑化かつ不確実化する税法および税原則によって、当行に発生する費用が増加する可能性があり、当行の事業、財務状態および業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行の子会社であるドイツ銀行ポルスカ・エス・エー(Deutsche Bank Polska S.A.)は、外貨建モーゲージ貸付契約に関して、不当かつ無効であるとの申立てに基づき、多数の払戻要求を受けている。
2016年以降、ドイツ銀行ポルスカ・エス・エーの特定の顧客は、彼らの外貨建モーゲージ貸付契約には不当な条項が含まれており無効であると主張し、ドイツ銀行ポルスカ・エス・エーに接触している。これらの顧客は、総額11億ユーロを超えるかかる契約に基づく過払分とされる金額の払戻しを要求しており、2025年12月31日現在、8,791件超の民事請求がポーランドの裁判所で開始されている。これらの訴訟はポーランドにおいて業界全体の問題であり、他行も同様の請求を受けている。かかる訴訟事件に関する当行のポートフォリオに係る引当金の合計は、スイス・フラン建ておよびユーロ建てのモーゲージの事件を含め、2025年12月31日現在、736百万ユーロである。かかる訴訟事件の結果は不確実であり、モデルに含まれる仮定の将来的な変更または請求の解決により、設定した金額を超える引当金の大幅な増加となる可能性があり、それが当行の業績および財務状態に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行のマレーシアの子会社は現在、1マレーシア・デベロップメント・ブルハド(1Malaysia Development Berhad)(1MDB)に関する取引に関連する民事訴訟に関与している。かかる訴訟事件に対する当行の財務エクスポージャーの程度は重大なものとなる可能性があり、当行のレピュテーションが損なわれる可能性がある。
2021年、1MDBは、2009年および2011年にドイツ銀行・マレーシア・ブルハド(Deutsche Bank Malaysia Berhad)(DBMB)が1MDBの代わりに実行した3件の電信送金について、DBMBに対する訴訟手続をマレーシアの裁判所で開始した。1MDBは、電信送金の日から発生する利息を除く11億米ドル(取引総額相当)の損害賠償を請求しており、かかる取引から長い期間が経過していることから、その利息は相当な額となる可能性がある。2025年7月11日の審理で、裁判所は、本事案は、現在2026年10月および12月に予定されている正式裁判を必要とすると判断し、時効を理由としたDBMBの即時却下の申請を退けた。本事案から生じるリスクは不確実であり、これらのリスクが顕在化する可能性を予測するのは困難であるが、ドイツ銀行の財務業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
刑事上の手続における当行もしくはその関連会社の有罪答弁もしくは有罪判決、または当行もしくはその関連会社が対象となっている規制命令もしくは執行命令、和解もしくは合意は、ドイツ銀行の一部事業に悪影響を及ぼす結果をもたらす可能性がある。
ドイツ銀行およびその関連会社は、これまで刑事上および規制上の執行手続の対象となったことがあり、現在もその対象となっている。当行もしくはその関連会社に対する有罪答弁もしくは有罪判決、または当行もしくはその関連会社が対象となっている規制命令もしくは執行命令、和解もしくは合意は、当行が特定の事業活動を行うための資格の喪失につながる可能性がある。特に、かかる有罪答弁または有罪判決は、一定の資産運用戦略に関連する年金制度に対して資産運用サービスを提供するために必要な適用除外である1974年米国従業員退職所得保証法(ERISA)に基づく「適格専門資産運用業者」(QPAM)禁止取引適用除外の規定に基づく、当行の資産運用関連会社のQPAMとしての資格を喪失させる可能性がある。当行の資産運用関連会社がERISA制度のための取引に使用することができる、法律上の適用除外およびその他の行政上の適用除外は複数存在し、また、多くの場合はQPAM適用除外に依拠する代わりにこれらを使用することができるが、QPAMとしての資格の喪失は、当該資格に依拠する顧客(顧客との取引に当該資格が法律上必要とされることによるか、または当行が当該資格の維持を顧客との間で契約上合意していることによるかを問わない。)に、当行との取引を中止させるかまたは差し控えさせる可能性があり、より一般的には当行のレピュテーションに悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、顧客が、かかる資格の喪失を、当行の資産運用関連会社が何らかの理由でERISAの管轄当局である米国労働省(DOL)から資産運用業者全般として承認されなくなった証であると誤解し、これを理由に当行との取引を中止するかまたは差し控える可能性もある。このことは、当行の業績、特に米国におけるアセット・マネジメント事業の業績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。DOLは、DBグループ・サービシズ(UK)リミテッド(DB Group Services (UK) Limited)の有罪判決およびドイチェ・セキュリティーズ・コリア・カンパニー(Deutsche Securities Korea Co.)の有罪判決(後者の有罪判決はその後覆されている。)にもかかわらず、当行の複数の関連会社がQPAMとしての資格を維持することを認める個別の適用除外を認めた。かかる適用除外は、DOLにより資格喪失期間の終了時である2027年4月17日まで延長されている。ドイツ銀行またはその関連会社が他の事案で有罪判決を受けた場合等には、延長は終了する。
気候変動および環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連する事項に関するその他リスク
地球温暖化の影響、自然環境悪化ならびに地球温暖化を産業革命前の水準から1.5度以下に抑えるために必要な関連政策、技術および行動の変化により、財務リスクおよび非財務リスクの新たな要因が生じた。これらのリスクには、異常気象による物理的リスクの影響、ならびに炭素集約型セクターがコストの上昇、潜在的な需要の減少および資金調達手段の制限に直面することによる移行リスクが含まれる。移行リスクおよび/または物理的気候リスクならびに自然リスクの発生が現在予想されているよりも急速である場合には、信用損失および市場損失の拡大ならびにベンダーおよび当行の業務への影響による業務の混乱につながる可能性がある。
異常気象の事例は、頻度と深刻さを増している。将来の異常気象は、信用損失引当金繰入額の増加、財産損失、保険費用の上昇および運用上の回復力へのリスクにつながる可能性がある。異常気象は、ドイツ銀行の収益創出能力および費用にも影響を与え、その結果、非金融資産の減損をもたらす可能性がある。
金融機関は、各国政府、規制当局、株主およびその他の組織(非政府組織を含む。)から、気候問題やESG関連問題について、より詳細な検査を受けている。銀行は、温室効果ガス排出削減に向けた共同の取組みに対する米国主導の課題に直面し、一層複雑化かつ多様化する政策環境を乗り越えなければならず、違法行為や独占禁止法違反の非難を受け、特定の顧客へのアクセス制限や潜在的な訴訟の可能性がある。米国およびカナダの同業他社ならびにそれに続いてヨーロッパの同業他社がこれらの懸念に対応してネットゼロ・バンキング・アライアンスから離脱している。その一方で、多くの組織および個人が銀行に対して低炭素経済への移行を支援すること、種の多様性および生息地の喪失等の自然関係リスクを制限すること、ならびに人権を擁護することを求めている。法域によって大きく異なる(そして時には対立する)ESG規制および/または開示基準が出現した場合、遵守の費用増加および要件を満たせないリスクが生じる可能性がある。注目すべきは、移行、その他の環境および社会的なリスクの相互関連性であり、移行を支援することは、採掘によって得られる移行鉱物に対する需要の増加につながる可能性がある。
国際エネルギー機関(IEA)の2025年世界エネルギー見通し(2025 World Energy Outlook)(WEO)によると、NZE2050シナリオでは、1.5度目標を長期的に超過することになり、2050年頃には気温上昇が1.65度近くでピークに達し、炭素除去によってのみ2100年までに1.5度に戻ると示している。これは、移行ペースが鈍化している世界経済を反映しており、短期的に移行リスクを低減させる一方で、長期的には無秩序な移行のリスクを高めることになる。さらに、目標設定が低い最新の国際エネルギー機関排出量ネットゼロ(International Energy Agency Net Zero Emissions)(IEA NZE)脱炭素化シナリオと以前のWEO報告書に基づいて較正された既存の自主的な脱炭素化コミットメントの間に緊張を生じさせる。ドイツ銀行は、ネットゼロ目標を主要な気候リスク管理ツールの一つとみなしており、当行は、最新の科学および経済の進展を踏まえて定期的に目標を見直す予定であり、必要に応じて、法律または規制の変更を背景として目標を修正する可能性もある。修正した暫定目標の設定が低い場合、第三者が、民事訴訟、規制上の調査または執行措置等を通じてグリーンウォッシュの疑惑を提起するリスクが高まる。
米国において、州議会および規制当局は、ESG問題について潜在的に対立する法律および認証要件を発表しており、米国内の政治的背景が二極化していることを反映している。このため、当行が認証要件を満たすことができなければ事業または認可を失うリスクが生じる可能性がある一方、当行にはポジションを分析し、バランスを取ることが求められる。
一部の法域では、その法域での取引を希望する金融機関が移行アジェンダの側面を遵守していないことを証明するよう義務付けることを含む、反ESG措置が講じられ始めている。これらの要件を遵守できない場合、既存事業が打ち切られ、その法域での新規事業が行えなくなる可能性がある一方で、遵守した場合、レピュテーション・リスクや訴訟につながる可能性がある。かかる要件の範囲および法的強制力ならびに当行への適用は、未だ不確実である。
ドイツ銀行は、複数のESG格付プロバイダーによって格付されており、かかる格付は持続可能な投資の適格性を判断し、ESGリスクおよび機会の管理を評価するための基準としてますます利用されている。当行の格付が著しく悪化した場合、レピュテーションに悪影響を及ぼす可能性がある。
気候リスクおよびその他の環境リスクを測定および評価するためのデータ、方法および業界標準は、まだ発展途上であるか、場合によってはまだ利用できない。このことは、顧客による包括的で一貫性のある気候リスクおよびその他の環境リスクの開示の欠如と相まって、リスク評価およびモデリングならびに当行の気候および環境リスク管理の開示において、当行が(より広範な業界と同様に)代用の見積りおよび/または独自のアプローチに大きく依拠していることを意味する。これがもたらす不確実性の高さは、第三者が、当行のサステナビリティ関連の開示が、グリーンウォッシュにあたると主張するリスクを高める。かかる主張に関連するレピュテーション・リスクに加え、所轄の監督当局および法執行当局がかかる主張に基づき調査を開始する可能性がある。
ドイツ銀行は、ポートフォリオの排出量を2050年までにネットゼロに調整することを含め、当行の事業活動および運営をサステナブルな方法で管理することにコミットしている。当行は、当行の事業活動全体における環境関連要因の統合を進めるため、環境リスクの評価および管理に対する当行のアプローチの開発および実施を続けている。これには、リスクの特定、監視および管理を行い、定期的なシナリオ分析およびストレス・テストを実施する能力が含まれる。規制当局およびステークホルダーの急速に変化する要求は、ステークホルダーの高い関心と相まって、当行がそれらの要求に答えることができない場合または当行の計画を適切に実施できない場合、ドイツ銀行の事業に悪影響を与える可能性がある。
ドイツ銀行は、2025年目標の5,000億ユーロをほとんど達成した後で、最近になって2020年から2030年末までの期間のサステナブル・アンド・トランジション・ファイナンスにおけるサステナブル・ファイナンスおよび投資の取引高目標を9,000億ユーロに更新した。ドイツ銀行はこれらの目標を達成するのに、市場競争、変化する規制要件ならびに適格な資金調達のためのグリーン資産および社会資産の不足を含む厳しい逆風に直面する可能性がある。計画または目標が達成されない場合、とりわけ当行の収益およびレピュテーションに影響を及ぼす可能性がある一方で、グリーン資産および社会資産の不足は、ドイツ銀行が適格なコンプライアンス対応資金を調達する能力を低下させる可能性がある。経済の移行ペースが鈍化すると、当行のネットゼロ目標に沿った排出量の道筋から大幅な乖離が生じる可能性がある。これは短期的および中期的には移行リスクを軽減することになるが、長期的にはリスクを増大させる可能性がある。当行は引き続きネットゼロ目標を気候リスク管理ツールの重要な一つであると捉えている。
その他のリスク
当行のリスク管理の方針、手続および手法により、当行は認識していなかったリスクまたは予想していなかったリスクに晒され、重大な損失を被る可能性がある。
ドイツ銀行は、マーケット・リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクならびにレピュテーション・リスクおよびモデル・リスクに関するものを含め、リスク管理の方針、手続および手法の策定に多大な資源を投入している。しかしながら、当行は、すべての経済環境もしくは市場環境または当行が特定もしくは予測することができないリスクを含むあらゆる種類のリスクにおいて、リスク・エクスポージャーの軽減に大きな効果を得ることができない可能性がある。ドイツ銀行が規制上のリスク・ウェイテッド・アセットを算出するためにモデルを使用している場合、潜在的な不備によって規制当局がインプット・パラメーターの再調整またはモデルの全体的な見直しを行わせる可能性もある。
リスクを管理する当行の定量化ツールおよび測定基準の一部は、当行が利用する過去における市場の動きについての観測に基づいている。当行は、当行のリスク・エクスポージャーを定量化するため、かかる観測に統計ツールおよびその他のツールを利用している。金融危機において、金融市場は極度の水準のボラティリティ(価格動向の急激な変化)および流動性の極端な制限により悪化した従来観測された資産クラス間の相関関係(価格が連動する範囲)の破綻を経験する可能性がある。そのようなボラティリティの高い市場環境において、当行のリスク管理ツールおよび測定基準は、重大なリスク・エクスポージャーの予測に失敗する可能性がある。また、ドイツ銀行の定量化モデルは、すべてのリスクを考慮するものではなく、環境全般に関して、場合によっては発生しないものも含め、数多くの仮定を置いている。その結果、リスク・エクスポージャーは、当行が予想しなかったまたはそのモデルにおいて正確に評価されなかった要因から発生し、また今後も発生する可能性がある。このことは、特にその結果生じる事態の多くを現在予測することができない地政学的な展開に鑑みて、リスクを管理する当行の能力の制約となっており、また今後も制約となる可能性がある。これにより、当行の損失は、過去の測定が示すものより著しく大きくなっており、また今後も大きくなる可能性があり、当行の業績、財務状態または資本基盤に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
さらに、定量的手法において勘案されないリスクを管理するためのより定性的な当行の手法も、十分なものとはいえない可能性があり、そのために当行が予想外の重大な損失を被る可能性がある。また、既存のまたは潜在的な顧客または取引相手方が当行のリスク管理が不十分であると考えた場合、当該顧客または取引相手方は、当行以外の者と取引を行うか、または、ドイツ銀行との取引を制限する可能性がある。このことにより、当行のレピュテーションならびに収益および利益が損なわれる可能性がある。
ドイツ銀行はビジネス・モデルに課題を抱える従来のインフラ・プロバイダーに依存しているため、当行はクラウドベースおよびデータ集約型プラットフォームへの依存を高めており、その結果、集中リスクが増加している。
当行が引き続きテクノロジー環境を近代化し、クラウドベースおよびデータ集約型プラットフォームへの依存を高める中、オペレーショナル・レジリエンスは依然として上級経営陣にとって優先事項である。少数のグローバルなクラウドおよびデータセンター・プロバイダー(その多くが米国に集中している。)への依存度が高まることは、最近の市場全体にわたる大規模障害にみられるように、集中リスクおよびシステミック・リスクを増大させる。かかるプロバイダーの規模、専門性および統一性を考慮すると、当行は、速やかな別のプロバイダーへの代替、当行の是正権利の行使または重要なワークロードの移行を、多大なコスト、混乱または遅延なしにはできない可能性がある。地政学、規制または政策の進展は、サービスの継続性またはデータへのアクセスにさらなる影響を及ぼす可能性がある。
これらのプラットフォームは、拡張性および効率性において多大な利益をもたらす一方で、プロバイダーの障害、データセンターでの事故、インフラの制約または地政学的な事態による混乱が、当行が重要なサービスを提供する能力に影響を及ぼす可能性がある。分析およびAIワークロードを含む計算能力に対する需要の高まりもまた、基盤となる電力およびネットワーク・インフラへの負荷を増加させている。
加速度的な技術進歩は、サイバー・リスクを高めており、脅威アクターによる巧妙かつ頻繁な攻撃が増加している。地政学的な緊張は、持続的なサイバー攻撃を助長し続けており、AIが能力および規模を増強することでこの傾向は強まると予想される。国家および非国家主体によるサイバー作戦、偽情報および重要なデジタル・インフラの標的破壊を組み合わせたハイブリッド戦争は、オペレーショナル・リスクおよびシステミック・リスクをさらに高めている。これらの戦術の統合は、物理的な衝突とデジタルな衝突の境界線を曖昧にし、当行の技術環境を阻害しサービスの継続性を脅かす可能性のある多方向への混乱を生じさせる可能性を増加させている。
ドイツ銀行は、その事業および業務を支えるために様々な第三者と取引を行っている。第三者により提供されるサービスは、ドイツ銀行が自らサービスを提供した場合に負うものと同様のリスクを伴い、当該第三者により提供されるサービスの責任は、最終的には当行が引き続き負うことになる。また、第三者が適用ある基準またはドイツ銀行の期待に沿って業務を遂行しない場合、当行が重大な損失、規制措置、訴訟もしくはレピュテーションの毀損に晒されるか、または当行がその取引関係から求められる利益を達成することができない可能性がある。
金融機関は様々なサービスを第三者およびグループ内のサービス・プロバイダーに依存しており、そのうちの一部は金融機関の重要な業務を支えている。これらの依存関係は、柔軟性、革新性および運用上の回復力の向上を含む複数の恩恵をもたらしうる金融サービス業界のデジタル化の傾向が強まっていることの一環として近年拡大してきている。しかしながら、適切に管理されない場合、サービス・プロバイダーの混乱が金融機関の提供する重要なサービスにリスクをもたらし、場合によっては金融の安定性にリスクをもたらす可能性もある。
第三者リスクを管理するための規制枠組は、規制当局が様々な目的に対処しようと取り組む中で進化を続け、一層複雑化している。金融機関がどのように第三者リスクを特定し管理するか、また、重要な第三者および下請業者によるサービス提供の集中によって生じるシステミック・リスクにどのように対処されているかという二つの主要な分野に焦点が当てられている。
第三者のサービス・プロバイダーを利用する場合、当行はすべての規制上の義務を遵守する責任と説明責任を引き続き完全に負う。これには、重要な機能の外部委託を監督する能力も含まれる。当行は、第三者が当行と合意したとおりのサービスおよび/または規制要件に沿ったサービスを提供できない場合、重大な損失またはレピュテーションの毀損というリスクに直面する可能性がある。
ドイツ銀行に対するサイバー・セキュリティの脅威と同様に、第三者ベンダーに対するサイバー攻撃が成功した場合、当行に重大な悪影響が及ぶ可能性があり、その結果、顧客情報および機密情報の漏洩または悪用、情報技術システムの損傷またはアクセス不能、財務上の損失、追加コスト、個人データ漏洩通知義務、レピュテーションの毀損、顧客不満足ならびに潜在的な規制上の罰則または訴訟へのエクスポージャーにつながる可能性がある。
当行のプロセスの履行上の誤り、当行の従業員の行為、アクセス管理の不足、当行のITシステムおよびIT基盤の不安定性、不調もしくは停止もしくは事業継続の喪失または当行のベンダーに関する同様の問題から発生しうるオペレーショナル・リスクにより、当行の業務が妨げられ、重大な損失を被る可能性がある。
ドイツ銀行は、取引の実施、確認もしくは決済の誤り(意図的であるか否かを問わない。)から発生するオペレーショナル・リスク、または適切に記録、評価もしくは計上されなかった取引から発生するオペレーショナル・リスクを負っている。その一例として、相手方との取引の確認が常に適時に得られるわけではないデリバティブ契約に関するリスクが挙げられる。取引が確認されない限り、当行は、高度の信用リスクおよびオペレーショナル・リスクを負い、不履行が生じた場合は、契約の執行がより難しくなる可能性がある。
また、ドイツ銀行の業務は、多数かつ多様な市場において各種の通貨で大量の取引を日々手動でまたは当行のシステムを通じて処理する当行の能力に大きく依拠している。一部の取引は一層複雑化している。さらに、経営陣は、一部手動処理を伴う、当行の金融データ、会計データおよびその他のデータの処理システムに大きく依存している。かかる処理またはシステムのいずれかが適切に稼動しなかった場合、故障した場合、またはそこに意図的なもしくは不注意による人為的な過誤が発生した場合、当行は、財務上の損失を被り、業務が中断され、顧客に対し責任を負い、規制当局の介入を受け、またはレピュテーションを損なう可能性がある。
当行はまた、当行の従業員が、適用ある法律、規制および一般に認められている業務基準に従って当行の業務を遂行することに依拠している。当行の従業員がかかる方法で当行の業務を遂行しない場合、当行は、重大な損失を被る可能性がある。また、従業員の不正行為に詐欺的意図が認められる場合、当行はまた、レピュテーションの毀損に晒される可能性がある。当行は、これらのリスクをコンダクト・リスクに分類している。コンダクト・リスクとは、特定の顧客に適さない商品の販売、詐欺、不正トレーディングならびに適用ある規制、法律および内部指針の不遵守等、顧客、取引先または市場の公正性に悪影響を及ぼすおそれのある従業員および代理人(第三者を含む。)による行為に関連するリスクを意味する。米国規制当局は、特にコンダクト・リスクにより一層注目しており、かかる規制当局による監視および期待の高まりは、調査およびその他の照会ならびに是正要求、規制上およびその他の執行手続の増加、民事訴訟、ならびにコンプライアンス上およびその他のリスクおよび費用の増加をもたらす可能性がある。
当行は、EU、ドイツ連邦銀行、ドイツ連邦経済・輸出管理庁およびその他の当局(米国財務省の外国資産管理局(OFAC)および英国財務省の金融制裁執行局(OFSI)またはドイツ銀行が拠点を置く地元当局等)により定められた金融上および取引上の制裁および通商禁止措置に関する法律およびその他の要件の監視、評価および遵守を求められている。制裁は急に変更される可能性があり、また、地政学的な情勢の展開の結果、米国またはその他の法域により、事前の警告なしに新たな直接的または間接的な二次的制裁または類似の制限措置が科される可能性がある。当行がこれらの制裁措置を適時かつ完全に遵守できない場合、当行は法的処罰やその他の不利益な措置の対象となり、レピュテーションの毀損につながる可能性がある。
当行は、特に、当行のITシステムおよびIT基盤の不安定性、不調または停止ならびにITシステムおよびIT基盤の侵害(サイバー攻撃を含む。)による損失リスクに晒されている。かかる損失は、例えば、システムの停止、システムおよびITアプリケーションにおけるサービスの劣化または当行のITシステムのアクセス不能に起因する処理実行の過誤もしくは遅延から生じる可能性があり、業務プロセスを遂行する当行の能力に重大な影響を及ぼすおそれがある。過誤の発生後、取引処理に遅延が生じている間に市況が悪化したような場合には、営業関連損失を生じさせる可能性がある。IT関連の不備はまた、機密情報の取扱ミス、当行のコンピュータ・システムの損害、財務上の損失、システム修繕に係る追加コスト、レピュテーションの毀損、顧客不満足または潜在的な規制もしくは訴訟へのエクスポージャー(GDPR等の個人情報保護法に基づくエクスポージャーを含む。)を引き起こすおそれがある。さらに、データ管理ならびに不十分なデータ管理基準およびデータ品質がもたらすリスクならびに主要な管理、意思決定および報告プロセスへの潜在的な影響について注目が高まっており、期待値も上がっている。
世界の産業において、その事業を主たる事業所の場所からではなく自宅から行う動きが続いており、歴史的な傾向と比較して、ビジネス慣行に変化がもたらされている。当行の技術インフラに対する需要およびサイバー攻撃のリスクは、技術障害、セキュリティ侵害、不正アクセス、データの喪失もしくは破損、またはサービスの利用不能につながる可能性があり、行為規範の違反が起こる可能性も高める。
事業継続リスクは、通常の事業活動の中断により損失を被るリスクである。当行は、世界中の多くの地域で業務を行っており、しばしば当行の管理の及ばない事態の発生に直面している。当行は不測の事態に対応する計画を策定しているが、各地で業務を行う当行の能力は、例えば当行の第三者ベンダーまたは当行が業務を行う地域社会もしくは公共インフラに影響を与える事由によるものである場合を含め、当行の業務を支えるインフラの混乱により悪影響を受ける可能性がある。戦争またはその他の軍事行動、生産妨害行為、テロ活動、爆弾による脅威、ストライキ、暴動および当行従業員への暴行等の意図的行為、ハリケーン、大雪、洪水、(COVID-19のパンデミックのような)疾病の世界的流行および地震等の自然災害、または事故、火災、爆発、停電および政治的不安等その他の予測不能な出来事を含むいかなる事象も、かかる混乱の原因となりうる。このような混乱は、当行の事業および財務状態に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、グローバルな銀行として、報道の対象となることが多い。ドイツ銀行は、メディアとの対話を正式のチームを通じて行っているが、メディアは時に、こうした正式のチャネル以外の方法でドイツ銀行の従業員に接触を試みることがあり、機密事項を含むドイツ銀行の内部情報が外部報道の対象とされ、当該報道を通じて機密情報が公表される結果となる可能性がある。メディアへの漏洩は、特にそれが事実と異なる陳述、流言、憶測または許可されていない意見を含む場合に、ドイツ銀行に多大な影響を及ぼす可能性がある。これにより顧客の信頼または顧客取引の喪失といった財務上の影響を被る可能性があり、また、投資家の信頼を損なうことにより当行の株価または資本性金融商品に影響が出る可能性がある。こうしたリスクに対し当行が自ら防衛する能力は限られている。
ドイツ銀行の大規模な清算および決済業務は、たとえ短期間であっても適切に行われなかった場合にはリスクをもたらす。
当行は、大規模な清算業務および決済業務を行っており、また、一層複雑化し、かつ、相互に密接に連携するIT環境を保有している。そのため、当行のシステムが短期間でも適切に稼動しなかった場合、当行の顧客またはその他の第三者が多大な損失を被るリスクが発生する。これは、かかる障害の原因が当行の外部に存在する場合にも起こりうるものである。この場合、金銭的な損失が大きくない場合であっても、当行のレピュテーションが損なわれる可能性がある。これにより、顧客が当行以外の者と取引を行うようになり、当行の収益および利益に重大な損失をもたらす可能性がある。
*ドイツ銀行は、のれんおよびその他の無形資産について、**少なくとも年1回、*または減損の指標が存在する場合には各報告期間に減損テストを行わなければならない。テストにより減損が存在すると判断された場合、当行は、資産について評価減を行う必要がある。
のれんは、子会社および関連会社の取得時に発生する。のれんは、取得原価および被取得企業に対する非支配持分の総額が、取得した識別可能な純資産の取得日における公正価値を超過する額を表している。子会社の取得に係るのれんは資産計上され、年1回または減損が生じている兆候がある場合にはそれ以上の頻度で減損のレビューが行われる。無形資産が分離可能または契約上もしくはその他の法的権利から生じ、かつ、その公正価値を信頼性をもって測定可能な場合、当該無形資産はのれんとは別個に認識される。これらの資産は少なくとも年1回減損テストが行われ、耐用年数が再確認される。非金融資産の減損の評価における回収可能額の決定には、市場相場価格、比較可能事業の価格、現在価値もしくはその他の評価技法、またはこれらの組合せに基づく見積りが必要であり、経営陣が主観的な判断および仮定を行うことが要求される。これらの見積りおよび仮定は、基礎とした状況が変化すれば、報告金額が著しく異なる結果となる可能性がある。のれんおよびその他の無形資産の減損は、当行の収益性および業績に重大な悪影響を及ぼしており、また、今後も及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行の伝統的な銀行業務である預金業務および貸付業務に加え、当行は、取引を通じて与信を拡大する非伝統的な与信業務にも従事する可能性があり、これらは当行の信用リスクへのエクスポージャーを著しく増大させる可能性がある。
金融機関として、ドイツ銀行は、当行に対して義務を負う第三者がその義務を履行しないおそれがあるというリスクを負っている。当行の業務の多くは、伝統的な銀行業務である預金業務および貸付業務以外にも拡大しており、それらもまた、当行を信用リスクに晒している。
特に、インベストメント・バンクにおける業務の大半は、多くの場合、伝統的な金融取引に付随して与信取引を伴う。非伝統的な信用リスクの発生源は、例えば、第三者の証券の保有、相手方が当行に対して支払義務を負うスワップ契約またはその他のデリバティブ契約の締結、相手方の未交付または決済代理人、取引所、決済機関もしくはその他の仲介金融機関のシステム障害により期限に決済できない証券、先物または通貨の取引実行、およびその他の取決めを通じた与信の拡大等から発生する可能性がある。これらの取引の当事者は、義務の不履行に陥る可能性があり、その結果、ドイツ銀行は多額の損失を被ることになる。
過去には、極めて厳しい市況が、レバレッジド・ファイナンス市場およびストラクチャード・クレジット市場を含め、当行が非伝統的な信用リスク業務を行っている一部の分野に著しい悪影響を及ぼしたことがある。今後も類似した市況が生じた場合、当行は悪影響を受ける可能性がある。
当行の資産および負債の大部分は、公正価値で計上される金融商品から構成されており、公正価値の変動は損益計算書において認識されている。公正価値の変動は、過去にも多額の損失をもたらしており、また、今後ももたらす可能性がある。
公正価値とは、強制的売却または清算時売却以外の場合で、知識も取引の意思も有する当事者間の独立当事者間取引において資産または負債が交換されうる価格をいう。公正価値で計上された資産の価値が低下した場合(または公正価値で計上された負債の価値が上昇した場合)、これに対応する公正価値の損失が損益計算書に計上される。一定のクラスの金融商品について、観察可能な価格またはインプットを利用できない場合、公正価値は特定の商品につき適切であると当行が考える評価技法を用いて算定される。公正価値を算定する評価技法の適用には、推定および経営陣の判断が伴い、その程度は商品の複雑性および市場の流動性の度合いにより異なる。経営陣の判断は、適切なパラメーター、仮定およびモデリング技法の選択および適用において要求される。市況の悪化またはその他の原因により仮定のいずれかが変動した場合、その後の評価により当行の金融商品の公正価値が著しく変動する可能性がある。かかる変動は、過去にも多額の損失をもたらしており、また今後ももたらす可能性がある。
ドイツ銀行のエクスポージャーおよびこれに関連する公正価値の変動は、対象資産に関わるヘッジ取引により計上しうる公正価値の上昇を差し引いて計上される。しかしながら、当行はかかる公正価値の上昇を今後実現することができない可能性があり、また、ヘッジ取引の公正価値は、例えばヘッジ取引の相手方の信用状態の低下等、様々な理由により、今後変動する可能性がある。かかる公正価値の低下は、ヘッジ対象資産または負債の公正価値とは切り離されているともいえ、将来損失をもたらす可能性がある。
ドイツ銀行は、各報告期間末に繰延税金資産の見直しを行わなければならない。当行の繰延税金資産の全部または一部を利用できるだけの十分な課税所得が得られる見込みがなくなった場合には、当行は帳簿価額を減額しなければならない。これらの減額は、ドイツ銀行の収益性、資本および財務状態に重大な悪影響を及ぼしており、また今後も及ぼす可能性がある。
当行は、既存の資産および負債の財務諸表上の帳簿価額とそれぞれの税務基準額との一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除に起因する将来の税効果について繰延税金資産を認識している。繰延税金資産の全部または一部を利用できるだけの十分な課税所得が得られる見込みがなくなった場合には、当行は帳簿価額を減額しなければならない。各四半期に、当行は、繰延税金資産に関する見積りを再評価しているが、期間により変動する可能性があり、経営陣の重要な判断を必要とする。さらに、繰延税金資産は、資産が実現する期間に適用されると予想される税率に基づいて測定され、貸借対照表日時点で制定または実質的に制定された税率および税法に基づく。見積りの変更または税法の変更による繰延税金資産の減少は、当行の収益性、資本および財務状態に重大な悪影響を及ぼしており、また今後も及ぼす可能性がある。
ドイツ銀行は、その年金債務の測定に重大な影響を及ぼす可能性のある年金リスク(当行の収益に重大な影響を及ぼしうる金利リスク、インフレ・リスク、長寿リスクおよび流動性リスクを含む。)に晒されている。
ドイツ銀行は、その従業員のために、確定給付制度を含む多数の退職後給付制度に資金を提供している。ドイツ銀行の従業員給付制度の詳細については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-⑦ 連結財務諸表に対する注記-追加的注記-注記33 従業員給付」の項を参照のこと。
当行では、ガバナンスおよびリスク管理(積立、資産配分および数理計算上の仮定の設定等)に関するガイドラインを策定し、維持している。ここでのリスク管理とは、市場の動向(例えば、金利、信用スプレッド、物価インフレ)、資産投資、規制上または法律上の要件、および人口構成の変化(例えば、長寿)の監視に関する当行のリスクの管理および統制をいう。年金制度が積み立てられている範囲で、保有資産は負債リスクの一部を緩和するが、投資リスクを取り込むこととなる。当行の主要な年金制度がある国々において、当行最大の退職後給付制度のリスク・エクスポージャーは、信用スプレッド、金利、物価インフレ、長寿リスクおよび流動性リスクの潜在的な変化に関連しているが、これらは採用した投資戦略を通じて一部緩和されている。全般的に当行は、退職後給付の資金調達、規制自己資本および各地域の積立要件または会計処理の要件による制約に関わるトレードオフのバランスを保ちつつ、当行の財務状況に対する市場の変動からの年金の影響の最小化を図っている。
制度の積立における当行の投資目標およびこれに関する当行の義務は、当行の確定給付年金制度が主要な財務指標に及ぼす悪影響から当行を保護することである。当行は、制度資産を、金利、信用スプレッドおよびインフレに対する年金債務のマーケット・リスク・ファクター・エクスポージャーと密接にマッチするよう配分することに努め、それにより制度資産は年金債務の基礎となるリスク・プロファイルおよび通貨を広く反映するものになる。
当行の年金債務を決定付ける要因が当行に不利な方向に変動した場合、主要な変数に関する当行の仮定が誤っていることが判明した場合、または年金債務の資金拠出がその債務を十分にヘッジできない場合は、当行はその年金制度に対して追加拠出を要求されるか、またはその年金制度に関する数理計算上もしくは会計上の損失に晒される可能性がある。
ドイツでは、当行グループは他の金融機関とともに、複数事業主による確定給付制度であるBVV銀行業界向け企業年金保険組合(BVV Versicherungsverein des Bankgewerbes a.G.)(BVV)に加入している。BVVが制度資産を受益者または加入企業に完全に配分していないことを主な理由として、当行グループの現従業員および元従業員に関連する資産および負債を特定するために利用可能な情報が不十分であるため、業界の慣習に従い、当行グループはこれを確定拠出制度として会計処理している。残存リスクが顕在化した場合、またはこの複数事業主による確定給付制度に関連する給付義務の基礎となる仮定が非現実的であると判明した場合、当行グループは重大な財務リスクに晒される可能性がある。
デジタル資産の進化により、オペレーショナル・リスク、流動性リスクおよび財務リスクが増加し、ドイツ銀行の業績に影響を及ぼす可能性がある。
デジタル資産の継続的な進化、ならびに決済および資金管理プロセスならびにその他の金融サービスにおけるその潜在的な活用可能性は、オペレーショナル・リスク、流動性リスクおよび財務リスクをもたらす。例えば、当行は、金融機関および非金融機関が発行するステーブルコイン等の規制対象となるトークン化された通貨の利用拡大、ならびに小売および卸売におけるユースケース向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を含む世界的な決済環境の変化に起因するリスクにさらされている。さらに、これらの金融商品の成長および普及は、トレーディング、管理、清算および決済といった当行の伝統的な商品提供の一部を置き換える可能性があり、その結果、ドイツ銀行のビジネスモデルや預金基盤に影響を及ぼし、ドイツ銀行のオペレーショナル・リスクおよび流動性リスクを増大させるおそれがある。さらに、新たな競合他社が、当行が提供していないトークン化された資産商品およびサービスを導入する可能性があり、収益または顧客の喪失につながるおそれがある。
ドイツ銀行は、金融上および取引上の制裁および通商禁止措置に関する法律およびその他の要件の適用を受ける。当行がかかる法律および要件に違反した場合、当行は、重大な規制上の執行措置および罰則の対象となる可能性があり、過去にも対象となったことがある。
当行は、EU、ドイツ連邦銀行、ドイツ連邦経済・輸出管理庁およびその他の当局(米国財務省の外国資産管理局(OFAC)および英国財務省の金融制裁執行局(OFSI)またはドイツ銀行が拠点を置く地元当局等)により定められた金融上および取引上の制裁および通商禁止措置に関する法律およびその他の要件の監視、評価および遵守を求められている。制裁は急に変更される可能性があり、また、地政学的な情勢の展開の結果、米国またはその他の法域により、事前の警告なしに新たな直接的または間接的な二次的制裁(ロシアに関連する一定の取引を行う金融機関に対する米国の二次的制裁リスクに起因するものを含む。)が科される可能性がある。ロシアによるウクライナ戦争が継続していることを受け、米国、EU、英国およびその他の各国により、ロシアの企業および個人に対する新たなかつ広範な制裁が科されており、また今後も科される可能性があり、これらの制裁の多くは非常に迅速な実施が求められている。当行がこれらの制裁措置または新規もしくは既存の法律および要件を適時かつ完全に遵守できない場合、当行は、重大な規制上の執行措置および罰則の対象となる可能性があり、過去にも対象となったことがあり、レピュテーションの毀損につながる可能性がある。
米国国務省により、米国経済制裁の対象者またはテロ支援国家として指定された国々の取引相手方と取引を行った結果、潜在的顧客および投資家が当行との取引または当行の証券への投資を回避し、当行のレピュテーションが損なわれ、または規制措置もしくは執行措置が講じられることとなる可能性があり、当行の事業に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
当行は、米国の包括的制裁措置の対象となっている一部の諸国もしくは地域(以下「制裁対象地域」という。)内の取引相手方(政府により所有され、もしくは支配されている取引相手方を含む。)または米国経済制裁の対象人物または事業体(以下「制裁対象者」という。)との間で、限定的ではあるが一定量の取引を行っており、また過去にも行ってきた。米国の法律は、米国人または米国法域内で行為するその他の者(米国との関連を有する事業を含む。)が制裁対象地域もしくは制裁対象者と取引を行うこと、または制裁対象地域もしくは制裁対象者に関する取引を行うことを一般的に禁止している。さらに、米国の間接的または「二次的」制裁は、完全な米国法域外において、非米国人が米国の利益に反するとみなされる特定の活動に従事することに対して、制裁を科すとも警告している。例えば、米国は、ロシアの軍産基盤に関連する取引を故意または無自覚に促進したり、またはサービスを提供したりすることを含む多くの活動において、外国金融機関に対象を定めている。当行の米国における子会社、支店および従業員は、かかる禁止規定およびその他の規制の対象となっており、また場合によっては、当行の米国外における子会社、支店および従業員も、かかる禁止規定およびその他の規制の対象となっているか、対象となる可能性がある。
ドイツ銀行はドイツに本拠を置く銀行であり、制裁対象地域および制裁対象者に関わる当行の業務は、米国法域(米国人が管理上または運営上の役割を担うことを含む。)の関与を排除し、また、国際連合安全保障理事会、欧州連合およびドイツによる制裁および通商禁止措置の遵守を確保するために策定された方針および手続に服している。近年の法的規制の展開を受けて、当行は、法的に認められる範囲において、法域に関わりなく他の地理的地域にも適用範囲を拡大している規制要件の遵守を推進するために、その方針および手続をさらに拡充した。しかしながら、規制要件自体が急に変更される可能性があり、当行の方針が不十分であると判断された場合、または実際に不十分であったと証明された場合には、当行は、当行のレピュテーション、財務状態または事業に重大な悪影響を及ぼしうる規制措置もしくは執行措置を課せられる可能性がある。
さらに、ウクライナ戦争を受けて、米国ならびにその他の諸国およびEUは、ロシア、ロシアの事業体および制裁回避を支援する第三国の事業体に対する制裁を拡大し続けており、かかる制裁が当行の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性がある。これを受けて、当行は、特にフィルターおよびコントロールの更新、ロシアと関連性のある取引および顧客審査におけるデューデリジェンスの手順の追加、当行の方針の大幅な制限ならびにプロセスの調整により、多数の、そして一部新たに確立された制裁を実施するための様々な準備および対応措置を講じた。さらに、ロシアおよびベラルーシとの追加取引は、それぞれ2025年3月および2025年4月から当行の方針により禁止されている。ドイツ銀行は、これらの課題に迅速かつ徹底的に対応したと考えているが、変更の量が非常に多いことと複雑性、および米国当局が米国制裁の解釈および執行において行使する可能性のある広範な裁量は、規制遵守に関連するオペレーショナル・リスクを増大させている。この規制環境の領域では厳格な責任が適用されたり、米国の二次的制裁が域外適用されたりするため、このようなオペレーショナル・リスクは当行の規制リスクにつながり、結果として損失を被る可能性がある。米国当局が当行に対して執行措置を講じない、または二次的制裁を科さない、あるいはその他の悪影響を及ぼすことがないとの保証はない。かかる措置は、当行の事業に重大な影響を及ぼし、また、当行のレピュテーションを損なう可能性がある。
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
財政状態および経営成績の分析
下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート」の項を参照のこと。
キャッシュ・フローの状況の分析
連結キャッシュ・フロー計算書は間接法により作成される。これは、営業活動における非資金取引について当期純利益(損失)を調整し、キャッシュ・フローの分類を、事業に最も適切なビジネス・モデルおよび関連する活動に基づき、営業活動、投資活動または財務活動に区分したものである。
連結キャッシュ・フロー計算書上、当行グループの現金および現金同等物は、重要な価値変動リスクがない、容易に換金可能な流動性の高い投資を含む。当該投資は、現金および中央銀行預け金ならびに要求払銀行預け金を含んでいる。
様々な状況で、ドイツ銀行が保有する現金および現金同等物の残高を当行グループが利用できない場合がある。こうした例には、当行グループまたはその子会社が一般用途で利用できないように為替管理またはその他の法的規制を適用している国で営業活動を行う子会社が保有する現金および現金同等物がある。
顧客に資金調達を提供するというドイツ銀行のビジネス・モデルの性質上、長期債務に関連するキャッシュ・フローは当行の営業活動を支えるため、営業活動の構成要素として含まれる。対照的に、自己資本取引に関連するキャッシュ・フローならびに劣後長期債務および信託優先証券は、連結キャッシュ・フロー計算書において財務活動として表示される。これらの金融商品のキャッシュ・フローは、当行グループの資本の不可欠な一部として、主に所要規制自己資本を満たす目的で管理されているため、優先長期債務に関連したキャッシュ・フローとは異なるものと捉えられる。このため、劣後長期債務および信託優先証券は他の営業負債とは交換不能であり、資本とのみ交換可能であることから、財務活動の一部であるとみなされている。
当行グループの当期純利益(損失)に対する一部の非資金取引の調整には、信用損失引当金繰入額、再編費用、繰延税金および減損、減価償却、償却ならびにアクリーションが含まれ、ヘッジ調整の償却も含まれている。
区分がより困難なその他の非資金取引については、営業資産および負債の貸借対照表科目に係るすべての変動は営業活動に含まれ、当期純利益(損失)に認識された金額と相殺される。例えば、純損益を通じて公正価値で保有するトレーディング資産およびトレーディング負債に係る未実現の公正価値の変動は営業活動に含まれ、資金と非資金の変動間で区別されていない。これは、取引の通貨を事業体の機能通貨に換算する際に損益計算書に認識される為替変動にも適用される。これらの非資金項目の為替変動は、営業活動において該当する資産または負債の項目に含まれる。
また、公正価値ヘッジ会計の適用により発生する、デリバティブ以外の金融商品(償却原価で測定する貸出金、預金および優先長期債務等)の帳簿価額に対するヘッジ調整は、非資金調整項目として個別に開示されることはないものの、営業活動における個別の貸借対照表科目に含まれる。これらの金額は営業活動において、当期純利益(損失)に認識される非資金項目の金額に対して相殺される。
連結キャッシュ・フロー計算書に記載されている金額は、当行グループの報告通貨への換算の影響、貸出金の償却総額および当行グループの連結事業体の変更に伴う変動といった一部の非資金項目を除外しているため、期間ごとの連結貸借対照表における変動とは必ずしも一致しない。
営業活動において表示される「その他、純額」には主に、(i)ヘッジ対象が投資活動に表示されるものの、ヘッジ手段が営業活動に表示される場合のキャッシュ・フロー・ヘッジ会計または一部の公正価値ヘッジ関係の適用に係る変動、および(ii)当行グループの連結損益計算書に認識される、当行グループの貨幣性の内部取引に係る非資金関連の為替換算影響額の変動が含まれる。これには、投資活動に含まれる、一部の貸借対照表科目に係る取引通貨から機能通貨への為替換算影響額も含まれる。
2025年度および2024年度
以下の表は、ドイツ銀行の2025年度連結財務諸表に基づく2025年12月31日に終了した年度および2024年12月31日に終了した年度のデータの抜粋である。
| 2025年 | 2024年 | |
| 単位:百万ユーロ(億円) | (監査済) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 47,064 (87,379) | -28,584 (-53,069) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | -26,311 (-48,849) | -6,781 (-12,590) |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | -6,834 (-12,688) | -646 (-1,199) |
| 現金および現金同等物に対する為替レート変動の純影響 | -6,309 (-11,713) | 2,910 (5,403) |
| 現金および現金同等物、期首残高 | 130,666 (242,594) | 163,768 (304,052) |
| 現金および現金同等物、期末残高 | 138,277 (256,725) | 130,666 (242,594) |
当行グループの現金および現金同等物の残高は、2024年末現在の1,307億ユーロから増加して、2025年12月31日現在では1,383億ユーロとなった。この増加は主に、中央銀行への翌日物預金および1日前通知預金が増加したことによるものであった。
当行グループの当期純利益が71億ユーロを計上したことに照らして、また非現金項目に関する収益調整を考慮した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、2025年末現在は471億ユーロ(2024年末現在ではマイナス286億ユーロ)となり、かかる金額は2025年度の現金および現金同等物の76億ユーロの純増加に含まれていた。現金および現金同等物への影響の残りの部分は、投資活動および財務活動から使用された現金によるものであった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2025年はマイナス263億ユーロ(2024年はマイナス68億ユーロ)となった。これは、主に償却原価で測定する回収のために保有する負債性有価証券の購入に起因するものであった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2024年末現在はマイナス646百万ユーロであったのに対し、2025年12月31日現在ではマイナス68億ユーロとなったが、これは主に劣後長期債務の返済および償却ならびにその他の資本構成要素(AT1)の返済によるものであった。
上記の営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの純影響により、現金および現金同等物は増加した。
5【重要な契約等】
当行は、以下の会社と経営支配および損益移転契約を締結している。
A.DBベタイリグングス-ホールディングGmbH
B.BHWバウスパーカッセ(BHW Bausparkasse Aktiengesellschaft)
C.BHW-ゲゼルシャフト・フュア・ヴォーヌンクスヴィルトシャフトmbH(BHW - Gesellschaft für Wohnungswirtschaft mbH)
D.BHWホールディングGmbH(BHW Holding GmbH)
E.DBキャピタル・マーケッツ(ドイチェランド)GmbH(DB Capital Markets (Deutschland) GmbH)
F.ノーリスバンクGmbH(norisbank GmbH)
G.ドイチェ・オッペンハイム・ファミリー・オフィスAG
H.ポストバンク・フィンナンツベラトゥンクAG(Postbank Finanzberatung AG)
上記会社は、当該契約に基づき、当行により支配され、各会社の利益を当行に移転するかまたは当行がその損失を塡補するものとされている。
6【研究開発活動】
該当事項なし。
第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
ドイツ銀行グループは、2025年における土地・建物および備品・器具への設備投資に545百万ユーロを費やした。2025年に、392百万ユーロ(簿価)の土地・建物および備品・器具の原価処分が行われた。
2【主要な設備の状況】
| (単位:百万ユーロ(百万円)) | ||
| 2025年12月31日 | 2024年12月31日 | |
| (ドイツ銀行) | ||
| 土地・建物 | 156 | 291 |
| (28,963) | (54,027) | |
| 備品・器具 | 1,497 | 1,417 |
| (277,933) | (263,080) | |
| (ドイツ銀行グループ) | ||
| 土地・建物 | 387 | 520 |
| (71,850) | (96,543) | |
| 備品・器具 | 1,415 | 1,387 |
| (262,709) | (257,510) | |
3【設備の新設、除却等の計画】
該当事項なし。
第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
| (2025年12月31日現在) | ||
|---|---|---|
| 授権株数(株)(注) | 発行済株式総数(株) | 未発行株式数(株)(注) |
| 1,910,578,977 | 1,910,578,977 | - |
(注)ドイツ銀行は、上記日付現在有効な定款に、下記のような授権資本の増加の定めを置いている。
授権資本
取締役会は、2030年4月30日以前に、1回または数回にわたり、総額1,995,000,000ユーロを限度として現金払込により新株を発行することにより増資を行う権限を授与される(授権資本2025年/第I回)。株主は、新株引受権を与えられる。ただし、取締役会は、株主の新株引受権から端株を除外し、また当行またはその関連会社により発行されたオプション権、転換社債および転換権付利益分配権の保有者に対し新株引受権を付与することが必要とされる場合、オプション権または転換権の行使後に当該権利の付与を受けられる限りにおいて、新株引受権を排除する権限を有する。取締役会は、新株引受権が付与されない新規発行株式の割合が株主資本の10%を超過しない場合に限り、新株引受権を排除する上記の承認を実行することができる。かかる10%上限の計算は、当該承認が有効となった時点における株式資本の金額に基づいて行われる。当該承認が実行された時点の株式資本の金額がより低い場合には、当該低い額により決せられる。当該承認が有効な間でかつ承認を実行するまでの間に、他の承認を用いて当行株式の発行がなされ、または当行株式の引受けを可能とするもしくは義務づける権利の発行がなされ、これらの株式について新株引受権が排除される場合も、上記の10%上限に算入される。授権資本を利用する旨、および新株引受権を排除する旨の取締役会決議は、監査役会の承認を要する。新株式はまた、取締役会の指定する銀行が、当行株主に対して募集を行う義務を負って引き受けることもできる(間接的新株引受権)。
取締役会は、2030年4月30日以前に、1回または数回にわたり、総額498,000,000ユーロを限度として現金払込により新株を発行することにより増資を行う権限を授与される(授権資本2025年/第II回)。株主は、新株引受権を与えられる。ただし、取締役会は、株主の新株引受権から端株を除外し、また当行またはその関連会社により発行されたオプション権、転換社債および転換権付利益分配権の保有者に対し新株引受権を付与することが必要とされる場合、引受権または転換権の行使後に当該権利の付与を受けられる限りにおいて、新株引受権を排除する権限を有する。取締役会はまた、新株の発行価額が当該発行価額の最終決定時において既に上場されている当該株式の市場価額を著しく下回っておらず、かつ株式会社法第186条第(3)項第4文に基づく承認を受けて以降発行された株式の総数が、当該承認が有効となった時点における株式資本の10%(当該承認が実行された時点における株式資本の額の方が低い場合には、当該低い額の10%)を超過しない場合にも、新株引受権を完全に排除することができる。当該承認が有効な間に、株式会社法第186条第(3)項第4文を直接適用または準用することにより発行または売出される新株引受権が付与されない株式は、株式資本の10%の上限の計算に含まれる。また、転換社債、ワラント付社債、転換権付利益分配権もしくは利益分配権に関するオプション権および/または転換権(これらの社債または利益分配権が、当該承認が有効な間に、株式会社法第186条第(3)項第4文を直接適用または準用することにより発行される場合に限る。)に対して発行される株式も、この計算に含まれる。取締役会は、新株引受権が付与されない新規発行株式の割合が株主資本の10%を超過しない場合に限り、新株引受権を排除する上記の承認を実行することができる。かかる10%上限の計算は、当該承認が有効となった時点における株式資本の金額に基づいて行われる。当該承認が実行された時点の株式資本の金額がより低い場合には、当該低い額により決せられる。当該承認が有効な間でかつ承認を実行するまでの間に、他の承認を用いて当行株式の発行がなされ、または当行株式の引受けを可能とするもしくは義務づける権利の発行がなされ、これらの株式について新株引受権が排除される場合も、上記の10%上限に算入される。授権資本を利用する旨、および新株引受権を排除する旨の取締役会決議は、監査役会の承認を要する。新株式はまた、取締役会の指定する銀行が、当行株主に対して募集を行う義務を負って引き受けることもできる(間接的新株引受権)。
②【発行済株式】
| (2025年12月31日現在) | ||||
| 記名・無記名の別及び額面・無額面の別 | 種類 | 発行数(株) | 上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名 | 内容 |
| 記名式無額面株式 | 普通株式 | 1,910,578,977 | ドイツ国内各証券取引所ニューヨーク証券取引所 | 完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない提出会社における標準となる株式である。当行定款上、日本の会社法に基づく単元株式数の定めはない。 |
| 計 | - | 1,910,578,977 | - | - |
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
| (2025年12月31日現在) | |||||
| 年月日 | 発行済株式総数増減数(株) | 発行済株式総数残高(株) | 資本金増減額 | 資本金残高 | 摘要 |
| 2023年 2月28日 | -26,530,172 | 2,040,242,959 | -67,917,240.32ユーロ (-12,610百万円) | 5,223,021,975.04ユーロ (969,706百万円) | 発行済株式総数および資本金は、自社株の買戻しおよび買い戻した株式の消却(いずれも年次株主総会で承認済)により、減少した。同様の自社株の買戻しプログラムが2023年および2024年にも実施され、2024年初めにも株式消却が行われた。上記の株式消却により、ドイツ銀行の発行済株式総数および資本金は約1.3%減少した。 |
| 2024年 3月6日 | -45,541,366 | 1,994,701,593 | -116,585,896.96ユーロ (-21,645百万円) | 5,106,436,078.08ユーロ (948,061百万円) | 2024年に資本金が減少した理由は、(2023年と同様に)買い戻した株式の消却であり、償還された株式の総額は、2024年初めの資本金の約2.23%に相当する。 |
| 2025年 1月3日 | -46,448,708 | 1,948,252,885 | -118,908,692.48ユーロ (-22,077百万円) | 4,987,527,385.60ユーロ (925,984百万円) | 2025年に資本金が減少した理由は、(2024年と同様に)買い戻した株式の消却であり、償還された株式の総額は、2025年初めの資本金の約2.38%に相当する。 |
| 2025年 11月21日 | -37,673,908 | 1,910,578,977 | -96,445,204.48ユーロ (-17,906百万円) | 4,891,082,181.12ユーロ (908,078百万円) | 2025年に資本金が減少した理由は、(2024年と同様に)買い戻した株式の消却であり、償還された株式の総額は、当時のドイツ銀行の資本金の約1.93%に相当する。 |
(4)【所有者別状況】
2025年12月31日現在の株主名簿上の株主数は、519,416人であった。
地域別の株主の分布は下記のとおりである。
| 株主数(人) | 所有株式数(株) | |||
|---|---|---|---|---|
| ドイツに所在する株主 | 509,565 | 855,864,529 | ||
| アメリカ合衆国に所在する株主 | 531 | 264,517,200 | ||
| その他 | 9,320 | 790,197,248 | ||
| 計 | 519,416 | 1,910,578,977 |
(5)【大株主の状況】
ドイツ銀行株式は、引き続きほぼ100%浮動株式である。ドイツ証券取引法に規定する所有株式割合3%超の報告義務に基づく通知による、当行の大株主は下記のとおりである(注1)。
| 氏名又は名称 | 住所 | 発行済株式総数に対する 所有株式数の割合 |
|---|---|---|
| ブラックロック・インク(BlackRock, Inc.) | ウィルミントン、デラウェア州 | 7.92%(注2) |
| パラマウント・サービス・ホールディング・リミテッドS.ÀR.L.(Paramount Service Holding Ltd. S.ÀR.L.) | 英領ヴァージン諸島 | 4.54%(注3) |
(注1)株式の保有状況の記載は、主要株主の議決権通知の公表に関するドイツ証券取引法(WpHG)第40条の規定に基づいており、日付の記載は、報告義務のある保有割合に達したことを主要株主が開示した日付に基づいている。個別のケースにおいて、異なる通知義務対象者による議決権通知が、物理的に同一の株式保有に係るものと考える根拠がある場合、当行は明確性を確保するため、議決権通知をまとめて記載する権利を留保する。ドイツ銀行は、記載の正確性について責任を負わない。
(注2)2026年1月19日付の数値。ブラックロック・インクは、ドイツ銀行の株式の7.92%を保有し、さらにその他の手段により議決権の0.23%を保有し、合計で議決権の8.14%を保有している。当行は、2026年5月31日現在までブラックロック・インクから変更の通知は受けていない。
(注3)2023年1月25日付の数値。当行は、2026年5月31日現在までパラマウント・サービス・ホールディング・リミテッドS.ÀR.L.から変更の通知は受けていない。
2【配当政策】
(1)配当方針
2024年度について、取締役会および監査役会は、以下を提案した。
2024年度の分配可能利益2,258,260,562.17ユーロから、2024年度の配当支払適格のある1,933,618,495株につき無額面株式1株当たり0.68ユーロの配当(総額1,314,860,576.60ユーロ)を支払い、利益剰余金に800,000,000.00ユーロを繰り入れ、残りの分配可能利益143,399,985.57ユーロを翌年度に繰り越す。
2025年5月22日開催の年次株主総会は、この提案を採択した。
2025年度について、取締役会および監査役会は、以下を提案した。
2025年度の分配可能利益3,576,637,726.85ユーロから、2025年度の配当支払適格のある1,878,252,236株につき無額面株式1株当たり1.00ユーロの配当(総額1,878,252,236.00ユーロ)を支払い、利益剰余金に1,500,000,000.00ユーロを繰り入れ、残りの分配可能利益198,385,490.85ユーロを翌年度に繰り越す。
2026年5月28日開催の年次株主総会は、この提案を採択した。
(2)1株当たりの配当等の推移
下記の表は、2021年から2025年までの、当行の株式1株当たりの配当等を示したものである。
ドイツ銀行(非連結)
| (単位:ユーロ(円)) | |||||
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 1株当たり配当 | 0.20 | 0.30 | 0.45 | 0.68 | 1.00 |
| (37) | (56) | (84) | (126) | (186) | |
| 1株当たり利益 (損失) | 0.93 | 2.66 | 2.45 | 1.45 | 3.24 |
| (173) | (494) | (455) | (269) | (602) | |
| 1株当たり純資産額(1株当たり資本金および剰余金)(注) | 16.89 | 19.17 | 21.35 | 22.50 | 25.47 |
| (3,136) | (3,559) | (3,964) | (4,177) | (4,729) | |
| 配当性向(%) | 21.5 | 11.3 | 18.4 | 47.0 | 0.3 |
(注)配当可能利益を除く。
ドイツ銀行グループ(連結)
| (単位:ユーロ(円)) | |||||
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 基本的1株当たり利益(損失)(注) | 0.96 | 2.42 | 2.07 | 1.40 | 3.16 |
| (178) | (449) | (384) | (260) | (587) | |
| 基本的流通株式1株当たり純資産 | 27.62 | 29.74 | 31.64 | 33.41 | 34.51 |
| (5,128) | (5,522) | (5,874) | (6,203) | (6,407) | |
(注)各年度の基本的1株当たり利益(損失)は、ドイツ銀行株主に帰属する純利益を普通株式の平均流通株式数で除して計算されている。2025年の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとして支払われた761百万ユーロ(税引前)によって調整されており、そのうち2025年第2四半期に728百万ユーロ、また2025年第4四半期に32百万ユーロが計上された。2024年第2四半期、2023年第2四半期、2022年第2四半期および2021年第2四半期の利益(損失)は、その他Tier1資本証券のクーポンとしてそれぞれ支払われた574百万ユーロ、498百万ユーロ、479百万ユーロおよび363百万ユーロ(税引前)によって調整されている。
3【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(以下は、下記「(2)役員の状況-取締役会メンバーおよび監査役会メンバーの略歴」の項の取締役会および監査役会のメンバー(提出日現在)の記載を除き、主に当行の2025年の年次報告書に含まれる2025年度に関する報酬報告書および2026年2月6日付コーポレート・ガバナンス・ステートメントからの引用である。)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
取締役会
取締役会の手続
ドイツの株式会社としての法的形態に基づき、取締役会、監査役会および株主総会は、ドイツ銀行の会社の機関である。監査役会の構成に関する情報は、下記「監査役会-監査役会の構成に関わる目的、要件のプロファイル」の項に記載されている。株主総会では、監査役会における株主代表を選任する。監査役会は取締役会メンバーを選任し、経営を監査する。
ドイツ銀行の取締役会は、当行の利益のための持続的な価値の創造を目的として、法律、その定款および取締役会の職務権限規程に基づき、当行の経営に責任を負っている。取締役会は、株主、従業員およびその他の当行に関連するステークホルダーの利益を考慮する。取締役会メンバーは、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面を含め、当行の事業の管理について共同で責任を負っている。取締役会は、グループ取締役会として、統一的なガイドラインに従ってドイツ銀行グループの経営を行っており、すべてのグループ会社を統括管理する。
取締役会は、法律および定款に規定されるすべての事項について決定を行い、法的要件や内部ガイドラインの遵守(コンプライアンス)を確保する。取締役会はまた、適切な内部ガイドラインの策定および実施を確保するための必要な措置を講じる。取締役会の責任には、特に、当行の経営戦略および戦略的方向性、資源配分、財務会計および報告、内部管理およびリスク管理、事業組織の適切な機能化、当行業務の環境および社会への影響の体系的な特定および評価ならびに企業管理が含まれる。取締役会は、取締役会のもとに位置する上級管理職レベル、特にグローバルの主要役職者の任命を決定する。当行グループ内の経営幹部の選任に際しては、取締役会は多様性を考慮に入れ、特に、適切な女性比率を達成するよう努力する(詳細は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-社会的トピックに関する情報-自行従業員」の項に記載されている。)。取締役会は、協力的な信頼関係のもと、当行の利益のために、監査役会と緊密に連携する。取締役会は、少なくとも法律または管理ガイドラインに規定される範囲内において、特に当行グループが関係する戦略、意図する事業方針、計画、事業展開、リスク状況、リスク管理、従業員育成、レピュテーションおよびコンプライアンスに関わるすべての問題について監査役会に報告する。
当行の取締役会の職務、責任および手続に関する包括的な記述は、その職務権限規程に明記されており、その最新版は当行のウェブサイト(www.db.com/ir/en/documents.htm)上で公表されている。
サステナビリティ
取締役会は、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に関する欧州議会および欧州連合理事会指令第2013/34/EU号を補完する2023年7月31日付の委員会委任規則(EU)第2023/2772号に従い、重要なトピックを特定し、重要な影響、リスクおよび機会を管理するためのダブル・マテリアリティ評価プロセスの監督を行う。ダブル・マテリアリティ評価の結果の適切な監督を確実に行うため、ドイツ銀行は、上級管理者および確立されたガバナンス機関が関与する包括的な承認プロセスを実施している。当初、シニア・サーティファイング・オフィサー(Senior Certifying Officer)が、その権限内で重要なトピックに関する評価結果を正式に承認した。その後、サステナビリティ関連事項の主要なガバナンスおよび意思決定機関としての役割を担う当行のグループ・サステナビリティ委員会が、最終的な一連の重要なトピックを承認した。最後に、ダブル・マテリアリティ評価の結果の承認を受けるために取締役会に提出した(詳細は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント-全般情報-ダブル・マテリアリティ評価」の項に記載されている。)。
ダブル・マテリアリティ評価の結果は監査役会の監査委員会にも提出され、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-サステナビリティ・ステートメント」の項で説明されている。
業務分掌計画
共同責任の原則にもかかわらず、取締役会の業務分掌計画では、特定の業務分野に個々のメンバーの責任が配分されており、取締役会までの組織全体における職務分掌が確保されている。取締役会メンバーは、下位階層レベルにその職務を委任すること、およびそれぞれの業務上の職責の範囲内において責任を明確に割り当てることに責任を負う。かかる委任は、事業組織の適切な機能化のために必要であり、委任された職務および課題を適切に監督するという取締役会メンバーの責任に影響を及ぼすものではない。責任を委任された各個人は、その共同責任を遂行できるよう、取締役会に適切な情報を提供する責任を負う。
取締役会の研修
職業的専門家としての適性要件を満たすため、取締役会の継続的な研修制度が年間を通じて定期的に実施されている。この研修では、環境・社会・ガバナンスの問題に加え、法律、コンプライアンス、金融犯罪対策、データ管理、リスク管理および人事に関する数多くのトピックが扱われる。
監査役会
ドイツ銀行の監査役会メンバーは20名で構成されており、監査役会メンバーのうち10名は株主総会によって選任された株主代表であり、監査役会メンバーのうち10名は選任権限を有するドイツの従業員の代表団によって選任された従業員代表である。すべての監査役会メンバーは、当行の利益のために行動し、ドイツ銀行の利益のために監査役会の任務を遂行する同様の義務を負っている。監査役会の内部組織およびその委員会ならびにそのメンバーの要件は、ドイツ銀行法(KWG)の規則およびドイツ・コーポレート・ガバナンス規則の勧告だけでなく、特定の監督当局の要件に服する。当該要件は、とりわけ、ドイツ銀行法(KWG)、金融機関の報酬に係る規制(Institutsvergütungsverordnung(InstitutsVergV))、欧州銀行監督機構(EBA)および欧州証券市場監督機構(ESMA)のガイドラインならびに当行の健全性に関する監督当局としての欧州中央銀行の管理実務に基づいている。当該規制要件は、個別のケースにおいてはドイツ・コーポレート・ガバナンス規則の勧告と異なる場合がある。
監査役会は、取締役会メンバーを任命し、これを解任し、取締役会を監督し、これに助言を行い、また、当行の根幹に関わる重要な決定に直接関与する。また、監督および助言には、特にサステナビリティに関する問題も含まれる。ドイツ銀行法(KWG)の要件に従い、監査役会は、適用される健全性監督要件の遵守に関しても、取締役会を監督する。監査役会は、協力的な信頼関係のもと、当行の利益のために、取締役会と緊密に連携する。経営陣により遂行されるべき施策については、監査役会に移管することができない。
監査役会の承認手続を必要とする職務の種類は、ドイツ銀行の定款第13条第(1)項に明記されている。これらには、一般的な代理権の授与、不動産(対象額が500百万ユーロ超に相当する場合)の取得または処分、ドイツ銀行法(KWG)により金融機関の監査機関の承認を要する他の会社の持分の取得または他の持分(対象額が10億ユーロ超に相当する場合)の取得を含む貸付の供与が含まれる。さらに、監査役会は、承認を必要とする追加の取引を定めることができる。監査役会はまた、法定限度内で、効率性を高めるため、その承認実施に関する決定を委員会に委任することができる。
すべての職務権限規程は、監査役会により、随時(例えば、法律または規制要件の変更時)、ただし少なくとも年に1回見直され、更新される。これらについて、現在適用されている最新版がドイツ銀行のウェブサイト(www.db.com/ir/en/documents.htm)上で公表されている。
監査役会の開催回数およびその開催状況については、監査役会および監査役会委員会の職務の詳細とともに、年次報告書の一部である監査役会報告書に明記されている。
規制要件に従い、監査役会は、監査役会メンバー、監査役会会長およびその委員会委員長としての役割について候補者のプロファイルを記載した職位明細書を作成し、採択した。また、規制要件に従い、適性ガイドラインを発行した。このガイドラインは、経営組織のメンバーの選定、承継計画、再任/再選の原則、個別適性および集団適性を評価するための基準および手続を定めたものである。就任、研修および多様性に関するガイドラインもまた、規制要件に従い、適性ガイドラインの構成要素となっている。さらに、監査役会は要件のプロファイルを発行した(下記「監査役会の構成に関わる目的、要件のプロファイル-監査役会の要件のプロファイル」の項を参照のこと。)。加えて、監査役会には、そのメンバーの独立性評価に関するガイドラインおよび利益相反の取扱いに関するガイドラインがある。これらの文書についても、監査役会により随時、ただし少なくとも年に1回見直され、更新される。
監査役会は、法律または管理ガイドラインに規定される範囲内において、特に当行グループが関係する戦略、意図する事業方針、計画、事業展開、リスク状況、リスク管理、従業員育成、レピュテーションおよびコンプライアンスに関わるすべての問題について取締役会から報告を受ける。さらに、グループ内部監査は定期的に、また重大な不備が発生した場合は不当な遅滞なく、特定された不備について監査委員会に報告する。加えて、監査役会会長は、取締役会メンバーに関する重大な調査結果について報告を受ける。監査役会および取締役会は、情報制度に加え、規制上のトピックも網羅した一般エンゲージメント(相互関係)規約を採択した。これらは、監査役会への報告だけでなく、とりわけ、監査役会による照会や当行従業員からの情報提供の要請ならびにその会議の準備に関する情報交換および会議間の情報交換等についても定める。
監査役会は、取締役会不在でも定期的に開催される。これは、その委員会にも適用される。さらに、従業員代表および株主代表は、それぞれ定期的に事前審議を実施している。
監査役会会長は、特定の規制要件にも準拠しつつ監査役会が適切に機能するために重要な役割を果たしており、また指導的役割を担っている。監査役会会長は、監査役会の内部組織およびコミュニケーション、監査役会における職務の調整ならびに監査役会と取締役会の間のやり取りに関する内部ガイドラインおよび方針を策定することができる。監査役会会長は、監査役会関連の事項について必要に応じて投資家との議論を行い、また監査役会に対してかかる議論の内容を定期的に報告する。これらは、環境・社会・ガバナンス(ESG)のトピックも対象としている。監査役会会長は、当行の規制当局に対する監査役会の窓口担当であり、営業年度を通じて複数回にわたり協議を行っている。
会議と会議の間で、監査役会会長および(適切な場合は)監査役会委員会委員長は、取締役会メンバー、特に取締役会会長と定期的に連絡を取り、とりわけ、ドイツ銀行グループの戦略、計画、事業展開、リスク状況、リスク管理、リスク統制、ガバナンス、コンプライアンス、報酬制度、IT、データおよびデジタル化、サステナビリティならびに重大な訴訟案件の問題について協議する。監査役会会長および(それぞれの業務上の職責の範囲内において)監査役会委員会委員長は、ドイツ銀行グループの現状、動向および経営の評価にとって重要性の高い事象について、取締役会会長またはそれぞれ職責を担う取締役会メンバーから遅滞なく報告を受ける。監査委員会委員長は、また、監査委員会以外でも監査人と定期的な協議を行う。さらに、監査役会委員会委員長の一部もまた、当行の規制当局との協議に携わる。
就任イベントおよび研修イベント
新たに選任または任命された監査役会メンバー各々に対しては、新たな役職でのスタートを支援するため、指名委員会の予想される推薦を考慮に入れ、各々の知識および技能に応じて、個別に就任セッションおよび研修セッションが実施される。就任イベントは、当行、当行の取締役会、選ばれた上級管理者、監査人、グループ内部監査への紹介も兼ねている。新たなメンバーは、目的に応じた追加の研修セッションを通じて、各自の知識を拡大させ、充実させる。指名委員会は、これらの研修セッションの進捗状況や参加状況について、定期的に報告を受ける。
また、監査役会全体で、目下のトピックに関する定期的な研修セッションも実施される。
承継計画および多様性
ドイツ銀行法(KWG)に従い、取締役会メンバーは職業的専門家としての適性を有し、信頼性を有し、その職務に十分な時間を費やすものとする。監査役会は、個々のメンバーの適格性および取締役会全体としての適格性(集団適性)も評価する。その際、ジェンダー、国籍、年齢だけでなく経歴およびマインドセットの多様性も重要な役割を果たす。指名委員会は、適用される法定要件および規制要件を考慮に入れ、当行の取締役会で職責を果たす適切な内部および外部の候補者の特定において、監査役会を支援する。このため、同委員会は、候補者のプロファイルおよび取締役会メンバーとして関わる時間的コミットメントのステートメントを記載した職位明細書ならびに知識、信頼性および時間的余裕を評価するためのアンケートを策定した。指名委員会および監査役会は、取締役会の視点からの承継計画のための内部の候補者(人材パイプライン)およびそのプロセスに関する報告書を、取締役会から定期的に受領する。監査役会メンバーは、監査役会およびその委員会の会議ならびに当行内のイベントにおいて、選ばれた上級管理者と面談する機会を持つ。監査役会は、持続可能で理想的に多様な承継計画を目的として、ジェンダーの多様性も考慮に入れ、外部のサービス提供者とも連携する。
適切な候補者(外部か内部かを問わない。)を選定するため、指名委員会は、当行の戦略的目標、取締役会の業務上の職責の分野、候補者の適性、信頼性および時間的余裕ならびに取締役会メンバー全員の知識、技能および経験のバランスおよび多様性を考慮する一方、多様性原則も考慮する。取締役会の役職への任命は、常に当行の利益のために行われる。指名委員会の推薦を基に、会長統括委員会は、監査役会の決議のための推薦案を提出する。監査役会は、これに基づき取締役会メンバーの任命を決定する。最初の任命期間は、最長3年である。取締役会メンバーは、一または複数の任期で再任されることができ、任期は法律に従い最長5年となる可能性があるが、ドイツ銀行では通常、かかる再任も最長3年とする。
新たに任命された取締役会メンバー各々に対しては、指名委員会の予想される推薦を考慮に入れ、各々の知識および技能に応じて、個別に就任セッションおよび研修セッションが実施される。指名委員会は、これらの研修セッションの進捗状況および参加状況について、定期的に報告を受ける。
株式会社法(Aktiengesetz(AktG))は、証券取引所に上場され、ドイツ銀行のように取締役会メンバーが3名以上の会社は、取締役会メンバーとして少なくとも女性1名および男性1名を任命しなければならないと要求しており、これが満たされない場合は任命が無効となる。また、取締役会における多様性の推進は監査役会にとって非常に重要なことであり、例えば、ジェンダー、国籍、年齢ならびに異なる経歴およびマインドセット等、監査役会は、取締役会の多様性に積極的に取り組んでいる。監査役会は、ドイツ株式会社法(AktG)第76(3a)条に従い、取締役会に関して法律上要求される最低限のジェンダー参加を考慮に入れ、取締役会の女性比率を持続的かつ継続的に引き上げるよう努力する。2025会計年度において、取締役会の女性比率は22.2%であった。適切な内部の女性候補者数をさらに増加させるために、監査役会は、取締役会が取締役会の直下にある上級管理職に女性を任命するための目標を設定し、また、当該目標を取締役会の新たな報酬制度の長期的な運用指標に組み込んだ(詳細は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-報酬報告書-事業年度における報酬制度の適用-長期報奨(LTI)」の項を参照のこと。)。監査役会は、施策および進行中の進捗状況について、取締役会と定期的に協議を行う。
監査役会はまた、報酬管理委員会の提案に基づき、取締役会の個々のメンバーの報酬の総額を決定し、取締役会の報酬制度について定期的に見直しも行い、これを決議する。これに関する詳細は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-報酬報告書」の項に記載されている。
自己評価
指名委員会および監査役会は、監査役会および取締役会ならびにこれらの職務の評価を定期的に検討しており、かかる検討はドイツ銀行法(KWG)第25d条に基づく法律に定められるとおり、少なくとも年に1回実施される。これは、ドイツ・コーポレート・ガバナンス規則(GCGC)第D.12条に基づく勧告に従った監査役会の自己評価でもある。
2024年7月23日の会議において、指名委員会は評価の枠組みおよびスケジュールについて検討した。指名委員会は、2025年の報告期間の評価は外部の支援を受けて実施されることを決議した。指名委員会は、評価の進捗状況について、定期的に監査役会に報告した。これに携わる外部アドバイザーは、2024年10月23日に開催された監査役会向けワークショップを実施した。この評価は、基本的に、監査役会、監査役会委員会および取締役会の業務に関する広範なアンケートのみならず、取締役会および監査役会の個々のメンバーとの面接に基づいて行われた。評価の結果の最終審議および承認は、2025年3月13日の監査役会全体会議において行われ、その結果が最終書面報告書に記載された。監査役会は、監査役会および取締役会が高い水準を達成し、特に取締役会メンバーおよび監査役会メンバーの専門的資質、個人的信頼性および時間的余裕に関して懸念がないとの見解を引き続き有している。
監査役会の構成に関わる目的、要件のプロファイル
監査役会の構成は、国際的に事業を行い、広く各国に拠点を置く銀行の取締役会に対して効果的かつ適切な管理および助言ができることを確保するべきである。各メンバーの職務遂行への適性は、指名委員会および監査役会による内部監査ならびに規制当局による外部監査の双方から評価、判断され、また継続的に監視される。この適性評価では、個々のメンバーの専門知識、信頼性および時間的余裕(個別適性)を評価対象とする。さらに、監査役会の職務遂行に必要な監査役会全体の知識、技能および経験(集団適性)の評価も行われる。任期が承認された後に欧州中央銀行(ECB)による監査役会メンバーの適性評価に合格すること、およびドイツ銀行における全任務期間中に監査役会メンバーの適性を継続的に保つことは、監査役会メンバーが業務を遂行する上で必須の規制上の前提条件となっている。
監査役会の業務効率ならびにステークホルダーおよび規制当局に対する透明性を高めるため、監査役会は2022年に「要件のプロファイル」を採択した。これは毎年、当行の戦略的開発およびターゲット・オペレーティング・モデルを踏まえて見直され、必要に応じて更新される。要件のプロファイルは、ドイツ銀行の取締役会の監視および助言に必要な監査役会の一般専門分野および拡大された専門分野を定めている。要件のプロファイルは、株主代表の選任に関する株主総会への提案を策定する際、ならびに監査役会およびそのメンバーの研修に関する個別および集団的な必要性を決定する際に、定期的に考慮される。同様に、各委員会のメンバーを任命する際にも要件のプロファイルは考慮される。
監査役会の要件のプロファイル
監査役会はその要件のプロファイルにおいて、一般専門分野を定め、専門分野を拡大した。
一般専門分野
理想的には、監査役会のすべてのメンバーがこれらの個人資格を保有していることである。
- 商業ビジネス上の問題の理解
- 分析的かつ戦略的なマインドセット
- ドイツのコーポレート・ガバナンス制度の理解およびその結果としての監査役会メンバーの職責の理解
- ドイツ銀行のビジネス・モデルおよび構造の理解
- (i)銀行業務、金融サービス、金融市場および金融業界(当行の国内市場および欧州以外の当行の主要市場を含む。)の分野における知識、ならびに(ii)当行にとっての顧客、市場の期待および事業環境の知識といった金融サービス・セクターの基本的理解
これらの専門分野の達成状況は、資格マトリックスの概要の「一般専門分野」という行に報告されている。
拡大された専門分野
これらの専門分野は、全体として監査役会に言及している(集団適性)。監査役会は、全体として、ドイツ銀行の規模および複雑性に応じて適切な特定専門分野を理解していなければならない。これらは、当行のビジネス・モデルおよび当行に適用される特定の法令に基づいている。かかる専門分野は、以下のとおりである。
会計(サステナビリティに関する報告を含む。)
- 会計(国際財務報告基準(IFRS)およびドイツ商法(HGB)を含む。)および年次財務諸表の監査
- 税務
規制の枠組みおよび法的要件
- 当行が主要業務を行っている国における主要な法的枠組みの状況の理解
- 当行の主要関連法制度の理解
- 大企業の業務執行経営陣/監査役会における経験
- 規制の枠組みおよび法的要件、特に、当行に関連する法制度の知識
- 国内市場における社会上、政治上および規制上の期待の知識
人的資本、報酬および企業文化
- 人事および従業員の管理
- 報酬および報酬制度
- 経営陣メンバーの選定手続およびその適性評価
- 企業文化
リスク管理
- リスク管理(財務および非財務リスクの調査、評価、軽減、管理および統制、自己資本および流動性の管理、株式保有)
- マネーロンダリング防止ならびに金融犯罪およびテロ資金供与の防止
情報技術、データおよびデジタル化
- デジタル化(デジタル・バンキングを含む。)
- データ(データ・ガバナンスを含む。)
- 情報技術(IT)、ITシステムおよびITセキュリティ(サイバー・リスクを含む。)
戦略、変革および環境・社会・ガバナンス(ESG)の問題
- ビジネス・モデルの戦略的計画およびリスク戦略ならびにそれらの実施
- 気候およびその他の環境側面
- 社会的および政治的な期待(特に国内市場)ならびにそれらが企業の社会的責任に与える影響に関する知識
- 会社の目的
金融機関の組織構造および管理
- ガバナンス
- 大規模かつ国際的な規制企業の経営
- 当行の内部組織
- 内部監査
- コンプライアンスおよび内部管理
当行のビジネス・モデルを適切に反映させるために、監査役会は、専門的資格だけでなく、様々な顧客セグメントおよび異なる販売市場における資格および経験も証明する。
顧客セグメント
- プライベート・バンキングおよびウェルス・マネジメント
- コーポレート・バンキング
- インベストメント・バンキング
- アセット・マネジメント
地域の専門知識
- ドイツ
- 欧州
- 米州
- アジア太平洋(APAC)
監査役会は、その構成に関して定められた具体的な目的および要件のプロファイル(以下の資格マトリックスに示される。)を遵守していると確信している。監査役会メンバーは、全体として、その職務を適切に完遂するための知識、能力および専門家としての経験を有している。
構成および専門
| ア レ キ サ ン ダ │ ・ ワ イ ナ ン ツ | ス ザ ン ネ ・ ブ ラ イ ト | メ イ リ │ ・ ク ラ │ ク | ヤ ン ・ ド ゥ シ ェ ッ ク | マ ン ジ ャ ・ エ イ フ ァ │ ト | ク ラ ウ デ ィ ア ・ フ ィ │ バ │ | ジ グ マ │ ・ ガ ブ リ エ ル | フ ロ リ ア ン ・ ハ ゲ ン ミ ラ │ | テ ィ モ ・ ハ イ ダ │ | ク ラ ウ ス ・ ム | ス マ イ ヤ | | カ | ス テ ィ ・ ロ ス | フ ラ ン ク ・ シ ュ ル ツ | ゲ ル リ ン デ ・ シ │ ベ ル ト | イ ン グ ヴ ィ ・ ス リ ン グ ス タ ッ ド | ス テ フ ァ ン ・ ツ カ ル ス キ │ | ジ ョ ン ・ セ イ ン | ユ ル ゲ ン ・ テ │ ゲ ル | ミ シ ェ ル ・ ト ロ │ ニ | ノ │ ル ベ ル ト ・ ヴ ィ ン ケ ル ヨ ハ ン | フ ラ ン ク ・ ヴ ィ ッ タ │ | ||
| メ ン バ │ | オーバーボーディングでないこと* | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 独立性** | ✓ | ER | ✓ | ER | ER | ER | ✓ | ER | ER | ✓ | ✓ | ER | ER | ✓ | ER | ✓ | ER | ✓ | ✓ | ✓ | |
| 専 門 知 識 | 一般専門分野 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 会計および報告(サステナビリティに関する報告を含む。) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||||
| 監査委員会の財務専門家*** | ◆ | ◆ | |||||||||||||||||||
| 会計分野の専門知識*** | ◆ | ◆ | |||||||||||||||||||
| 監査分野の専門知識*** | ◆ | ◆ | |||||||||||||||||||
| 規制の枠組みおよび法的要件 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| 人的資本、報酬および企業文化 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
| 報酬管理委員会の報酬専門家*** | ◆ | ◆ | ◆ | ||||||||||||||||||
| リスク管理 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||
| 情報技術、データおよびデジタル化 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||||
| 戦略、変革およびESG | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
| 金融機関の組織構造および管理 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
| 顧 客 / 事 業 の 専 門 知 識 | プライベート・バンキングおよびウェルス・マネジメント | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||
| コーポレート・バンキング | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| インベストメント・バンキング | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||||||||
| アセット・マネジメント | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||||||||||||
| 地 域 の 専 門 知 識 | ドイツ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||
| 欧州 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||||
| 米州 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||||||
| APAC | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||||
✓ 深く専門的な知識/専門家
◆ 法律および/または監督規制により要求される規制の専門家/専門知識
ER 従業員代表
* オーバーボーディングでないことの定義:監査役会のすべてのメンバーは、ドイツ銀行の他、様々な会社において認められる数の取締役を務めている。オーバーボーディング、すなわち、別の企業において認められない数の取締役の地位を保持することは、ドイツ銀行法(KWG)第25d(3)条の法的規制に基づき判断される。
** 独立性の定義:株主によって選出された、または選出される監査役会メンバーは、ドイツ銀行、その経営陣、株主またはドイツ銀行グループの会社との間に、現在または過去の(i)事業上の、(ii)個人的な、または(iii)その他の、監査役会メンバーの職務遂行に影響を及ぼしドイツ銀行に不利益をもたらす可能性のある当該メンバーの個人の利益または当該メンバーが代表する第三者の利益を構成する、関係もしくは提携が存在しない場合に、独立しているとみなさる。ドイツ・コーポレート・ガバナンス規則(GCGC)第C.6条(1)の前半の文章に従った、株主を代表する監査役会のメンバーは、適切な人数の独立したメンバーとみなされる者で構成されるという規定が、結果として遵守されている。当行には現在、支配株主はいない。
*** 下記「(3)監査の状況-監査および統制」の項に記載される専門家の定義
監査役会メンバーの通常の定年は70歳である。正当な理由がある個別の場合においては、監査役会メンバーは、最長で70歳を迎えた後4回目に開催される定時株主総会の終了時までを期限とする任期で選任または任命されることができる。この定年制は、株主総会への選任提案において考慮されており、また次回の監査役会メンバーの選任または今後欠員となる監査役会メンバーの後任者の任命についても考慮されるものとする。
監査役会は、メンバーの候補者の提案にあたって多様性を重視する。ドイツ銀行が海外事業を展開していることに照らして、監査役会メンバーには、適切な人数の長年にわたる海外経験者が置かれるよう留意するべきである。現在、監査役会メンバーのうち6名は、その専門的職務または生活の本拠をドイツ国外に置いている。さらに、監査役会の株主代表は全員、現在または過去の職務において、例えば、海外事業を行う会社または組織の取締役会メンバーもしくは最高経営責任者またはこれと同等の執行職として長年の海外経験を有している。監査役会は、これら二つの点により、当行の海外事業については十分に考慮されていると確信している。その目的は、当行の現在の国際的な特性を維持することにある。
2008年に行われた監査役会メンバーの選任以降、候補者選定プロセスに女性を含めることを適切に考慮することの重要性が既に認識されてきた。株主総会への選任提案について、監査役会は、指名委員会の推薦や、監査役会の女性比率および男性比率がいずれも30%以上であることを求める法的要件を考慮する。すなわち、新たな監査役会メンバー選任または今後欠員となる監査役会メンバーの後任者の任命のための候補者を検討する際には、適格性のある女性が候補者選定プロセスに含まれ、選任提案において適切に考慮される。当営業年度末現在で、従業員代表側においては4名の女性および6名の男性、また、株主代表側においては3名の女性および7名の男性が監査役会メンバーであった。監査役会には合計7名の女性が在籍しており、これは35%に相当する。したがって、何年も前から現在に至るまで、法定の最低限である30%を満たしてきたことになる。
監査役会メンバーの平均年齢は、58.4歳であった。年齢構成は41歳から70歳までと多様で、一般的な定義によるところの3世代に及ぶ。
ドイツ銀行の監査役会メンバーの在任期間は、当営業年度末現在で1年未満から13年程度であった。2025年12月31日現在の監査役会メンバーの平均在任期間は、4.63年であった。
監査役会メンバーの学歴および職務経歴には、銀行業務、企業経営、経済、監査、法律、ドイツ研究、政治学、電子工学、情報システム、医療および化学が含まれる。監査役会メンバーの経歴は、ドイツ銀行のウェブサイト(www.db.com/ir/en/supervisory-board.htm)において公表されている。
監査役会メンバーは、主要な競合他社の経営陣として職務を執行し、またはこれに対する監督義務のある職務に就かない。監査役会メンバーに関する一時的なものではない重大な利益相反は、当該メンバーの監査役としての任期の終了をもたらすものとする。監査役会は、潜在的な利益相反の特定、取扱い、軽減および文書作成に関するガイドラインを発行した。
監査役会メンバーは、ドイツ銀行法(KWG)第25d条に従い、またドイツ・コーポレート・ガバナンス規則(GCGC)第C.4条および第C.5条に基づく勧告に従い、認められる数を超える数の監査役会の職務権限または同様の要件を有する会社の監督機関の職務権限を保有してはならない。ドイツ銀行の監査役会メンバーは、同時に最大五つの企業(ドイツ銀行を含む。)の監督機関のメンバーを務めることができる。監査役会メンバーが会社の業務執行取締役でもある場合、監査役会メンバーは、同時に最大三つの企業(ドイツ銀行を含む。)の監督機関のメンバーを務めることができる。これに該当するかを判断する決定的な要因は、現地の法律を考慮した監督当局の規制要件である。法令上の規制の遵守は、規制当局により継続的に監視される。取締役のオーバーボーディングが発生した場合、監督当局は、ドイツ銀行が監査役会メンバーの任命を無効とし、この監査役会メンバーの職務遂行を禁止するよう要求することができる。前営業年度において、監査役会の兼任の許容数に関する要件は満たされていた。
欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)2 GOV-1 21.(e)に基づく開示要件およびこれに規定された「独立取締役」の定義に関して、ESRSの意味において、監査役会メンバーの100%が独立している。前営業年度において、監査役会には元取締役会メンバーは在籍していなかった。
監査役会の一部のメンバーは、ドイツ銀行が取引関係を有する他の会社において高い地位に就いているかまたは前年においてこれに就いていた。これらの会社とのドイツ銀行の取引は、無関係の第三者との取引と同一の条件で実行された。取締役会および監査役会の意見では、これらの取引は関係する監査役会メンバーの独立性に影響を及ぼすものではなかった。
2025年には、監査役会のもとに、会長統括委員会、指名委員会、監査委員会、リスク委員会、報酬管理委員会、戦略およびサステナビリティ委員会、テクノロジー、データおよびイノベーション委員会ならびに仲裁委員会(同委員会は必要な場合に会合が開かれる。)の八つの常設委員会が設置されていた。規制監視委員会は、2025年5月22日付で解散した。
会長統括委員会
会長統括委員会は、当報告期間において14回開催され、そのうち5回は指名委員会と共に開催された。現地で4回、ビデオ会議で9回、またハイブリット会議で1回開催された。定例会議が5回、臨時会議が9回開催された。会長統括委員会は、コーポレート・ガバナンスに関する議題および法的問題ならびに監査役会間の継続的な議題に加え、取締役会および監査役会に関する事項を綿密に検討した。また、会長統括委員会は、監査役会全体会議に向けて準備した。とりわけ、これには、2025年5月22日の規制監視委員会の解散に向けた準備およびそれに関連した同委員会の職務の他の監査役会委員会への再割当てが含まれた。
会長統括委員会は、年次株主総会準備に加え、指名委員会と協議の上で行う取締役会の人事異動に関する準備(業務上の職責の範囲の調整を含む。)、取締役会の役務契約、監査役会が責任を負う職務権限規程および監査役会内部文書において必要な範囲内での検討および変更に対応した。
当委員会は、取締役会メンバーの社外登用、取締役会の現および元メンバーに対する費用負担および支援サービス/給付の負担、監査役会のアドバイザーに対する費用ならびに監査役会の全株主代表による任意の自己コミットメント(監査役会の報酬の一部を当行の株式に投資するというもの)を検討した。また、会長統括委員会は、監査役会による委任を受けて、当行のその他Tier1資本証券(AT1証券)の発行について取り上げた。
指名委員会
指名委員会は、当報告期間中、会長統括委員会との臨時会議2回を含め、合計9回開催された。定例会議が5回、臨時会議が4回開催された。現地で4回、ビデオ会議で4回、またハイブリッド会議で1回開催された。指名委員会は、法令上および規制上の要件、職位明細書、多様性の原則ならびに監査役会の要件のプロファイルを考慮しつつ、取締役会および監査役会の承継計画の側面について広範に検討した。指名委員会は、会長統括委員会と協議の上、業務分掌計画の修正を含め、戦略の次の段階に向けた取締役会の調整についての監査役会の決定に関する提案を準備した。これには、ラジャ・アクラム氏の2026年1月1日付での取締役への任命および2026年3月15日付でのチーフ・ファイナンシャル・オフィサーとしての職責の割当て、クリスティアン・ゼーヴィング氏の取締役会の役務契約の2029年4月30日までの更新、ファブリツィオ・カンペリ氏の取締役の任命の2028年10月31日までの延長およびクラウディオ・デ・サンクティス氏の取締役の任命の2029年6月30日までの延長、ならびに2025年4月30日をもって当行を退職したシュテファン・シモン氏の取締役の任命の終了が含まれた。さらに、ベルント・ロイケル氏の取締役の任命の2026年6月30日までの延長についての決議案が準備された。指名委員会は、2025年および2026年にそれぞれ予定されている監査役の選任に向けた適切な候補者に対する要件のプロファイルを綿密に検討した。これに関連して、指名委員会は、2025年5月22日の年次株主総会でのクラウス・ムースマイヤー氏およびカースティ・ロス氏の監査役への選任ならびにジグマー・ガブリエル氏およびフランク・ヴィッター氏の監査役への再選に関する提案を提出した。また、当委員会は、2026年の年次株主総会への選任提案を検討し、アレキサンダー・ワイナンツ氏を監査役会会長としてさらに4年の任期で指名する準備をした。アレキサンダー・ワイナンツ氏は、指名委員会委員長としての職務上、同氏の指名に関する審議への参加を控え、決議案の採択において棄権した。2025年5月22日の新たな監査役への選任および規制監視委員会の解散の結果、会長統括委員会と協議の上、委員会の構成についての調整が準備された。また、当委員会は、当行の内部方針および手続の定期的な見直しに加え、取締役会および監査役会の新メンバーに対する就任プログラム、取締役会および監査役会の研修、適性(「適合性」)についての継続的な議題も取り上げた。その他、ドイツ銀行法(KWG)第25d条第(11)項に基づく監査役会および取締役会の年次評価ならびに当行および取締役会のレベルでの多様性の推進等が議題となった。2024年営業年度の評価は独立した外部アドバイザーの支援を得て実施され、その結果は2025年3月に指名委員会および監査役会全体で審議された。
報酬管理委員会
報酬管理委員会は、会長統括委員会との共同会議2回を含め、2025年に5回開催された。現地で2回、ハイブリッド会議で2回、またビデオ会議で1回開催された。当委員会ではとりわけ、取締役会および従業員の報酬制度の設計の監視を行い、リスク委員会とともに、2024年営業年度の報酬制度および変動報酬が、リスク、資本および流動性の状況に与える影響を評価した。報酬責任者は報酬管理報告書を提出し、その後、当委員会で審議された。報酬管理委員会は、取締役会メンバーの目標報酬額およびその適切性、2025年の目標、また、2024年の取締役会の変動報酬の決定に関する提案を監査役会に提出した。取締役会の人事異動を踏まえ、当委員会は、報酬決定およびそれに伴う個人目標の調整にも対応した。さらに、報酬に関する規制の動向および規制の結果の改善について検討し、外部アドバイザーの支援も得て、取締役会(元)メンバーの変動報酬の要素の停止、没収、クローバックの前提条件の有無の検討にも取り組んだ。また、必要な範囲で、監査役会全体会議に提出する決議案を採択し、決議案に関する推薦事項を作成した。もう一つの焦点は、取締役会および監査役会の報酬に関する報告書への対応であった。当該報告書は、年次株主総会での承認のために提出され、その後、監査意見書とともに公表されることになっていた。2025年の年次株主総会の後、報酬管理委員会は、内部部門の支援を得て、報酬報告書の透明性の向上に関する推薦事項を作成し、これは2025年営業年度に実施された。報酬管理委員会は、監査役会が財務諸表監査人に2025年の報酬報告書の内容の追加監査を要求することを提案する決議案を審議し、これを採択した。さらに、当委員会は、重要なリスク・テイカーの特定、2024年営業年度の変動報酬総額の決定ならびに管理部門の責任者の報酬に関する決定を監視した。また、報酬管理委員会は、法的規制ならびに内部および外部の規則、方針および手続の違反に対処(結果管理)するために、報酬制度において利用可能な措置の利用状況および有効性を検討した。内部部門および外部アドバイザーの支援を得て、報酬管理委員会は監査役会の報酬を検討した。
委員会への出席率
当報告期間中、監査役会メンバーの監査役会およびメンバーとなっていた委員会の会議への出席状況は以下のとおりである。会議への出席は対面またはビデオ会議で行われ、電話での出席はなかった。
| 会議数/出席率(%) | 監査役会 | 会長統括委員会 | リスク委員会 | 監査委員会 | 指名委員会 | |||||
| アレックス・ワイナンツ (Wynaendts, Alex) (監査役会会長) | 8/9 | 89 | 13/14 | 93 | 8/8 | 100 | 9/9 | 100 | ||
| スザンネ・ブライト (Bleidt, Susanne) | 9/9 | 100 | 5/5 | 100 | ||||||
| メイリー・クラーク (Clark, Mayree) | 9/9 | 100 | 8/8 | 100 | 9/9 | 100 | ||||
| ヤン・ドゥシェック (Duscheck, Jan) | 9/9 | 100 | 7/8 | 88 | ||||||
| マンジャ・エイファート (Eifert, Manja) | 9/9 | 100 | 5/5 | 100 | ||||||
| クラウディア・フィーバー (Fieber, Claudia) | 9/9 | 100 | 3/3 | 100 | 5/5 | 100 | ||||
| ジグマー・ガブリエル (Gabriel, Sigmar) | 9/9 | 100 | 2/2 | 100 | ||||||
| フロリアン・ハゲンミラー (Haggenmiller, Florian) | 9/9 | 100 | ||||||||
| ティモ・ハイダー (Heider, Timo) | 9/9 | 100 | 13/13 | 100 | 9/9 | 100 | ||||
| クラウス・ムースマイヤー (Moosmayer, Klaus) | 5/5 | 100 | 4/4 | 100 | 2/2 | 100 | ||||
| カースティ・ロス (Roth, Kirsty) | 5/5 | 100 | ||||||||
| フランク・シュルツ (Schulze, Frank) | 9/9 | 100 | 14/14 | 100 | 9/9 | 100 | ||||
| ゲルリンデ M. シーベルト (Siebert, Gerlinde M.) | 9/9 | 100 | 5/5 | 100 | 4/4 | 100 | ||||
| イングヴィ・スリングスタッド (Slyngstad, Yngve) | 9/9 | 100 | ||||||||
| ステファン・ツカルスキー (Szukalski, Stephan) | 9/9 | 100 | 8/8 | 100 | 1/1 | 100 | ||||
| ジョン・セイン (Thain, John) | 7/9 | 78 | ||||||||
| ユルゲン・テーゲル (Tögel, Jürgen) | 9/9 | 100 | ||||||||
| ミシェル・トローニ (Trogni Michele) | 7/9 | 78 | 8/8 | 100 | ||||||
| ダグマー・バルカルセル (Valcárcel, Dagmar) | 4/5 | 80 | 3/3 | 100 | ||||||
| テオドール・ヴァイマー (Weimer, Theodor) | 4/5 | 80 | 3/3 | 100 | ||||||
| ノールベルト・ヴィンケルヨハン (Winkeljohann, Norbert) | 9/9 | 100 | 14/14 | 100 | 8/8 | 100 | 5/5 | 100 | 9/9 | 100 |
| フランク・ヴィッター (Witter, Frank) | 8/9 | 89 | 5/5 | 100 | ||||||
| 合計 | 95 | 98 | 99 | 100 | 100 | |||||
| 会議数/出席率(%) | 報酬管理委員会 | 規制監視委員会 | 戦略およびサステナビリティ委員会 | テクノロジー、データおよびイノベーション委員会 | 合計 | |||||
| アレックス・ワイナンツ (Wynaendts, Alex) (監査役会会長) | 5/5 | 100 | 1/1 | 100 | 6/6 | 100 | 3/4 | 75 | 53/56 | 95 |
| スザンネ・ブライト (Bleidt, Susanne) | 4/4 | 100 | 18/18 | 100 | ||||||
| メイリー・クラーク (Clark, Mayree) | 5/6 | 83 | 31/32 | 97 | ||||||
| ヤン・ドゥシェック (Duscheck, Jan) | 4/5 | 80 | 1/1 | 100 | 21/23 | 91 | ||||
| マンジャ・エイファート (Eifert, Manja) | 4/4 | 100 | 18/18 | 100 | ||||||
| クラウディア・フィーバー (Fieber, Claudia) | 5/5 | 100 | 22/22 | 100 | ||||||
| ジグマー・ガブリエル (Gabriel, Sigmar) | 11/11 | 100 | ||||||||
| フロリアン・ハゲンミラー (Haggenmiller, Florian) | 6/6 | 100 | 3/4 | 75 | 18/19 | 95 | ||||
| ティモ・ハイダー (Heider, Timo) | 3/3 | 100 | 1/1 | 100 | 35/35 | 100 | ||||
| クラウス・ムースマイヤー (Moosmayer, Klaus) | 2/2 | 100 | 13/13 | 100 | ||||||
| カースティ・ロス (Roth, Kirsty) | 2/2 | 100 | 7/7 | 100 | ||||||
| フランク・シュルツ (Schulze, Frank) | 6/6 | 100 | 38/38 | 100 | ||||||
| ゲルリンデ M. シーベルト (Siebert, Gerlinde M.) | 1/1 | 100 | 19/19 | 100 | ||||||
| イングヴィ・スリングスタッド (Slyngstad, Yngve) | 2/2 | 100 | 11/11 | 100 | ||||||
| ステファン・ツカルスキー (Szukalski, Stephan) | 1/1 | 100 | 19/19 | 100 | ||||||
| ジョン・セイン (Thain, John) | 6/6 | 100 | 13/15 | 87 | ||||||
| ユルゲン・テーゲル (Tögel, Jürgen) | 5/5 | 100 | 6/6 | 100 | 20/20 | 100 | ||||
| ミシェル・トローニ (Trogni, Michele) | 4/4 | 100 | 19/21 | 90 | ||||||
| ダグマー・バルカルセル (Valcárcel, Dagmar) | 3/3 | 100 | 1/1 | 100 | 11/12 | 92 | ||||
| テオドール・ヴァイマー (Weimer, Theodor) | 7/8 | 88 | ||||||||
| ノールベルト・ヴィンケルヨハン (Winkeljohann, Norbert) | 5/5 | 100 | 50/50 | 100 | ||||||
| フランク・ヴィッター (Witter, Frank) | 13/14 | 93 | ||||||||
| 合計 | 97 | 100 | 98 | 93 | 97 | |||||
(2)【役員の状況】
男性22名、女性10名(役員のうち女性の比率31.3%)(提出日現在)
取締役会メンバーおよび監査役会メンバーの略歴
| 取締役会 | |||
|---|---|---|---|
| 氏 名 (生年月日) | 役 職(担当) | 略歴 初回就任年 任期満了年 | 所有株式数 (株)(注1) |
| クリスティアン・ゼーヴィング (Christian Sewing) (1970年4月24日) | 取締役会会長(CEO) | 1989年入行 2015年取締役就任 任期満了年:2029年 | 443,605 |
| ジェームス・フォン・モルトケ (James von Moltke) (1969年4月18日) | プレジデント兼チーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)(2026年3月14日まで)兼アセット・マネジメント責任者(2026年4月30日まで) | 2017年入行 2017年取締役就任 任期満了年:2026年 | 243,567 |
| ラジャ・アクラム(注2) (Raja Akram) (1972年5月9日) | チーフ・ファイナンシャル・オフィサー | 2025年入行 2026年取締役就任 任期満了年:2028年 | 0 |
| ファブリツィオ・カンペリ (Fabrizio Campelli) (1973年4月14日) | コーポレート・バンクおよびインベストメント・バンク統括責任者 | 2004年入行 2019年取締役就任 任期満了年:2028年 | 248,460 |
| マルクス・クロミク(注3) (Marcus Chromik) (1972年5月13日) | チーフ・リスク・オフィサー(CRO) | 2025年入行 2025年取締役就任 任期満了年:2028年 | 6,854 |
| マリー=ジャンヌ・デヴェルダン(注4) (Marie-Jeanne Deverdun) (1976年4月13日) | チーフ・テクノロジー・データ・アンド・イノベーション・オフィサー(2026年5月1日から) | 2010年入行 2026年取締役就任 任期満了年:2029年 | 260,904 |
| ステファン・フープス(注4) (Stefan Hoops) (1980年1月29日) | アセット・マネジメント責任者(2026年5月1日から) | 2003年入行 2026年取締役就任 任期満了年:2029年 | 0 |
| ベルント・ロイケル (Bernd Leukert) (1967年5月31日) | チーフ・テクノロジー・データ・アンド・イノベーション・オフィサー(2026年4月30日まで)兼取締役会メンバー(2026年6月30日まで) | 2019年入行 2020年取締役就任 任期満了年:2026年 | 40,006 |
| アレクサンダー・フォン・ツァ・ミューレン (Alexander von zur Mühlen) (1975年8月6日) | アジア太平洋、欧州、中東およびアフリカ(EMEA)ならびにドイツ地域チーフ・エグゼクティブ・オフィサー | 1998年入行 2020年取締役就任 任期満了年:2029年 | 547,664 |
| ローラ・パドヴァーニ (Laura Padovani) (1966年2月16日) | チーフ・コンプライアンス・オフィサー兼アンチ・フィナンシャルクライム・オフィサー | 2023年入行 2024年取締役就任 任期満了年:2027年 | 3,477 |
| クラウディオ・デ・サンクティス (Claudio de Sanctis) (1972年11月29日) | プライベート・バンク統括責任者 | 2018年入行 2023年取締役就任 任期満了年:2029年 | 309,045 |
| レベッカ・ショート (Rebecca Short) (1974年11月10日) | チーフ・オペレーティング・オフィサー | 1998年入行 2021年取締役就任 任期満了年:2027年 | 101,961 |
(注1)特に記載のない限り、2026年2月6日現在の所有株式数を記載している。
(注2)2026年1月1日から取締役会メンバーである。
(注3)2025年5月1日から取締役会メンバーである。
(注4)2026年5月1日から取締役会メンバーである。
取締役全員の業務上の住所は、ドイツ、60325 フランクフルト・アム・マイン、タウヌスアンラーゲ12である。
取締役は、当行の事業遂行について共同で責任を負っている。取締役会は、法律、定款または取締役会の職務権限規程により取締役会の決議によることが要請されているすべての事項について決議する。取締役会は、そのメンバーの過半数をもって決議の定足数を構成する。取締役会の決議は、決議に加わった取締役の過半数によって決せられる。賛否同数の場合は、取締役会会長の投票により決せられる。
取締役は、法律および取締役会の職務権限規程の許容する範囲内で、他の会社の監査役を兼任することができる。
| 監査役会 | |||
|---|---|---|---|
| 氏 名 (生年月日) | 役職/担当 | 略歴/初回就任年/任期満了年 | 所有株式数 (株)(注1) |
| アレキサンダー・ワイナンツ (Alexander Wynaendts) (1960年8月1日) | 監査役会会長 | 初回就任年:2022年 任期満了年:2030年 | 10,392 |
| フランク・シュルツ(*) (Frank Schulze) (1968年3月9日) | 監査役会副会長 | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | 598 |
| ノールベルト・ヴィンケルヨハン(Prof. Dr. Norbert Winkeljohann) (1957年11月5日) | 監査役会副会長 | ノールベルト・ヴィンケルヨハン・アドバイザリー・アンド・インベストメンツ(Norbert Winkeljohann Advisory & Investments)企業コンサルタント 初回就任年:2018年 任期満了年:2027年 | 6,300 |
| スザンネ・ブライト(*) (Susanne Bleidt) (1967年4月11日) | - | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | — |
| メイリー・クラーク (Mayree Clark) (1957年3月9日) | - | 監査役会メンバー 初回就任年:2018年 任期満了年:2027年 | 109,444 |
| ヤン・ドゥシェック(*) (Jan Duscheck) (1984年12月18日) | - | フェル・デイ労働組合(Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft)(ユナイテッド・サービス・ユニオン)ナショナル・ワーキング・グループ・バンキング責任者 初回就任年:2016年 任期満了年:2028年 | — |
| マンジャ・エイファート(*) (Manja Eifert) (1971年12月18日) | - | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2022年 任期満了年:2028年 | 241 |
| クラウディア・フィーバー(*) (Claudia Fieber) (1966年10月21日) | - | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | 441 |
| ジグマー・ガブリエル (Sigmar Gabriel) (1959年9月12日) | - | 監査役会メンバー 元ドイツ連邦政府大臣 初回就任年:2020年 任期満了年:2029年 | 2,423 |
| フロリアン・ハゲンミラー(*) (Florian Haggenmiller) (1982年1月14日) | - | フェル・デイ労働組合(ユナイテッド・サービス・ユニオン)情報通信技術(ICT)ナショナル・ワーキング・グループ責任者 初回就任年:2024年 任期満了年:2028年 | — |
| ティモ・ハイダー(*) (Timo Heider) (1975年5月9日) | - | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2013年 任期満了年:2028年 | — |
| カーステン・ノベル(注2) (Carsten Knobel) (1969年1月11日) | - | ヘンケル(Henkel AG & Co.)取締役会会長(CEO) 初回就任年:2026年 任期満了年:2030年 | 0(注3) |
| クラウス・ムースマイヤー(注4) (Dr. Klaus Moosmayer) (1968年9月17日) | - | 監査役会メンバー 初回就任年:2025年 任期満了年:2029年 | — |
| カースティ・ロス(注4) (Kirsty Roth) (1975年9月19日) | - | トムソン・ロイター・コーポレーション(Thomson Reuters Corporation)最高運営・技術責任者 初回就任年:2025年 任期満了年:2029年 | — |
| ゲルリンデ M. シーベルト(*) (Gerlinde M. Siebert) (1967年9月21日) | - | ドイツ銀行ガバナンスのグローバル責任者 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | 8,555(注5) |
| イングヴィ・スリングスタッド (Yngve Slyngstad) (1962年11月3日) | - | ドイチェ・バンク・アクツィエンゲゼルシャフトの監査役会メンバーおよびICPアセット・マネジメントAS(ICP Asset Management AS)の取締役会メンバー 初回就任年:2022年 任期満了年:2030年 | 2,250 |
| ステファン-アロイシウス・ツカルスキー(*)(注6) (Stephan-Aloysius Szukalski) (1967年1月27日) | - | ドイツ銀行従業員協会(ドイチャー・バンクアンゲシュテルテン-フェアバンド:DBV)(Deutscher Bankangestellten-Verband:DBV)連合会長 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | — |
| ジョン・アレクサンダー・セイン (John Alexander Thain) (1955年5月26日) | - | 監査役会メンバー 初回就任年:2018年 任期満了年:2027年 | 100,000 |
| ユルゲン・テーゲル(*) (Jürgen Tögel) (1968年4月26日) | - | スタッフ・カウンシル・メンバー 初回就任年:2023年 任期満了年:2028年 | 1,228 |
| ミシェル・トローニ (Michele Trogni) (1965年6月18日) | - | ジニア・コーポレート・ホールディングスLLC(Zinnia Corporate Holdings LLC)およびエルドリッジ・インダストリーズLLC(Eldridge Industries LLC)のシニア・アドバイザー 初回就任年:2018年 任期満了年:2027年 | 15,000 |
(*)ドイツの従業員による選出または裁判所による任命。
(注1)特に記載のない限り、2026年2月6日現在の所有株式数を記載している。
(注2)2026年5月28日から監査役会メンバーである。
(注3)2026年5月28日現在の所有株式数を記載している。
(注4)2025年5月22日から監査役会メンバーである。
(注5)ゲルリンデ M. シーベルト氏は、従業員としての繰延変動報酬の一部として、7,344.50株を保有する権利を有している。これらの株式報奨は、2026年から2030年に引き渡される予定である。
(注6)ステファン-アロイシウス・ツカルスキー氏は、2013年から2015年までおよび2018年から2020年まで監査役会メンバーであった。
役員の報酬
取締役の報酬
以下の表は、ドイツ会計基準第17号の要件に従い、取締役会メンバーが受け取った報酬を表示している。詳細については、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-報酬報告書」を参照のこと。
| 単位:ユーロ | 2025年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 固定報酬 | 26,457,875 | 26,659,356 |
| 固定手当 | 1,616,667 | 1,525,000 |
| 付加給付 | 652,044 | 1,170,876 |
| 業績連動報酬 | 27,446,519 | 21,039,598 |
| 報酬総額 | 56,173,105 | 50,394,830 |
| 付与された株式報奨 | 2025年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 関連する株価(単位:ユーロ) | 30.53 | 20.01 |
| 付与/試算上報告された株式ユニット | 1,116,294 | 1,683,651 |
| このうち、前払い株式報奨ユニット | 278,066 | 392,848 |
| このうち、制限付株式報奨ユニット | 59,785 | 9,385 |
| このうち、試算上報告された株式ユニット | 778,442 (注1) | 1,281,418 (注2) |
| 付与/試算上報告された株式報奨の価値(単位:ユーロ) | 34,080,444 | 33,691,540 |
| このうち、前払い株式報奨ユニット | 8,489,361 | 7,861,281 |
| このうち、制限付株式報奨ユニット | 1,825,250 | 187,804 |
| このうち、試算上報告された株式ユニット | 23,765,833 (注1) | 25,642,455 (注2) |
(注1) 試算上報告された株式ユニットは、2025年度から2027年度までのパフォーマンス期間終了時の最終的な達成水準に基づき決定され、2028年度に法的に付与される。
(注2) 試算上報告された株式ユニットは、2024年度から2026年度までのパフォーマンス期間終了時の最終的な達成水準に基づき決定され、2027年度に法的に付与される。
| 単位:ユーロ | 2025年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 元取締役またはその遺族への支払 | 100,496,514 | 35,841,194 |
| 元取締役またはその遺族のための年金引当金 | 134,043,639 | 142,890,863 |
監査役会は、各取締役の報酬を以下のとおり決定した。2024年度からの新たな報酬制度に基づく第二回長期奨励(LTI)制度は、2025年度~2027年度までのパフォーマンス期間を対象に設定された。3年間のパフォーマンス期間終了後、監査役会は事前に定義された重要評価指標(KPI)に基づき達成水準を決定する。過去3年間を対象とする後向き評価から、将来の3年間のパフォーマンス期間を対象とする前向き評価へ2024年度に移行したことに伴い、新制度導入後の最初の2年間(2024年度および2025年度)は移行期間(以下「移行フェーズ」という。)と位置付けられる。第二回の長期奨励制度(LTI制度2025年度~2027年度)は、2028年初頭に初めて付与される。「移行フェーズ」においては、LTIは計算および比較目的のために目標額で表示される。過年度の数値との比較可能性向上のため、以下の表には試算上の報酬総額の列が追加されており、基本給、実際のSTIおよびLTIの目標額の合計を示している。
このアプローチは、以下の表に反映されている。
| 2025年度 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単位:ユーロ | 基本給(注1) | 実際の 短期奨励 | 長期奨励の 目標額(注2) | 試算上の 報酬総額 | ||||
| クリスティアン・ゼーヴィング (Christian Sewing) | 3,800,000 | 3,090,085 | 3,600,000 | 10,490,085 | ||||
| ジェームス・フォン・モルトケ (James von Moltke) | 3,200,000 | 2,494,453 | 3,060,000 | 8,754,453 | ||||
| ファブリツィオ・カンペリ (Fabrizio Campelli) | 3,400,000 | 2,634,571 | 3,240,000 | 9,274,571 | ||||
| マルクス・クロミク (Dr. Marcus Chromik)(注3) | 1,600,000 | 528,970 | 672,000 | 2,800,970 | ||||
| ベルント・ロイケル (Bernd Leukert) | 2,400,000 | 1,886,248 | 2,460,000 | 6,746,248 | ||||
| アレクサンダー・フォン・ツァ・ミューレン (Alexander von zur Mühlen) | 2,400,000 | 1,908,143 | 2,460,000 | 6,768,143 | ||||
| ローラ・パドヴァーニ (Laura Padovani)(注4) | 2,200,000 | 720,836 | 924,000 | 3,844,836 | ||||
| クラウディオ・デ・サンクティス (Claudio de Sanctis) | 3,200,000 | 2,519,645 | 3,120,000 | 8,839,645 | ||||
| レベッカ・ショート (Rebecca Short) | 2,400,000 | 1,923,132 | 2,460,000 | 6,783,132 | ||||
| シュテファン・シモン (Professor Dr. Stefan Simon)(注5) | 800,000 | 464,667 | 820,000 | 2,084,667 | ||||
| オリヴィエ・ヴィニュロン (Olivier Vigneron)(注6) | 926,667 | 633,222 | 949,833 | 2,509,722 | ||||
| 合計 | 26,326,667 | 18,803,972 | 23,765,833 | 68,896,472 |
(注1)「基本給」の列には、監査役会が設定した目標額が、比較のためユーロ建てで表示されている。実際の支給額は、取締役会メンバーのアレクサンダー・フォン・ツァ・ミューレン氏およびシュテファン・シモン氏については為替変動のため、ベルント・ロイケル氏については委任契約による報酬額と相殺されているため、この目標額とは異なる。
(注2)LTI制度2025年度~2027年度の最終的な達成水準は、3年間のパフォーマンス期間終了後の2028年に決定される。
(注3)2025年5月1日就任。
(注4)2024年7月1日就任。
(注5)2025年4月30日退任。
(注6)2025年5月19日退任。
監査役の報酬
監査役の報酬はドイツ銀行の定款第14条に定められており、直近では2023年5月17日の株主総会の決議で修正された。2025年度における監査役会メンバーに対する報酬総額は7,712,500ユーロ(2024年度:7,775,000ユーロ)であった。当行は監査役会メンバーに対して、監査役会からの退任後にはいかなる給付も行わない。
監査役会の各メンバーは、2025年度に関して以下の報酬(付加価値税を除く。)を受け取った。以下の表は、ドイツ株式会社法(AktG)第162条第(1)項第1文に従い、2025年度に監査役会メンバーに支払われた報酬および未払いの報酬を示している。いずれの場合も、計算は月単位で切上げ/切捨てされている。
| 2025年度報酬額 | ||||||||||||
| 監査役会メンバー | 基本報酬 | 委員会委員長の報酬 | 合計 | |||||||||
| 単位:ユーロ | 単位:% | 単位:ユーロ | 単位:% | 単位:ユーロ | ||||||||
| アレキサンダー・ワイナンツ (Alexander Wynaendts) | 950,000 | 100 | - | 0 | 950,000 | |||||||
| フランク・シュルツ (Frank Schulze) | 475,000 | 100 | - | 0 | 475,000 | |||||||
| ノールベルト・ヴィンケルヨハン (Prof. Dr. Norbert Winkeljohann) | 475,000 | 83 | 100,000 | 17 | 575,000 | |||||||
| スザンネ・ブライト (Susanne Bleidt) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| メイリー・クラーク (Mayree Clark) | 300,000 | 67 | 150,000 | 33 | 450,000 | |||||||
| ヤン・ドゥシェック (Jan Duscheck) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| マンジャ・エイファート (Manja Eifert) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| クラウディア・フィーバー (Claudia Fieber) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| ジグマー・ガブリエル (Sigmar Gabriel) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| フロリアン・ハゲンミラー(Florian Haggenmiller) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| ティモ・ハイダー (Timo Heider) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| クラウス・ムースマイヤー (Dr. Klaus Moosmayer)(注1) | 175,000 | 100 | - | 0 | 175,000 | |||||||
| カースティ・ロス (Kirsty Roth)(注1) | 175,000 | 100 | - | 0 | 175,000 | |||||||
| ゲルリンデ M. シーベルト (Gerlinde M. Siebert) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| イングヴィ・スリングスタッド (Yngve Slyngstad) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| ステファン・ツカルスキー (Stephan Szukalski) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| ジョン・アレクサンダー・セイン (John Alexander Thain) | 300,000 | 75 | 100,000 | 25 | 400,000 | |||||||
| ユルゲン・テーゲル (Jürgen Tögel) | 300,000 | 100 | - | 0 | 300,000 | |||||||
| ミシェル・トローニ (Michele Trogni) | 300,000 | 67 | 150,000 | 33 | 450,000 | |||||||
| ダグマー・バルカルセル (Dr. Dagmar Valcárcel)(注2) | 125,000 | 67 | 62,500 | 33 | 187,500 | |||||||
| テオドール・ヴァイマー (Dr. Theodor Weimer)(注3) | 125,000 | 100 | - | 0 | 125,000 | |||||||
| フランク・ヴィッター (Frank Witter) | 300,000 | 67 | 150,000 | 33 | 450,000 | |||||||
| 合計 | 7,000,000 | 91 | 712,500 | 9 | 7,712,500 | |||||||
(注1)2025年5月22日就任。
(注2)2025年5月22日退任。定款第14条第(3)項第1文に基づく現金支払いを含む委員会委員長の報酬。
(注3)2025年5月22日退任。
監査役会におけるすべての従業員代表(ヤン・ドゥシェック氏、フロリアン・ハゲンミラー氏(2024年1月16日就任)、ビルギット・ローメン氏(2024年1月12日退任)およびステファン・ツカルスキー氏を除く。)は、2025年度および2024年度においてドイツ銀行グループにより雇用されている、または雇用されていた。2025年度において、当該メンバーに対し、監査役の報酬に加えて(給与、退職金および年金支給の形で)総額1.40百万ユーロが支払われた。
当行に雇用されているかまたは雇用されていた監査役会メンバーには、その雇用の終了に伴う給付を受け取る権利が与えられているが(すなわち、監査役としての職務に基づくものではない。)、監査役会メンバーに対して、監査役会からの退任後にはいかなる給付も行われない。2025年度において、当行に雇用されているかまたは雇用されていた監査役会メンバーに対する年金、退職金または類似の給付として、0.13百万ユーロを確保した。
(3)【監査の状況】
監査および統制
監査委員会における財務専門家
監査役会は、監査委員会のメンバーであるノールベルト・ヴィンケルヨハン氏およびフランク・ヴィッター氏が、2002年サーベンス・オクスレー法第407条に基づき米国証券取引委員会が制定している規則に定義される「監査委員会における財務専門家」であると判断した。これらの監査委員会における財務専門家は、1934年米国証券取引所法のルール10A-3の定義に基づき、当行から「独立」している。
また監査役会は、ドイツ株式会社法(AktG)第107条第(4)項および第100条第(5)項ならびにドイツ銀行法(KWG)第25d条第(9)項に基づき、ノールベルト・ヴィンケルヨハン氏およびフランク・ヴィッター氏が財務会計および財務書類の監査において専門家としての知識を有していると判断した。
ノールベルト・ヴィンケルヨハン氏は、監査人としての教育および訓練ならびに様々な監査法人での監査人として、またPwCヨーロッパSE(PwC Europe SE)の取締役会会長としての長年の経験を通じて、会計および監査の分野の専門知識を有している。
フランク・ヴィッター氏は、フォルクスワーゲンAG(Volkswagen AG)のチーフ・ファイナンシャル・オフィサーおよびフォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービシズAG(Volkswagen Financial Services AG)の取締役会会長としての長年の経験を通じて、会計および監査の分野の専門知識を有している。
報酬管理委員会における報酬専門家
ドイツ銀行法(KWG)第25d条第(12)項に基づき、報酬管理委員会のメンバーのうち少なくとも1名は、リスク管理およびリスク統制の分野において、とりわけ、報酬制度を当行の全体的なリスク選好およびリスク戦略ならびに資本基盤に対応させるメカニズムに関して、十分な専門知識および専門家としての経験を有していなければならない。監査役会は、報酬管理委員会の勧告に基づき、ノールベルト・ヴィンケルヨハン氏、アレキサンダー・ワイナンツ氏およびクラウス・ムースマイヤー氏を報酬管理委員会における報酬専門家に指名することを決議した。各氏はいずれも、リスク管理およびリスク統制の分野において、とりわけ、報酬制度を当行の全体的なリスク選好およびリスク戦略ならびに資本基盤に対応させるメカニズムに関して、専門知識および専門家としての経験を有しており、よってドイツ銀行法(KWG)第25d条第(12)項の要件を満たしている。ノールベルト・ヴィンケルヨハン氏およびアレキサンダー・ワイナンツ氏は、取締役会会長およびチーフ・エグゼクティブ・オフィサーまたはそのいずれかとしての長年の経験に基づき、リスク管理およびリスク統制の分野において、十分な専門知識および専門家としての経験を有している。クラウス・ムースマイヤー氏は、(i)シーメンス(Siemens)のシーメンス・ファイナンシャル・サービシズおよびシーメンス銀行部門のコンプライアンス・システムに関するチーフ・コンプライアンス・オフィサー、(ii)ノバルティスAG(Novartis AG)の執行委員会メンバーおよびチーフ・エシックス・リスク・アンド・コンプライアンス・オフィサー、ならびに(iii)国際的な委員会および組織での活動を通しての経験から、リスク管理およびリスク統制に特化した専門知識および経験を有している。
ドイツ銀行およびドイツ銀行グループの価値観およびリーダーシップの原則
ドイツ銀行グループ行動規範およびシニア・ファイナンシャル・オフィサー倫理規範
ドイツ銀行グループの行動規範は、ドイツ銀行の目的、価値観、信念ならびに当行が取締役会メンバー全員および従業員に遵守を求める最低限の行動基準を定めたものである。これらの価値観および基準は、従業員と当行の顧客、競合他社、ビジネス・パートナー、政府当局、規制当局および株主ならびに他の従業員とのやり取りを規律する。また当該規範は、適用法令の遵守に関するガイダンスを定める当行の方針の基礎を形成する。
2002年サーベンス・オクスレー法第406条に基づき、当行は、「シニア・ファイナンシャル・オフィサー」に適用される特別な義務を伴うドイツ銀行およびドイツ銀行グループのシニア・ファイナンシャル・オフィサー倫理規範を採択した。現在、シニア・ファイナンシャル・オフィサーは、取締役会会長、チーフ・ファイナンシャル・オフィサーおよびその他のシニア・ファイナンシャル・オフィサーにより構成されている。2025年において、当該倫理規範の変更や適用除外はなかった。
ドイツ銀行およびドイツ銀行グループの行動規範およびシニア・ファイナンシャル・オフィサー倫理規範の最新版は、ドイツ銀行のウェブサイト(www.db.com/ir/en/documents.htm)から入手可能である。
ドイツ銀行およびドイツ銀行グループのコーポレート・ガバナンス
ドイツ銀行は、ドイツ銀行およびドイツ銀行グループのコーポレート・ガバナンスの枠組みの明確化、実施および監視を行うためグループ・ガバナンス機能を設置し、グループ全体にわたってそのガバナンス機能を履行する。グループ・ガバナンスは、優れたコーポレート・ガバナンスの主要な要素に沿った明確な組織構造に焦点を絞りつつ、ドイツ銀行およびドイツ銀行グループ内のコーポレート・ガバナンス上の問題に取り組む。
ドイツ銀行およびドイツ銀行グループは、国際基準および法律上の規定に従って、コーポレート・ガバナンスの枠組みを確立することに注力している。この目的の達成において、ドイツ銀行およびドイツ銀行グループは、明確なコーポレート・ガバナンス原則を設定した。
コーポレート・ガバナンスに関する詳細は、ドイツ銀行のウェブサイト(www.db.com/ir/en/corporate-governance.htm)において公表されている。
関連当事者間取引
関連当事者間取引に関する情報は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-⑦ 連結財務諸表に対する注記-追加的注記-注記36 関連当事者との取引」の項に記載されている。
内部統制の実効性
内部統制の実効性に関する情報は、下記「第6 経理の状況-1 財務書類-(1)連結財務書類-① マネジメント・レポート-財務報告に係る内部統制」の項に記載されている。
ドイツ・コーポレート・ガバナンス規則の遵守
当行は、ドイツ法に基づき、毎年適合宣言を公表することにより、ドイツ・コーポレート・ガバナンス規則の勧告の遵守および遵守しない場合の理由について宣言している。また、年次報告書の一部であるコーポレー・ガバナンス・ステートメントは、当行のコーポレート・ガバナンス組織についてのさらなる詳細を提供している。適合宣言は、当行のウェブサイト(https://investor-relations.db.com/files/documents/reports/Corporate-Governance-Statement\_2025.pdf)から入手可能である。
会計監査の状況
ドイツ銀行の主たる会計監査人(外国監査公認会計士)は、ドイツ法に従い、年次株主総会においてドイツ銀行の監査役会の提案に基づいて選任される。監査役会の監査委員会が、当該提案を準備する。主たる会計監査人の選任後、監査委員会が契約を締結し、その単独の権限において監査の条件および範囲ならびに監査契約に係るすべての報酬について承認を行うとともに、主たる会計監査人の独立性を監視する。イーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー監査法人(EY GmbH & Co. KG Wirtschaftsprüfungsgesellschaft-「EY」)は、2024事業年度および2025事業年度それぞれにおいて、当行の主たる会計監査人であった。
外国監査公認会計士等に対する報酬の内容
| (単位:百万ユーロ(百万円)) | ||||
| 区分 | 前連結事業年度 | 当連結事業年度 | ||
| 監査証明業務に 基づく報酬 | 非監査業務に 基づく報酬 | 監査証明業務に 基づく報酬 | 非監査業務に 基づく報酬 | |
| 提出会社(注1) | 57 (10,583) | 0 (0) | 57 (10,583) | 0 (0) |
| 連結子会社(注2) | 22 (4,085) | 1 (186) | 23 (4,270) | 0 (0) |
| 計 | 79 (14,667) | 1 (186) | 80 (14,853) | 0 (0) |
(注1)当行の監査報酬管理の方法により、当該項目は当行のドイツ国内の本店および支店に関する情報から成る。
(注2)当行の監査報酬管理の方法により、当該項目には当行の海外支店に関する情報も含まれている。
その他重要な報酬の内容
ドイツ銀行の連結子会社の大多数は、監査証明業務に基づく報酬および非監査業務に基づく報酬を、EYと同じ会計事務所グループに所属する会計士に支払っているが、そこにはEYによる監査を受けていないDWSとその子会社に関する報酬は含まれていない。
EYの提出会社および連結子会社に対する非監査業務には、納税申告書の作成および検討ならびにコンプライアンスに係る支援および助言、当行グループのタックスプランニング戦略および施策に関する税務相談および助言、税法および規制に係るコンプライアンス評価の支援等の税務関連業務が含まれている。
監査報酬の決定方針
当行の主たる会計監査人への業務委託は、当行の監査委員会により事前に承認されるかまたは監査委員会が採用する方針および手続に従う必要がある。
(4)【役員の報酬等】
該当事項なし。取締役および監査役の報酬については上記「(2)役員の状況」の項を参照のこと。
(5)【株式の保有状況】
該当事項なし。
第6【経理の状況】
a. 本書記載のドイツ銀行(以下「当行」という。)の邦文の財務書類ならびに当行および連結子会社(以下、合わせて「当行グループ」という。)の邦文の財務書類(以下「邦文の財務書類」という。)は、ドイツ連邦共和国において開示された本書記載の原文の財務書類(以下「原文の財務書類」という。)の英訳を日本語に翻訳したものに、下記の円換算額を併記したものである。当行グループは、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)が公表し、欧州連合(以下「EU」という。)が承認した国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して連結財務書類を作成している。当行の個別財務書類はドイツ商法に準拠して作成されている。当行および当行グループの財務書類の日本における開示については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)第328条第1項の規定が適用されている。
邦文の財務書類には、財務諸表等規則に基づき、原文の財務書類中のユーロ表示の金額のうち主要なものについて円換算額が併記されている。日本円への換算には、2026年5月29日の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信直物売買相場の仲値、1ユーロ=185.66円の為替レートが使用されている。
なお、財務諸表等規則に基づき、日本とドイツ連邦共和国との会計原則および報告実務の主要な相違については、第6の「4 日本とドイツ連邦共和国との会計原則の相違」に記載されている。
円換算額および第6の「2 主な資産・負債及び収支の内容」から「4 日本とドイツ連邦共和国との会計原則の相違」までの事項は原文の財務書類には記載されておらず、当該事項における原文の財務書類への参照事項を除き、下記bの監査証明に相当すると認められる証明の対象になっていない。
b. 原文の財務書類は、外国監査法人等(「公認会計士法」(昭和23年法律第103号)第1条の3第7項に規定されている外国監査法人等をいう。)であるイーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー監査法人(ドイツ連邦共和国における独立監査人)から、「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)第193条の2第1項第1号に規定されている監査証明に相当すると認められる証明を受けている。それらの監査報告書の原文および訳文は、本書に掲載されている。
1【財務書類】
(1 )連結財務書類
① マネジメント・レポート
経営および財務の概況
以下の説明および分析は、連結財務諸表および関連の注記と併せて読むべきものである。この経営および財務の概況には、国際財務報告基準(IFRS)第8号「事業セグメント」で要求されるドイツ銀行の純収益の構成単位に係るセグメント別の経営成績および企業全体の開示に関する定量的および定性的開示が含まれている。IFRS第8号に基づく追加的な事業セグメントの開示は、連結財務諸表に対する注記04「事業セグメントおよび関連情報」を参照のこと。将来の事象に関する記述は本報告書の「見通し」の項に開示されている。「経営および財務の概況」のセクションでトレンドを説明するために使用されている表現およびその基礎となる数値範囲は、「見通し」のセクションで適用されているものとは異なっていた。当行は当期から将来に向けて、「見通し」セクションの方に新しい表現および数値範囲を適用している。
概要
以下の記述は、作成時点における最新の予測および仮定に基づいている。実際の進展はこれらの予測と異なる場合がある。
世界経済
| 経済成長率(%)(注1) | 2025年(注2) | 2024年(注3) | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 世界経済 | 3.4 | 3.4 | 2025年、世界経済は安定した成長軌道を維持した。米国と主要貿易相手国との貿易交渉の進展や的を絞った関税引下げにより、貿易政策の不確実性は著しく低下した。同時に、インフレ圧力の緩和が家計消費を支え、中央銀行がさらなる利下げを実施する余地が生まれた。 |
| このうち:先進国 | 1.8 | 1.7 | 先進国は交渉による貿易妥協の恩恵を受け、政治的不確実性全般が軽減された。GDP成長率は国によって異なったものの、ほとんどの市場でインフレ率は低下した。こうした状況下で、複数の中央銀行は以前の引き締め的な水準から主要政策金利の利下げを継続した。 |
| このうち:新興国市場 | 4.5 | 4.5 | 新興国市場は、米国の関税措置に起因するマイナス成長と貿易ショックに対して予想以上の回復力を見せた。インフレ率の抑制と米ドル高の緩和が相まって、複数の中央銀行は金融緩和の余地を広げた。さらに、外部からの財政刺激策の改善とエネルギー価格の低下が、経済活動全般をさらに支えた。 |
| ユーロ圏経済 | 1.5 | 0.8 | 貿易における外部からの逆風が続く中、ユーロ圏経済は堅調な国内需要に支えられ、力強い成長を維持した。ただし、GDP成長率は地域によってばらつきが見られた。インフレ率は欧州中央銀行(ECB)の目標である2%に向けて低下傾向にあったため、ECBは当年度下半期も預金金利を中立水準に据え置くことができた。 |
| このうち:ドイツ経済 | 0.2 | -0.5 | ドイツ経済は引き続き対外貿易における競争力の低下に直面している。拡張的な財政政策は当初はいくらかプラスの刺激を与えたものの、国内需要は低迷したままであった。インフレの緩和は個人消費を支えたものの、全体的な景況感は依然として弱く、堅調な労働市場の減速は鈍化している。 |
| 米国経済 | 2.2 | 2.8 | 米国では、連邦政府機関の閉鎖により当年度下半期の経済活動が低迷したものの、特にAI関連技術への投資が成長を大きく支えた。また、食料輸入関税の引下げはインフレ圧力の緩和に貢献した。労働市場における新たなリスクを考慮し、インフレ率が目標を上回っているにもかかわらず、連邦準備制度理事会(FRB)は主要政策金利の利下げを継続した。 |
| 日本経済 | 1.2 | -0.2 | 米国の関税措置が日本経済に及ぼす影響は限定的であり、企業景況感は堅調に推移した。実質的な従業員者報酬の増加が個人消費の回復を支えたものの、インフレ率は主に食料価格の高騰により高止まりした。こうした状況を踏まえ、日本銀行は金融政策の引き締めを継続した。 |
| アジア経済(注4) | 5.5 | 5.2 | アジア経済のGDP成長は、主にインドの力強い経済成長に牽引され、中国もこれに寄与した。インフレ率は複数の経済圏で著しく低下し、個人消費を押し上げ、一部の中央銀行に政策金利のさらなる利下げの余地をもたらした。 |
| このうち:中国経済 | 5.0 | 5.0 | 中国は公式の成長目標を達成したが、過剰生産能力と過度な競争を抑制するための政策措置が主因となり、年間を通じて成長の勢いは鈍化した。また、耐久消費財の販売促進に向けた政府の取組みも、時間の経過とともに効果が薄れていった。 |
(注1)年間実質GDP成長率(対前年比%)。出典:別途記載のものを除き各国の当局。
(注2)出典:ドイツ銀行リサーチ。
(注3)2024年の経済データの一部は公的な統計機関により改訂された。その結果、このデータは過年度に公表した数値とは異なる可能性がある。
(注4)中国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、韓国、台湾、タイおよびベトナムを含むが、日本を除く。
銀行業界
| 2025年12月31日現在 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 前年比成長率(%) | 法人向け貸出 | 個人向け貸出 | 法人預金 | 個人預金 | 主な要因 |
| ユーロ圏 | 2.0 | 2.6 | 3.2 | 3.0 | 低金利と力強い経済成長に支えられ、個人向け貸出と法人向け貸出はともに年間を通じて顕著な伸びを示し、特に個人向け貸出の伸びは法人向け貸出を上回った。しかしながら、成長率はまだインフレ率を大きく上回るには至っていない。一方、家計および企業からの預金は2025年を通じて概ね勢いを維持し、堅調なペースで成長を続けた。 |
| このうち:ドイツ | 0.7 | 1.9 | 2.4 | 2.8 | 2025年には民間部門の信用動向が改善し、住宅ローン市場の金利上昇に後押しされ、家計向け貸出が企業向け貸出よりも大幅に増加した。企業向け貸出の低迷は、貿易政策の不確実性やドイツの国際競争力不足への懸念、変革の課題等、投資意欲に影響を与える様々な要因が影響したためと考えられる。銀行貸出調査によると、ここ数四半期で信用需要は増加した。2024年の急増後に減速したものの、法人顧客と個人顧客からの預金の伸びは貸出の伸びを引き続き上回った。 |
| 米国(注1) | 3.3 | 2.8 | 4.2(注1) | 4.2(注1) | 法人や家計への貸出は年間を通じて勢いを増し続けたが、その拡大ペースは現在インフレ率とほぼ同水準であり、民間部門はもはや債務を削減していない。預金全体の勢いは引き続き高金利に支えられ、大幅に加速した。 |
| 中国 | 9.0 | 0.5 | 3.7 | 9.7 | 法人向け貸出は2025年も堅調なペースを維持したが、それでもパンデミック以前の時代以来の最低水準となった。対照的に、個人向け貸出は停滞し、記録開始以来の約20年間で最も低迷している。預金面では、家計向け貸出は引き続き好調であった一方、法人向け貸出は前年の小幅な縮小の後、緩やかに回復した。 |
(注1)セクター別内訳は入手不能であるため、米国の預金合計である。
2025年のグローバルのインベストメント・バンキングおよび資本市場の手数料プールは、12%増加して920億ユーロとなり、これは当行の内部記録では2021年に次いで2番目に高いインベストメント・バンキングの手数料プールとなった。これは、2022年と2023年の市場低迷の後、2年連続で二桁成長を記録したことを意味しており、2025年の手数料プールは2023年の水準を43%上回った。成長の主な原動力となったのは合併および買収(M&A)の手数料プールで、2021年のピークをわずかに下回る水準である370億ユーロに達し、全体の増加額97億ユーロのうち53億ユーロを占めた。M&Aの中では、100億ユーロを超える「メガ」取引の活動が急増し、発表された取引量は2倍超となった。エクイティ・キャピタル・マーケッツ、レバレッジド・デット・キャピタル・マーケッツおよびデット・キャピタル・マーケッツにおいても手数料プールがそれぞれ16%、7%および8%増加し、合わせて残りの44億ユーロの増加額に貢献した。地域別に見ると、グローバルの手数料プールは、3%の成長が見られた欧州、中東およびアフリカ(EMEA)から、それぞれ14%と16%の成長を遂げた米国とアジア太平洋(APAC)へとシフトした。英国とアイルランドは引き続き世界のトレンドに遅れを取り、手数料プールは2%減少した。グローバル・スポンサー活動は6%増加したが、企業活動はそれを上回る14%増となった。しかしながら、スポンサーM&Aの発表件数が46%増加したことは、2026年に向けてプライベート・エクイティ活動にとってより好ましい環境が整いつつあることを示している。債券では、収益プールが2025年も依然として高い水準を維持しており、ドイツ銀行の評価では、前年比でさらに増加した。外国為替取引は、当年度上半期のボラティリティの高まりとデリバティブ取引の広範な成長に支えられ、世界で最も取引量の多い10通貨すべてで増加したと予想される。金利の収益は、顧客からの強い需要と市場環境の改善を反映して大幅に増加し、新興国市場の収益も前年比で改善した。クレジット取引の業績は、2025年度第2四半期の米国の関税政策に対する反応を受けて、2025年度下半期に市場が力強く回復したことから、概ね前年並みであった。ファイナンシングでは、顧客の需要が堅調に推移し、収益プールが前年を上回るとの見通しを支えた。
ドイツ銀行の業績
ドイツ銀行は、2025年度に、2024年度の35億ユーロから増加して71億ユーロの純利益を計上した。この変動は、2025年度の堅調な事業実績、および2024年度の特定の訴訟項目によるマイナスの影響が2025年度は発生しなかったことを反映している。信用損失引当金繰入額は、2024年度の18億ユーロから7%減少して2025年度には17億ユーロ(平均貸出残高の36ベーシス・ポイント)となった。
2025年度において、当行は2024年度に係る23億ユーロの資本分配を実施し、これは2024年度と比較して約50%の増加であった。これには1株当たり0.68ユーロ(総額13億ユーロ)の配当と、10億ユーロの自社株買戻しが含まれる。2026年度には、ドイツ銀行は、2026年5月に開催される年次株主総会にて、2025会計年度の配当を2024年度の1株当たり0.68ユーロから50%増額して1株当たり1.00ユーロ(総額約19億ユーロ)とする旨を提案する予定である。また、当行は、2025年度に係る最大10億ユーロの自社株買戻しについて、法令に従い承認を受けている。これらの施策により、株主への資本分配累計額はさらに29億ユーロ増加し、これは2025年度の配当性向50%という当行のコミットメントに沿った2025年度の分配額となる。2022年度から2026年度に支払いを行う2021会計年度から2025会計年度の資本分配累計額は、これにより85億ユーロとなり、当行の当初の資本分配目標である80億ユーロを上回る結果となった。
2025年度通年の税引前利益は97億ユーロで、2024年度の53億ユーロから84%増加した。収益は前年比で7%増の321億ユーロとなった。利息以外の費用は10%減の207億ユーロとなったが、これには営業外費用が4億ユーロ(2024年度は26億ユーロであった。)含まれている。これらの営業外費用を除いた調整後費用は、1%減の203億ユーロとなった。費用収益比率は、2024年度の76%に対し、当年度は64%であった。税引後平均株主資本利益率は、前年度の4.2%に対して当年度は9.3%であった。税引後平均有形株主資本利益率は、2024年度の4.7%に対して2025年度は10.3%であった。これら両比率の前年比の推移は、2025年度に達成された堅調な事業実績、および2024年度の特定の訴訟項目による影響が当年度は発生しなかったことを反映している。
主要な業績指標
| 財務目標 | 財務目標および資本目標2025年度 | 2025年度末の状況 | 2024年度末の状況 |
|---|---|---|---|
| 税引後平均有形株主資本利益率(注1) | 10.0%超 | 10.3% | 4.7% |
| 2021年度以降の複合年間収益成長率(注2) | 5.5%~6.5% | 6.0% | 5.8% |
| 費用収益比率(注3) | 65%未満(注4) | 64.4% | 76.3% |
| 資本目標 | |||
| 普通株式等Tier1資本比率(注5) | 13.5%~14.0%(注6) | 14.2% | 13.8% |
| 配当性向(注7) | 50%(注8) | 47%(注9) | 86% |
(注1)ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失)(AT1クーポン控除後)に基づく。詳細については、英文Annual Report 2025の「Supplementary Information (Unaudited): Non-GAAP Financial Measures」に記載されている。
(注2)各報告期間末までの12ヶ月間と2021年度通年とを比較。
(注3)利息以外の費用の純収益合計に対する割合。純収益合計は、信用損失引当金繰入前の純利息収益に利息以外の収益を加えたものと定義される。
(注4)2025年12月31日までの目標比率。
(注5)この比率の計算に関する詳細については、下記「リスク・レポート」の項に記載されている。
(注6)当行の予想最大分配可能額(MDA)基準値を200ベーシス・ポイント上回るバッファーを維持しつつ設定された目標比率。
(注7)配当は、ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失)に関連して、普通株式配当金および自己株式買戻しの形で当報告期間に実行されたもの。2025年度第4四半期より、配当性向は該当する配当計算対象の各会計年度の下に表示される。これは表示方法の変更のみであり、基礎となる配当計算には影響しない。
(注8)2025会計年度に関する数値。
(注9)2025会計年度のドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失)に関連する、2026年度の予想配当金(1株当たり1.00ユーロの配当金および10億ユーロの自己株式買戻しを含む。自己株式買戻しについては、当行は法令に従い承認を受けている)。
2025年度の純収益は、前年比7%増の321億ユーロであった。純手数料およびフィー収益は5%増の109億ユーロであった一方、銀行勘定の主要セグメントにおける純利息収益は、高水準の預金残高を反映して堅調に推移し、2%増の137億ユーロとなった。2021年度以降の複合年間収益成長率は2025年度末まで6.0%であり、2021年度から2025年度の期間について5.5%~6.5%という当行の目標範囲の中間点に位置した。
信用損失引当金繰入額は、マクロ経済および地政学的な不確実性が高まり、商業用不動産に逆風が続いているにもかかわらず、2024年度の18億ユーロ(平均貸出残高の38ベーシス・ポイント)から7%減少して2025年度には17億ユーロ(平均貸出残高の36ベーシス・ポイント)となった。
2025年度の利息以外の費用は、前年比10%減の207億ユーロとなった。この変動は主に、前年度の特定の訴訟項目の影響が当年度は発生しなかったこと、ならびに再編および解雇に係る費用が2024年度と比べて減少したことを主に反映して、営業外費用が2024年度の26億ユーロから86%減少して4億ユーロとなったことに起因していた。調整後費用は、前年比1%減の203億ユーロであった。当行の業績を反映した変動報酬費用の増加は、IT、専門的サービスおよびその他の費用の削減により相殺された。
法人所得税は、前年度の18億ユーロの費用に対して、2025年度には26億ユーロの費用であった。実効税率は、2024年度は主に税務上損金不算入となった訴訟費用の影響を受けて34%であったのに対し、2025年度は27%となったが、これは、ドイツの税制改革および収益の地理的構成によってプラスの影響を受けたためであった。
2025年度末における普通株式等Tier1(CET1)資本比率は、2024年度末の13.8%から上昇して14.2%となり、当行の業務上の目標範囲である13.5%~14.0%を若干上回った。収益性の向上による本業の資本の成長は、資本配分およびクーポンの支払いの増加、規制による影響、ならびに当年度における事業成長による複合的な影響を相殺するものであった。
調整後費用、営業外費用、銀行勘定の主要セグメントにおける純利息収益、ならびに税引後平均有形株主資本利益率は、非GAAP財務指標である。非GAAP財務指標の定義および基礎となるIFRSによる指標との調整については、英文Annual Report 2025の「Supplementary Information (Unaudited): Non-GAAP Financial Measures」に記載されている。2026年度第1四半期より、ドイツ銀行は調整後費用と営業外費用を区分して報告することを廃止する予定である。
ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行の組織
ドイツ銀行は、フランクフルト・アム・マイン(ドイツ)に本店を置くドイツ最大の銀行であり、2025年12月31日現在の総資産規模が1兆4,350億ユーロで、世界最大の金融機関の一つである。2025年末現在、当行内部の従業員数は常勤相当で89,879名であり、55ヶ国において1,179支店(このうち64%がドイツ国内)を運営している。
ドイツ銀行のバリュー・チェーン
ドイツ銀行のビジネス・モデルは、当行のバリュー・チェーン(上流バリュー・チェーン、当行のオペレーションおよび下流バリュー・チェーンから成る。)のもと、環境・社会・ガバナンスの問題に関する影響、リスクおよび機会を考慮している。下表は、ドイツ銀行のバリュー・チェーンを図示し、その構成要素を説明したものである。
無形資源
経済的観点からドイツ銀行のビジネス・モデルにとって最も重要な無形資源は、顧客関係および従業員である。その他の重要な無形資源は、当行のブランド名ならびにデータおよびソフトウェアである。IFRSで要求される場合には、無形資源は、貸借対照表に計上され、連結財務諸表にその説明が開示される。
サステナビリティに関連する当行の重要なトピックに対する影響、リスクおよび機会については、下記「サステナビリティ・ステートメント」の項に記載されている。
ドイツ銀行の組織モデル
2025年12月31日現在、当行は以下の事業セグメントで組織されている。
- コーポレート・バンク
- インベストメント・バンク
- プライベート・バンク
- アセット・マネジメント
- コーポレートおよびその他
ドイツ銀行は、グローバル戦略を一貫して実行するために、国および地域の層から成る組織構造を有している。
当行は、世界の大部分の国々における既存顧客および潜在顧客と営業または取引を行っている。これらの営業および取引は、以下を通じて行われている。
- 子会社および支店
- 駐在員事務所
- 顧客に対応する1名以上の営業担当者
各事業セグメントに関連する資本的支出または資産の処分は、以下の各コーポレート部門の概要に記載されている。
経営構造
取締役会は、当行グループを、法人および支店として地域横断的に業務を行う事業セグメントおよび管理部門から構成されるマトリックス組織として構築した。
取締役会は、法律、定款および取締役会の規約に従い、当行の経営に対して責任を負っており、当行の利益に関して持続可能な価値を創造することを目的としている。取締役会は、株主、従業員およびその他の当行に関係するステークホルダーの利益を考慮している。取締役会は、統一的なガイドラインに従いドイツ銀行グループを管理し、すべての事業体および支店を統括管理している。
取締役会は、法律および定款に規定されたすべての事項に関する意思決定を行い、法的要件および内部ガイドラインの遵守(コンプライアンス)を確実にするとともに、適切な内部ガイドラインが確実に策定および導入されるために必要な措置を講じている。取締役会の責任には、当行の戦略的経営と指示、リソースの配分、財務会計および報告、内部管理およびリスク管理、ならびに企業管理と事業組織の適切な機能化が含まれる。取締役会メンバーは、当行の事業管理においては連帯責任を有する。
取締役会の各メンバーへの職務的な責任の割当てについては、取締役会以下の上級経営層に責任を委任するための枠組みを定めた「業務分掌計画」に記述されている。取締役会は、上級経営職の個々の責任を支持するが、一方で、委員会においては共同で意思決定を行う。同時に、取締役会は、十分な情報に基づく意思決定を行うために、すべての事業にわたる包括的かつ健全な情報共有が重要であることを認識している。説明責任を負う者の意思決定プロセスを支援するために必要な情報提供を目的として、当行全体でガバナンス・フォーラムが設立されている。
コーポレート・バンク
コーポレート部門の概要
コーポレート・バンクは主に、ドイツの「Mittelstand」を含むドイツ国内の法人顧客、大規模や小規模のコマーシャル・バンキングおよびビジネス・バンキング顧客、ならびに多国籍企業へのサービス提供に注力している。同部門はまた、金融機関に対して特定のトランザクション・バンキング・サービスを提供している。コーポレート・バンクは、コーポレート・トレジャリー・サービス、インスティテューショナル・クライアント・サービス、ビジネス・バンキングの3つの顧客カテゴリーに基づいて収益を報告している。
2023年1月1日以降、重要な資本的支出または資産の処分はない。
商品およびサービス
コーポレート・バンクは、キャッシュ・マネジメント、貸出、トレード・ファイナンス、信託およびセキュリティーズ・サービス、ならびにリスク・マネジメント・ソリューションの世界的なプロバイダーである。キャッシュ・マネジメントのサービスには、統合された決済と為替ソリューションが含まれる。トレード・ファイナンスおよび貸出では、貿易書類に関連する業務や保証業務からストラクチャード・トレード・ファイナンスや貸出まで、様々な商品やサービスを提供している。信託およびセキュリティーズ・サービスは、預託証券、企業信託、文書保管およびセキュリティーズ・サービスをカバーしている。ドイツ国内外の法人および商業顧客ならびに金融機関の財務部門に焦点を当てて、当行は総合的な専門知識とグローバルネットワークを駆使した統合的なソリューションを提供している。
コーポレート・バンクが提供する一連の商品に加えて、顧客はカバレッジ・チームを通じてインベストメント・バンクの専門知識を利用することができる。
販売チャネルおよびマーケティング
コーポレート・バンクのコーポレート・カバレッジ部門は、国際的な中規模・大規模法人顧客に焦点を当てており、グローバル・カバレッジ、ミッドコープス・カバレッジとリスク・マネジメント・ソリューションズの3つのユニットに組織されている。グローバル・カバレッジには、グローバル、地域および各国の多国籍企業向けのカバレッジ・チームを通じて、本社レベルおよび子会社を対象とするマルチ商品のゼネラリストが含まれる。ミッドコープス・カバレッジには、中規模企業に特化したマルチ商品のゼネラリストが含まれる。リスク・マネジメント・ソリューションズには、外国為替、新興国市場および金利の商品のスペシャリストが含まれる。このユニットは、顧客に緊密に繋がるように、アジア太平洋、中東およびアフリカ、米州ならびにヨーロッパの地域別に管理されている。
法人顧客に対しては、コーポレート・バンクの3つの顧客カテゴリーすべてからサービスを提供している。コーポレート・トレジャリー・サービスは、ドイツ銀行とポストバンクの2つのブランドにわたり中規模企業および大企業顧客を対象としており、企業の財務担当者向けにキャッシュ、トレード・ファイナンス、貸出、リスク管理に至るまでの幅広いソリューションを提供している。インスティテューショナル・クライアント・サービスは、機関投資家顧客向けのキャッシュ・マネジメント、ならびに信託およびセキュリティーズ・サービスで構成されている。ビジネス・バンキングは、小規模企業および起業家顧客を対象としており、概ね標準化された一連の商品および特定のバンキング・パートナー・サービス(会計ソリューション等)を提供している。
インベストメント・バンク
コーポレート部門の概要
インベストメント・バンクは、ドイツ銀行の債券および為替事業、インベストメント・バンキングおよび資本市場(2025年度第4四半期に「オリジネーションおよびアドバイザリー」から名称が変更された。)事業、ドイツ銀行リサーチ、ならびにその他から構成される。インベストメント・バンクは、これらの市場における伝統的な強みに焦点を当てて、リスク管理、セールスおよびトレーディング、インベストメント・バンキングならびに管理部門における横断的なホールセール・バンキングに関する専門知識を取りまとめている。これによりインベストメント・バンクは、その顧客および商品の枠を越えて経営資源および資本を調整し、当行の戦略的目標を効率的に支援することができる。
2023年4月に、ドイツ銀行はNumis Corporation Plc(以下「Numis」という。)を全額現金で買収することに合意したことを発表した。2023年10月13日に、ドイツ銀行はこの取引を完了し、397百万英ポンドの現金購入価格でNumisの100%持分を取得した。購入価格の当初割当後、本取引に関連する233百万ユーロののれんが識別された。ドイツ銀行は、識別されたのれんをインベストメント・バンクの資金生成単位(CGU)に割り当てた。インベストメント・バンクCGUの価値を評価した結果、のれんは減損したと判断され、2023年度第4四半期に償却された。
2023年1月1日以降、重要な資産の処分はない。
商品およびサービス
債券および為替事業は、2つのサブカテゴリーに分かれている。「債券および為替:ファイナンシング」は、業界や資産クラス全体にわたる、包括的でカスタマイズされたファイナンス・ソリューションを提供しており、「債券および為替:マーケッツ」(2025年度第4四半期に「債券および為替:ファイナンシング以外」から名称が変更された。)は、外国為替、金利、新興国市場、クレジット・トレーディングにわたる、組織的な販売、取引およびストラクチャリングの専門知識を取りまとめている。債券および為替事業はグローバルに展開しており、法人顧客と機関投資家顧客の双方に対し、流動性サービス、マーケット・メイキング・サービス、ならびに債券および為替の広範な商品全体にわたって特化した様々なリスク管理ソリューションを提供している。テクノロジーの適用および取引ライフサイクルにおけるプロセスの継続的なイノベーションにより、ドイツ銀行は顧客の要望および規制要件に対応するための自動化/電子化を強化できている。
インベストメント・バンキングおよび資本市場は、当行の合併および買収(M&A)業務、ならびに債券および株式にわたる資本市場業務を担当している。当部門は、地域や業界に特化したプロダクト・チームおよびカバレッジ・チームから構成されており、シニア・リレーションシップを活用し、債券および為替のフランチャイズや当行のその他の部門と連携して、当行の顧客に幅広いアドバイザリーサービスならびに金融商品およびサービスを提供している。
販売チャネルおよびマーケティング
インベストメント・バンクの顧客への対象サービスは主に、債券セールスチームを有するインスティテューショナル・クライアント・グループ、インベストメント・バンキングおよび資本市場内のインベストメント・バンキング・カバレッジ、ならびに資本市場およびトレジャリー・ソリューションを受け持つコーポレート・バンクのリスク・マネジメント・ソリューションズという、互いに協働している3つのグループによって提供される。これらのグループが緊密に連携することによって一層のシナジー効果を生み出し、顧客に対する商品/ソリューションのクロスセルの拡大につなげている。
2【主な資産・負債及び収支の内容】
連結財務諸表に対する注記および年次財務諸表に対する注記を参照のこと。
3【その他】
(1) 後発事象
本書の他の箇所に記載した内容以外に、2025年12月31日以降の当行グループの財務状況および営利状況における重要な変更はない。
(2) 訴 訟
連結財務諸表に対する注記27を参照のこと。
4【日本とドイツ連邦共和国との会計原則の相違】
ドイツの銀行は、銀行会計指令法の規則(ドイツ商法(HGB)第340条以下、銀行会計に関する法定規則(RechKredV))に準拠して財務諸表を作成しなければならない。
日本とドイツ連邦共和国との会計原則の相違は、これらの会計規則に基づいて記載されている。
( 1) 一般原則
ドイツでは、銀行が保有するトレーディング資産および負債として適格な金融商品を除き、会計処理および評価は保守的に行われる。ドイツ商法によれば、会社(銀行を含む。)は以下の原則に従わなければならない。
1)「低価主義の原則」に基づき、無形資産、有形固定資産および投資等については、時価が原価より下落し、将来回復しないと認められる場合に貸借対照表および損益計算書において簿価の切下げを行い損失を認識しなければならない。流動資産については、時価が原価より下落した場合には、単に一時的なものと見込まれる場合であっても簿価を切り下げ損失を認識しなければならない。
銀行が適用することになっている一般的原則は以下の通りである。
a.銀行は、永久的に事業の用に供することを目的とする場合、固定資産の評価に関する一般的規則に従って、次の資産を評価しなければならない。関係会社持分、参加持分、諸認可権、事業用等の権利および資産ならびに当該権利および資産に対する特許権、土地、第三者の土地に存する建物を含む土地に係る権利および諸建物、工業用設備および機械、その他の設備、工場および事務所設備ならびに建設仮勘定。
b.トレーディング資産以外のその他の資産、特に債権および有価証券は、永久的に事業の用に供することを目的とする場合(上記a.に従って評価される場合)を除き、流動資産の評価に関する規則に従って評価される。
c. 資産および債権は、文書化されたリスクについて有効にヘッジする意思と能力がある場合、評価単位に指定することができる。ヘッジされたリスクによる評価利得は、文書化された評価単位における評価損失によって相殺される額を限度として認識することができる。そうした場合、通常は資産も負債も再測定されない(いわゆる「価値凍結法」を使用)。
2)「保守主義の原則」に従い、期末日以前に発生した損失は、実現していない場合でも認識しなければならない。
3)「実現主義の原則」に従い、トレーディング・ポジションまたは上記の評価単位以外の利益はそれが売却または償還によって実現するまで認識してはならない。
日本においては、「低価主義の原則」は、一般的に棚卸資産の評価において適用が認められている。棚卸資産の収益性が低下した場合には、帳簿価額は正味売却価額(売価から見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除したものと定義される。)まで切り下げることが要求される。また、固定資産においては「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、資産または資産グループの減損の兆候が認められ、かつ割引前将来キャッシュ・フローの総額(20年以内の合理的な期間に基づく)が帳簿価額を下回ると見積られた場合に、回収可能価額(資産または資産グループの正味売却価額と使用価値(資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額)と帳簿価額の差額につき減損損失を認識する。減損損失の戻入は認められない。「保守主義の原則」および「実現主義の原則」は、「一般に公正妥当と認められる会計原則」の一部である。一定の金融商品は時価で評価し、評価差額を損益または純資産の部に計上しなければならない。
( 2) 貸借対照表
配 列
貸借対照表の配列法はドイツ商法によって規定されている。一般の配列法とは異なり、銀行に対しては、RechKredVに従って特別な配列法が与えられた。銀行の資産および負債は、厳密な流動性配列法によって列挙されなければならない。これは、銀行以外の会社に対する要件とは全く対照的である。銀行の資産側は、現金およびその他の流動資産から始まり、最後に投資、無形資産、有形固定資産の順に記載される。負債側の最初の科目は「銀行に対する債務」であり、続いてその他の負債、最後に資本金の順に記載される。
日本においては、銀行に対して銀行法施行規則により定められた特別な配列法が適用されており、銀行の貸借対照表には流動資産・非流動資産および流動負債・非流動負債の分類は使用されない。
評価および分類
銀行会計指令法に準拠して、銀行はすべて、ドイツ商法第340条fに従って、固定資産としてもトレーディング資産の一部としても取り扱われていない債権および有価証券に対して秘密剰余金を設定することが認められている。銀行は、かかる債権および有価証券を、ドイツ商法第253条1項1文および3項により銀行以外の会社に対して要求または認可される価額より低い価額で評価することを選択できるが、これは、この低い価額が、銀行業に関連する特殊なリスクから銀行を保護するという慎重な企業判断に従って必要と認められる場合に限られている。秘密剰余金は、当該資産の価額の4%を超えてはならない。
日本においては、秘密剰余金の設定は認められていない。
ドイツにおいては、トレーディング資産を除く流動資産はすべて低価基準で評価しなければならない。当該評価基準はドイツ税法でも採用されている。
日本では、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従い、金融資産および金融負債は以下のように計上される。
・売買目的有価証券は、時価で測定し、時価の変動は純損益に認識される。
・個別財務諸表においては、子会社株式および関連会社株式は、取得原価で計上される。
・満期保有目的の債券は、取得原価または償却原価で測定される。
・売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式および関連会社株式以外の有価証券(「その他有価証券」)は、時価で測定し、時価の変動額は
a) 純資産に計上され、売却、減損あるいは回収時に損益計算書に計上されるか、または
b) 個々の証券について、時価が原価を上回る場合には純資産に計上し、下回る場合には損益計算書に計上する。
・ 市場価格のない株式等は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
・ 貸付金および債権は、取得原価または償却原価で測定される。
・ 金融負債は債務額で測定される。ただし、社債については、社債金額よりも低い価格または高い価格で発行した場合等、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法に基づいて算定された価額で評価しなければならない。
ドイツにおいては、1987年1月1日以降におけるすべての年金契約に基づき年金引当金を積み立てなければならない。年金引当金が計上されていない従前の年金契約については財務諸表に注記されなければならない。評価は予測単位積増方式を使用し、ドイツ連邦銀行(ドイツの中央銀行)公表の残存期間に関連する割引率を適用して実施される。年金債務は制度資産との純額ベースで表示される。制度資産は公正価値で測定されなければならない。
日本においては、一定の数理計算に基づいて退職給付引当金を計上しなければならない。
( 3) 損益計算書
ドイツにおいては、損益計算書の作成にあたり、総原価法と売上原価法の選択適用ができる製造会社とは対照的に、銀行は、RechKredVにより規定された配列法を使用しなければならないが、損益計算書の勘定式と報告式は選択適用ができる。
日本においては、銀行に対して銀行法施行規則により定められた特別な配列法が適用されており、銀行の損益計算書では、経常損益と特別損益に計算区分を分けているが、営業損益の部と営業外損益の部の区分はない。
ドイツの法律に従って、以下の全部相殺が、「相殺」規則に基づいて容認されている。
- 一部または全部が貸倒処理された債権からの現金受取額の評価益ならびに有価証券の評価益および売却益と当該資産の評価減および償却から生じる費用
- 投資、関係会社出資および固定資産として取り扱われる有価証券の評価減から生じる費用と当該資産の評価増から生じる収益
- トレーディング損益
日本においては、一部の例外を除き、一般に収益および費用は総額主義に従って表示されねばならない。
( 4) トレーディング以外の通貨換算
固定資産として取り扱われる外貨建資産は、同通貨によってカバーされていない限り、取得時の為替レートでユーロに換算されるものとする。外貨建てのその他の資産および負債ならびに貸借対照表日現在で決済されていない現金取引は、貸借対照表日現在の直物レートでユーロに換算されるものとする。先渡契約は、貸借対照表日現在の先渡レートで換算される。
このような通貨換算から生じる費用は、損益計算書に含まれるものとする。このような通貨換算から生じる収益は、当該資産、債務または先物取引が同通貨建ての資産、債務またはその他の先物取引によって特別にカバーされている場合に限り、またはポジションの残存期間が1年未満の場合に、損益計算書に含まれるものとする。その他すべての場合、通貨換算による収益は計上されない。また、通貨換算による費用と相殺もされない。
日本では、「外貨建取引等会計処理基準」に基づき、外貨建取引は、原則として、当該取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録する。金融商品は、原則として、決算時の為替相場で円換算額を付す。外貨建金銭債権債務の決済および換算に伴って生じた損益は、原則として、当期の為替差損益として処理する。
( 5) 財務諸表注記
財務諸表注記は、詳細な説明、特に貸借対照表および損益計算書の詳細な説明を含んでいる。
これらの注記に含まれる情報は、日本における貸借対照表注記、損益計算書注記および附属明細表で開示が要求されている情報と、少なくとも同等の内容を含んでいる。
( 6) 連結財務諸表
当行グループは、ドイツ商法(HGB)第315条の求めるところに従い、その年次連結財務諸表および中間連結財務諸表を、国際会計基準審議会(IASB)が公表し、欧州連合(EU)が支持した国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成することが要求されている。IFRSと日本において一般に公正妥当と認められる会計原則(以下「日本の会計原則」という。)との主要な相違は、以下のとおりである。
1)統一的な会計方針
IFRSでは、連結財務諸表は、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、統一的な会計方針を用いて作成される。グループ会社が、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、連結財務諸表において採用されているもの以外の会計方針を使用している場合、連結財務諸表の作成時に、その財務諸表に対して適切な修正が行われる。関連会社および共同支配事業体の経営成績に対する当行グループの持分は、当行グループの会計方針と整合するよう修正される。
日本では、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に基づき、連結財務諸表を作成する場合、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社および子会社が採用する会計処理の原則および手続は、原則として統一しなければならない。ただし、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」(以下、「実務対応報告第18号」という。)により、在外子会社等の財務諸表がIFRSまたは米国会計基準に準拠して作成されている場合には、一定の項目(のれんの償却、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、研究開発費の支出時費用処理等)の修正を条件に、これを連結決算手続上利用することができる。
関連会社についても、企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」に従い、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社(その子会社を含む)および持分法を適用する被投資会社が採用する会計処理の原則および手続は、原則として統一することとされた。ただし、実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」により、在外関連会社については、当面の間、実務対応報告第18号で規定される在外子会社に対する当面の取扱いに準じて行うことができる。
2)連結の原則
IFRSでは、IFRS第10号「連結財務諸表」に基づき、当行グループは当行グループが支配しているすべての投資先を連結している。投資者が、関連性のある活動におけるパワーおよび投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーを有し、かつ、投資先に対するパワーを通じて当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合には、投資先を支配していることになる。支配の評価はすべての事実および状況に基づいて行われ、事実および状況に変更が生じた兆候が存在する場合にはその結論は再評価される。これは、事業体と新たに実行されたものを含め、当行グループが有する契約上の取決めの変更を含んでおり、所有持分の変動のみに限定されない。
日本では、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に基づき、実質支配力基準により連結の範囲が決定され、支配の及ぶ会社(子会社)は連結の範囲に含まれる。ただし、子会社のうち支配が一時的であると認められる企業、または連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業については、連結の範囲に含めないこととされている。また、非連結子会社および重要な影響力を与えることができる会社(関連会社)については、持分法の適用範囲に含める。なお、日本でも、IFRSの共同支配企業に該当するものには持分法が適用される。
また、日本では、特別目的会社については、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」および企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」に基づき、特別目的会社が適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立され、当該特別目的会社の事業がその目的に従い適切に遂行されているときは、当該特別目的会社に資産を譲渡した会社から独立しているものと認め、当該特別目的会社に資産を譲渡した会社の子会社に該当しないものと推定される。したがって、当該要件を満たす特別目的会社は、連結の範囲に含まれないことになる。ただし、このように連結の範囲に含まれない特別目的会社については、企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」に基づき、当該特別目的会社の概要、当該特別目的会社を利用した取引の概要、当期に行った当該特別目的会社との取引金額または当該取引の期末残高等の一定の開示を行うことが、当該特別目的会社に資産を譲渡した会社に求められている。
3)企業結合
IFRSでは、IFRS第3号「企業結合」に基づき、すべての企業結合(共同支配企業の設立、共通支配下の企業または事業の結合等を除く。)に取得法が適用されている。取得法では、取得日において、取得企業は識別可能な取得した資産および引き受けた負債を、原則として、取得日時点の公正価値で認識する。
日本でも、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」に基づき、すべての企業結合(共同支配企業の形成および共通支配下の取引を除く。)はパーチェス法(取得法に類似する方法)で会計処理されている。
日本基準とIFRSの間には、主に以下の差異が存在する。
a) 取得関連コスト(企業結合に直接起因する費用)の処理
IFRSでは、IAS第32号およびIFRS第9号にそれぞれ準拠して認識される負債性証券または持分証券の発行コストを除き、当該費用が発生してサービスの提供を受けた期間の費用として処理する。
日本では、取得関連費用は発生した事業年度の費用として処理される。
b) 条件付対価の処理
IFRSでは、取得企業は条件付対価を、被取得企業との交換で移転した対価に含め、取得日時点の公正価値で認識しなければならない。また、条件付対価の公正価値に事後的な変動があった場合でも、一定の場合を除き、のれんの修正は行わない。
日本では、条件付取得対価の交付または引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれんの修正を行う。
c) のれんの当初認識および非支配持分の測定
IFRSでは、企業結合ごとに以下のいずれかの方法を選択できる。
・ 非支配持分も含めた被取得企業全体を公正価値で測定し、のれんは非支配持分に帰属する部分も含めて測定する方法(全部のれん方式)
・ 非支配持分のうち、現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な取り分を保有者に与えているものは、被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する比例持分相当額として測定し、のれんは取得企業の持分相当額についてのみ認識する方法(購入のれん方式)
日本では、非支配持分自体を時価評価する処理(全部のれん方式)は認められておらず、のれんは、取得原価が、取得した資産および引き受けた負債に配分された純額を超過する額として算定される(購入のれん方式)。
d) のれんの償却
IFRSでは、のれんの償却は行わず、のれんは、IAS第36号「資産の減損」に従い、毎期および減損の兆候がある場合はその都度、減損テストの対象になる。
日本では、原則として、のれんの計上後20年以内に、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。
4)非支配持分
IFRSでは、IFRS第3号「企業結合」に基づき、取得企業は、企業結合ごとに被取得企業に対する非支配持分のうち、現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な取り分を保有者に与えているものを、以下のいずれかにより測定しなければならない。
a) 取得日における非支配持分の公正価値
b) 取得日における被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する現在の所有権金融商品の比例的な取り分
非支配持分の他のすべての内訳項目は、他の測定基礎がIFRSで要求されている場合を除き、取得日の公正価値で測定しなければならない。
また、子会社に対する親会社の所有持分の変動(非支配持分との取引)で支配の喪失とならない場合には資本取引として会計処理される。
日本では、非支配持分自体を公正価値で測定する方法は認められておらず、非支配持分は取得日における被取得企業の識別可能純資産に対する現在の持分で測定される。
また、支配を喪失しない子会社に対する親会社持分の変動額と投資の増減額との差額は、資本剰余金として会計処理される。
5)他の企業への関与の開示
IFRSでは、IFRS第12号「他の企業への関与の開示」に従い、子会社、共同支配の取決め、関連会社および非連結の組成された企業への関与の内容、関連するリスク、および財務上の影響を毎年開示しなければならない。
日本では、上記に関して包括的に規定する会計基準はないが、連結の範囲に含まれない特別目的会社に関する開示や、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に基づき、連結の範囲に含めた子会社、非連結子会社に関する事項その他連結の方針に関する重要な事項およびこれらに重要な変更があったときは、その旨およびその理由について開示することが要求されている。
6)金融商品の分類および測定
IFRS第9号では、金融資産の管理に使用されるビジネス・モデルと金融資産の契約上のキャッシュ・フロー特性(SPPIとも呼ばれる)の両方に基づいて金融資産の分類を決定することが要求される。
ビジネス・モデル
IFRS第9号では3つのビジネス・モデルを使用する。
-回収のために保有-契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で保有する金融資産
-回収し、売却するために保有-契約上のキャッシュ・フローを回収し、かつ、金融資産を売却することを目的として保有する金融資産
-その他-トレーディング目的で保有、または「回収のために保有」もしくは「回収し、売却するために保有」のいずれの基準も満たさない金融資産
元本および利息のみの支払(Solely Payments of Principal and Interest、SPPI)
金融資産が「回収のために保有」または「回収し、売却するために保有」のいずれかのビジネス・モデルで保有されている場合、分類を決定するために、契約上のキャッシュ・フローが、当初認識時に元本残高に対する元本および利息の支払のみであるかどうかを判断する評価が必要となる。
償却原価で測定する金融資産:
金融資産が「回収のために保有」のビジネス・モデルで保有され、契約上のキャッシュ・フローがSPPIである場合、金融資産は、公正価値オプションで指定されない限り、償却原価で測定に分類され、その後償却原価で測定される。
この測定区分では、金融資産は、当初認識時の公正価値から、元本の返済を控除し、当初の金額と満期金額との差額の実効金利法による償却累計額を加減し、減損引当金を調整した金額で測定する。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産:
金融資産は、当該金融資産が「回収し、売却するために保有」のビジネス・モデルで保有され、契約上のキャッシュ・フローがSPPIである場合、公正価値オプションで指定されない限り、その他の包括利益を通じて公正価値(FVOCI)で分類され、測定される。
FVOCIでは、金融資産はその公正価値で測定され、変動があればその他の包括利益(OCI)に認識され、下記7)で説明されている新たなECLモデルのもとで減損の評価が行われる。FVOCI資産の外貨換算影響額は、実効金利法による利息の要素と同様に純損益に認識される。プレミアムおよびディスカウントの償却は純利息収益に計上される。実現損益は、FVOCIの金融資産に係る純利得(損失)に計上される。通常、FVOCI金融資産の原価を算定するには、加重平均原価法が用いられる。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産:
トレーディング目的で保有する金融資産、もしくは「回収のために保有」または「回収し、売却するために保有」のビジネス・モデルに該当しない金融資産は、その他のビジネス・モデルに割り当てられ、純損益を通じて公正価値(FVTPL)で測定される。さらに、契約上のキャッシュ・フローの特性がSPPIではない商品は、「回収のために保有」または「回収し、売却するために保有」のビジネス・モデルで保有されていた場合であっても、FVTPLで測定しなければならない。
金融負債:
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、金融負債は、実効金利法を用いて償却原価で測定される。金融負債には、発行した長期および短期の債務が含まれ、当初、公正価値すなわち受け取った対価から、負担した取引費用を控除した額で測定される。発行債務の市場での買戻しは消滅として取り扱われ、関連する利得または損失が連結損益計算書に計上される。自己社債の後日における市場での売却は、債務の再発行として取り扱われる。
トレーディング負債の定義を満たさない一部の金融負債は、公正価値オプションに基づき、純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定される。純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定するためには、金融負債は以下の条件のいずれかを満たさなければならない。
(1)指定により、測定または認識に生じる不整合が除去されるか、大幅に削減される
(2)金融負債のグループが、文書化されたリスク管理または投資戦略に従って、公正価値ベースで管理され、そのパフォーマンスが評価される
(3)金融商品に一つ以上の組込デリバティブが含まれている(ただし、(a)組込デリバティブが契約上必要とされるキャッシュ・フローを大幅に変更しない、または、(b)分離が禁止されていることがほとんど分析せずに明らかである場合を除く)
金融資産の分類変更:
IFRSでは、企業は、金融資産の管理に関する事業モデルを変更した場合にのみ、影響を受けるすべての金融資産を分類変更しなければならない。
金融資産を分類変更する場合には、企業は分類変更日から将来に向かって分類変更を適用しなければならない。
日本では、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従い、金融資産および金融負債は以下のように測定される。
・ 売買目的有価証券は、時価で測定し、時価の変動は純損益に認識される。
・ 個別財務諸表においては、子会社株式および関連会社株式は、取得原価で計上される。
・ 満期保有目的の債券は、取得原価または償却原価で測定される。
・ 売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式および関連会社株式以外の有価証券(「その他有価証券」)は、時価で測定し、時価の変動額は
a) 純資産に計上され、売却、減損あるいは回収時に損益計算書に計上されるか、または
b) 個々の証券について、時価が原価を上回る場合には純資産に計上し、下回る場合には損益計算書に計上する。
・ 市場価格のない株式等は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
・ 貸付金および債権は、取得原価または償却原価で測定される。
・ 金融負債は債務額で測定される。ただし、社債については、社債金額よりも低い価格または高い価格で発行した場合等、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法に基づいて算定された価額で評価しなければならない。
日本では、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従い、売買目的または売却可能(その他有価証券)から満期保有目的への分類変更は認められず、売買目的から売却可能(その他有価証券)への分類変更については、正当な理由がある限られた状況(トレーディング業務の廃止を決定した場合に、売買目的として分類していた有価証券をすべて売却可能(その他有価証券)に分類変更することができる。)においてのみ認められている。
7)資産の減損
非金融資産の減損:
IFRSでは、非流動資産の減損の兆候が認められ、その回収可能価額が帳簿価額を下回ると見積られる場合には、その差額を減損損失として認識する。回収可能価額は、非流動資産の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額である。減損損失が最後に認識されてから、当該資産の回収可能価額の算定に用いられた見積りに変更があった場合には、のれんの減損を除き、減損損失の戻入が要求される。なお、耐用年数を確定できない無形資産やのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年減損テストを実施しなければならない。
日本では、「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、資産または資産グループの減損の兆候が認められ、かつ割引前将来キャッシュ・フローの総額(20年以内の合理的な期間に基づく)が帳簿価額を下回ると見積られた場合に、その資産または資産グループの回収可能価額(正味売却価額と使用価値(資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額)と帳簿価額の差額につき減損損失を認識する。減損損失の戻入は認められない。
金融資産の減損:
IFRS第9号において、減損の要求事項は、償却原価またはFVOCIで測定されるすべての負債性金融商品、ならびにローン・コミットメントおよび金融保証等のオフバランスの貸出コミットメントに適用される。FVPLおよびFVOCIオプションを選択した資本性金融商品には減損(損失評価引当金)の要求事項は適用されない。
IFRS第9号には、金融資産の減損について3つのステージのアプローチが含まれている。このアプローチは、以下のとおり要約される。
-ステージ1:12ヶ月間の予想信用損失に相当する額の信用損失引当金を認識する。これは、信用リスクが当初認識時以降に著しく増加していないと仮定した場合に、報告日から12ヶ月以内に予想される債務不履行事象による全期間の予想信用損失の一部を表す。
-ステージ2: 信用リスクが当初認識以降に著しく増加したとみなされる金融資産について、全期間の予想信用損失に相当する額の信用損失引当金を認識する。これには、金融資産の残存期間にわたって債務不履行が発生する確率を示す、全期間の債務不履行の発生確率(LTPD)に基づくECLの計算が必要となる。このステージでは、信用リスクの増大と、ステージ1の12ヶ月と比べて期間が長期になることの影響が考慮されることから、信用損失引当金は高くなる。
-ステージ3: 信用が減損している金融資産について、当該資産の回収可能なキャッシュ・フローを通じてデフォルト確率(PD)が100%であることを反映し、全期間の予想信用損失に相当する額の損失引当金を認識する。
当初認識時の信用減損金融資産はステージ3に純額ベースで分類され、帳簿価額には全期間の予想信用損失が直ちに反映される。
日本では、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従って、満期保有目的の債券、子会社株式、関連会社株式およびその他有価証券のうち時価のある有価証券について時価が著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。市場価格のない株式等については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額をし、評価差額は当期の損失として処理する。また、営業債権・貸付金等の債権については、債務者の財政状態および経営成績等に応じて債権を3つ(一般債権、貸倒懸念債権および破産更生債権等)(金融機関では5つ)に区分し、区分ごとに定められた方法に従い貸倒見積高を算定する。
また日本では、減損の戻入は、株式について禁止されているだけでなく、満期目的保有の債券およびその他の有価証券に分類されている債券についても原則として認められていない。貸付金および債権についても、直接減額を行った場合には、減損の戻入益の計上は認められていない。
8)ヘッジ会計
IAS第39号「金融商品:認識および測定」を置き換えるIFRS第9号「金融商品」は、ヘッジ会計の要件を修正しているが、IFRS第9号のヘッジ会計の適用を延期してIAS第39号のヘッジ会計を引き続き適用するという会計方針の選択も含まれている。当行グループは、この会計方針を選択することを決定し、IFRS第9号のヘッジ会計を適用しなかった。
IAS第39号では、公正価値変動のヘッジについては、ヘッジ対象資産または負債の公正価値の変動またはその一部は、当該デリバティブのすべての公正価値の変動とともに損益計算書に認識される。ヘッジの非有効部分はその他の収益に計上され、ヘッジされたリスクに関連した市場レートまたは価格の変動によりデリバティブおよびヘッジ対象項目に対して行われた公正価値修正の純影響額として測定される。キャッシュ・フロー変動のヘッジについては、ヘッジ対象項目に対する会計処理に変更はなく、デリバティブは公正価値で計上され、公正価値の変動は当初、ヘッジが有効である限り、損益計算書に認識されていない純利得(損失)に計上される。その他の包括利益に当初計上されたこれらの金額は、その後、予定取引または確定約定が損益計算書に影響を与える期間と同一の期間に損益計算書に組み替えられる。ヘッジの非有効部分は、その他の収益に計上され、通常、実際のヘッジ手段であるデリバティブと仮想の最適ヘッジの公正価値変動の差額として測定される。
当行グループは、IAS第39号のEUカーブアウト版に準拠して金利リスクのポートフォリオ・ヘッジ(公正価値マクロ・ヘッジ)に公正価値ヘッジ会計を適用している。IAS第39号のEUカーブアウト版を適用した目的は、当行グループのヘッジ会計アプローチを当行グループのリスク管理実務および欧州の主要競合他社の会計慣行と整合させることにある。IAS第39号のEUカーブアウトでは、コア預金に公正価値マクロ・ヘッジ会計を適用することができ、ヘッジの非有効性は、適用するすべての公正価値マクロ・ヘッジ会計について、予定されたタイム・バケットにおける修正後のキャッシュ・フロー見積額が当該期間の当初の指定額を下回った場合にのみ認識される。予定されたタイム・バケットにおける修正後のキャッシュ・フロー額が当初の指定額を上回った場合には認識されない。IASBが公表したIFRSでは、公正価値マクロ・ヘッジのヘッジ会計をコア預金に適用することはできない。さらに、ヘッジの非有効性は、公正価値マクロ・ヘッジのすべてのヘッジ関係について、予定されたタイム・バケットにおける修正後のキャッシュ・フロー見積額が当該期間の当初の指定額を上回った場合と下回った場合のいずれであっても認識される。
日本では企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従って、原則として、時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰延べる方法(繰延ヘッジ)による。ただし、その他有価証券の場合等の一定の要件を満たす場合、ヘッジ対象に係る相場変動等を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法(時価ヘッジ)も認められている。
また、ヘッジ全体が有効と判定され、ヘッジ会計の要件が満たされている場合には、ヘッジ手段に生じた損益のうち結果的に非有効となった部分についても、ヘッジ会計の対象として繰延処理を行うことができる。なお、非有効部分を合理的に区分できる場合には、非有効部分を繰延処理の対象とせずに当期の純損益に計上する方法を採用することができる。
資産または負債に係る金利の受払条件を変換することを目的として利用されている金利スワップが、金利変換の対象となる資産または負債とヘッジ会計の要件を充たしており、かつ、その想定元本、利息の受払条件および契約期間が当該資産または負債とほぼ同一である場合には、金利スワップを時価評価せず、その金銭の受払の純額等を当該資産または負債に係る利息に加減する「特例処理」が認められている。また、ヘッジ会計の要件を満たす為替予約等については、当分の間、為替予約等により確定する決済時における円貨額により外貨建取引および金銭債権債務等を換算し直物為替相場との差額を期間配分する方法(「振当処理」)によることができる。
9)金融資産の認識の中止
IFRSでは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、または、当該資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡したか、もしくは一または複数の受領者に対し当該キャッシュ・フローを支払う義務を引き受けた場合に、金融資産の認識の中止が検討される。譲渡した金融資産については、所有に関する実質上すべてのリスクおよび経済価値を移転した場合に、認識の中止を行う。
日本では、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に従い、譲渡金融資産の財務構成要素ごとに、支配が第三者に移転しているかどうかの判断に基づいて、当該金融資産の認識の中止がなされる。
10)株式を基礎とした報酬
IFRSでは、資本性金融商品として分類された報奨に関する報酬費用は、付与日において株式を基礎とした報奨の公正価値に基づき測定される。報酬費用は、従業員の当該報奨に関連する勤務の期間にわたり、または分割で交付される報奨に関しては当該部分の期間にわたり、定額法に基づき計上される。対応する金額は資本剰余金に計上される。
日本でも、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」に基づき、ストック・オプションの付与日から権利確定日までの期間にわたり、付与日現在のストック・オプションの公正な評価額に基づいて報酬費用が認識され、対応する金額は資本(純資産の部の新株予約権)に計上される。
ただし、同基準の適用範囲は持分決済型株式報酬に限定されており、現金決済型取引等については特段規定がなく、実務上は発生時に費用(引当)処理される。また持分決済型取引について、日本では、権利確定後に失効した場合には失効に対応する新株予約権につき利益計上(戻入)を行う等、IFRSと異なる処理が行われている。
11)退職後給付(確定給付制度)
a) 確定給付制度債務の期間配分方法
IFRSでは、IAS第19号「従業員給付」に従い、制度の給付算定式に基づいて勤務期間に給付を帰属させる方法(給付算定式基準)が原則とされている。
日本では、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に基づき、期間定額基準と給付算定式基準のいずれかを選択適用できる。
b) 数理計算上の仮定
・ 割引率
IFRSでは、報告期間の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しなければならない。そのような債券について厚みのある市場が存在しない国では、国債の市場利回り(報告期間の末日時点)を使用しなければならない。また割引率は、各報告日に見直さなければならない。
日本では、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定するが、これには、期末における国債、政府機関債および優良社債の利回りが含まれ、いずれも選択可能である。また、割引率等の計算基礎に一定の重要な変動が生じていない場合には、割引率を見直さないことが認められている。
・ 制度資産に係る利息収益(長期期待運用収益)
IFRSでは、年次報告期間の開始日時点で、制度資産の公正価値に上記の割引率を乗じて算定する。なお、制度資産に係る利息収益は、確定給付制度債務に係る利息費用と相殺の上、確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額に含める。
日本では、期首の年金資産の額に合理的に予想される収益率(長期期待運用収益率)を乗じて算定する。
c) 数理計算上の差異(再測定)および過去勤務費用
IFRSでは、数理計算上の差異を含む確定給付負債(資産)の純額は、発生時にその全額をその他の包括利益に認識する。その他の包括利益から純損益への振替(リサイクル)は、禁止されている。また、過去勤務費用は、純損益に即時認識する。
日本では、数理計算上の差異は、原則として各期の発生額について、平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理する。数理計算上の差異の当期発生額のうち費用処理されない部分(未認識数理計算上の差異)および過去勤務費用の当期発生額のうち費用処理されない部分(未認識過去勤務費用)についてはいずれも、その他の包括利益に計上する。また、その他の包括利益累計額に計上された未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分については、その他の包括利益の組替調整(リサイクル)を行う。
d) 確定給付資産の上限
IFRSでは、確定給付制度が積立超過の場合には、確定給付資産の純額を次のいずれか低い方で測定する。
・ 当該確定給付制度の積立超過
・ 制度からの返還または制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値(資産上限額)
日本では、そのような確定給付資産の上限はない。
12)金融保証契約
IFRSでは、金融保証契約について、保証提供者が当初、公正価値で負債に計上することが要求され、以後は、純損益を通じて公正価値で測定する場合またはIFRS第17号「保険契約」に従い保険契約として処理する場合を除き、「IFRS第9号の減損の定めに従って算定した損失評価引当金の金額」と「当初認識額からIFRS第15号の原則に従って収益に認識された累計額を控除した金額」のいずれか大きい額で測定される。
日本では、金融資産または金融負債の消滅の認識の結果生じる債務保証を除いて、保証を当初より公正価値で貸借対照表に計上することは求められていない。銀行の場合には、第三者に負う保証債務は偶発債務として額面金額を支払承諾勘定に計上し、同時に銀行が顧客から得る求償権を偶発債権として支払承諾見返勘定に計上する。保証に起因して、将来の損失が発生する可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、債務保証損失引当金を計上する。
13)投資不動産
IFRSでは、投資不動産の当初認識後の評価方法として、事業体は以下のいずれかを選択できる。
a)公正価値モデル。投資不動産は公正価値で測定され、公正価値の変動は損益計算書において認識される。
b)原価モデル。原価モデルでは、投資不動産を減価償却後の簿価(減損損失累計額控除後)で測定することが要求される。原価モデルを選択した事業体は、投資不動産の公正価値情報を開示する。
日本では、投資不動産についても、通常の有形固定資産と同様に取得原価に基づく会計処理を行う(原価モデルを適用)。また、企業会計基準第20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」に従い、賃貸等不動産を保有している企業は以下の事項を注記することが求められている。
a) 賃貸等不動産の概要
b) 賃貸等不動産の貸借対照表計上額および期中における主な変動
c) 賃貸等不動産の当期末における時価およびその算定方法
d) 賃貸等不動産に関する損益
14)リース取引
IFRS第16号「リース」では、基礎となる資産の価値が低い場合を除き、期間が12ヶ月を超えるすべてのリースに関して資産および負債を認識するよう借手に求めている。借手は、基礎となるリース資産の使用権を表す使用権資産およびリース料の支払債務を表すリース債務を認識するよう求められる。
日本では、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」に従い、ファイナンス・リース取引とは、解約不能かつフルペイアウトの要件を満たすものをいい、ファイナンス・リース取引に該当するかどうかについてはその経済的実質に基づいて判断すべきものであるとしている。ただし、解約不能リース期間がリース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上、または解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値がリース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額の概ね90%以上のいずれかに該当する場合は、ファイナンス・リースと判定され、借手の財務諸表に資産計上し、対応するリース債務を負債に計上する。オペレーティング・リースは借手によりオフバランスシートで会計処理され、リース料はリース期間にわたり費用として認識される。なお、少額(リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下の所有権移転外ファイナンス・リース)または短期(1年以内)のファイナンス・リースについては、オペレーティング・リースの処理と同様に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
なお、日本においては、2024年9月13日に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が公表された。当該基準では、IFRSと同様に、借手のリース取引をファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類するのではなく、借手のすべてのリース取引について使用権資産およびリース負債が計上され、使用権資産から減価償却費が、リース負債から利息費用が計上されることになる。当該基準は、2027年4月1日以降開始する事業年度から適用され、早期適用も認められている。
15)金融商品の公正価値の開示
IFRSでは、事業体の財政状態および業績に対する金融商品の重要性、金融商品から生じる信用リスク、流動性リスクおよびマーケット・リスクに関する定性的および定量的情報ならびに事業体のリスク管理方法について開示することが要求されている。
日本では、金融商品の状況に関する事項、金融商品の時価等に関する事項、および金融商品の時価のレベルごとの内訳に関する事項についての開示が求められている。ただし、金融商品から生じるリスクのうちマーケット・リスクに関する定量的開示が求められているのは、金融商品から生じるリスクが重要な企業(銀行・証券会社等)が想定されている。また、マーケット・リスク以外のリスク(流動性リスク・信用リスク)に関する定量的開示については明確な規定がない。
16)公正価値測定
IFRSでは、IFRS第13号「公正価値測定」は、一定の場合を除き、他のIFRSが公正価値測定または公正価値測定に関する開示(および、売却コスト控除後の公正価値のような、公正価値を基礎とする測定または当該測定に関する開示)を要求または許容している場合に適用される。IFRS第13号では、公正価値を「測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格」と定義している。また、IFRS第13号は、公正価値の測定に用いたインプットの質に基づき3つのヒエラルキーに分類し、公正価値測定を当該ヒエラルキー別に開示することを求めている。
日本では、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」において、時価とは、現在の市場環境の下で、時価の算定日における市場参加者間の秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格または負債の移転のために支払う価格をいうと定義されている。
17)財務諸表における表示及び開示
国際会計基準審議会(IASB)は、損益計算書の改善に焦点を当てた、財務諸表の表示および開示に関する新たな基準であるIFRS第18号を公表した。IFRS第18号では、以下に関連する主要な概念が導入されている。
- 損益計算書の構造
- 財務諸表外で報告される特定の損益に関連する業績指標(すなわち、経営者が定義した業績指標)について、財務諸表において要求される開示
- 基本財務諸表または注記に適用される集約および分解に関する原則の改善
IFRS第18号は、2027年1月1日以降開始する事業年度から適用され、早期適用も認められている。
日本では、業種により差異があるが一般原則としては、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益を段階利益として表示する。
第7【外国為替相場の推移】
ユーロから円への為替相場は、国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に最近5年間の事業年度において掲載されているので、記載を省略する。
第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
1.日本における株式事務等の概要
(1)株式の名義書換取扱場所および株主名簿管理人
当行は、無額面記名式株式を発行している。日本においては当行株式の名義書換取扱場所または株主名簿管理人は存在しない。
普通株式の取得者(以下「実質株主」という。)は、その取得窓口となった証券会社(以下「窓口証券会社」という。)から予め外国証券取引口座約款の交付を受け、同約款に基づき外国証券取引口座(以下「取引口座」という。)を開設する必要がある。売買の執行、代金の決済、証券の保管およびその他株式の取引に関する事項はすべてこの取引口座により処理される。
普通株式は、窓口証券会社を代理するドイツにおける保管機関(以下「現地保管機関」という。)またはその名義人の名義で当行に登録され、当該普通株券は現地保管機関に保管される。各窓口証券会社は自社に取引口座を持つ全実質株主の明細表(以下「実質株主明細表」という。)を管理する。実質株主明細表には各実質株主の氏名および普通株式持株数が記載される。
(2)株主に対する特典…………なし
(3)株式の譲渡制限……………なし
(4)その他の株式事務に関する事項
(イ)決算期 ………毎年12月31日
(ロ)年次株主総会 ………株主総会は、デュッセルドルフ、フランクフルト・アム・マインまたは人口25万超のドイツの都市において営業年度の開始後8か月以内に開催される。
(ハ)基準日 ………当行の株式に対する配当を当行から受領する権利を有する実質株主は、通常、ドイツにおける配当支払日(通常、利益処分案についての株主総会決議が行われた日の翌銀行営業日)に応当する日本での同一の暦日現在で作成された実質株主明細表上の名義人である。
(二)株券の種類 ………無額面株式の1券種
(ホ)株券に関する手数料…実質株主は、窓口証券会社に外国証券取引口座を開設し、維持するにあたり、外国証券取引口座約款に従って年間口座管理料の支払いをする必要がある。この管理料は現地保管機関の手数料その他の費用を含む。
(ヘ)通知 ………当行が株主に対して行う通知および通信は、普通株式の登録所持人たる現地保管機関またはその名義人に対してなされる。現地保管機関はこれを窓口証券会社に送付し、窓口証券会社はこれをさらに外国証券取引口座約款の規定に従い各実質株主に通知する措置をとる。実費は実質株主に請求される。
(ト)公告 ………日本においては公告は行わない。
2.日本における実質株主の権利行使に関する手続
(1)実質株主の議決権の行使に関する手続
議決権の行使は実質株主が窓口証券会社を通じて行う指示に基づき、現地保管機関またはその名義人が行う。ただし、実質株主が特に指示しない場合、現地保管機関またはその名義人は議決権の行使を行わない。
(2)剰余金の配当請求に関する手続
外国証券取引口座約款に従い、配当金は、窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に交付される。
株式配当により割り当てられた普通株式は、実質株主が特に要請した場合を除き、窓口証券会社を代理する現地保管機関によりドイツで売却され、その売却代金は窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払われる。
無償交付の方法により発行される普通株式は、原則として窓口証券会社を代理する現地保管機関またはその名義人の名義で登録され、当該株券は現地保管機関が保管し、実質株主に係る窓口証券会社の残高が変更される。
普通株式について新株引受権が付与される場合には、新株引受権は、原則として窓口証券会社を代理する現地保管機関によりドイツで売却され、その売却代金は窓口証券会社が現地保管機関またはその名義人から一括受領し、取引口座を通じて実質株主に支払われる。
(3)株式の移転に関する手続
実質株主は窓口証券会社を通じてその持株の保管替えまたは売却注文をなすことができる。実質株主と窓口証券会社との間の決済は原則として円貨による他、外国証券取引口座約款の規定に従う。
(4)配当等に関する課税上の取扱い
(イ)配当 ……実質株主に対する配当は、日本の税法上配当所得となる。
本書提出日現在、上場株式(当行株式等)の配当に関する日本の課税上の取扱いの概要は次のとおりである。日本の居住者たる個人が日本国内の支払いの取扱者を通じて支払いを受ける配当については、ドイツにおいて当該配当の支払いの際に徴収されたドイツの国または地方公共団体の源泉徴収税額があるときは、この額を控除した後の金額に対して、2014年1月1日から2047年12月31日までに支払いを受ける配当については、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、2048年1月1日以後に支払いを受ける配当については、20.15%(所得税15.15%、住民税5%)の税率による源泉徴収(地方税については特別徴収)が行われる。総合課税または申告分離課税のいずれかを選択して確定申告をすることができるが(申告分離課税を選択した場合の税率は、源泉徴収税率と同一である。)、日本国内の支払いの取扱者を通じて支払いを受ける配当について確定申告不要を選択した場合は源泉徴収および特別徴収された税額のみで課税関係は終了する。なお、日本の居住者たる個人は、上場株式等への少額の投資に関し、非課税口座(すなわち、日本個人貯蓄口座(NISA))を開設することにより、当該上場株式等に係る配当について非課税措置を受けることができる。
日本の法人が日本国内の支払いの取扱者を通じて支払いを受ける配当については、所得税のみ、2014年1月1日から2047年12月31日までに支払いを受ける配当については、15.315%、2048年1月1日以後に支払いを受ける配当については、15.15%の税率による源泉徴収が行われる。
ドイツにおいて徴収された税金は、日本の税法の規定に従い、外国税額控除の対象となる。
(ロ)売買損益……当行株式の日本における売買に基づく損益についての課税は、日本の会社の株式の売買損益課税と同様である。なお、日本の居住者たる個人は、上場株式等への少額の投資に関し、NISAを開設することにより、当該上場株式等に係る譲渡益について非課税措置を受けることができる。
(ハ)相続税 ……当行株式を相続しまたは遺贈を受けた日本の実質株主には、日本の相続税法に基づき相続税が課せられるが、外国税額控除が認められる場合がある。
ドイツでの課税上の取扱いについては、上記「第1 本国における法制等の概要-3 課税上の取扱い」の項を参照のこと。
第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
該当事項なし。
2【その他の参考情報】
当該事業年度の開始日から本書提出日までの期間において提出された書類および提出日は、以下のとおりである。
| 提出書類 | 提出年月日 | ||
| 1. | 発行登録書(募集)および添付書類 | 2025年4月11日 | |
| 2. | 発行登録書(売出)および添付書類 | 2025年4月11日 | |
| 3. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年4月30日 | |
| 4. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年5月16日 | |
| 5. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年5月21日 | |
| 6. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年5月26日 | |
| 7. | 有価証券報告書および添付書類 | 2025年6月26日 | |
| 8. | 有価証券報告書の訂正報告書 (上記7.の有価証券報告書の訂正) | 2025年6月26日 | |
| 9. | 訂正発行登録書 (上記1.の発行登録書(募集)の訂正) | 2025年6月26日 | |
| 10. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年6月26日 | |
| 11. | 有価証券届出書および添付書類 | 2025年8月15日 | |
| 12. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年8月29日 | |
| 13. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年9月12日 | |
| 14. | 半期報告書および添付書類 | 2025年9月26日 | |
| 15. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年9月30日 | |
| 16. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年10月17日 | |
| 17. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年10月31日 | |
| 18. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年10月31日 | |
| 19. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年11月18日 | |
| 20. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年11月18日 | |
| 21. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年11月28日 | |
| 22. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年11月28日 | |
| 23. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年12月15日 | |
| 24. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2025年12月15日 | |
| 25. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年12月26日 | |
| 26. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年12月26日 | |
| 27. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2025年12月26日 | |
| 28. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年1月20日 | |
| 29. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年1月20日 | |
| 30. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年1月20日 | |
| 31. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年1月30日 | |
| 32. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年1月30日 | |
| 33. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年1月30日 | |
| 34. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年2月17日 | |
| 35. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年2月17日 | |
| 36. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年2月17日 | |
| 37. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年2月27日 | |
| 38. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年2月27日 | |
| 39. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年2月27日 | |
| 40. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年3月16日 | |
| 41. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年3月16日 | |
| 42. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年3月16日 | |
| 43. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年3月31日 | |
| 44. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年4月10日 | |
| 45. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年4月17日 | |
| 46. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年4月28日 | |
| 47. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年4月30日 | |
| 48. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年4月30日 | |
| 49. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年4月30日 | |
| 50. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年5月13日 | |
| 51. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年5月13日 | |
| 52. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年5月13日 | |
| 53. | 訂正発行登録書 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年5月13日 | |
| 54. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年5月15日 | |
| 55. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年5月19日 | |
| 56. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年5月19日 | |
| 57. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年5月19日 | |
| 58. | 訂正発行登録書および添付書類 (上記2.の発行登録書(売出)の訂正) | 2026年5月29日 | |
| 59. | 発行登録追補書類(売出)および添付書類 | 2026年6月16日 | |
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項なし。
(訳文※)
| 独立監査人の監査報告書 ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフト(フランクフルト・アム・マイン)御中 |
|---|
| 連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに関する監査報告書 |
| 意見 |
|---|
| 私たちは、ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフト(フランクフルト・アム・マイン)およびその子会社(グループ)の2025年12月31日現在の連結貸借対照表、ならびに2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書、ならびに連結財務諸表に対する注記(重要性がある会計方針の情報を含む。)から成る連結財務諸表について監査を行った。さらに私たちは、ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフト(フランクフルト・アム・マイン)(訳注:以下「銀行」という。)の2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る、銀行のマネジメント・レポートと統合し作成されているグループ・マネジメント・レポートについても監査を行った。ドイツの法的要件に準拠し、私たちは、グループ・マネジメント・レポートの「リスク管理原則」(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(リスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。)の内容、またはドイツ商法第289f条および第315d条に基づく統合コーポレート・ガバナンス・ステートメント(グループ・マネジメント・レポートに記載のウェブサイトで公開されており、当該グループ・マネジメント・レポートの一部である。)の内容、またはグループ・マネジメント・レポートの「サステナビリティ・ステートメント」の項のドイツ商法第289b条および第315d条に基づく非財務報告書の内容については監査を行っていない。 |
| 私たちの監査において得た知識に基づく意見では、 |
| -添付の連結財務諸表は、すべての重要な点について、国際会計基準審議会(IASB)が発行しEUによって採用されたIFRS会計基準およびドイツ商法第315e条第1項に従ったドイツの商業上の法律による追加的要件に準拠しており、これらの要件に従って、グループの2025年12月31日現在の資産、負債および財政状態ならびに2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る財務成績につき真実かつ公正な概観を示している。 |
| -添付のグループ・マネジメント・レポートは、全体としてグループの状況に関する適切な概観を示している。当該グループ・マネジメント・レポートは、すべての重要な点について、連結財務諸表と整合しており、ドイツの法的要件を遵守し、将来の発展の機会およびリスクを適切に表示している。私たちは、上述のグループ・マネジメント・レポートの「リスク管理原則」(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(リスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。)、または上述の統合コーポレート・ガバナンス・ステートメントの内容、または上述の非財務報告書については意見を表明しない。 |
| ドイツ商法第322条第3項第1文に従って、私たちは監査により、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの法令遵守に関するいかなる検出事項も発見されなかったことを宣言する。 |
| 意見表明の根拠 |
|---|
| 私たちは、ドイツ商法第317条およびEU監査規則(No 537/2014、以下「EU監査規則」という。)に準拠し、またドイツ経済監査士協会(IDW)が公布した一般に公正妥当と認められるドイツ財務諸表監査基準に準拠して、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの監査を行った。これらの要件および原則に基づく私たちの責任の詳細は、私たちの監査報告書の「連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの監査に関する監査人の責任」の項に記述されている。私たちは、欧州法ならびにドイツの商業上および職業的専門家に係る法律と、社会的影響度の高い事業体の財務諸表監査に適用される国際会計士倫理基準審議会(IESBA)の職業会計士のための国際倫理規程(国際独立性基準を含む。)(IESBA倫理規程)の要件に従い、グループ事業体から独立している。また、これらの要件およびIESBA倫理規程に従い、ドイツのその他の職業的専門家としての責任を果たしている。加えて、EU監査規則第10条第2項f)に従って、私たちは、EU監査規則第5条第1項で禁止されている非監査業務を提供していないことを宣言する。私たちは、私たちが入手した監査証拠が、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに対する私たちの意見の根拠を提供するのに十分かつ適切であると判断している。 |
| 連結財務諸表監査における監査上の主要な検討事項 |
| 監査上の主要な検討事項とは、2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る連結財務諸表監査において、私たちの職業的専門家としての判断において最も重要な項目をいう。当該事項は、全体としての連結財務諸表監査の過程および監査意見の形成において対応した事項であり、私たちは、当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。 |
| 以下に、私たちが監査上の主要な検討事項であると判断したものについて記す。 |
| 1. 活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴うレベル3の金融商品の評価 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 経営陣は、活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴うレベル3の金融商品の公正価値を測定するために評価技法を使用している。2025年12月31日現在、グループは、公正価値で測定するレベル3の金融資産を258億ユーロ、金融負債を115億ユーロ保有していた。関連する金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産および金融負債、ならびにその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に計上されている。 |
| 活発な市場における取引価格がない関連するインプットを伴う金融商品には、複雑なモデルを使用して評価されるストラクチャード・デリバティブ、より複雑なまたは流動性の低いOTCデリバティブ、ディストレスト債、高度な仕組み債、流動性の低い貸出金、評価調整を算定するために使用される信用スプレッド、および満期までの期間が長い金融商品では観察不能なその他の重要なインプットが含まれている。 |
| 活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴うレベル3の金融商品の評価は、使用される評価技法およびモデルの性質が複雑であることと、使用される重要なインプットが観察不能であるために経営陣の仮定および判断に基づく度合いが高いことから、これを監査上の主要な検討事項とした。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、経営陣による金融商品の公正価値およびそれに含まれる重要な観察不能なインプットの決定プロセスに関する統制を理解し、その整備状況を評価し、運用状況の有効性をテストした。これには、独立した価格検証、モデルの限界の評価を含む評価モデルの独立した検証、評価モデルの使用に関するモニタリング、ならびに公正価値調整の計算に関連する統制が含まれる。 |
| 私たちは、評価技法、モデルおよび手法を評価し、これらのモデルで使用された重要なインプットをテストした。私たちは、独立したモデルおよびインプットを使用し、活発な市場における相場価格のないデリバティブおよびその他の金融商品のサンプルについて、公正価値の独立した再評価を実施した。私たちはまた、使用された代用インプットのサンプルの妥当性を、市場データソースとの比較によって独立して評価し、関連する金融商品との関連性を評価した。 |
| さらに、私たちは、IFRS第13号の要件に対して公正価値調整の算定に経営陣が使用した手法およびインプットを評価し、独自の独立したデータおよび手法を用いてこれらの評価調整のサンプルの再計算を実施した。 |
| 私たちは、評価モデル、独立した再評価および公正価値調整に関連する手続において、内部の金融商品評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴うレベル3の金融商品の評価に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 公正価値測定に使用された評価技法、モデルおよび手法に関する情報は、連結財務諸表に対する注記01および注記13に記載されている。 |
| 2. モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、グループは66億ユーロの信用損失引当金を認識し、このうち15億ユーロはステージ1およびステージ2の引当金に関連していた。 |
| 非デフォルト金融商品(IFRS第9号のステージ1およびステージ2)に係るモデルベースの予想信用損失の計算に使用された推定デフォルト確率(PD)の見積りは、過去の情報と、現在の経済動向および将来的なマクロ経済予測(国内総生産および失業率等)に基づいている。統計的手法を使用して、将来のマクロ経済の動向に関する基本シナリオを複数のシナリオに変換している。これらのシナリオは、予想信用損失の計算に使用される、格付別および相手先別の複数年PDカーブを導出する際の基礎となっている。 |
| 金利の著しい変動、現在の地政学的な紛争およびマクロ経済の変数に影響を与えるその他のボラティリティ要因に関する経済の不確実性を考慮すると、将来予測的な情報の見積りには重要な判断が要求される。これらの不確実性を反映するために、経営陣は、マクロ経済変数を調整するかマネジメント・オーバーレイを含めるかのいずれかにより、マクロ経済変数を予想信用損失モデルと予測手法に含める際の基礎となるインプットおよび仮定を調整するかどうかを評価する必要がある。 |
| IFRS第9号に基づく減損の対象となる保有する非デフォルト金融商品の重要性、経済の不確実性、および重要な判断が用いられているという観点から、私たちは、モデルベースの予想信用損失およびそれに関連する調整の計算に含める将来予測的な情報は監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは経営陣が実行したプロセスを理解し、IFRS第9号の要件に関する将来予測的な情報の選定、決定、モニタリングおよび検証に係る統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、モデル検証プロセスを通じて行われる、予想信用損失モデル、予測手法、仮定およびインプットの経営陣による見直しを評価した。さらに、私たちは選定された変数を基本シナリオに含めるために使用された方法および複数のシナリオの導出方法を評価した。 |
| 私たちは、基本シナリオのマクロ経済予測を、外部ソースが公表したマクロ経済予測と比較することによって評価した。 |
| また、経営陣がマクロ経済変数を含めるために標準プロセスを調整するかどうか、またはマネジメント・オーバーレイを通じてモデルの結果を調整するかどうかを決定するにあたって適用した手法についても評価した。その際、経営陣の感応度分析の結果を評価し、使用されたマクロ経済変数を私たち独自のベンチマーク分析と比較した。また、経営陣の手法に従い、予想信用損失の計算にあたってこれらの調整が考慮されていることを評価した。 |
| モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報の評価にあたり、私たちは内部の信用リスク・モデリングの専門家を利用した。 |
| 手続の結果、モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| ステージ1およびステージ2に関するモデルベースの予想信用損失の計算およびその調整に含める将来予測的な情報に関する情報は、連結財務諸表に対する注記01および注記19に記載されている。 |
| 3. 債務不履行に陥った米国の商業用不動産貸出金の予想信用損失 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、グループはノンリコースの商業用不動産貸出金事業に関連した貸出金エクスポージャー306億ユーロおよび対応する引当金11億ユーロを認識していた。 |
| 債務不履行の識別および債務不履行に陥った貸出金エクスポージャーの予想信用損失の算定には、特に借手の債務返済能力、将来キャッシュ・フローの見積り(担保権の実行により予想される収入を含む。)に関して、様々な仮定およびインプットの見積りが使用される。 |
| 商業用不動産事業に関連する債務不履行に陥った貸出金エクスポージャーが増加していること、経済的な不確実性が存在すること、重要な判断が用いられることから、私たちは、特に米国に所在する商業用不動産に関して、債務不履行に陥った商業用不動産貸出金の予想信用損失(ECL)を監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、米国の商業用不動産貸出金事業における借手の予想信用損失の識別および算定に係るプロセスを理解した。私たちは、信用リスク格付、IFRS第9号に基づく債務不履行基準の適用およびステージ3への振替、ならびに予想信用損失の算定に関する統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、IFRS第9号に基づく債務不履行の貸出金を決定するために経営陣が使用した基準を評価した。 |
| 米国の商業用不動産貸出金のサンプルについて、私たちは予想信用損失のステージを決定するために使用された債務不履行基準の適用を分析した。ステージ3に分類された貸出金について、私たちは担保価値、借手の支払能力ならびに市場および業界予測に係る公開情報を評価することにより、貸出金エクスポージャーからの将来キャッシュ・フローの見積りに関する重要な仮定を評価した。私たちは経営陣が予測した仮定を裏付ける、または相反する情報を検索し、評価した。私たちはまた、債務不履行に陥ったエクスポージャーの予想信用損失の計算の正確性をテストした。 |
| 私たちは、内部の専門家を利用して、米国の商業用不動産担保の評価をサンプルベースで評価した。 |
| 手続の結果、債務不履行に陥った米国の商業用不動産貸出金の予想信用損失に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| グループの商業用不動産貸出金事業に関する情報は、連結財務諸表に対する注記19および連結財務諸表の不可欠な一部であるリスク・レポート(統合マネジメント・レポート)の「2025年度における重点事項」の「商業用不動産」(「信用リスク・エクスポージャー」の章)の項に記載されている。 |
| 4. アセット・マネジメント現金生成単位ののれんの減損テスト |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、グループは27億ユーロののれんを計上しており、これはすべてアセット・マネジメント現金生成単位(CGU)に割り当てられている。 |
| 減損テストの目的上、アセット・マネジメントCGUの回収可能価額は割引キャッシュ・フロー・モデルを使用して計算される。これに関連して、利益予測、および割引率の算出に用いられる資本資産価格モデルのインプット・パラメータに関する重要な仮定が設定されている。 |
| アセット・マネジメントCGUののれんの減損テストは、割引キャッシュ・フロー・モデルに含まれる利益予測および割引率により、高度な判断に基づくものであるため、これを監査上の主要な検討事項とした。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、アセット・マネジメントCGUの利益予測の策定プロセスおよび回収可能価額の計算プロセスについて理解した。これに関して、私たちはまた、利益予測および割引率に関する経営陣の統制を理解し、当該統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、前年度からの仮定の変更に焦点を当てて、利益予測を分析した。私たちは、利益予測を前事業年度の予測および達成した実績と比較し、重要な乖離がないか評価するとともに、利益予測について経営陣が設定した仮定を外部の市場予想と比較することで、その整合性および妥当性を評価した。 |
| さらに、割引率を、外部から入手可能な様々なデータと比較することで評価した。 |
| アセット・マネジメントCGUの回収可能性に関して設定された上記の仮定の評価にあたり、私たちは、内部の事業評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、アセット・マネジメントCGUののれんの測定に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| のれんの減損テストに関する情報は、連結財務諸表に対する注記01および注記23に記載されている。 |
| 5. 繰延税金資産の認識および測定 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、グループは59億ユーロの繰延税金資産純額を計上している。 |
| 繰延税金資産の認識および測定は、潜在的な将来の課税所得に対する繰越欠損金および将来減算一時差異の利用可能性の見積りに基づいている。この見積りは、とりわけ、承認された事業計画に基づく経営成績の予測に関する仮定に基づいている。 |
| 将来の課税所得および繰越欠損金の利用可能性に関する見積りには判断を用いることから、繰延税金資産の認識および測定は監査上の主要な検討事項である。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、将来減算一時差異および繰越欠損金が税法の規定およびIAS第12号に基づく繰延税金の会計処理規則に準拠して、それぞれの管轄区域において識別され、測定されているかどうかを判断するためのプロセスを理解し、関連する統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、関連するグループ会社および税務申告グループの将来の課税所得を見積る際の基礎となる、承認された事業計画の要素を策定および配分するために使用された仮定をテストした。 |
| さらに、私たちは、将来の課税所得を見積るために使用された主要な仮定を分析することにより、繰延税金資産の認識を評価した。私たちは、基礎となる主要な仮定を外部から入手可能な過去および将来のデータと比較することにより、経営成績の予測に採用された見積りを評価した。また、過去の予測を実績と比較した。さらに、税額調整の見積りを評価し、それぞれの繰延税金資産の利用期間について感応度分析を実施した。 |
| 繰延税金資産の回収可能性に関して使用された仮定の評価にあたり、私たちは、私たちの税務の専門家および内部の事業評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、繰延税金資産の認識および測定に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 繰延税金資産の認識および測定に関する情報は、連結財務諸表に対する注記01および注記34に記載されている。 |
| 6. 民事訴訟および規制執行に係る引当金および偶発負債 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、グループの民事訴訟および規制執行に係る引当金は13億ユーロ、偶発負債は9億ユーロであった。 |
| グループは、グループを重要な訴訟リスクにさらす法的および規制環境において事業活動を行っている。引当金の認識および測定、または偶発負債の開示に関する見積りは、現在入手可能な情報ならびに様々な仮定および変数に基づいている。 |
| 民事訴訟および規制執行案件には固有の不確実性が存在するため、経済的リソースの流出に関して発生可能性を評価し、その額を見積る際に重要な判断が要求される。 |
| 一部の民事訴訟および規制執行案件に関する経済的リソースの流出の発生可能性および金額に関する経営陣の見積りには、かなりの主観が伴うため、これは監査上の主要な検討事項である。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、民事訴訟および規制執行に係る引当金の認識と測定および偶発負債の開示プロセスに関する経営陣による統制を理解し、その整備状況を評価し、運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、関連事項のサンプルについて、経済的流出の発生可能性および金額(それぞれの事項について考慮された仮定および変数を含む。)に関する経営陣の評価を評価した。これらの手続には、法的解釈の対象となる判断の側面を詳述する内部および外部の法的分析の検査が含まれていた。また、主要なマネジメント委員会(取締役会を含む。)の議事録、および裁判手続、和解合意、規制当局からの問い合わせや調査報告書等の関連するやりとりも通読した。経営陣から提供された情報を評価するために、外部の法律顧問からやりとりを直接入手し、必要に応じて外部顧問に問合わせを行った。 |
| 私たちは、内部の評価専門家を利用して、引当金の決定に用いられた関連事項の手法を評価し、また、該当する事項について、内部の法律専門家を利用して、経済的流出の発生可能性および引当金の認識額を評価した。 |
| 手続の結果、民事訴訟および規制執行に係る引当金の網羅性および正確性に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 法的引当金の測定に関する情報は、連結財務諸表に対する注記01および注記27に記載されている。 |
| 7. 財務報告におけるITアクセスおよび変更管理 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| グループの財務報告の正確性は、日々処理される取引が相当数あるため、使用されるITの信頼性および継続性に大きく依存している。 |
| 信頼性が高く継続的なデータ処理への依存度が高いこと、また、IT統制が内部統制システムの広範囲にわたることを踏まえ、私たちは、グループの財務報告におけるITアクセスおよび変更管理を監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、IT全般統制およびグループの財務報告に関連するIT業務処理統制を含むIT統制環境を評価した。私たちの手続では、現在のIT統制環境に対する当年度中の変更も範囲に含まれる。 |
| さらに、私たちは、アプリケーション、データベースおよびオペレーティング・システムにわたるユーザー・アクセス管理および変更管理に関連して、エラーの防止および検出のためのIT全般統制の運用状況の有効性をテストした。また、私たちは、自動化されたデータ処理、データフィードおよびインターフェースに関するIT業務処理統制をテストした。ITアクセス管理に関連する監査手続には、ユーザー・アクセスの付与および削除、特権ユーザー・アクセス、定期的なアクセス権の再認証、システムのセキュリティ設定およびユーザー認証に係る統制が含まれるが、これらに限定されない。 |
| IT変更管理に関連する監査手続には、本稼働環境における変更が導入前にテストされ承認されていたかどうか、また、変更を実行する権限が認可されたユーザーに限定されていたかどうかの評価が含まれるが、これらに限定されない。 |
| グループの財務報告プロセスにおけるITアクセスおよび変更管理の評価にあたり、私たちは、IT監査の領域に特化した専門性を有する内部の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、グループの財務報告におけるITアクセスおよび変更管理に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 財務報告に係る内部統制の一般的な説明については、統合マネジメント・レポートの「財務報告に係る内部統制」の項を参照のこと。 |
| その他記載内容 |
|---|
| 監査役会は、監査役会の報告書について責任を負っている。業務執行取締役および監査役会は、ドイツ株式会社法第161条に基づくドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードに関する宣言(統合コーポレート・ガバナンス・ステートメントの一部である。)およびドイツ株式会社法第162条に基づく報酬報告書について責任を負っている。業務執行取締役は、その他すべての点について、その他記載内容の責任を負っている。その他記載内容は、以下で構成される。 |
| -上述の非財務報告書 |
| -グループ・マネジメント・レポートのリスク管理原則(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(上述のリスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。) |
| -上述の統合コーポレート・ガバナンス・ステートメント |
| および本監査報告書発行前に入手した版の年次報告書に含まれる、その他の特に以下の項目。 |
| -ドイツ商法第297条第2項第4文およびドイツ商法第315条第1項第6文に基づく責任に関するステートメント |
| -「ドイツ銀行-財務の概要」の項 |
| -「ドイツ銀行グループ」の項 |
| -報酬報告書 |
| -「ドイツ商法第289f条および第315d条に基づくコーポレート・ガバナンス・ステートメント」の項 |
| -「第8条に基づく表」の項 |
| -「補足的情報」の項 |
| ただし、連結財務諸表、監査対象となっているグループ・マネジメント・レポートの開示事項および私たちの監査報告書は含まれない。 |
| 連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに対する私たちの意見は、その他記載内容を対象としておらず、したがって私たちは、その他記載内容に対する意見またはその他のいかなる形式の保証に関する結論も表明しない。 |
| 監査に関連する私たちの責任は、その他記載内容を通読し、その際に、当該その他記載内容について以下を検討することにある。 |
| -連結財務諸表、グループ・マネジメント・レポートまたは私たちが監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるか |
| -上記に該当しない場合、重要な虚偽表示の兆候があるか |
| 私たちが実施した手続に基づき、その他記載内容に重要な虚偽表示があるとの結論に達した場合、私たちはその事実を報告することが求められている。これに関して、私たちが報告すべき事項はない。 |
| 連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに関する業務執行取締役および監査役会の責任 |
|---|
| 業務執行取締役は、すべての重要な点について、EUによって採用されたIFRS会計基準およびドイツ商法第315e条第1項に従ったドイツの法律による追加的要件に準拠し、これらの求めるところに従って、グループの資産、負債、財政状態および財務成績につき真実かつ公正な概観を示す連結財務諸表を作成する責任を負っている。さらに、業務執行取締役は、不正(虚偽の財務報告および資産の流用等)または誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成するために必要と判断した内部統制に対する責任を負っている。 |
| 連結財務諸表を作成するにあたり、業務執行取締役は、グループが継続企業として存続する能力があるかを評価する責任がある。また、必要がある場合には当該継続企業の前提に関する事項を開示する責任を負っている。また、業務執行取締役は、グループの清算または事業停止の意図があるか、もしくはそうする以外に現実的な代替案がない場合を除き、継続企業の前提に基づいて財務報告を行う責任を負っている。 |
| さらに、業務執行取締役は、全体としてグループの状況に関する適切な概観を示し、またすべての重要な点において、連結財務諸表と整合性があり、ドイツの法的要件を遵守し、将来の発展の機会およびリスクを適切に表示するグループ・マネジメント・レポートを作成する責任を負っている。また、適用されるドイツの法的要件に準拠したグループ・マネジメント・レポートを作成し、グループ・マネジメント・レポートにおける監査要点についての十分かつ適切な証拠を提供するために、業務執行取締役が必要と判断した取決めおよび手段(システム)についても責任を負っている。 |
| 監査役会は、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの作成に関するグループの財務報告プロセスを監督する責任を負っている。 |
| 連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの監査に関する監査人の責任 |
| 私たちの目的は、連結財務諸表に、全体として不正または誤謬による重要な虚偽表示がないか、グループ・マネジメント・レポートが、全体としてグループの状況に関する適切な概観を提供しているか、またすべての重要な点において、連結財務諸表および監査において得た知識と整合性があるか、ドイツの法的要件を遵守しているか、ならびに将来の発展の機会およびリスクを適切に表示しているかに関する合理的な保証を得ること、また、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに対する私たちの意見を含む監査報告書を発行することにある。 |
| 合理的な保証は、高い水準の保証であるが、ドイツ商法第317条およびEU監査規則に準拠し、またドイツ経済監査士協会(IDW)が公布した一般に公正妥当と認められるドイツ財務諸表監査基準に準拠して行った監査が、重要な虚偽表示を常に発見することを保証するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性があり、個別にまたは集計すると、当該連結財務諸表および当該グループ・マネジメント・レポートに基づく利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 |
| 私たちは、監査を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持している。また、以下を実施する。 |
| -連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの重要な虚偽表示リスク(不正または誤謬によるかを問わず)を識別、評価し、当該リスクに対応した監査手続を策定、実施し、監査意見の根拠となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正による重要な虚偽表示リスクを発見できないリスクは、誤謬による重要な虚偽表示を発見できないリスクよりも高くなる。これは、不正には、共謀、文書の偽造、意図的な除外、虚偽の陳述、および内部統制の無効化が伴う可能性があるためである。 |
| -状況に応じて適切な監査手続を策定するために、連結財務諸表監査に関連する内部統制およびグループ・マネジメント・レポート監査に関連する取決めおよび手段について理解する。ただし、これは、グループの内部統制の整備状況および運用状況の有効性に対する意見を表明するためではない。 |
| -業務執行取締役が採用した会計方針の適切性ならびに業務執行取締役によって行われた見積りおよび関連する開示の合理性について評価する。 |
| -業務執行取締役が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるか、また、入手した監査証拠に基づき、グループの継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況に関して重要な不確実性が存在しているかについて結論付ける。重要な不確実性が存在すると結論を付した場合は、監査報告書において連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの関連する開示に注意を喚起すること、または当該開示が適切でない場合は、除外事項付意見を表明することが求められている。私たちの結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、グループは継続企業として存続できなくなる可能性がある。 |
| -関連する開示を含めた全体としての連結財務諸表の表示、構成および内容を検討し、連結財務諸表が、EUによって採用されたIFRS会計基準およびドイツ商法第315e条第1項に従ったドイツの法律による追加的要件に準拠してグループの資産、負債、財政状態および財務成績につき真実かつ公正な概観を示すように、基礎となる取引や事象を表示しているかを評価する。 |
| -連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに対する意見形成の基礎となるよう、グループ内の事業体または業務ユニットの財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するための連結財務諸表監査を計画し、実施する。私たちは、グループ監査のために実施される業務の指示、監督および査閲について責任を負っている。私たちは、私たちの監査意見に単独で責任を負っている。 |
| -グループ・マネジメント・レポートの連結財務諸表との整合性、ドイツ法への準拠、グループの状況に関する概観について評価する。 |
| -業務執行取締役がグループ・マネジメント・レポートにおいて表示した将来予測的な情報について監査手続を実施する。十分かつ適切な監査証拠に基づいて、特に業務執行取締役が将来予測的な情報の根拠として使用した重要な仮定について評価し、将来予測的な情報がこれらの仮定から適切に導出されているかについて評価する。私たちは、将来予測的な情報および根拠として使用された仮定に対して個別の意見を表明するものではない。また、将来事象が将来予測的な情報と大きく異なる可能性があるという重大な不可避リスクが存在する。 |
| 私たちは、統治責任者に対して、特に、計画した監査の範囲とその実施時期および監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の主要な検出事項を報告している。 |
| また私たちは、統治責任者に、関連する独立性の要件を遵守している旨宣言しており、私たちの独立性に影響を与えると合理的に考えられるすべての関係性およびその他の事項、また該当する場合は関連するセーフガードについて報告を行っている。 |
| 私たちは、統治責任者に報告した事項のうち、当年度の連結財務諸表監査で最も重要な事項を、監査上の主要な検討事項と決定する。私たちは、法規制により当該事項の公表が禁止されている場合を除き、これらの事項を監査報告書において記載する。 |
| その他の法規制要件 |
|---|
| 公表目的で作成された連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの電子的複製に関するドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証に係る報告 |
| 意見 |
| 私たちは、添付の電子ファイル[Deutsche_Bank_AG_KA+KLB_ESEF-2025-12-31.xbri]に含まれる、公表目的で作成された連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの複製(以下「ESEF文書」という。)が、すべての重要な点において、電子報告様式(以下「ESEFフォーマット」という。)に関するドイツ商法第328条第1項の要件を遵守しているかどうかについて合理的な保証を得るために、ドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証手続を実施した。ドイツの法的要件に従い、この保証手続の範囲は、連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに含まれる情報をESEFフォーマットに変換することに限定される。したがって、当該保証はこれらの複製に含まれる情報または上述のファイルに含まれるその他記載内容のいずれにも関連するものではない。 |
| 私たちは、上述のファイルに含まれる、公表目的で作成された連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの複製が、すべての重要な点において、電子報告様式に関するドイツ商法第328条第1項の要件を遵守しているものと認める。私たちは、当該複製に含まれる情報および上述のファイルに含まれるその他記載内容のいずれについても、この保証意見および上記の「連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートに関する監査報告書」に含まれる2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る添付の連結財務諸表および添付のグループ・マネジメント・レポートに対する監査意見を超えて、保証意見を表明するものではない。 |
| 意見表明の根拠 |
| 私たちは、ドイツ商法第317条第3a項およびIDW保証基準「公表目的で作成された財務諸表およびマネジメント・レポートの電子的複製に関するドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証」(IDW AsS 410)(2022年6月)ならびに国際保証業務基準第3000号(改訂)に準拠し、上述のファイルに含まれる連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの複製について保証手続を実施した。これに基づく私たちの責任については、「ESEF文書の保証手続に関するグループ監査人の責任」の項に詳述されている。私たちの監査事務所では、IDW品質管理基準第1号「監査事務所における品質管理の要件」(IDW QMS 1(2022年9月))を適用している。 |
| ESEF文書に関する業務執行取締役および監査役会の責任 |
| 銀行の業務執行取締役は、ドイツ商法第328条第1項第4文第1号に準拠して連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートの電子的複製を含むESEF文書を作成する責任、ならびにドイツ商法第328条第1項第4文第2号に準拠して連結財務諸表にタグ付けする責任を負っている。 |
| さらに、銀行の業務執行取締役は、電子報告様式に関するドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守のないESEF文書を作成するために必要と判断した内部統制に対する責任を負っている。 |
| 監査役会は、財務報告プロセスの一環として、ESEF文書の作成プロセスを監督する責任を負っている。 |
| ESEF文書の保証手続に関するグループ監査人の責任 |
| 私たちの目的は、ESEF文書にドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守がないかどうかについて、合理的な保証を得ることにある。私たちは、保証手続を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持している。また、以下を実施する。 |
| -ドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守リスクを識別、評価し、当該リスクに対応した保証手続を策定、実施し、保証意見の根拠となる十分かつ適切な保証の証拠を入手する。 |
| -状況に応じて適切な保証手続を策定するために、ESEF文書の保証に関連する内部統制について理解する。ただし、これは、これらの統制の有効性に対する保証意見を表明するためではない。 |
| -ESEF文書の技術的妥当性、すなわち、ESEF文書を含むファイルが、決算日時点で有効な欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の、このファイルの技術仕様に関する要件を満たしているかどうかを評価する。 |
| -ESEF文書が、監査済連結財務諸表および監査済グループ・マネジメント・レポートと同等の内容でXHTML複製が可能かどうかを評価する。 |
| -決算日時点で有効な欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の第4条および第6条の要件に準拠したインラインXBRL技術(iXBRL)によるESEF文書のタグ付けにより、適切かつ完全に機械読み取り可能なXHTML複製のXBRLコピーが可能かどうかを評価する。 |
| EU監査規則第10条に基づく追加情報 |
| 私たちは、2025年5月22日付年次株主総会においてグループ監査人に選任され、2025年7月28日付で監査役会により任命された。私たちは、2020年度より連続でドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフトのグループ監査人を務めている。私たちは、本監査報告書において表明された意見が、EU監査規則第11条に準拠して、監査委員会への追加報告書(長分式監査報告書)と整合的であることを宣言する。 |
| その他の事項-監査報告書の使用 |
| 私たちの監査報告書は常に、監査済連結財務諸表および監査済グループ・マネジメント・レポートならびに保証されたESEF文書と併読されなければならない。ドイツの会社登記簿において公表される版を含む、ESEFフォーマットに変換された連結財務諸表およびグループ・マネジメント・レポートは、監査済連結財務諸表および監査済グループ・マネジメント・レポートの電子的複製にすぎず、代替するものではない。特に、ESEFフォーマットの監査報告書およびそこに含まれる私たちの保証意見は、電子形式で提供される保証されたESEF文書と併せた形でのみ使用されるものとする。 |
| 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人 |
| 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人は、カルステン・ローターメル氏である。 |
| エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン、2026年3月9日 |
| イーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー |
| 監査法人 |
| ローターメル シュライバー |
| 経済監査士 経済監査士 |
| [ドイツ公認会計監査人] [ドイツ公認会計監査人] |
(※)上記は、ドイツ語で作成された監査報告書原本の英訳の訳文として記載されたものである。訳文においては、原本の内容を正確に表すよう細心の注意が払われているが、いかなる内容の解釈、見解または意見においても、原語で記載された監査報告書原本が本訳文に優先する。
(訳文※)
| 独立監査人の監査報告書 ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフト(フランクフルト・アム・マイン)御中 |
|---|
| 年次財務諸表およびマネジメント・レポートに関する監査報告書 |
| 意見 |
|---|
| 私たちは、ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフト(フランクフルト・アム・マイン)(傘下の支店とともに、ISA [DE] 600(改訂)で定義されるグループを構成する。)(訳注:以下「銀行」という。)の2025年12月31日現在の貸借対照表および2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る損益計算書、ならびに年次財務諸表に対する注記(注記に表示される認識および測定に係る方針を含む。)から成る年次財務諸表について監査を行った。さらに私たちは、ドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフトの2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る、グループ・マネジメント・レポートに統合されている銀行のマネジメント・レポートについて監査を行った。ドイツの法的要件に準拠し、私たちは、マネジメント・レポートの「リスク管理原則」(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(リスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。)の内容、またはドイツ商法第289f条および第315d条に基づく統合コーポレート・ガバナンス・ステートメント(マネジメント・レポートに記載のウェブサイトで公開されており、当該マネジメント・レポートの一部である。)の内容、またはグループ・マネジメント・レポートの「サステナビリティ・ステートメント」の項のドイツ商法第289b条および第315d条に基づく非財務報告書の内容については監査を行っていない。 |
| 私たちの監査において得た知識に基づく意見では、 |
| -添付の年次財務諸表は、すべての重要な点について、銀行に適用されるドイツの商業上の法律による要件に準拠し、法的に要求されるドイツ会計原則に従って、銀行の2025年12月31日現在の資産、負債および財政状態ならびに2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る財務成績につき真実かつ公正な概観を示している。 |
| -添付のマネジメント・レポートは、全体として銀行の状況に関する適切な概観を示している。当該マネジメント・レポートは、すべての重要な点について、年次財務諸表と整合性しており、ドイツの法的要件を遵守し、将来の発展の機会およびリスクを適切に表示している。私たちは、上述のマネジメント・レポートの「リスク管理原則」(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(リスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。)、または上述の統合コーポレート・ガバナンス・ステートメントの内容、または上述の非財務報告書については意見を表明しない。 |
| ドイツ商法第322条第3項第1文に従って、私たちは監査により、年次財務諸表およびマネジメント・レポートの法令遵守に関するいかなる検出事項も発見されなかったことを宣言する。 |
| 意見表明の根拠 |
| 私たちは、ドイツ商法第317条およびEU監査規則(No 537/2014、以下「EU監査規則」という。)に準拠し、またドイツ経済監査士協会(IDW)が公布した一般に公正妥当と認められるドイツ財務諸表監査基準に準拠して、年次財務諸表およびマネジメント・レポートの監査を行った。これらの要件および原則に基づく私たちの責任の詳細は、私たちの監査報告書の「年次財務諸表およびマネジメント・レポートの監査に関する監査人の責任」の項に記述されている。私たちは、欧州法ならびにドイツの商業上および職業的専門家に係る法律と、社会的影響度の高い事業体の財務諸表監査に適用される国際会計士倫理基準審議会(IESBA)の職業会計士のための国際倫理規程(国際独立性基準を含む。)(IESBA倫理規程)の要件に従い、銀行から独立している。また、これらの要件およびIESBA倫理規程に従い、ドイツのその他の職業的専門家としての責任を果たしている。加えて、EU監査規則第10条第2項f)に従って、私たちは、EU監査規則第5条第1項で禁止されている非監査業務を提供していないことを宣言する。私たちは、私たちが入手した監査証拠が、年次財務諸表およびマネジメント・レポートに対する私たちの意見の根拠を提供するのに十分かつ適切であると判断している。 |
| 年次財務諸表監査における監査上の主要な検討事項 |
|---|
| 監査上の主要な検討事項とは、2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る年次財務諸表監査において、私たちの職業的専門家としての判断において最も重要な項目をいう。当該事項は、全体としての年次財務諸表監査の過程および監査意見の形成において対応した事項であり、私たちは、当該事項に対して個別の意見を表明するものではない。 |
| 以下に、私たちが監査上の主要な検討事項であると判断したものについて記す。 |
| 1. 活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴う金融商品の評価 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 経営陣は、活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴う金融商品の公正価値を測定するために評価技法を使用している。2025年12月31日現在、銀行は、トレーディング資産を3,182億ユーロ、トレーディング負債を2,410億ユーロ保有していた。いずれの科目にも、評価が観察不能なインプットに基づく金融商品が含まれている。 |
| 活発な市場における取引価格がない関連するインプットを伴う金融商品には、複雑なモデルを使用して評価されるストラクチャード・デリバティブ、より複雑なまたは流動性の低いOTCデリバティブ、ディストレスト債、高度な仕組み債、流動性の低い貸出金、評価調整を算定するために使用される信用スプレッド、および満期までの期間が長い金融商品では観察不能なその他の重要なインプットが含まれている。 |
| 活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴う金融商品の評価は、使用される評価技法およびモデルの性質が複雑であることと、使用される重要なインプットが観察不能であるために経営陣の仮定および判断に基づく度合いが高いことから、これを監査上の主要な検討事項とした。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、経営陣による金融商品の公正価値およびそれに含まれる重要な観察不能なインプットの決定プロセスに関する統制を理解し、その整備状況を評価し、運用状況の有効性をテストした。これには、独立した価格検証、モデルの限界の評価を含む評価モデルの独立した検証、評価モデルの使用に関するモニタリング、ならびに公正価値調整の計算に関連する統制が含まれる。 |
| 私たちは、評価技法、モデルおよび手法を評価し、これらのモデルで使用された重要なインプットをテストした。私たちは、独立したモデルおよびインプットを使用し、活発な市場における相場価格のないデリバティブおよびその他の金融商品のサンプルについて、公正価値の独立した再評価を実施した。私たちはまた、使用された代用インプットのサンプルの妥当性を、市場データソースとの比較によって独立して評価し、関連する金融商品との関連性を評価した。 |
| さらに、私たちは、ドイツ商法第340e条の要件に対して公正価値調整の算定に経営陣が使用した手法およびインプットを評価し、独自の独立したデータおよび手法を用いてこれらの評価調整のサンプルの再計算を実施した。 |
| 私たちは、評価モデル、独立した再評価および公正価値調整に関連する手続において、内部の金融商品評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、活発な市場における相場価格のない関連するインプットを伴う金融商品の評価に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 公正価値測定に使用された評価技法、モデルおよび手法に関する情報は、年次財務諸表に対する注記の「一般的な情報、作成の基礎」および「貸借対照表注記、トレーディング資産および負債」の項に記載されている。 |
| 2. モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 経営陣は、IDW会計原則BFA7の要件を適用し、当初認識以降に信用リスクが著しく増大したとみなされる金融資産について、IFRS第9号に従って信用損失引当金を認識している。 |
| 非デフォルト金融商品(IFRS第9号のステージ1およびステージ2)に係るモデルベースの予想信用損失の計算に使用された推定デフォルト確率(PD)の見積りは、過去の情報と、現在の経済動向および将来的なマクロ経済予測(国内総生産および失業率等)に基づいている。統計的手法を使用して、将来のマクロ経済の動向に関する基本シナリオを複数のシナリオに変換している。これらのシナリオは、予想信用損失の計算に使用される、格付別および相手先別の複数年PDカーブを導出する際の基礎となっている。 |
| 金利の著しい変動、現在の地政学的な紛争およびマクロ経済の変数に影響を与えるその他のボラティリティ要因に関する経済の不確実性を考慮すると、将来予測的な情報の見積りには重要な判断が要求される。これらの不確実性を反映するために、経営陣は、マクロ経済変数を調整するかマネジメント・オーバーレイを含めるかのいずれかにより、マクロ経済変数を予想信用損失モデルと予測手法に含める際の基礎となるインプットおよび仮定を調整するかどうかを評価する必要がある。 |
| IFRS第9号に基づく減損の対象となる保有する非デフォルト金融商品の重要性、経済の不確実性、および重要な判断が用いられているという観点から、私たちは、モデルベースの予想信用損失およびそれに関連する調整の計算に含める将来予測的な情報は監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは経営陣が実行したプロセスを理解し、IFRS第9号の要件に関する将来予測的な情報の選定、決定、モニタリングおよび検証に係る統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、モデル検証プロセスを通じて行われる、予想信用損失モデル、予測手法、仮定およびインプットの経営陣による見直しを評価した。さらに、私たちは選定された変数を基本シナリオに含めるために使用された方法および複数のシナリオの導出方法を評価した。 |
| 私たちは、基本シナリオのマクロ経済予測を、外部ソースが公表したマクロ経済予測と比較することによって評価した。 |
| また、経営陣がマクロ経済変数を含めるために標準プロセスを調整するかどうか、またはマネジメント・オーバーレイを通じてモデルの結果を調整するかどうかを決定するにあたって適用した手法についても評価した。その際、経営陣の感応度分析の結果を評価し、使用されたマクロ経済変数を私たち独自のベンチマーク分析と比較した。また、経営陣の手法に従い、予想信用損失の計算にあたってこれらの調整が考慮されていることを評価した。 |
| モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報の評価にあたり、私たちは内部の信用リスク・モデリングの専門家を利用した。 |
| 手続の結果、モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| モデルベースの予想信用損失の計算に含める将来予測的な情報に関する情報は、年次財務諸表に対する注記の「一般的な情報、作成の基礎」の項に記載されている。 |
| 3. 債務不履行に陥った米国の商業用不動産貸出金の予想信用損失 |
|---|
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 経営陣は、IDW会計原則BFA7の要件を適用し、当初認識以降に信用リスクが著しく増大したとみなされる金融資産について、IFRS第9号に従って信用損失引当金を認識している。 |
| 債務不履行の識別および債務不履行に陥った貸出金エクスポージャーの予想信用損失の算定には、特に借手の債務返済能力、将来キャッシュ・フローの見積り(担保権の実行により予想される収入を含む。)に関して、様々な仮定およびインプットの見積りが使用される。 |
| 商業用不動産事業に関連する債務不履行に陥った貸出金エクスポージャーが増加していること、経済的な不確実性が存在すること、重要な判断が用いられることから、私たちは、特に米国に所在する商業用不動産に関して、債務不履行に陥った商業用不動産貸出金の予想信用損失(ECL)を監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、米国の商業用不動産貸出金事業における借手の予想信用損失の識別および算定に係るプロセスを理解した。私たちは、信用リスク格付、IFRS第9号に基づく債務不履行基準の適用およびステージ3への振替、ならびに予想信用損失の算定に関する統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、IFRS第9号に基づく債務不履行の貸出金を決定するために経営陣が使用した基準を評価した。 |
| 米国の商業用不動産貸出金のサンプルについて、私たちは予想信用損失のステージを決定するために使用された債務不履行基準の適用を分析した。ステージ3に分類された貸出金について、私たちは担保価値、借手の支払能力ならびに市場および業界予測に係る公開情報を評価することにより、貸出金エクスポージャーからの将来キャッシュ・フローの見積りに関する重要な仮定を評価した。私たちは経営陣が予測した仮定を裏付ける、または相反する情報を検索し、評価した。私たちはまた、債務不履行に陥ったエクスポージャーの予想信用損失の計算の正確性をテストした。 |
| 私たちは、内部の専門家を利用して、米国の商業用不動産担保の評価をサンプルベースで評価した。 |
| 手続の結果、債務不履行に陥った米国の商業用不動産貸出金の予想信用損失に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 銀行の商業用不動産貸出金事業に関する情報は、年次財務諸表に対する注記の「一般的な情報、作成の基礎」およびリスク・レポート(統合マネジメント・レポート)の「2025年度における重点事項」の「商業用不動産」(「信用リスク・エクスポージャー」の章)の項に記載されている。 |
| 4. 関係会社に対する投資の評価 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、銀行は327億ユーロの関係会社に対する投資を計上している。 |
| 関係会社に対する投資は、取得価額、あるいは減損の回復可能性がない場合は取得原価または公正価値のいずれか低い方の金額で計上される。公正価値は、各関係会社の割引キャッシュ・フロー・モデルに基づいて決定される。これに関連して、利益予測および割引率に関する重要な仮定が設定されている。割引率は、資本資産価格モデルを用いて算出される。 |
| 関係会社に対する投資の減損テストは、割引キャッシュ・フロー・モデルに含まれる利益予測および割引率により、高度な判断に基づくものであるため、これを監査上の主要な検討事項とした。 |
| 監査人の対応 |
|---|
| 私たちは、利益予測の策定プロセスおよび関係会社に対する投資の公正価値の計算プロセスについて理解した。これに関して、私たちはまた、利益予測および割引率に関する経営陣の統制を理解し、当該統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、前年度からの仮定の変更に焦点を当てて、利益予測を分析した。私たちは、利益予測を前事業年度の予測および達成した実績と比較し、重要な乖離がないか評価するとともに、利益予測について経営陣が設定した仮定を外部の市場予想と比較することで、その整合性および妥当性を評価した。 |
| さらに私たちは、割引率を、外部から入手可能な様々なデータと比較することにより評価した。関連会社に対する投資の回収可能性に関して設定された上記の仮定の評価にあたり、私たちは、内部の事業評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、関係会社に対する投資の評価に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 関係会社に対する投資の評価に関する情報は、年次財務諸表に対する注記の「一般的な情報、作成の基礎」および「貸借対照表注記、関係会社および参加関係のある会社に関する情報」の項に記載されている。 |
| 5. 繰延税金資産の認識および測定 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 2025年12月31日現在、銀行は48億ユーロの繰延税金を計上している。 |
| 繰延税金資産の認識および測定は、潜在的な将来の課税所得に対する繰越欠損金および将来減算一時差異の利用可能性の見積りに基づいている。この見積りは、とりわけ、承認された事業計画に基づく経営成績の予測に関する仮定に基づいている。 |
| 将来の課税所得および繰越欠損金の利用可能性に関する見積りには判断を用いることから、繰延税金資産の認識および測定を監査上の主要な検討事項とした。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、将来減算一時差異および繰越欠損金が税法の規定およびドイツ商法第274条に基づく繰延税金の会計処理規則に準拠して、それぞれの管轄区域において識別され、測定されているかどうかを判断するためのプロセスを理解し、関連する統制の整備状況を評価し、その運用状況の有効性をテストした。 |
| 私たちは、関連する被支配会社および税務申告グループの将来の課税所得を見積る際の基礎となる、承認された事業計画の要素を策定および配分するために使用された仮定をテストした。 |
| さらに、私たちは、将来の課税所得を見積るために使用された主要な仮定を分析することにより、繰延税金資産の認識を評価した。私たちは、基礎となる主要な仮定を外部から入手可能な過去および将来のデータと比較することにより、経営成績の予測に採用された見積りを評価した。また、過去の予測を実績と比較した。さらに、税額調整の見積りを評価し、それぞれの繰延税金資産の利用期間について感応度分析を実施した。 |
| 繰延税金資産の回収可能性に関して使用された仮定の評価にあたり、私たちは、私たちの税務の専門家および内部の事業評価の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、繰延税金資産の認識および測定に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
|---|
| 繰延税金の認識および測定に関する情報は、年次財務諸表に対する注記の「一般的な情報、作成の基礎」および「貸借対照表注記、繰延税金」の項に記載されている。 |
| 6. 財務報告におけるITアクセスおよび変更管理 |
| 当該事項が監査上の主要な検討事項であると判断した理由 |
| 銀行の財務報告の正確性は、日々処理される取引が相当数あるため、使用されるITの信頼性および継続性に大きく依存している。 |
| 信頼性が高く継続的なデータ処理への依存度が高いこと、また、IT統制が内部統制システムの広範囲にわたることを踏まえ、私たちは、銀行の財務報告におけるITアクセスおよび変更管理を監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
| 監査人の対応 |
| 私たちは、IT全般統制および銀行の財務報告に関連するIT業務処理統制を含むIT統制環境を評価した。私たちの手続では、現在のIT統制環境に対する当年度中の変更も範囲に含まれる。 |
| さらに、私たちは、アプリケーション、データベースおよびオペレーティング・システムにわたるユーザー・アクセス管理および変更管理に関連して、エラーの防止および検出のためのIT全般統制の運用状況の有効性をテストした。また、私たちは、自動化されたデータ処理、データフィードおよびインターフェースに関するIT業務処理統制をテストした。ITアクセス管理に関連する監査手続には、ユーザー・アクセスの付与および削除、特権ユーザー・アクセス、定期的なアクセス権の再認証、システムのセキュリティ設定およびユーザー認証に係る統制が含まれるが、これらに限定されない。 |
| IT変更管理に関連する監査手続には、本稼働環境における変更が導入前にテストされ承認されていたかどうか、また、変更を実行する権限が認可されたユーザーに限定されていたかどうかの評価が含まれるが、これらに限定されない。 |
| 銀行の財務報告プロセスにおけるITアクセスおよび変更管理の評価にあたり、私たちは、IT監査の領域に特化した専門性を有する内部の専門家を利用した。 |
| 手続の結果、銀行の財務報告におけるITアクセスおよび変更管理に関していかなる検出事項も発見されなかった。 |
| 関連する開示の参照先 |
| 財務報告に係る内部統制の一般的な説明については、統合マネジメント・レポートの「財務報告に係る内部統制」の項を参照のこと。 |
| その他記載内容 | ||||||||||||||
| 業務執行取締役は、その他記載内容の責任を負っている。その他記載内容は、以下で構成される。 | ||||||||||||||
| -上述の非財務報告書 | ||||||||||||||
| -マネジメント・レポートのリスク管理原則(「リスク・レポート」の章)の項の最終段落(上述のリスク・マネジメント・フレームワークおよび内部統制システムに関する経営陣のステートメントについて記載されている。) | ||||||||||||||
| -マネジメント・レポートに記載されているウェブサイトで公開されている、ドイツ商法第289f条および第315d条に基づく統合コーポレート・ガバナンス・ステートメント | ||||||||||||||
| および本監査報告書発行前に入手した版の年次報告書に含まれる、その他の以下の項目。 | ||||||||||||||
| -ドイツ商法第264条第2項第3文およびドイツ商法第289条第1項第5文に基づく責任に関するステートメント | ||||||||||||||
| ただし、年次財務諸表、監査対象となっているマネジメント・レポートの開示事項および私たちの監査報告書は含まれない。 | ||||||||||||||
| 年次財務諸表およびマネジメント・レポートに対する私たちの意見は、その他記載内容を対象としておらず、したがって私たちは、その他記載内容に対する意見またはその他のいかなる形式の保証に関する結論も表明しない。 | ||||||||||||||
| 監査に関連する私たちの責任は、その他記載内容を通読し、その際に、当該その他記載内容について以下を検討することにある。 | ||||||||||||||
| -年次財務諸表、マネジメント・レポートまたは私たちが監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるか | ||||||||||||||
| -上記に該当しない場合、重要な虚偽表示の兆候があるか | ||||||||||||||
| 私たちが実施した手続に基づき、その他記載内容に重要な虚偽表示があるとの結論に達した場合、私たちはその事実を報告することが求められている。これに関して、私たちが報告すべき事項はない。 | ||||||||||||||
| 年次財務諸表およびマネジメント・レポートに関する業務執行取締役および監査役会の責任 | ||||||||||||||
| 業務執行取締役は、すべての重要な点について、銀行に適用されるドイツの法律による要件に準拠し、法的に要求されるドイツ会計原則に従って、銀行の資産、負債、財政状態および財務成績につき真実かつ公正な概観を示す年次財務諸表を作成する責任を負っている。さらに、業務執行取締役は、法的に要求されるドイツ会計原則に従って、不正(虚偽の財務報告および資産の流用等)または誤謬による重要な虚偽表示のない年次財務諸表を作成するために必要と判断した内部統制に対する責任を負っている。 | ||||||||||||||
| 年次財務諸表を作成するにあたり、業務執行取締役は、銀行が継続企業として存続する能力があるかを評価する責任がある。また、必要がある場合には当該継続企業の前提に関する事項を開示する責任を負っている。また、継続企業の前提に基づいて財務報告を行うことについて実際のまたは法的な状況が矛盾しない場合、継続企業の前提に基づいて財務報告を行う責任を負っている。 | ||||||||||||||
| さらに、業務執行取締役は、全体として銀行の状況に関する適切な概観を示し、またすべての重要な点において、年次財務諸表と整合性があり、ドイツの法的要件を遵守し、将来の発展の機会およびリスクを適切に表示するマネジメント・レポートを作成する責任を負っている。また、適用されるドイツの法的要件に準拠したマネジメント・レポートを作成し、マネジメント・レポートにおける監査要点についての十分かつ適切な証拠を提供するために、業務執行取締役が必要と判断した取決めおよび手段(システム)についても責任を負っている。 | ||||||||||||||
| 監査役会は、年次財務諸表およびマネジメント・レポートの作成に関する銀行の財務報告プロセスを監督する責任を負っている。 | ||||||||||||||
| 年次財務諸表およびマネジメント・レポートの監査に関する監査人の責任 | ||||||||||||||
| 私たちの目的は、年次財務諸表に、全体として不正または誤謬による重要な虚偽表示がないか、マネジメント・レポートが、全体として銀行の状況に関する適切な概観を提供しているか、またすべての重要な点において、監査において得た知識および年次財務諸表と整合性があるか、ドイツの法的要件を遵守しているか、ならびに将来の発展の機会およびリスクを適切に表示しているかに関する合理的な保証を得ること、また、年次財務諸表およびマネジメント・レポートに対する私たちの意見を含む監査報告書を発行することにある。 | ||||||||||||||
| 合理的な保証は、高い水準の保証であるが、ドイツ商法第317条およびEU監査規則に準拠し、またドイツ経済監査士協会(IDW)が公布した一般に公正妥当と認められるドイツ財務諸表監査基準に準拠して行った監査が、重要な虚偽表示を常に発見することを保証するものではない。虚偽表示は、不正または誤謬から発生する可能性があり、個別にまたは集計すると、当該年次財務諸表および当該マネジメント・レポートに基づく利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 | ||||||||||||||
| 私たちは、監査を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持している。また、以下を実施する。 | ||||||||||||||
| -年次財務諸表およびマネジメント・レポートの重要な虚偽表示リスク(不正または誤謬によるかを問わず)を識別、評価し、当該リスクに対応した監査手続を策定、実施し、監査意見の根拠となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。不正による重要な虚偽表示リスクを発見できないリスクは、誤謬による重要な虚偽表示を発見できないリスクよりも高くなる。これは、不正には、共謀、文書の偽造、意図的な除外、虚偽の陳述、および内部統制の無効化が伴う可能性があるためである。 | ||||||||||||||
| -状況に応じて適切な監査手続を策定するために、年次財務諸表監査に関連する内部統制およびマネジメント・レポート監査に関連する取決めおよび手段について理解する。ただし、これは、銀行の内部統制の整備状況および運用状況の有効性に対する意見を表明するためではない。 | ||||||||||||||
| -業務執行取締役が採用した会計方針の適切性ならびに業務執行取締役によって行われた見積りおよび関連する開示の合理性について評価する。 | ||||||||||||||
| -業務執行取締役が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるか、また、入手した監査証拠に基づき、銀行の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況に関して重要な不確実性が存在しているかについて結論付ける。重要な不確実性が存在すると結論を付した場合は、監査報告書において年次財務諸表およびマネジメント・レポートの関連する開示に注意を喚起すること、または当該開示が適切でない場合は、除外事項付意見を表明することが求められている。私たちの結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、銀行は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 | ||||||||||||||
| -関連する開示を含めた全体としての年次財務諸表の表示、構成および内容を検討し、年次財務諸表が、法的に要求されるドイツ会計原則に準拠して銀行の資産、負債、財政状態および財務成績につき真実かつ公正な概観を示すように、基礎となる取引や事象を表示しているかを評価する。 | ||||||||||||||
| -ISA [DE] 600(改訂)に定義されているグループ監査と同様に、年次財務諸表およびマネジメント・レポートに対する意見形成の基礎となるよう、ISA [DE] 600(改訂)に定義されるグループ内の事業体の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するための年次財務諸表監査を計画し、実施する。私たちは、グループ監査のために実施される業務の指示、監督および査閲についても責任を負っている。私たちは、私たちの監査意見に単独で責任を負っている。 | ||||||||||||||
| -マネジメント・レポートの年次財務諸表との整合性、ドイツ法への準拠、銀行の状況に関する概観について評価する。 | ||||||||||||||
| -業務執行取締役がマネジメント・レポートにおいて表示した将来予測的な情報について監査手続を実施する。十分かつ適切な監査証拠に基づいて、特に業務執行取締役が将来予測的な情報の根拠として使用した重要な仮定について評価し、将来予測的な情報がこれらの仮定から適切に導出されているかについて評価する。私たちは、将来予測的な情報および根拠として使用された仮定に対して個別の意見を表明するものではない。また、将来事象が将来予測的な情報と大きく異なる可能性があるという重大な不可避リスクが存在する。 | ||||||||||||||
| 私たちは、統治責任者に対して、特に、計画した監査の範囲とその実施時期および監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の主要な検出事項を報告している。 | ||||||||||||||
| また私たちは、統治責任者に、関連する独立性の要件を遵守している旨宣言しており、私たちの独立性に影響を与えると合理的に考えられるすべての関係性およびその他の事項、また該当する場合は関連するセーフガードについて報告を行っている。 | ||||||||||||||
| 私たちは、統治責任者に報告した事項のうち、当年度の年次財務諸表監査で最も重要な事項を、監査上の主要な検討事項と決定する。私たちは、法規制により当該事項の公表が禁止されている場合を除き、これらの事項を監査報告書において記載する。 | ||||||||||||||
| その他の法規制要件 | ||||||||||||||
| 公表目的で作成された年次財務諸表およびマネジメント・レポートの電子的複製に関するドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証に係る報告 | ||||||||||||||
| 意見 | ||||||||||||||
| 私たちは、添付の電子ファイル[Deutsche_Bank_AG_JA+LB_ESEF-2025-12-31.zip]に含まれる、公表目的で作成された年次財務諸表およびマネジメント・レポートの複製(以下「ESEF文書」という。)が、すべての重要な点において、電子報告様式(以下「ESEFフォーマット」という。)に関するドイツ商法第328条第1項の要件を遵守しているかどうかについて合理的な保証を得るために、ドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証手続を実施した。ドイツの法的要件に従い、この保証手続の範囲は、年次財務諸表およびマネジメント・レポートに含まれる情報をESEFフォーマットに変換することに限定される。したがって、当該保証はこれらの複製に含まれる情報または上述のファイルに含まれるその他記載内容のいずれにも関連するものではない。 | ||||||||||||||
| 私たちは、上述のファイルに含まれる、公表目的で作成された年次財務諸表およびマネジメント・レポートの複製が、すべての重要な点において、電子報告様式に関するドイツ商法第328条第1項の要件を遵守しているものと認める。私たちは、当該複製に含まれる情報および上述のファイルに含まれるその他記載内容のいずれについても、この保証意見および上記の「年次財務諸表およびマネジメント・レポートに関する監査報告書」に含まれる2025年1月1日から2025年12月31日までの事業年度に係る添付の年次財務諸表および添付のマネジメント・レポートに対する監査意見を超えて、保証意見を表明するものではない。 | ||||||||||||||
| 意見表明の根拠 | ||||||||||||||
| 私たちは、ドイツ商法第317条第3a項およびIDW保証基準「公表目的で作成された財務諸表およびマネジメント・レポートの電子的複製に関するドイツ商法第317条第3a項に準拠した保証」(IDW AsS 410)(2022年6月)ならびに国際保証業務基準第3000号(改訂)に準拠し、上述のファイルに含まれる年次財務諸表およびマネジメント・レポートの複製について保証手続を実施した。これに基づく私たちの責任については、「ESEF文書の保証手続に関する監査人の責任」の項に詳述されている。私たちの監査事務所では、IDW品質管理基準第1号「監査事務所における品質管理の要件」(IDW QMS 1(2022年9月))を適用している。 | ||||||||||||||
| ESEF文書に関する業務執行取締役および監査役会の責任 | ||||||||||||||
| 銀行の業務執行取締役は、ドイツ商法第328条第1項第4文第1号に準拠して年次財務諸表およびマネジメント・レポートの電子的複製を含むESEF文書を作成する責任を負っている。 | ||||||||||||||
| さらに、銀行の業務執行取締役は、電子報告様式に関するドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守のないESEF文書を作成するために必要と判断した内部統制に対する責任を負っている。 | ||||||||||||||
| 監査役会は、財務報告プロセスの一環として、ESEF文書の作成プロセスを監督する責任を負っている。 | ||||||||||||||
| ESEF文書の保証手続に関する監査人の責任 | ||||||||||||||
| 私たちの目的は、ESEF文書にドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守がないかどうかについて、合理的な保証を得ることにある。私たちは、保証手続を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持している。また、以下を実施する。 | ||||||||||||||
| -ドイツ商法第328条第1項の要件の重要な、意図的または意図的でない不遵守リスクを識別、評価し、当該リスクに対応した保証手続を策定、実施し、保証意見の根拠となる十分かつ適切な保証の証拠を入手する。 | ||||||||||||||
| -状況に応じて適切な保証手続を策定するために、ESEF文書の保証に関連する内部統制について理解する。ただし、これは、これらの統制の有効性に対する保証意見を表明するためではない。 | ||||||||||||||
| -ESEF文書の技術的妥当性、すなわち、ESEF文書を含むファイルが、決算日時点で有効な欧州委員会委任規則(EU)第2019/815号の、このファイルの技術仕様に関する要件を満たしているかどうかを評価する。 | ||||||||||||||
| -ESEF文書が、監査済年次財務諸表および監査済マネジメント・レポートと同等の内容でXHTML複製が可能かどうかを評価する。 | ||||||||||||||
| EU監査規則第10条に基づく追加情報 | ||||||||||||||
| 私たちは、2025年5月22日付年次株主総会において監査人に選任され、2025年7月3日付で監査役会により任命された。私たちは、2020年度より連続でドイツ銀行アクツィエンゲゼルシャフトの監査人を務めている。 | ||||||||||||||
| 私たちは、本監査報告書において表明された意見が、EU監査規則第11条に準拠して、監査委員会への追加報告書(長分式監査報告書)と整合的であることを宣言する。 | ||||||||||||||
| その他の事項-監査報告書の使用 | ||||||||||||||
| 私たちの監査報告書は常に、監査済年次財務諸表および監査済マネジメント・レポートならびに保証されたESEF文書と併読されなければならない。ドイツの会社登記簿において公表される版を含む、ESEFフォーマットに変換された年次財務諸表およびマネジメント・レポートは、監査済年次財務諸表および監査済マネジメント・レポートの電子的複製にすぎず、代替するものではない。特に、ESEFフォーマットの監査報告書およびそこに含まれる私たちの保証意見は、電子形式で提供される保証されたESEF文書と併せた形でのみ使用されるものとする。 | ||||||||||||||
| 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人は、カルステン・ローターメル氏である。 エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン、2026年3月9日 イーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー 監査法人 ローターメル シュライバー 経済監査士 経済監査士 [ドイツ公認会計監査人] [ドイツ公認会計監査人] | 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人 | 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人は、カルステン・ローターメル氏である。 | エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン、2026年3月9日 | イーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー | 監査法人 | ローターメル シュライバー | 経済監査士 経済監査士 | [ドイツ公認会計監査人] [ドイツ公認会計監査人] | ||||||
| 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人 | ||||||||||||||
| 当エンゲージメントにおける監査責任者であるドイツ公認会計監査人は、カルステン・ローターメル氏である。 | ||||||||||||||
| エシュボルン/フランクフルト・アム・マイン、2026年3月9日 | ||||||||||||||
| イーワイ・ゲーエムベーハー・アンド・コー・ケージー | ||||||||||||||
| 監査法人 | ||||||||||||||
| ローターメル シュライバー | ||||||||||||||
| 経済監査士 経済監査士 | ||||||||||||||
| [ドイツ公認会計監査人] [ドイツ公認会計監査人] |
(※)上記は、ドイツ語で作成された監査報告書原本の英訳の訳文として記載されたものである。訳文においては、原本の内容を正確に表すよう細心の注意が払われているが、いかなる内容の解釈、見解または意見においても、原語で記載された監査報告書原本が本訳文に優先する。