| 【表紙】 | |
|---|---|
| 【提出書類】 | 半期報告書 |
| 【根拠条文】 | 金融商品取引法第24条の5第1項の表の第3号 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 令和8年6月23日 |
| 【中間会計期間】 | 自 令和7年10月1日 至 令和8年3月31日 |
| 【会社名】 | オーストラリア・ニュージーランド銀行 (Australia and New Zealand Banking Group Limited) (Australian Business Number 11 005 357 522) |
| 【代表者の役職氏名】 | グループ財務責任者(代行) (Acting Group Treasurer) ペネロープ・デル (Penelope Dell) |
| 【本店の所在の場所】 | オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルン (ANZ Centre Melbourne, Level 9, 833 Collins Street, Docklands, Victoria 3008, Australia) |
| 【代理人の氏名又は名称】 | 弁護士 黒丸 博善 弁護士 海江田 光 弁護士 奥村 文彦 |
| 【代理人の住所又は所在地】 | 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所 |
| 【電話番号】 | 03-6438-5511 |
| 【事務連絡者氏名】 | 弁護士 黒丸 博善 |
| 【連絡場所】 | 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所 |
| 【電話番号】 | 03-6438-5511 |
| 【縦覧に供する場所】 | 該当なし |
(注)1. 本書において、別段の記載がある場合を除き、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「当行」または「ANZBGL」とはオーストラリア・ニュージーランド銀行(Australia and New Zealand Banking Group Limited)を意味し、「ANZ」、「当グループ」または「ANZBGLグループ」とはオーストラリア・ニュージーランド銀行とその子会社を意味する。別段の記載がある場合を除き、または文脈上別に解すべき場合でない限り、「ANZGHL」とはANZグループ・ホールディングス・リミテッド(ANZ Group Holdings Limited)を意味し、「ANZグループ」とはANZグループ・ホールディングス・リミテッドとその子会社(ANZ BH Pty Ltd、ANZBGL、ANZ Group Services Pty LtdおよびANZ NBH Pty Ltdを含む。)を意味する。
2. ANZBGLの事業年度は9月30日に終了し、半期は3月31日に終了する。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、2025年9月30日に終了した事業年度は「2025年度」、「2025事業年度」、「2025会計年度」、「2025年9月終了年度」または「2025年9月30日終了年度」、2026年3月31日に終了した半期は「2026年3月半期」、「2026年3月31日終了半期」または「当期」と言及される。その他の事業年度および半期についてもこれに対応する記載によって言及される。暦年に関する言及はその通りの意味を持つ。
3. 本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書において「ドル」「セント」「豪ドル」または「オーストラリアドル」とはオーストラリア連邦の法定通貨を指す。本書において便宜上記載されている日本円への換算は、1ドル=116.57円の換算率(2026年6月1日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信直物売相場)により換算されている。本書に別段の記載がない限り、または文脈上別に解すべき場合でない限り、本書において「米ドル」とはアメリカ合衆国ドルを、「ニュージーランドドル」はニュージーランドドルを、また「ユーロ」はユーロ圏の公式通貨を指す。
4. 本書は、当グループまたはANZグループの事業運営、市況、業績および財務状態、適正資本、サステナビリティに関する目的または目標、特定の規定およびリスク管理慣行ならびに当グループまたはANZグループが実施中または実施する可能性がある業務に関する当グループまたはANZグループの意向、信条または現在の予測についての様々な「将来に関する記載」または意見を含むことがある。本書において、当グループまたはANZグループとその経営陣に関連して、「予測する」、「推定する」、「目的」、「目標」、「指標」、「計画(プラン)」、「パスウェイ」、「展望/野心」、「モデリング(モデル化)」「計画する」、「意図する」、「予想する」、「確信する」、「期待する」、「することがある」、「見込みである」、「リスクがある」、「予定である」、「追求する」、「だろう」、「可能性がある」、「すべきである」およびこれらに類する表現が使用されている場合は、将来に関する記載または意見を示すことが意図されている。これらの記述および意見は、通常予測的な性質を有するものであるか、または不正確な仮定もしくは未知のリスクおよび不確実性その他の要因の影響を受ける可能性があり、これらの多くは当グループまたはANZグループの管理の及ばない事項であるか、または本書の作成時点において当グループまたはANZグループに認識されていない可能性があり、それには世界的な経済状況、外国為替レート、当グループまたはANZグループが事業を展開する市場における競争ならびに規制環境などが含まれる。これらの記述および関連する行為のそれぞれが、第三者の行為を含む一連の仮定および偶発事象に左右される。そのため、特に経済および市場のボラティリティが存在する状況において、投資判断を行うにあたりこれらの記載および意見に依拠すべきではない。
これらの記述および意見は、本書の提出日時点のものに限られ、本書日以降における正確性について表明するものではない。当グループまたはANZグループは、本書提出日以後の事象や状況を反映するために、または予期しない事態の発生を反映するために、これらの将来に関する記載の修正結果を公表する義務を負わない。
実際の結果が本書に記載の将来に関する記載または意見と大幅に異ならないとの保証はできない。本書に含まれる将来に関する記載と意見に影響を与える特定の要因等に関する詳細については、下記「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2) 主なリスクおよび不確実性」を参照のこと。
5. 本書中の表において、係数が四捨五入されている場合、合計は係数の総和と必ずしも一致しない。
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
2025年10月1日から本書提出日までの期間中、有価証券報告書(令和7年12月16日提出)の「第一部 企業情報-第1 本国における法制等の概要」に記載の内容につき、「2 外国為替管理制度-為替管理および支払制限」の項目を除き、重要な変更はなかった。これらの項目を以下に置き換える。
2 外国為替管理制度
為替管理および支払制限
現在、当行の有価証券の保有者に対する配当、利息の支払またはその他の送金を制限する、オーストラリアにおいて効力を有する一般的な為替管理規制はない。しかしながら、経済制裁や貿易制裁は、オーストラリアの公共政策を反映して随時実施されており、所管のオーストラリアの規制当局の同意なしに特定の個人または団体との一定の取引を行うことを禁じるよう機能している。これらの制裁に違反することが刑事犯罪となる。
オーストラリア刑法典(1995年オーストラリア刑法典法に含まれる。)(「刑法典法」)に基づき、以下から、または以下に対して、意図的に資金を受け取る、資金を提供する、それのためにもしくはそれに代わって資金を収集する、または支援もしくは資源を提供する場合、その者は刑事犯罪を犯したことになる。
‐ 組織がテロ組織であることを知っている、またはテロ組織である可能性に対して軽率である状況で、テロ組織に対して上記を行った場合。テロ組織とは、直接もしくは間接的にテロ行為の実行、準備、計画、支援もしくは助長に関与している組織、または刑法典法に基づく規則でテロ組織として指定されている組織を指す。
‐ 対象がテロ支援国家であることを知っている、またはその可能性に対して軽率である状況で、テロ支援国家に対して上記を行った場合。テロ支援国家とは、刑法典法に基づく規則でテロ支援国家として指定されている団体を指す。
現在オーストラリアで有効な経済制裁および貿易制裁ならびに支払制限には、以下が含まれる。
1. 2011年オーストラリア自律的制裁法および2011年オーストラリア自律的制裁規則は、以下に対し、またはその利益のために、許可なしに資産(株式や有価証券を含む。)を直接または間接的に提供することによって特定の「制裁対象」船舶や「指定された」個人または団体と取引を行うことを禁止している。
(a) 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)により、もしくはその管轄内で犯罪により起訴された個人またはICTYの管轄内での犯罪に関連してインターポールの逮捕令状の対象となっている個人、ICTYにより起訴されているが現在ICTYによる拘束を受けていない者を支援している疑いがある個人、ならびに旧ミロシェビッチ政権の特定の支持者。
(b) ジンバブエにおいて民主主義、人権尊重や法の支配を深刻に損なう活動に従事している(または従事していた)個人または団体。
(c) 北朝鮮の大量破壊兵器もしくはミサイル計画に関連する特定の個人もしくは団体、または北朝鮮による一定の国連決議への違反もしくは回避を支援した(もしくは支援中の)個人もしくは団体。
(d) ミャンマー政権に関連する特定の個人で、現職および元大臣、治安機関または矯正機関の高官、国営企業または軍所有企業の上級職員または役員、特定階級の現職または元軍士官、ならびにこれらの者の直系家族を含む。
(e) イランの核計画もしくはミサイル計画に寄与したもしくは寄与している、イランの一定の国連決議への違反を支援したもしくは支援している、イランにおける女性や少女の抑圧、イラン国民に対する全般的な抑圧もしくはイランにおける適正な統治もしくは法の支配の弱体化に関与し、責任を負いもしくは共謀している、またはイランが他国の主権や領土保全を脅かしたり弱体化させることを支援しているもしくは支援した特定の個人または団体。
(f) 旧カダフィ政権の特定の側近、カダフィ家の支配下にある団体、およびリビアに関する一定の国連決議への違反を支援してたまたは支援している個人または団体、ならびにこれらの個人の直系家族。
(g) シリアのアサド政権を支援している、またはシリアにおける人権侵害に責任を負う特定の個人または団体。
(h) ロシア政府に関連する特定の個人または団体で、現職または元大臣、政府高官、ロシアにとって経済的または戦略的に重要な活動に従事しているもしくは従事していた、またはそのような活動を遂行する機能を果たしている個人、およびこれらの個人の直系家族を含む。
(i) ウクライナの主権および領土保全に対する脅威に責任を負うまたはこれに共謀している個人または団体。
(j) アフガニスタンにおいて、女性や少女の抑圧、少数派グループの抑圧、国民への全般的な抑圧または適正な統治もしくは法の支配の弱体化に関与し、責任を負いまたは共謀している特定の個人。
2. 2011年オーストラリア自律的制裁規則の目的に照らして、外務大臣は以下の個人または団体を指定する権限を有している。
(a) 大量破壊兵器の拡散に寄与した者。
(b) 重大なサイバーインシデントを引き起こした、もしくは引き起こそうと試みた、引き起こすことを支援した、もしくはその試みを支援した、またはその他の方法で共謀した者
(c) 生命への権利、拷問や品位を傷つける取扱いもしくは非人道的処罰を受けない権利または奴隷状態に置かれない権利に対する重大な侵害もしくは重大な濫用となる行為に関与し、責任を負い、または共謀した者
(d) 重大な汚職行為に関与し、責任を負い、または共謀した者
さらに、特定の状況下では、その直系家族または金銭的もしくはその他の利益を得た個人もしくは団体も対象となる。
3. オーストラリアの1945年国際連合憲章法第4部の下で、オーストラリアの2008年国際連合憲章(資産の取引)規則は、オーストラリア連邦の官報において外務大臣が随時挙げる個人または団体の金融その他の資産の利用または取引に対する制裁を定めている。また、オーストラリアの1945年国際連合憲章法第3部に基づき、かつ、特定の規則に従い、以下を含む特定の国に関して特定の提供(金融面の提供を含む場合がある。)を行うことをが禁じられている。
(a) コンゴ民主共和国(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-コンゴ民主共和国)規則を参照)
(b) 北朝鮮(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-朝鮮民主主義人民共和国)規則を参照)
(c) スーダン(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-スーダン)規則を参照)
(d) イラン(オーストラリアの2025年国際連合憲章(制裁-イラン)規則を参照)
(e) イラク(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-イラク)規則を参照)
(f) アルカイダ、ISIL(ダーイシュ)およびタリバン(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-ISIL(ダーイシュ)およびアルカイダ)規則およびオーストラリアの2013年国際連合憲章(制裁-タリバン)規則を参照)
(g) ソマリア(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-ソマリア)規則を参照)
(h) レバノン(オーストラリアの2008年国際連合憲章(制裁-レバノン)規則を参照)
(i) リビア(オーストラリアの2011年国際連合憲章(制裁-リビア)規則を参照)
(j) 中央アフリカ共和国(オーストラリアの2014年国際連合憲章(制裁-中央アフリカ共和国)規則を参照)
(k) イエメン(オーストラリアの2014年国際連合憲章(制裁-イエメン)規則を参照)
(l) 南スーダン(オーストラリアの2015年国際連合憲章(制裁-南スーダン)規則を参照)
(m) シリア(オーストラリアの2015年国際連合憲章(制裁-シリア)規則を参照)
(n) マリ(オーストラリアの2018年国際連合憲章(制裁-マリ)規則を参照)
(o) ハイチ(オーストラリアの2025年国際連合憲章(制裁-ハイチ)規則を参照)
4. オーストラリア2006年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法、オーストラリア2007年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策(クラス免除およびその他事項)規則およびオーストラリア2025年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策規則の適用を受ける報告事業体として、当行は、疑うべき取引、基準値超えの取引および国際的な資金振替指示に関する報告義務を負う。オーストラリア2006年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法に基づき、10,000ドル(またはその外貨相当額)以上の物理的通貨またはデジタル通貨(暗号資産)の移転を行う特定の者(当行を含む。)は、オーストラリア取引報告分析センター(AUSTRAC)に報告する義務を負う。
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
連結財務情報
| (単位:百万ドル(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、比率、および 従業員数を除く。)) (下段括弧内は円換算額(1)(百万円(ただし、発行済株式数、1株当たり情報、 比率、および従業員数を除く。))) (-はマイナスを表す) | |||||
| 2025年9月30日 現在/ 2025年9月30日 終了年度 | 2024年9月30日 現在/ 2024年9月30日 終了年度(7) | 2026年3月31日 現在/ 2026年3月31日終了半期 | 2025年3月31日 現在/ 2025年3月31日終了半期 | 2024年3月31日 現在/ 2024年3月31日終了半期(7) | |
| 収入(2) | 68,204 | 65,162 | 31,152 | 35,070 | 32,080 |
| (7,950,540) | (7,595,934) | (3,631,389) | (4,088,110) | (3,739,566) | |
| 税引前利益 | 8,847 | 9,446 | 5,180 | 5,222 | 4,899 |
| (1,031,295) | (1,101,120) | (603,833) | (608,729) | (571,076) | |
| 税引後純利益 (非支配持分を除く) | 6,035 | 6,595 | 3,631 | 3,663 | 3,450 |
| (703,500) | (768,779) | (423,266) | (426,996) | (402,167) | |
| 当期包括利益合計 (非支配持分を除く) | 6,308 | 6,676 | 1,405 | 4,493 | 3,701 |
| (735,324) | (778,221) | (163,781) | (523,749) | (431,426) | |
| 普通株式資本 | 27,053 | 27,065 | 29,025 | 27,028 | 29,033 |
| (3,153,568) | (3,154,967) | (3,383,444) | (3,150,654) | (3,384,377) | |
| 発行済株式総数 (普通株式) | 3,003,366,782 | 3,003,366,782 | 3,084,959,996 | 3,003,366,782 | 3,003,366,782 |
| 株主資本(非支配持分 を除く)(3) | 69,706 | 67,989 | 70,647 | 69,948 | 69,434 |
| (8,125,628) | (7,925,478) | (8,235,321) | (8,153,838) | (8,093,921) | |
| 資産合計 | 1,297,671 | 1,229,585 | 1,314,328 | 1,302,971 | 1,090,138 |
| (151,269,508) | (143,332,723) | (153,211,215) | (151,887,329) | (127,077,387) | |
| 非支配持分を除く1株当たりの株主資本 (単位:上段 豪ドル、 下段 円)(3) | 23.21 | 22.64 | 22.90 | 23.29 | 23.12 |
| (2,706) | (2,639) | (2,669) | (2,715) | (2,695) | |
| 配当金支払額(4) | 4,580 | 5,267 | 2,407 | 2,472 | 2,771 |
| (533,891) | (613,974) | (280,584) | (288,161) | (323,015) | |
| 資産合計に対する非支配持分を除く株主資本(3) | 5.37% | 5.53% | 5.38% | 5.37% | 6.37% |
| 平均株主資本に対する純利益(5) | 8.64% | 9.66% | 5.16% | 5.33% | 4.97% |
| 2025年9月30日 現在/ 2025年9月30日 終了年度 | 2024年9月30日 現在/ 2024年9月30日 終了年度(7) | 2026年3月31日 現在/ 2026年3月31日終了半期 | 2025年3月31日 現在/ 2025年3月31日終了半期 | 2024年3月31日 現在/ 2024年3月31日終了半期(7) | |
| 営業活動(に使用された)によるキャッシュ・フロー | 26,028 | 11,046 | 23,464 | 47,507 | -15,578 |
| (3,034,084) | (1,287,632) | (2,735,198) | (5,537,891) | (-1,815,927) | |
| 投資活動(に使用された)によるキャッシュ・フロー | -23,999 | -42,067 | -2,338 | -10,262 | -20,687 |
| (-2,797,563) | (-4,903,750) | (-272,541) | (-1,196,241) | (-2,411,484) | |
| 財務活動(に使用された)によるキャッシュ・フロー | 757 | 16,755 | -5,170 | 2,824 | 6,752 |
| (88,243) | (1,953,130) | (-602,667) | (329,194) | (787,081) | |
| 現金および現金同等物残高 | 155,209 | 150,965 | 165,533 | 195,788 | 137,696 |
| (18,092,713) | (17,597,990) | (19,296,182) | (22,823,007) | (16,051,223) | |
| 従業員数(フルタイム換算) (FTE)(単位:人)(6) | 42,183 | 42,142 | 40,054 | 42,394 | 40,041 |
注:(1) 円換算額は、全報告期間について、1ドル=116.57円の換算率(2026年6月1日現在の株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信直物売相場)により換算されている。
(2) 受取利息およびその他営業収入を含み、支払利息および大手銀行税は考慮しない。
(3) 非支配持分を除く。非支配持分を含む株主資本合計は、次の通りである。2025年度:704億4,500万ドル(約8兆2,120億円)、2024年度:687億6,000万ドル(約8兆150億円)、2026年3月半期:713億5,000万ドル(約8兆3,170億円)、2025年3月半期:707億1,200万ドル(約8兆2,430億円)および2024年3月半期:702億200万ドル(約8兆1,830億円)。
(4) 取締役会は、ANZGHLの完全子会社で直接持株会社であるANZ BH Pty Ltdに対して、2026年7月1日に24億4,100万ドル(2,845億4,700万円)の2026年度中間配当金を支払うことを提案している。
(5) 純利益は、税引後利益と定義される(非支配持分を除く)。平均株主資本は、当該期間についての平均株主資本(非支配持分を除く)と定義される。
(6) 2026年3月半期において、当グループはFTEの定義を変更し、すべての臨時職員が除外された。2025年の比較情報は修正再表示(2025年度:456名の減少、2025年3月半期:504名の減少)されているが、2024年の比較情報は修正再表示されていない。
(7) 当グループは、2024年7月31日にサンコープ・バンクを買収したため、2024年9月終了年度について報告された業績には2か月間のサンコープ・バンクの業績が含まれている。2024年3月半期について報告された業績にはサンコープ・バンクの業績は含まれていない。
2【事業の内容】
本半期中の更新事項
本半期中(2025年10月1日から2026年3月31日)に、有価証券報告書(令和7年12月16日提出)の「第一部 企業情報 - 第2 企業の概況-3 事業の内容」に記載の内容につき、以下のような変更があった。
(1) 概 要
当グループは、オーストラリアに本店を置く4大銀行グループの1つである。ANZBGLは、オーストラリアで設立されオーストラリアに所在する公開会社であり、その社債は証券取引所に上場されている。ANZBGLの登記上の本店はオーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・ストリート833、9階に所在し、電話番号は+61 3 9683 9999である。ANZBGLのオーストラリア企業番号はABN 11 005 357 522である。
当グループは、幅広い銀行業および金融商品およびサービスをリテール、小規模企業、コーポレートおよび法人顧客に提供する。地理的には、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域の複数の他の国々、英国、フランス、ドイツおよび米国にかけて営業を行っている。
当グループは、ANZグループの一部であり、ANZグループは、ANZGHL(ANZグループの究極の親会社)、ANZ銀行グループおよびANZ非銀行グループから構成される(各々以下のとおり)。
ANZグループの構成は以下の図のとおりである。
ANZGHLについては以下の事項に留意されたい。
・ ANZGHLは、ANZBGLの債務を一般的に保証したり、ANZBGLの発行した債券に関してこれを保証したりするものではない。
・ ANZGHLは、ANZBGLの発行した債券の要項に基づく債務を負うものではない。
・ ANZGHLは、ANZBGLが発行したTier 2資本証券またはその他Tier 1資本証券について、当該証券の要項に従って当該証券がANZGHLの普通株式に転換可能であることを除き、当該証券の要項に基づく債務を負うものではない。
(2) ビジネス・モデル
当グループのビジネス・モデルは主に、顧客預金およびホールセール債券市場を通じて資金を調達し、当該資金を顧客に貸し出すことからなる。さらに、当グループは、セールス、トレーディングおよびリスク管理業務から収益を得るマーケッツ事業を営んでいる。当グループはまた、支払および決済ソリューションも提供している。
当グループの主な貸付業務は、居住用住宅ローン、クレジットカードおよび当座貸越を扱う個人ローンならびにコーポレートおよび法人顧客への貸付である。
当グループの収入は多数の収入源によるものであるが、主なものは以下のとおりである。
・ 純利息収益-当グループが貸付業務で得た受取利息と顧客預金およびホールセール資金調達に関して支払った利息との差異を示す。
・ 手数料およびコミッション収益(純額)-貸付で得た手数料収入ならびに金融商品およびサービスに関連した貸付以外で得た手数料収入を示す。資産運用収入を含む。
・ その他収入-セールス、トレーディングおよびリスク管理業務から生じた収益、外国為替収入純額、関連会社投資の持分利益、経済ヘッジ損益ならびに収益および費用ヘッジ損益ならびに事業の売却および閉鎖による損益を含む。
(3) 戦 略
ANZグループは、2025年10月13日(「2025年戦略日」)に、ANZ2030を公表したが、これは、ANZグループの当面の優先事項と2030年9月30日までの戦略的焦点を設定したものである。
以下の情報には、将来に関する記載や意見が含まれている。当該情報は、本書の表紙に続く(注)4.の「将来に関する記載」についての留意事項および「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性」を考慮して読まれるべきものである。
ANZ2030は4つの戦略的支柱に焦点を当てている
・ 顧客第一主義–市場をリードする差別化された優れた提案をもって、ANZグループは、顧客のためあらゆるデジタル的および人的交流の水準を高める。
・ 簡素化 –生産性の市場基準を確立するため、ANZグループは、組織の簡素化、非中核資産の売却および効率性の向上を図る。
・ レジリエンス –ANZグループは、信頼性、安全性およびリスク管理において業界をリードし、非財務リスク(「NFR」)管理の最高水準を保持し、ANZグループの端から端まで説明責任を強化する。
・ 価値の提供 –財務実績を持続的に改善するため、ANZグループは、ステークホルダーにとって重要な高収益の成長と成果を提供することで、永続的な価値を創造する。
当面の5つの重要優先事項
ANZグループには当面以下の5つの重要優先事項があるが、当該優先事項は、その現在の進行状況(2026年5月現在)とともに、以下に要約したとおりである。
1. ANZグループ新しい指導陣の定着化とカルチャー・リセットの推進継続:新しいANZグループ執行委員会と企業価値が定着
2. サンコープ・バンクの迅速な統合による価値提供の実現:2027年6月を期限とするサンコープ・バンクの顧客のANZグループへの安全かつ確実な移行が順調に進行中
3. 単一の顧客フロント・エンドの提供の加速:2027年9月を期限とするANZグループのリテールおよび小規模事業の全顧客に対する提供が順調に進行中
4. ANZグループにおける重複の削減と簡素化:2026年4月末までに、ANZグループにおいて公表された3,500の役割のうち78%(1)を削減
5. レジリエンスを改善するためのNFR管理の強化:2025年9月にオーストラリア健全性規制庁(「APRA」)が承認したANZグループの根本原因是正計画(「RCPP」)の実施が順調に進行中
(1) 2025**年4月1日と2026年4月30日の間でFTEベースにより計算
追加情報
ANZ2030**の2段階
第1段階は、2026年9月30日終了事業年度および2027年9月30日終了事業年度(「2027事業年度」)にわたり、基盤整備のために当面の優先事項を実現することを目的とする。
・ 生産性の大幅な向上
・ 成長に向けた初期投資
第2段階は、2027事業年度後を超えて、強固な基盤の成果を実現することを目的とする。
・ 成長の加速
・ 市場を上回る業績
(4) 当グループの主な活動
当グループは、オーストラリア・リテール部門、ビジネス&プライベート・バンク(旧称「オーストラリア商業部門」)、法人部門、ニュージーランド部門、サンコープ・バンク部門、パシフィック部門、ならびにグループ・センター部門の7つの部門からなる部門構造で事業を営んでいる。
下記に報告される部門は、AASB第8号「事業セグメント」に定義される事業セグメントおよび事業の最高経営意思決定者が最高経営責任者であるために提供を受ける内部報告と一致する。
2026年3月31日現在、当グループの7つの部門の主要な活動は以下のとおりであった。
オーストラリア・リテール
オーストラリア・リテール部門は、オーストラリアの個人顧客にあらゆる銀行サービスを提供している。これには、住宅ローン、預金、クレジットカードおよび個人ローンが含まれる。商品およびサービスは、支店網、住宅ローン・スペシャリスト、コンタクト・センターおよび様々なセルフサービス・チャネル(デジタルバンキングおよびインターネット・バンキング、ウェブサイト、ATMおよびテレホン・バンキング)、および外部のブローカーを通じて提供される。
ビジネス&プライベート・バンク
ビジネス&プライベート・バンクは、SMEバンキング(小規模事業主および中規模商業顧客)ならびに多角的スペシャリスト事業(大規模商業顧客ならびに富裕層の個人顧客および同族グループ)という顧客セグメントにわたり、あらゆる銀行商品および金融サービスを提供する。この部門は、ランオフ事業(セントラル・ファンクション)も含む。
法 人
法人部門は、グローバルな機関顧客および法人顧客ならびにオーストラリア、ニュージーランドおよび国外(パプアニューギニア(「PNG」)を含む。)の政府に、以下の事業ユニットを通じてサービスを提供する。
・ 「トランザクション・バンキング」は、荷為替取引、サプライチェーン・ファイナンス、コモディティ・ファイナンス、キャッシュ・マネジメント・ソリューション、預金、支払、決済など運転資本および流動性ソリューションを顧客に提供する。
・ 「コーポレート・ファイナンス」は、ローン商品、ローン・シンジケーション、スペシャライズド・ローンのストラクチャリングおよび執行、プロジェクトおよび輸出向けファイナンス、デット・ストラクチャリングおよび買収関連ファイナンスならびにサステナブル・ファイナンス・ソリューションを顧客に提供する。
・ 「マーケッツ」は、当グループの金利エクスポージャーおよび流動性ポジションを管理する他、為替、金利、クレジット、コモディティおよびデット・キャピタル・マーケットに係るリスク管理サービスを顧客に提供する。
・ 「セントラル・ファンクション」は、部門を横断してサポートを提供する支援機能を含んでいる。
ニュージーランド
ニュージーランド部門は、以下の事業ユニットで構成される。
・ 「パーソナル」は、あらゆる銀行サービス、ウェルス・マネジメント・サービスを個人およびプライベート・バンキングの顧客に提供する。また、インターネットとアプリベースのデジタル・ソリューションおよび支店網、モーゲージ・スペシャリスト、プライベート・バンカーおよびコンタクト・センターを通じてサービスを提供する。
・ 「ビジネスおよび農業」は、デジタル、支店およびコンタクト・センターのチャネルを通じたあらゆる銀行サービス、ならびに専任のマネジャーを通じての従来のリレーションシップ・バンキングおよび高度な金融ソリューションを提供する。これらは、未上場の中小企業および農業事業セグメントを対象としている。
・ 「セントラル・ファンクション」には、トレジャリーおよびバックオフィス支援機能が含まれる。
サンコープ・バンク
サンコープ・バンク部門は、オーストラリアのリテール、商業、中小企業、農業関連の顧客に対して、銀行業務および関連サービスを提供している。この部門には、財務およびバックオフィス支援機能も含まれる。
パシフィック
パシフィック部門は、リテールおよび商業顧客(多国籍企業を含む。)、ならびに太平洋地域(法人部門の一部であるPNGを除く。)の政府に商品・サービスを提供する。
グループ・センター
グループ・センター部門は、顧客に対面する部門をサポートするものであり、グループ・オペレーション、技術、ならびに共有サービス、リスク管理、資金調達、法務、内部監査、タレント&カルチャーおよびコーポレート業務を含むその他の支援機能を含む。当グループのアジアにおける少数持分投資も含まれる。
(5) 最近の進展
2026年3月31日以降、本書日付までに、重要な進展はない。
(6) 監督および規制
主要な銀行グループとして、当グループ(ANZBGLグループおよびその各子会社)は、事業を行う各主要市場において規制当局および証券取引所による広範な規制の対象となっている。当グループは、ANZグループ(ANZGHLおよびその各子会社)の一部である。ANZGHLは、銀行法に基づきAPRAの認可を受けた純粋持株会社(「認可純粋持株会社」(「NOHC」))であり、ANZグループの上場親会社である。本項は、オーストラリア、ニュージーランドおよび米国における当グループならびにANZグループの規制および監督の概要を示す。本書で記載される場合を除き、「(6)監督および規制」の項の記載情報は当グループに関するものである。
概要
APRA
ANZBGLおよびANZGHLは、APRAの規制対象事業者であり、銀行法およびAPRAの健全性基準および報告基準上の義務を負う。
APRAによるANZグループに対する規制の概要は以下のとおりである。
・ ANZGHL:認可NOHCである。ANZGHLは、APRAが2022年10月4日に公表した「ADI2022のNOHCの権限」と題された立法書類に記載されている認可条件(特定の資本要件を含む。)を遵守することが求められる。APRAは、適切と判断した場合、いつでも認可NOHCの条件を検討し変更する権限を有する。ANZGHLは、認可NOHCとして、銀行法およびAPRAの健全性基準に基づく規制にも服する。レベル3のグループの最上位の法人としては、ANZグループ(ANZ銀行グループおよびANZ非銀行グループの関連メンバーを含む。)全体に、APRAの一定の健全性基準が適切に適用されることを確保することが要求される。
・ ANZ銀行グループ:銀行業務を行うANZグループの事業体(ANZBGL、サンコープ・バンク、ANZバンク・ニュージーランドおよびその他の当グループの事業体を含む。)を含む。ANZGHLとサンコープ・バンクは、APRAによる認可を受けた公認預金受入機関(「ADI」)であり、ANZ銀行グループは、自己資本比率や流動性に関する基準など、ADIにかかるAPRAの健全性基準や報告基準全般の適用を受ける。ANZBGLおよびサンコープ・バンクを含むANZ銀行グループに適用のあるAPRAの役割についてより詳しい情報については、下記の「オーストラリア」の項を参照のこと。
・ ANZ非銀行グループ:ANZグループのうち、ANZ銀行グループ以外の事業体で構成される。銀行法に基づくAPRAによる認可NOHCとしてのANZGHLの認可に関する要件に従うことを条件としつつ、かかる事業体には、ANZBGLに現在適用のある銀行の自己資本比率規制や流動性規制といったADI特有の規制は適用されない。前記のとおり、ANZGHLは、APRAの特定の要求による場合またはANZグループやその顧客を保護するために適切であるとANZGHLが判断した場合、ANZ非銀行グループの関連メンバーも含め、APRAの一定の健全性基準をANZグループ全体に適切に適用することが求められる。
ANZGHLは、ANZ銀行グループとANZ非銀行グループの両方を含むANZグループ全体のリスクを反映した十分な資本を保有することが要求される。ANZBGLに適用される所要自己資本を含め、ANZ銀行グループの所要自己資本は、現行のAPRAの要件によって決定される。
RBNZ
ANZBGLおよびANZバンク・ニュージーランド(またはANZバンク・ニュージーランドの子会社)に対するRBNZの規制については下記の「オーストラリア」および「ニュージーランド」の項を参照のこと。
その他
多くのその他の規制当局がANZグループ(ANZ銀行グループおよびANZ非銀行グループの両方を含む。)に対する監督および規制を継続する。オーストラリアでは、これらの規制当局には以下のものが含まれる。
・ オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」) - 会社、財務サービス、消費者金融および証券の事項に関連するもの
・ オーストラリア競争消費者委員会(「ACCC」) - 競争、公正取引および消費者保護の事項に関連するもの
・ オーストラリア取引報告分析センター (「AUSTRAC」)- マネーロンダリング防止およびテロ資金対策法に関連するもの
・ オーストラリア情報コミッショナー事務局(「OAIC」) - 情報法に関するプライバシーおよび自由に関連するもの
米国では、これらの規制当局には米国連邦準備制度および通貨監督庁が含まれる。
オーストラリア
健全性および規制の監督
APRAの監督上の役割
APRAは、(銀行(ANZBGLを含む。)、信用組合、ビルディング・ソサイエティ、保険会社および退職年金基金を含む)オーストラリアのADIの健全性および規制の監督に責任を持っている。オーストラリア準備銀行(「RBA」)は、金融政策、金融システムの安定性および支払システムの規制に対して全体的な責任を持っている。APRAは、認可NOHC(ANZGHLを含む。)のような様々な規制対象事業体の健全性規制および監督についての責任も負っている。
APRAはADIに、様々なAPRAの健全性基準の範囲内の一定の健全性要件を満たすよう要求する。
APRAは、その監督下にあるADIに、財務状態についての財務上および統計上のデータならびに健全性およびその他事項に関する情報を含む広範囲な情報を記載した報告を定期的に提供するよう要求することによりその責任の一部を果たしている。APRAは、自己資本比率、流動性、利益、信用の質および関連する貸付損失の履歴、リスクの集中、資産および負債の満期構成、オペレーショナル・リスク、市場リスク、銀行勘定における金利リスク(「IRRBB」)、関連会社に対するエクスポージャー、資産運用、ガバナンス、報酬、オペレーションのレジリエンス、回復と解決の計画、監査およびその他の関連事項、証券化業務、ならびに国際銀行業務に特別な注意を払っている。APRAはまた、ADIがその財務状態についての情報の提供を怠った場合、一定の調査権限を行使することもできる。
APRAは、その監督の役割を果たすため、各ADIから収集したデータの分析を、通常のレビューおよび的を絞ったレビューならびにADIの上級経営陣およびADIの外部監査人との正式な会議の双方により補完する。APRAはまた、ADIの同意を得て各ADIの外部監査人との関係を正式のものとした。外部監査人は、ADIの会計記録から得られた情報で、ADIのAPRA報告に含まれているものが、すべての重要な点において、信頼でき、関連するAPRAの健全性および報告基準に従っていることをAPRAに対して追加保証する。外部監査人はまた、APRAとの協議の結果として、特定のリスク管理分野を対象としたレビューを行うことができる。さらに、ADIの取締役会は、適用のある健全性基準で指定される様式により、ADIのリスク管理に関してAPRAに対して年次宣言書を提出しなければならない。
APRAが、ADIが債務不履行に陥る可能性があるまたは(その他の状況の中でも)支払い停止に陥る可能性があるとみなした場合、APRAは(銀行法上の法定支配人の任命を含め、)ADIの事業を管理することができる。APRAはまた、ADIがその債務に関して支払いを行わないよう指示する権限を有する。加えて、APRAは、1999年オーストラリア金融部門法(譲渡および条件緩和)の下で、一部もしくはすべてのADIの資産および負債またはその株式を、APRAが指定する第三者(すべての場合にADIであることは必要とされない。)に強制譲渡させる権限も有する。大まかに言えば、APRAは、オーストラリアにおける担当大臣が譲渡すべきであると宣明した場合、または銀行法、規制もしくは規制上の措置への違反があり、もしくはADIが債務不履行に陥る可能性が高い旨もしくは支払い停止に陥りそうである旨をAPRAに対して通知し、一定の他の基準に適合するとAPRAが認める場合(金融部門全体の利益を考慮すれば譲渡が適切であるとAPRAが認める場合を含む。)などに、かかる強制譲渡をさせることができる。ADIとの契約の相手方は、ADIへの債務の否定のため、または当該契約に基づく債務の繰上げのため、当該契約に関する取引の終了のため、もしくは当該契約に基づく担保の実行の根拠として、銀行法上の法定支配人がADIの事業を管理しているという事実または指示もしくは強制譲渡命令のみに依拠することはできない。
その他のオーストラリアの規制
APRAならびにその健全性および規制の監督に加えて、ANZBGLおよびそのオーストラリアの子会社はいくつかの点においてASIC、ACCC、AUSTRAC、OAICおよび様々な証券取引所を含むその他の監督機関による監督および規制を受けている。
ASICはオーストラリアにおける会社、市場、金融サービスおよび消費者信用の監督機関である。ASICは投資、退職年金、保険、預金受入および信用の取扱および助言を行うオーストラリアの会社、金融市場、金融サービス機関および専門家に対する規制を行っている。ASICは、消費者信用の監督機関として、消費者信用業務に従事する人々および企業(銀行、信用組合、金融会社ならびにモーゲージ・ブローカーおよび金融ブローカーを含む。)に対してライセンスを付与し、規制を行っている。ASICは、オーストラリアの2009年国家消費者信用保護法が定める消費者に対する責任についての要求基準等にライセンスが適合することを確保する。ASCIは、金融市場の監督機関として、公認の金融市場が公平で秩序および透明性のある市場を運営する法的義務をいかに効果的に遵守しているかについて調査している。ASICは、オーストラリア国内の認可されたエクイティ市場、デリバティブ市場および先物市場における取引を監督する責任も有している。ASICは、金融サービスの監督機関として、金融サービス企業に対し、それらが効果的で誠実かつ公平な運営を行うことを確保するために、ライセンスを付与し、監視を行っている。ANZBGLはASICが監督する市場に商品を提供し、また参加している。
ACCCは、消費者、企業および社会に便益をもたらすべく、オーストラリアの市場における競争および公正取引を促進する独立した連邦法定機関である。同機関はまた、いくつかの国家のインフラ・サービスを監督する。その主要な任務は、個人および当グループを含む企業が、オーストラリアの競争、公正取引および消費者保護法を遵守することを確保することである。
AUSTRACは、オーストラリアの金融情報機関であり、マネーロンダリング防止およびテロ資金対策の規制当局でもある。2006年オーストラリアマネーロンダリング防止およびテロ資金対策法(「AML/CFT法」)を含むオーストラリア法に基づき、一定のマネーロンダリング防止およびテロ資金対策の法規制を遵守する義務を負っている。AML/CFT法は、AUSTRACにより運用されている。
OAICは、オーストラリア司法長官の所掌する独立機関である。OAICの主な役割は、プライバシー、情報公開および政府の情報政策であり、調査の実施、決定の見直し、不服の処理ならびに指導および助言の提供などを担当する。
適用法令(マネーロンダリング防止、内部告発、銀行業および健全性にかかる法令規則を含むがこれらに限定されない)の下でまたはこれらに関連して、秘密保持義務が随時適用されうる。かかる秘密保持義務の対象となる情報は公に開示されない。
自己資本および流動性
自己資本
銀行の自己資本規制の適切な水準を決定する共通の枠組みは、一般に「バーゼル3」として知られる枠組みに基づいてバーゼル銀行監督委員会により設定される。
バーゼル合意の第1の柱に基づく最低自己資本要件(「自己資本要件」)を計算するために、当グループは、APRAより、信用リスク加重資産について先進的内部格付手法を使用し、およびオペレーショナル・リスク加重資産についてAPS第115号自己資本規制:オペレーショナル・リスクの標準的計測手法(「APS第115号」)を使用する認可を受けている。
APRAは、オーストラリアにおいてバーゼル3自己資本改革の大部分を採用した。APRAはバーゼル3改正を最低要件とみなし、そのためバーゼル3規則で提案された譲歩のいくつかを組み込まず、他の分野でより高度な要件も定めている。その結果、オーストラリアの銀行のバーゼル3で報告される自己資本比率は、国際的な同業他社と直接的には比較できない。APRAのバーゼル3改正は、普通株式等Tier1(「CET1」)資本からの資本控除の増額、自己資本比率の引上げ(2023年1月1日から全面的に実施される規定最低資本バッファーを含む。)、新規のその他Tier1(「AT1」)およびTier2証券についての要件の厳格化ならびに新規制に合致しない既存のその他Tier1およびTier2証券の移行措置を含む。
自己資本規制の動向に関する詳細については、下記「規制上の動向-自己資本および流動性」を参照のこと。
流動性
ANZBGLの流動性および資金調達リスクは、ANZBGLの取締役会により承認された詳細な方針枠組により管理されている。流動性および資金調達ポジションならびにリスクの管理は、グループ資産負債委員会によって監督されている。ANZBGLの流動性リスク選好は、ANZBGLの取締役会が義務付けた一連の規制上の要件および内部の流動性指標を満たす能力で定義される。指標は、異なるデュレーションおよび深刻度水準の様々なシナリオに渡る。この枠組みは以下に役立つ。
・ より短期だがより極端な市場の混乱およびストレスに対して保護を提供する。
・ 適切な額の長期資産の調達をより長期の資金調達にすることで、貸借対照表の構造的な強さを維持する。
・ 当グループの資金調達プロファイルに過度の時期の集中が存在しないことを確保する。
この枠組みの主要な要素は、流動性カバレッジ比率(「LCR」)である。LCRは、APRAを含む銀行規制当局によって義務付けられる深刻な短期の流動性ストレス・シナリオであり、流動性リスクの測定、基準およびモニタリングのためのバーゼル3国際的枠組みの一部として導入された。
この枠組みのもう一つの重要な要素は、APRAの安定調達比率(「NSFR」)の要件である。
ANZBGLは、APRAのAPS第210号流動性(「APS第210号」)が要求する流動性および資金調達リスクに関する健全性義務、ならびにANZBGLのオフショア業務に係る海外規制当局の健全性要件を遵守している。
APRAの規制における自己資本管理および流動性
当グループの自己資本管理および流動性に関する詳細については、下記「第3 事業の状況-3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析-G.流動性および資本資源-(1)流動性リスク」から「(4)レバレッジ比率」までを参照のこと。
危機管理
銀行法の下では、APRAは、規制対象法人(およびその子会社と持株会社の一部)の経営難の際に秩序ある破綻処理を促進する権限を保有している。当グループに影響を与える可能性がある権限には、ANZBGLおよびその他のANZグループの法人(ANZGHLを含む。)との関係での監視、管理および監督権限が含まれる。銀行法には、ANZグループ内の規制対象法人(ANZGHLを含む。)に対する法定管理権限の強化、ならびに規制された資本商品の転換または償却を法的に認めるための条項(「法定転換および償却条項」)が含まれる。
法定転換および償却条項は、一定の金融セクターの事業体(ADIを含み、ANZBGLもその1つである。)が発行した規制された資本商品に関して適用され、APRA健全性基準に適合するための転換または償却条項を含む。ある商品に法定転換および償却条項が適用された場合、当該商品はその条項に従って転換されうる。これは、いかなる(特定の法律の他、現時点では、ある者がオーストラリアの企業または金融セクターの事業体の持分利益を取得する能力に関する法律以外の)法令、発行者もしくは当該商品の転換先事業体の定款、発行者もしくは当該商品の転換先事業体が当事者となっている契約、ならびに当該商品に適用のある上場規則、業務規則またはクリアリングおよび決済規則にかかわらずそうなる。加えて、銀行法には、法定転換および償却条項の運用に関する理由による一定の措置(義務の否定、債務の繰上げ、取引の終了、担保の実行など)のモラトリアムが定められている。
規制上の動向-自己資本および流動性
RBNZの自己資本要件
2025年に、RBNZは、2028年7月に向けて段階的に導入されていた銀行向けの主要な自己資本要件の見直しを実施した。RBNZは、2028年12月までの期間における一定の経過措置を含め、改定要件のさまざまな側面について、今後さらに協議を行うことが見込まれている。
まだ初期段階ではあるものの、提案されているRBNZの自己資本規制要件の改定案が実施された場合、ANZバンク・ニュージーランドは、リスク加重資産(RWA)の9%に相当するTier2証券および損失吸収力証券をANZBGLに発行することになる見込みである。ただし、RBNZの提案については、その経過措置、Tier2資本および損失吸収力証券の要件について引き続き協議が行われる予定であり、その他のまたは異なる結果が生じる可能性もある。経過措置は2028年12月に開始され、2030年12月まで、あるいは遅ければ2033年12月まで継続する見込みである。APRAは、2027年1月1日より施行されるAPS111において、子会社がオーストラリアの親会社に対して内部発行した適格Tier2資本または総損失吸収力(「TLAC」)証券は、親会社のTier2資本から控除されるべきであるという政策意図を明確にした。
かかる見直しの当グループに対する影響は不明である。さらなる情報については「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的規制リスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
ADIの資本および流動性要件の強化に関するAPRAの協議
APRAは、2023年1月1日、ADIに対する自己資本十分性および信用リスクに関する更新後の要件(自己資本改革)を実施し、さらに2025年10月からIRRBB基準の最終版を実施した。2026年3月、APRAは、ADIの自己資本および流動性要件の強化に関して協議を行う計画を発表した。かかる提案には以下の事項が含まれる。
・ 最大手銀行の流動性フレームワークの変更であり、これには、既存のLCR最低要件ではカバーされていないリスクに対処するための流動性の保有が含まれる。
・ 標準的信用リスク自己資本フレームワークに対する的を絞った改正
・ バーゼル委員会のトレーディング・ブックの抜本的見直し(「FRTB」)に対する簡素化されたアプローチの導入
APRAは、協議を段階的に実施する方針を示しており、標準的信用リスク自己資本フレームワークのレビューは2026暦年に行われ、流動性フレームワークおよびFRTBに関する協議は2026暦年および2027暦年に行われる予定である。ADIの自己資本および流動性フレームワークの見直しに関連して行ったAPRA健全性基準へのすべての変更による総合的な最終結果は、依然として不明である。
APRAのオーストラリアにおけるその他Tier1(AT1)資本に対するアプローチ
APRAは、2025年12月に、AT1資本の除外に関する健全性基準を最終化し、新しい健全性基準は2027年1月1日から発効する予定である。当グループのような国際的に活動する大規模な銀行で、信用リスク資本要件に対する内部格付に基づくアプローチの使用についてAPRAの承認を受けた銀行(「先進的な」銀行)には、以下のことが要求される。
・ AT1資本の1.5%という現行の要件を、CET1資本の0.25%およびTier2資本の1.25%に置き換えること
・ CET1資本要件の下限を4.5%から6.0%に引き上げるが、1.25%の資本保全バッファーの先進的な部分を削除すること
・ APRAのバッファーを含む、資本要件の下限総額を18.25%(TLAC要件を含む。)に据え置くこと
・ Tier2要件(TLACを含む。)を6.5%から7.75%に引き上げること
さらに、APRAは、APS第222号「関連事業体の関与」(「APS第222号」)、APS第221号「大口エクスポージャー」(「APS第221号」)およびトランス・タスマンの資金調達における、レバレッジ比率およびエクスポージャーの制限の目的のために、Tier1資本への参照をCET1資本に置き換えた。APRAは、最低レバレッジ比率を3.50%から3.25%に0.25%削減した。かかる変更により、当グループの上記指標に基づくエクスポージャー分の資金調達力は低下する見込みであるが、当グループへの影響はかかる指標下での既存の資金調達能力に依存することとなる。当該変更に関するAPRAの協議文書には、APS第222号、APS第221号またはトランス・タスマン資金調達にかかる変更の影響を受けるADIは、APRAと調整の可能性について協議できる旨が記載されている。
より詳細な情報については、「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的および規制上のリスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」ならびに「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当グループの財政状態に関するリスク-12.流動性および資金調達リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
ANZBGLが財政支援を提供する能力の制限
APRA**健全性基準による効果
APRAが課す現在または将来の要件は、ANZBGLの事業、業績、流動性、資本の源泉または財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
APS第222号は、ANZBGLを含むオーストラリアのADIが遵守すべき最低要件を設定している。APS第222号の主な要件は、ADIが関連会社との関連性および取引について規定する取締役会が承認した方針を有すること、ADIと関連会社およびステップイン・リスク対象事業体間の潜在的な伝染リスクを特定・監視・管理・統制すること、関連会社およびステップイン・リスク対象事業体との取引で健全性について懸念を生じさせる可能性のあるものについて最低限の要件を満たすこと、ならびに関連会社へのエクスポージャーを制限内に維持することである。
APS第222号の下で、ANZBGLが関連会社(ANZバンク・ニュージーランドおよびサンコープ・バンクを含む。)に財政支援を提供する能力は以下の制限に服する。
・ ANZBGLは、関連会社の事業の支援を目的とするいかなる非関連会社との取引も行ってはならず、
・ ANZBGLは、関連会社への支援を提供してはならず、また関連団体からの支援を受け入れてはならない。ただし、当該支援が法的文書に明確に規定され、時期及び金額が確定しており、かつANZBGLの方針及びAPS第222号の第13項から第17項に定める健全性要件に適合する場合を除く。かかる要件には以下のものが含まれるが、これらに限られない。
(i) 関連会社に対して、合計または個別の会社レベルのいずれにおいても、特定の時間または金額による限定がない無制限のエクスポージャーを持ってはならない。
(ii) 関連会社の債務不履行(財務的な債務であるか否かを問わない。)がANZBGLの債務不履行を引き起こすかまたは引き起こすとみなされる内容のクロス・デフォルト条項に合意してはならない。
・ ANZBGLは、関連会社から資産を購入する場合、または関連会社が発行する証券その他の負債商品を購入する場合、もしくは関連会社に対して資産や証券を売却する場合、これらの活動がANZBGLによる当該関連会社への資本支援を構成しないことを、要求に応じてAPRAを納得させなければならない。
・ 2026年12月31日までのANZBGLのレベル1Tier1資本ベースおよび2027年1月1日以降のANZBGLのレベル1CET1資本ベースのエクスポージャー(自己資本から除かれるエクスポージャーを控除後)の水準は、以下を超えてはならない。
(i) ANZバンク・ニュージーランドもしくはサンコープ・バンクなどの関連ADIもしくは同等の事業体に対し、個々のエクスポージャーベースで25%、またはすべての関連ADIもしくは同等の事業体に対するエクスポージャー合計で75%、ならびに
(ii) その他の関連会社に対し、
ⅰ 規制された関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで25%、または
ⅱ その他の(規制されていない)関連会社の場合、個々のエクスポージャーベースで15%、および
ⅲ すべての非ADIまたは同等の関連会社に対するエクスポージャー合計で35%
2026年3月31日時点のANZBGLのANZバンク・ニュージーランドに対するエクスポージャーは、APS第222号の上限を遵守したものとなっている。
加えて、APRAは、2021年1月1日から2026年12月31日まではANZBGLのレベル1のTier1資本ベースに対する比率で5%以下、2027年1月1日からはANZBGLのレベル1のCET1資本ベースに対する比率で5%以下のみが、ANZBGLの通常時におけるニュージーランド業務(ANZバンク・ニュージーランドなどのニュージーランドにおいて設立された子会社およびANZBGLのニュージーランド支店を含む。)への非株式等エクスポージャーを占めることができることを確認した。この上限は、資本商品の保有または金融ストレス時にANZバンク・ニュージーランドおよびその子会社(ANZバンク・ニュージーランドとその子会社を総称して「ANZバンク・ニュージーランド・グループ」)に対して提供される適格担保付きの偶発的な資金調達の支援を含まない。
APRAはまた、金融ストレス時におけるANZBGLによるANZバンク・ニュージーランドへの偶発的な資金調達の支援は、APRAが承認可能な条件に基づいて提供されなければならないことを確認した。現在、カバード・ボンドのみが偶発的な資金調達に係るAPRAの基準に該当している。APRAはまた、ANZBGLのニュージーランド業務に対するエクスポージャー合計は、2026年12月31日まではANZBGLのレベル1のTier1資本ベースの50%を、2027年1月1日からはANZBGLのレベル1のCET1資本ベースの50%を超えてはならないことを要求する。
レベル3枠組みによる効果
加えて、特にグループ・ガバナンスおよびリスク・エクスポージャーに関連するAPRAのレベル3枠組みは、当グループが子会社(ANZバンク・ニュージーランドおよびサンコープ・バンクを含む。)に対する財務上および業務上のエクスポージャーを制限しなければならないことを要求する。
子会社に対するエクスポージャーの許容水準を定めるに当たり、ANZBGLの取締役会は以下を考慮する。
(a) 信用度が概ね同等である第三者について承認されるであろうエクスポージャー、および
(b) ANZBGLの自己資本ポジションおよび流動性ポジションに対する潜在的な影響、ならびに子会社が破綻した場合にも営業を継続できるANZBGLの能力
これらの要件は、ANZBGLがANZバンク・ニュージーランドおよびサンコープ・バンクを含む子会社に対して財務上または業務上の支援を提供する能力にさらなる制限を課すとは予想されていない。
規制上の動向-その他
執行可能なNFR管理の約束
2025年4月3日、当グループは、グループ全体のNFR管理の慣行およびリスク文化に関する事項について、APRAとの間で、裁判所で執行可能な約束(「CEU」)を締結したことを発表し、追加のオペレーショナル・リスク資本に2億5,000万豪ドルを上乗せして10億豪ドルに増加することを受け入れた。より詳細な情報については、「第6 経理の状況-1 財務書類」に記載の2026年3月31日終了の半期にかかる要約連結財務書類の注記17を参照のこと。
住宅モーゲージ貸付実務
APRAは、住宅モーゲージ貸付実務を厳しく監視し、また銀行業界全体での住宅モーゲージ貸付基準の強化を狙いとした数々の手段をとっている。
APRAが概要を示した最低金利バッファーは、住宅ローン申請にかかる実行性を評価する際に、ローンの金利に追加されるものとして最低3%のバッファーを使用することをADIに要求するものである。APRAは、ADIに対して、ADIは以下の類型の貸付に該当する貸付の程度を制限する能力を有しなければならない旨通知した。
(a) 返済負担率が4倍または6倍以上の貸付
(b) 貸出金比率が80%または90%以上の貸付
(c) 投資目的の貸付
(d) 利息のみの貸付
(e) (a)から(d)のいずれか2つを組合せによる貸付
2026年2月1日から効力を有するものとして、APRAは、ADIに対して、返済負担率が6倍以上の新しい住宅モーゲージ貸付について20%の上限を導入することを要求した。これは、持ち家居住者と投資家のポートフォリオに対して独立に適用される。
住宅モーゲージ・ローンの分類の変更
ANZBGLの住宅モーゲージ・ローンの現行の分類は一般に、監督機関および市場に報告している通り、顧客から提供される情報または顧客が事後的にローンの変更を申請する際に提供される情報に基づき、ローンの組成の過程(すなわち、与信申請、審査および貸付実行)で決定されている。
住宅用モーゲージ・ローンの分類は、以下を理由に変更される可能性がある。
・ 組成段階での誤分類:組成段階で顧客が自己の身上についてANZBGLに誤った情報を通知する範囲で、ローンは誤って分類されるリスクがあり、かかるローンは再分類される可能性がある。
・ 顧客の状況の変化:与えられた分類の継続的な妥当性は、顧客が自己の状況の変化についてANZBGLに情報を通知する義務、および顧客から提供される情報を独自に検証するANZBGLの能力に依存する。顧客が自己の状況の変化を通知する範囲で、またはANZBGLがその検証プロセスに基づきその旨を決定する場合において、ローンは再分類される可能性がある。
・ 規制その他の変更:ローンの分類基準およびその解釈は、1または複数の報告上の目的により変更される可能性があり、このことは一定のローンの分類に影響を及ぼす可能性がある。
・ ANZBGLのシステムおよびプロセスの変更
ローンの誤分類または再分類は、持ち家居住者向けの不動産担保ローンがより金利の高い投資用不動産ローンに再分類されるなどの場合において、顧客の返済義務を履行する能力に影響を及ぼす可能性がある。顧客が再分類後のローンの返済義務を履行する能力を欠けば、かかるローンにつき債務不履行を生じるリスクが増す可能性があり、このことは当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
その他
当グループにもたらされるリスクも含む規制上の動向に関する詳細については、下記「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的および規制上のリスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
ニュージーランド
RBNZ****の監督の役割
1989年銀行健全性監督法(「BPS法」)は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が以下の目的で、銀行登録および登録銀行(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)の健全性監督の権限を行使することを求めている。
・ 健全で効率的な金融システムの維持を推進する。
・ 登録銀行の破綻から生じる可能性のある金融システムへの重大な損害を防止する。
RBNZの監督的役割の主要な要素は以下を含む。
・ すべての銀行が一定の健全性最低要件を遵守することを求め、これは登録条件を通じて適用される。これらは、関連当事者エクスポージャーに対する制約、最低自己資本比率要件および流動性リスク管理最低基準を含み、以下にさらに詳細に記載される。
・ 各登録銀行の財務状況および登録条件遵守を、主に公表される半期開示書類およびRBNZに対して非公開で提出される月次報告書に基づいて監視する。この監視は、RBNZが各銀行および銀行業界全体の財務状況に引き続き精通し、必要となった場合危機管理の権限を行使する準備状態を維持することを確実にするよう意図されている。
・ 登録銀行の上級経営陣と協議する。
・ BPS法に基づいて利用可能な危機管理の権限を用いて、銀行の経営難または破綻の状況が金融システムの健全性を脅かしている場合介入する。
・ 銀行が健全に業務を行っているかを査定する。
・ 銀行の外部委託契約を、外部委託に関連する登録銀行のリスクが適切に管理されているかを判断するために監視する。
・ 銀行の内部自己資本十分性プロセスおよび流動性方針に係る指針を発表する。
・ コーポレート・ガバナンスに係る指針を発表する。
・ 銀行特有の問題、政策問題ならびにニュージーランドおよび親銀行が所在する国々での金融システムの状況に関連する一般事項に関して親銀行の監督機関(オーストラリアのAPRA等)との密接な業務関係を維持する。
登録銀行は、半期ごとに、包括的な詳細情報ならびに、通年については完全な財務書類、半期については未監査の半期財務書類を含む開示書類を発行することを求められる。財務書類は、各会計年度末には全面的な外部監査の対象となり、各半期末には限定された範囲のレビュー対象となる。各銀行取締役は、開示書類において、一定の声明と保証を行わなければならない。銀行およびその取締役は、銀行の開示書類中の情報が虚偽または誤解を招くものであることが発覚した場合、刑事上および民事上の罰則を課せられる可能性がある。
RBNZは、登録銀行の主要な情報の四半期ごとの「ダッシュボード」をそのウェブサイトで公表している。ダッシュボードは、公衆および市場参加者が登録銀行の財務力およびリスク・プロファイルに関する情報を理解し、当該情報に基づいて行動する能力の向上を目指している。情報は、銀行がRBNZに非公開で行う報告に基づく。ダッシュボードで公表されたANZバンク・ニュージーランド・グループに関する情報は、本書の参照情報ではなく本書の一部を構成しない。場合によっては、それらの情報は、ANZバンク・ニュージーランドの連結財務書類中の表示とは異なる分類または表示がなされている。
ニュージーランドで設立された銀行(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)は、ニュージーランドの状況を反映して修正されたバーゼル3自己資本比率要件を遵守することを求められる。2025年7月1日から、RBNZはまた、ANZバンク・ニュージーランドを含む国内のシステム上重要な銀行の大半に、最低自己資本比率をRWAの5.5%上回るCET1健全性資本バッファーを維持することを求められており、これに従わない銀行は販売を制限されることになる。この健全性資本バッファーは、2028年7月までに、RWAの9%まで段階的に引き上げられることが計画されていたが、RBNZによる2025年の主要自己資本要件設定のレビューの一部として、RBNZは、代わりにRWAの6%に増加することを公表した。詳細については、下記「ニュージーランドの規制上の動向-銀行の自己資本要件」を参照のこと。
ニュージーランドで設立された銀行(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)は、RBNZの流動性方針(「BS13」)を遵守することが求められる。BS13は、銀行の資金調達のうち少なくとも最低限の割合が顧客預金、期限付資金調達およびTier1資本によって満たされることを確保し、ニュージーランドで設立された銀行として75%の最低コア資金調達比率を満たすことを要求している。
RBNZは、すべての登録銀行に対し、承認された機関からの信用格付を取得および維持し、かかる格付を開示書類で公表することも求めている。
さらに、RBNZは、その監督機能に関連して、さらなる情報、データおよび見通しを取得し、ならびにかかる情報、データおよび見通しを監査させる広範な権限を有している。
RBNZはまた、いくつかの危機管理権限も有している。これらの権限には、銀行登録の取消勧告、登録銀行の業務の調査、登録銀行のRBNZとの協議の要求、登録銀行への命令、登録銀行の取締役の解任、交替もしくは指名、または登録銀行を法定管理下に置く勧告が含まれる。
登録銀行が法定管理対象になると宣言された場合、いかなる者も、特に以下の行為をしてはならない。
・ 銀行に対する反訴による手続きを含む、訴訟またはその他手続きを開始すること、または継続すること。
・ 執行命令を出すこと、債務を差し押さえること、または当該銀行に関して得られた判決および命令を執行し、もしくは執行することを求めること。
・ 当該銀行を清算する手段を講じること。
・ 当該銀行に対して相殺権を行使すること。
RBNZの監督権限の一環として、ある者が登録銀行への「重要な影響力」を獲得するまたは増大する結果となる取引を生じさせる前に、その者はRBNZの書面による同意を取得する必要がある。「重要な影響力」とは、登録銀行の取締役会の25%以上を指名する能力またはその議決権株式の10%以上の適格持分(例えば、法的または受益所有権)を意味する。
ニュージーランドの規制上の動向
銀行の自己資本要件
2025年、RBNZは、2028年7月までに段階的に導入することとされていたニュージーランドの銀行に対する主要な自己資本要件の見直しを行い、自己資本比率要件の改定、特定の種類の貸付に対する標準的リスク加重の引下げおよび細分化の強化、ならびに自己資本フレームワークからのAT1資本の除外を決定した。ANZバンク・ニュージーランド・グループを含むニュージーランドのシステム上重要な銀行については、改正後の要件として、CET1比率の最低値を12%とし、総自己資本比率の最低値を15%とすることが含まれる。これらの比率は現在それぞれ10%および14.5%と定められており、2028年7月からは13.5%および18%となる見込みであった。また、6%の新たな損失吸収力(「LAC」)要件も導入される。RBNZは、標準的リスク加重の変更を実施するのと同時に、2026年10月にCET1自己資本比率の要件を0.5%引き上げることを明らかにした。残りの自己資本比率関連の変更は、2028年12月までは行われない見込みである。
2026年10月以降は、新たなAT1の発行は認められない見込みであり、既存のAT1永久優先株式(「PPS」)については、2029年12月から段階的にTier1資本としての適格性を失う見込みである。ANZバンク・ニュージーランドは、そのPPSについて規制上の事由が発生したと判断した。規制上の事由の発生は、RBNZによる事前の書面による承認を含む一定の条件を前提として、ANZバンク・ニュージーランドがその裁量によりPPSの償還を選択できることを意味する。本書日付現在、ANZバンク・ニュージーランドがPPSを償還するか否か決定されていない。
RBNZは、2028年12月までの期間における一定の経過措置を含め、改正後の要件に関する協議を継続するものと見込まれる。
かかる見直しがANZバンク・ニュージーランド・グループおよび当グループに与える影響は、その最終的な実施内容の詳細、事業構成および当該時点における貸借対照表の状況による。したがって、当該見直しがANZバンク・ニュージーランド・グループおよび当グループに与える影響は、現在のところ不明である。
さらなる情報については、「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的および規制上のリスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
BPS法の代替
1989年から、銀行の健全性監督規制は、BPS法に基づいて行われてきた。
しかしながら、BPS法については、2つの別個の法制により代替する手続が進行中である。
・ 2021年ニュージーランド準備銀行法は、RBNZのハイレベルでの目的、権限、役割、ガバナンスと資金調達方法に関してBPS法の一部を代替するもので、2022年7月に施行された。2021年ニュージーランド準備銀行法は、とりわけ、以下の事項を規定している。
- 金融政策委員会が行うべき事項を除くすべての決定に責任を負う法定のガバナンス・ボードを設置すること
- ニュージーランドの金融システムの安定性を保護し増進させる包括的金融安定性目的を(経済目的および中央銀行の目的に加えて)導入すること
・ 2023年預金受入機関法(「預金受入機関法」)は、とりわけ、以下の事項を規定することが見込まれている。
- すべての銀行およびノンバンク預金受入機関向けの単一の規制制度を創設すること。
- 預金受入機関の取締役の説明責任要件の強化。
- RBNZの監督および執行方法の拡充。
- RBNZの危機破綻処理の枠組み(BPS法から主要な管理権限を実質的に引き継ぎ、当該権限を(実際的である場合には)破綻処理機関としてのRBNZに付与するもの)の強化および明確化。
預金受入機関法は、預金補償制度(「DCS」)を導入した。この制度の対象者が破綻した場合、1機関あたり、1預金者あたり、最大10万ニュージーランド・ドルまでの適格預金が補償される。DCSは、ANZバンク・ニュージーランドを含む預金受入機関から徴収する賦課金で賄われる。DCSは、2025年7月1日に開始された。
DCSは、ANZバンク・ニュージーランドにとって重大なコスト増にはならないと予想されている。
RBNZは、預金受入機関法制度の開始を支援するための政策、基準および規制を策定する複数年にわたる作業プログラムを実施している。預金受入機関法が完全に施行されるまでは、銀行に対する現行の規制枠組みはBPS法の下で継続される。
RBNZによるBS13のレビュー
RBNZは、BS13の包括的レビューを行っている。
これまでのRBNZの主要政策決定事項には以下のものが含まれる。
・ バーゼル3の流動性フレームワークの採用ではなく、RBNZの既存の量的流動性指標、1か月のミスマッチ比率およびコア・ファンディング比率に修正を加えたものの維持。1週間のミスマッチ比率は終了になる予定である。
・ ニュージーランドにおける流動性資産の適格要件の厳格化
・ 新しい適格要件を満たさない現在の適格流動性資産にかかる流動性確保手段の構築
新しい方針は、預金受入機関法上の基準として実施されることになり、2028年後半における実施が見込まれている。
金融機関の行為規制
2022年金融市場(金融機関の行為)改正法は、2025年3月31日に施行され、金融機関の広範な行動規範(「CoFI制度」)を導入するものである。CoFI制度は、一定の金融機関(ANZバンク・ニュージーランドを含む。)に対して以下を要求する。
・ 2013年金融市場行動法(「FMC法」)第6部に基づく認可を取得すること。ANZバンク・ニュージーランドは、2024年9月に認可を取得した。
・ (顧客の利益を正当に考慮するなど、顧客を公平に取り扱うことを要請する)公平性原則を遵守すること。
・ 公正性原則を運用可能にするための効果的な公正性プログラムを策定、実施、維持および遵守すること、ならびに公正性プログラムの要約を発行すること。
・ 関連サービスの提供に従事するスタッフその他の人員に対する販売奨励金に対する規制を遵守すること。
ニュージーランド国会に提出された金融市場行動改正法案については、立法過程が進行中である。改正法案が通過した場合、同法案は金融機関の公正行動プログラムの要件を変更し、金融市場庁により広範な調査権限を与え、市場サービスのライセンスを統合することになる。CoFI制度は、2026年または2027年中に開始する予定である。
その他
ANZバンク・ニュージーランド・グループにもたらされるリスクも含む規制上の動向に関する詳細については、下記「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当グループの事業の活動および業界に関するリスク-2.当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」ならびに「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的および規制上のリスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
アメリカ合衆国(米国)
ANZBGLは、ANZGHLの間接子会社であり、ANZ銀行持株会社の直接の子会社である。ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は各々、ANZBGLの純粋持株会社である。ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は各々米国連邦準備制度理事会(「FRB」)から金融持株会社(「FHC」)として取り扱われることを選択した。FHCは、FRBおよび米国財務省が本質的に財務的である、あるいはそれに付随していると決定した活動、ならびに(FRBが承認した場合は)FRBが財務活動を補完すると判断した活動に米国内で従事し、あるいは従事する企業を買収することを認められている。
1956年銀行持株会社法(「BHC法」)の下で、FHCの活動は、当該FHC(米国の支店および代理店ならびに米国の預金受入機関子会社を含む。)がFRBの規則の定義にしたがい「良好に経営されている」あるいは「資本が充実している」と言えなくなった場合、FHCが特定の資本水準を維持することを求める執行措置の対象となった場合、または、FHCの米国の預金受入機関子会社が地域再投資法上「並」以上の格付けを維持できなくなった場合に、制約の対象となる。FRBは、ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社を含む、FHCを管轄する「包括的な」監督者である。
ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は各々1978年国際銀行法(「IBA」)を含む米国連邦法令に従う。IBAに基づき、ANZBGLのニューヨーク支店(「ニューヨーク支店」)を含む、在米の外国銀行のすべての支店および代理店は、米国銀行持株会社により所有または支配されている国内銀行に課せられているものと同様の報告および審査要件に従うものとする。連邦政府の認可を受けた支店は、主に米国通貨監督庁(「OCC」)の規制を受けることから、ニューヨーク支店は、国内銀行に許可されている業務に従事することができるものの、ニューヨーク支店はリテール預金を受け付けることができない。ニューヨーク支店はリテール預金を受け付けないため(法人預金および企業預金は受け付ける)、連邦預金保険公社(「FDIC」)の監督対象ではない。ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社は、BHC法の規制を受けている。FHCが「良好な経営」または「十分な資本」の規制に合致しなくなった場合または特定の資本水準の維持を求める執行措置の対象となろうとした場合には、FHCのFHCとしての活動は制限を受けることになる。
IBAの下で、FRBは、ニューヨーク支店を含む、外国銀行の米国支店および代理店が保有している預金に対する準備金要件を課す権限を有している。ニューヨーク支店は、一般的にその会計と記録をANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社のものとは別に維持する必要があり、OCCが規定するそのような追加要件に従う必要がある。IBAおよびBHC法は、ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社の米国におけるノンバンク業務に従事する能力にも影響する。
IBAの下で、非米国銀行の在米支店は、国内銀行と同じ範囲でOCCにより管財人の管理対象となる。監督官は在米支店の事業と財産を占有することがある。監督官は、法律や規制の違反および安全と健全性の違反に対処する広い範囲の監督および執行手段を自由に使うことができ、それは在米支店に対して課される場合がある。監督官は、在米支店の経営者を解任し、民事上の罰金を課することもある。状況によっては、監督官は自ら、あるいはFRBの勧告を受けて、在米支店の免許を剥奪することもある。
ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社の各々は、2010年のドッド-フランク・ウォール・ストリート改革および消費者保護法(「ドッド-フランク法」)の一定の規定に従っている。ドッド-フランク法は、米国および世界の銀行業務の多くの側面を規制する。
BHC法のセクション13およびその施行規則は通称を「ボルカー・ルール」といい、とりわけ、銀行およびその関連会社が一定の「自己勘定取引」に従事することを広く禁止し(ただし、引受け、マーケット・メーキング関連、リスク緩和ヘッジ業務などの一定の業務は許可する。)、一定の重要な例外および免除はあるが、一定のプライベート・ファンド(プライベート・エクイティ・ファンドおよびヘッジファンドを含む。)への資金提供ならびに投資を制限する。
その他のドッド-フランク法の規制は、非清算集中スワップおよび有価証券関連スワップについて最低限の証拠金の要件を課し、規制された取引プラットフォームおよび決済機関において標準店頭(「OTC」)デリバティブを集中約定および集中決済することを要請し、特定の種類のデリバティブについてポジションの規模に制限を課し、取引データを規制されたスワップおよび有価証券関連スワップのデータ蓄積機関に報告することを要請し、ならびにディーラーおよびデリバティブ市場の主要な市場参加者の監督強化を規定している。ANZBGLは、商品取引法および商品先物取引委員会(「CFTC」)規則に基づく登録スワップ・ディーラーであり、全米先物協会の会員である。ANZBGLは、米国証券取引委員会(「SEC」)に登録された有価証券関連スワップ・ディーラーではないが、登録が必要となった場合または登録が適切と判断された場合は、登録を行うことがある。さらに、当グループ内の他の関連会社は、米国人であるカウンターパーティーまたはその他の特定の種類のカウンターパーティーとのスワップまたは有価証券関連スワップ取引の水準次第で、スワップ・ディーラーまたは有価証券関連スワップ・ディーラーの登録の対象となる可能性がある。CFTCまたはSECへの登録が必要とされなくても、そのような企業は、米国人であるカウンターパーティーまたはその他の特定の種類のカウンターパーティーとの取引に関連して、CFTCまたはSECの規制要件の一部の対象となる可能性がある。
CFTCは、クロスボーダー取引に関する規則を採択し、これは特に、CFTCがCFTCのものに相当すると決定した規制制度を有する非米国法域に所在するスワップ・ディーラーによる「代替的コンプライアンス」を許容する。CFTCは、自らが発行したガイダンスに基づいてオーストラリアの法令の一定の側面に関してかかる決定を行っており、かかる決定は、2020年の規則の下でも有効に存続する。かかる決定に基づき、ANZBGLは、相当するCFTC規則の遵守の代わりに一定のオーストラリアの規則の代替的遵守に依拠することができる。
米国の健全性規制機関、CFTCおよびSECは、決済されないスワップおよび有価証券関連スワップの取引に当初および変動証拠金要件を課す規則を実施した。ANZBGLは、FRBの監督に服するスワップ・ディーラーであり、OCCにより規制されるニューヨーク支店を運営していることから、FRB、OCCおよびその他の健全性規制機関が公布した非清算集中スワップの証拠金に関する規則を遵守する必要がある。これらの規則により、対象のカウンターパーティーとの対象の取引に関して当初および変動証拠金を収取および預託することを求める要件が課されている。健全性規制機関の規則はまた、ANZBGLのような非米国スワップ・ディーラーが、一定の分野の取引およびカウンターパーティーに関して、健全性規制機関が非米国法域について同等性の決定を行った場合には健全性規制機関およびCFTCの証拠金に関する規則の代わりに当該非米国法域の適用ある法律を遵守すること、またはその他の方法で米国の証拠金に関する規則を遵守しないことを認めている。
ANZBGL、ANZGHLおよびANZ銀行持株会社の各々は、レギュレーションYYのサブパートNに基づく「強化された健全性規制」の対象になり、これはドッド-フランク法第165節に基づき導入され、財務およびリスク監視要件の遵守を求めている。ANZGHLは、最上位の持株会社として、FRBおよびFDICに対して米国破綻処理計画を提出することが義務付けられている。FRBおよびFDICの規則では、外国銀行組織に対し、米国における事業規模およびそのリスク・プロファイルに応じて、破綻処理計画策定および健全性基準に関して個別化された要件が適用される。ANZGHLは、2025年6月に、直近の3年ごとの米国破綻処理計画をFRBおよびFDICに提出した。ANZGHLは、現在、規則上3年ごとの簡略提出者である。ANZGHLが引き続き簡略提出者であった場合、次回の破綻処理計画は2028年7月1日までに提出する必要がある。
ANZGHLは、ANZセキュリティーズ・インク(「ANZSI」)を通じて米国における債券資本市場の活動を行っている。ANZSIは、SECの認可を受けたブローカーディーラーであり、SECおよび金融業規制機構(「FINRA」)の監督下にある。また、ANZSIは、事業を行っている州および地域でライセンスを取得している。SECおよびFINRAにおいては、ANZSIに適用ある広範な遵守事項があり、これには、記録の維持、取引および通信のモニタリング、ANZSIの従業員の監督、内部方針および手続、ならびにANZSIの日常業務を規律するその他多くの事項が含まれる。ANZSIは、その業務についてSECおよびFINRAによる定期的なレビューを受けている。
米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)は、金融機関に、特定の顧客デュー・デリジェンスを実施し、米国市民または課税上の米国居住者である口座保有者(一定の者についてはその実質的所有者を含む。)の情報を、直接または現地税務当局を経由して、米国連邦税務当局である内国歳入庁に提供することを求める。必要なデュー・デリジェンスが実施されず、必要な情報が適用ある要件に従って提供されない場合、当グループおよび/または当グループ内のメンバーの口座に資産を保有する者は一定の金額に関して30%の源泉徴収の対象となる可能性がある。現在、かかる源泉徴収は米国内の源泉からなされた一定の支払に対してのみ適用される。提案された米国財務省規則によれば、「外国でのパススルーの支払」を定義する米国の最終の規則が制定された後2年後までは、米国外の源泉からなされた支払にはかかる源泉徴収税は課されない。現在、「外国でのパススルーの支払」の定義案または最終の定義は存在せず、そのため一定の支払が外国でのパススルーの支払として扱われる可能性があるか否かは不明である。
ANZグループが営業を行う国が米国との政府間協定を有さずまたは施行せず、現地法がFATCAの遵守を妨げている場合には、ANZグループは、広範なコンプライアンス上の問題、多大な源泉徴収エクスポージャーおよび営業上の影響に直面する可能性がある。
金融機関に影響を及ぼしている米国政府政策の主な焦点の1つは、マネーロンダリング、テロリストの資金調達および米国の制裁への違反に対抗することである。2001年テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するための法律(「愛国者法」)は、著しいコンプライアンスとデュー・デリジェンスの義務を課し、犯罪を確認し、罰則を規定し、米国外における管轄権を拡大することによって、米国マネーロンダリング防止法の範囲を大幅に拡大した。米国財務省は、愛国者法の様々な要件を実施する数々の規制、および制裁に関するその他の米国法を発表し、それはANZSIおよびニューヨーク支店などの外国銀行の一定の米国非銀行子会社および米国銀行子会社ならびに支店を含む米国金融機関に適用される。
それらの規制は、米国内で事業を行っている金融機関に、マネーロンダリングとテロリストの資金調達を特定、阻止、報告するとともに顧客の身元を確認する適切な方針、手続き、管理を維持するよう求める。それらの規制はまた、米国内の金融機関に対して、米国の制裁制度を遵守して業務を行うよう求める。さらに、米国銀行規制機関は、より高い基準を課し、米国法執行機関は、当該事項の執行が強化し、多額の罰金を課し、将来の事業運営および関係者の行為に関する制限を設けた。金融機関が、マネーロンダリングとテロリストの資金調達に対抗する適切な方針と手続きを維持、実施できず、また米国の制裁制度を遵守できない場合、金融機関にとって法的および評判上深刻な結果を招くことがあり、さらに民事上、金銭上および刑事上の罰則処分を課される結果となることもある。
2020年マネーロンダリング防止法(「AMLA」)は、米国マネーロンダリング法制を包括的に改革し最新化するものである。とりわけ、AMLAは、金融機関のマネーロンダリング防止のコンプライアンスについてリスクベース・アプローチを条文化し、マネーロンダリング防止コンプライアンスのための評価技術および内部手続の基準を米国財務省が発展させることを要請し、執行および調査に関連する権限の拡大(一定の違反に対して適用可能な制裁措置におけるものを含む。)を行うものである。AMLAの与える影響は、必要となる追加的な規則制定、報告、施行ガイダンスその他の措置による。米国財務省の一局である金融犯罪執行関連連絡室は、AMLAで義務付けられているマネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策政策の優先事項を発表した。 優先事項には、汚職、サイバー犯罪、テロ資金供与、詐欺、国際犯罪、麻薬取引、人身取引、拡散金融が含まれる。
その他の監督機関
当グループには、ASXおよびロンドン証券取引所に上場している負債証券を含め、オーストラリアおよび同国外の一定の証券取引所に上場している証券がある。当グループは、これらの証券取引所に上場している証券の発行者に適用される上場の要件を遵守しなければならない。
APRAがANZBGLおよびその支店業務を対象に行う健全性自己資本監督ならびに上記の監督および規制の詳細に加えて、すべてのANZBGLのオフショア支店および銀行子会社の現地での銀行業務は、それぞれの監督機関による現地国の監督に従う。例えばRBNZ、OCC、FRB、英国健全性規制機構(「PRA」)、シンガポール通貨監督庁、香港金融管理局、中国の国家金融監督管理総局(従前は中国銀行保険規制委員会)ならびにこれらの諸国および他の関連諸国のその他の金融監督機関である。これらの監督機関は、とりわけ、それぞれの管轄法域におけるこれらの業務に対し、最低自己資本金要件を課す可能性がある。
当グループはまた、営業を行うすべての国の現地法における、マネーロンダリング防止および対テロ資金に関する一定の法規制を遵守することを求められる。
(8) 競 争
オーストラリア
オーストラリアの銀行業界は集中しており、競争が激しい。2026年3月31日現在、オーストラリアの4つの主要な銀行グループ(ANZグループ、オーストラリア・コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行およびウエストパック・バンキング・コーポレーション)がオーストラリアで営業を行うADIのオーストラリアの貸付資産総額の約72%(1)を保有していた。規模の小さい地方銀行の業務運営は、リテールおよび事業(商業)銀行業務に重点を置いている。多くの国際銀行もオーストラリアで銀行サービスを提供しており、一般的にこれらの銀行はリテール、事業または法人市場の特定の部門に重点を置き、かかる部門において若干のシェアを占めている。
1980年代初頭のオーストラリアの金融制度の規制緩和は、選択的な市場で競争する銀行金融機関および非銀行金融機関の急増につながった。住宅金融組合や信用組合などのノンバンク仲介機関は主に預金受入および住宅ローン貸付の分野で競争する。大手住宅金融組合のうちいくつかは、オーストラリアの1959年銀行法(「銀行法」)の下で、銀行業免許を付与されている。専門的な銀行以外の住宅ローン貸付業者および直接的な(支店以外の)銀行業者も、担保付住宅ローン分野において競争している。
競争は歴史的に住宅ローン市場においてより激しい。競争は、当初は担保付住宅ローン・オリジネーターの増加、その後は担保付住宅ローン・ブローカー業界の成長および非ADIの貸金業者(ノンバンクの貸金業者)の活動の増加からもたらされた。ADIを含む住宅ローンの提供者は、新規貸付市場およびリファイナンス市場のいずれにおいても、広告された料率を下回る大幅なディスカウントおよび住宅ローンの乗換えキャンペーンを行うことにより活発に競争している。
オーストラリアのリテール預金市場もまた、資金調達を支えるための信用の伸び増加および貸付需要増の時期には特に、競争が激しい。リテール顧客の銀行預金に対するオーストラリア政府保証は、世界金融危機の最中の2008年に導入され、大手オーストラリア銀行への預金の増加およびその他預金ファンド提供者への預金の減少をもたらした。オーストラリア政府保証は、オーストラリアの預金受入機関の預金およびホールセール資金調達に係る保証の提供を可能とするためにオーストラリア政府によって発表された一時的措置に依拠している。さらに、金融サービス・セクターの変化により、ノンバンクでも、従来銀行が様々な(物理的およびオンラインの)流通チャネルを通じて提供してきた商品およびサービスを提供することが可能になっている。
商業銀行業分野においては、大手および地域の銀行ならびにその他の商業銀行業務提供者全体で依然として競争が激しく、そこでは、顧客とのリレーションシップ維持および推進に注力がなされ、貸付け、預金、その他の銀行業の商品およびサービスの提供において競争が行われている。
法人市場において、競合他社はその顧客基盤の質、認知された技術の組合せ、体系化されたソリューションおよび価格設定、顧客の洞察力、デジタル機能、評判およびブランドにより評価を獲得する。オーストラリア国内市場においては、大手中堅企業および大企業の顧客レベルでの競合他社は一般に、オーストラリア大手銀行、少数の世界的な投資銀行ならびに少数のアジアの銀行およびニッチ分野に力を入れている巨大多国籍銀行コングロマリットのブティック型事業である。
銀行業界は、顧客のニーズおよび変化する顧客の選好に応えるために、引き続き新しいデジタル商品およびデジタル・サービスのソリューションとともに進化を続けている。革新的なデジタル・ソリューションへの需要は、特にリテール銀行業において、銀行業界への既存参入者と新規参入者とのさらなる競争に寄与している。
さらに、将来の経済状況は、当グループが中期的に事業を展開する市場における金融仲介業者の数にさらに影響を与える効果をもたらす可能性がある(詳細については、「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当グループの事業の活動および業界に関するリスク-2当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)。ただし、中期的な競争水準の低下にはつながらない可能性がある。
オーストラリアのオープン・バンキング法は、商品とサービスを比較し切り替える消費者の能力を向上させることを目的とする。これにより、オーストラリアの銀行業界への新規参入者に対する障壁が削減され、競争が激化する可能性がある。当グループに与えうるリスクを含む、
(1) 出典:APRA2026年3月の月次公認預金受入機関統計(2026年4月30日公表)。
ニュージーランド
当グループが営業を行うニュージーランドの金融サービス・セクターは非常にさらされている。ANZバンク・ニュージーランドの主な競合他社は、ASB銀行、ニュージーランド銀行、ウエストパック・バンキング・コーポレーション/ウエストパック・ニュージーランド、およびキウィ銀行である。
ASB銀行、ニュージーランド銀行、ウエストパック・バンキング・コーポレーション/ウエストパック・ニュージーランドは、それぞれオーストラリアの大手銀行の子会社または支店である。これらの銀行は、個人から大企業まであらゆる顧客層を対象としている。当グループがキウィ銀行と競合する主な分野は、リテール及び事業顧客セグメントである。
競争はまた、その他銀行の特定のセクターにも存在する。ラボバンク・ニュージーランドは、リテール預金および農業貸付市場において活動する。ハートランド・バンク・リミテッド、TSBバンク・リミテッドなどの地方銀行は、リテール・セクターでの競争力がある。香港上海銀行、株式会社三菱UFJ銀行などの国際的な銀行は、法人市場で競争している。2013年末以降、ニュージーランドではまた、中国工商銀行、中国建設銀行および中国銀行が、ニュージーランドにおいて登録銀行として子会社を設立した(2017年以降、各銀行は、ニュージーランドで銀行業務を行うための支店も開設している)。これらの銀行の重点は住宅貸付および事業貸付に置かれているようである。
2026年3月31日現在、住宅ローン市場が登録銀行によるニュージーランドでの貸付の半分以上(1)を占めており、この市場が競争における主要分野である。ニュージーランドの預金市場は競争が激しい。
近年、ニュージーランドではノンバンクのオリジネーターの活動が活発化しているが、総資産における成長率はオーストラリアなどのオフショア市場と比較して低くなっている。顧客の実店舗からオンラインやデジタル・サービスへの移行が継続しており、これにより金融サービス・セクターにおける新たなプレーヤーの出現が促される可能性がある。2026年3月31日現在、ノンバンク・セクターは金融制度の資産合計の約3%(1)を占めていた。
将来起こり得る経済的混乱またはインフレ圧力に対応する個人財務管理への顧客需要の高まりは、規制および金融政策の変更、資金調達コストおよび信用供与の増加、流動性のレベル、ならびに事業戦略の変更により、ニュージーランドの金融サービス・セクターにおける競争に中期的な影響を与える可能性がある。
ニュージーランド国会の財政・歳出委員会は、銀行業における競争に関する調査を行った。その付託事項には、銀行業における競争の状況(収益性を含む)、銀行業における競争を阻む障壁、ならびに規制環境が競争や融資への効率的なアクセス、地方の銀行業、マオリ族の資産家、組織、企業および個人への融資に与えうる影響についての検討が含まれていた。財政・歳出委員会は、2025年8月に最終報告書を発表し、当該最終報告書には、銀行セクターにおける競争の促進を目的とした、ニュージーランドの政府機関、金融規制当局およびリテール銀行を含む金融機関に対する19項目の提言が含まれている。ニュージーランド政府は、これら全ての提言を全体的にまたは部分的に受け入れた。ANZバンク・ニュージーランドに対する影響は不明である。
RBNZは、銀行セクターにおける競争を支援および促進するため、最近終了した主要な資本設定の見直しを含む一連の取組みを実施している。RBNZは、2025年12月に、その主要な資本設定の見直しにかかる決定を公表した「第3 事業の状況-23 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-法的規制リスク-15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。実施の詳細や経過措置などを含む当該決定の詳細については、未だ確定していない。
ニュージーランド消費者データ権利(「NZ CDR」)のもたらす競争リスクを含む、競争リスクに関する詳細については、「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性-当グループの事業の活動および業界に関するリスク-2.当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
(1) 出典:ニュージーランド準備銀行 2026年3月(2026年4月30日公表)。
アジア
アジアにおける銀行業は、非常に競争が激しい。多数のグローバル銀行ならびに地域銀行が、各市場の地方銀行に加えて本地域で営業している。
当グループは、現在、アジアの多数の国において、法人銀行業ならびに地域のトレードおよび資本フローによる顧客への金融ソリューションの提供に焦点を絞って営業を行っている。当グループは、地理的対象、オーストラリアおよびニュージーランドの国内市場における強み、ならびに顧客、産業および商品に係る専門化(マーケッツおよびトランザクション・バンキングを含む。)への的を絞った集中により、地域を超えて競合他社との差別化が可能になると確信している。
競争は引き続き活発であり、多数の銀行がこの地域の成長機会を支援するためにバランスシートの一部を投じたいという意欲を示している。このことは、アジアにおける法人貸付の純預貸利鞘が、オーストラリアおよびニュージーランドにおける類似の貸付における純金利マージンよりも一般に低水準であることに寄与している。
当グループは、法人顧客に対して幅広い一連の金融サービスを提供するが、アジアにおけるリテール市場または商業市場における銀行となることは目指していない。
3【関係会社の状況】
(1)親会社
2026年3月31日終了の半期中において親会社について重要な変更はなかった。
(2)被支配法人
2026年3月31日終了の半期中に重要な被支配法人の買収または処分はなかった。
(3)関連会社
2026年3月31日終了の半期中において関連会社について重要な変更はなかった。
4【従業員の状況】
2026年3月31日現在、当グループは世界全体でフルタイム換算(FTE)基準で4万54人(2025年9月:4万2,183人、2025年3月:4万2,394人)の従業員を雇用していた。2026年3月半期におけるFTEの減少は、重複の削減と当グループの簡素化という戦略的優先事項を反映している。
フルタイム換算従業員(1)
| 期末現在 | 増減率 | ||||||||
| 2026年3月 | 2025年9月 | 2025年3月 | 2026年 3月期末 対2025年 9月期末 | 2026年 3月期末 対2025年 3月期末 | |||||
| 部門 | |||||||||
| オーストラリア・リテール | 5,589 | 6,557 | 6,729 | -15% | -17% | ||||
| ビジネス&プライベート・バンク | 2,711 | 2,749 | 2,658 | -1% | 2% | ||||
| 法人 | 3,650 | 3,815 | 3,893 | -4% | -6% | ||||
| ニュージーランド | 6,743 | 6,636 | 6,615 | 2% | 2% | ||||
| サンコープ・バンク | 2,358 | 2,588 | 2,688 | -9% | -12% | ||||
| パシフィック | 936 | 985 | 1,013 | -5% | -8% | ||||
| グループ・センター | 18,067 | 18,853 | 18,798 | -4% | -4% | ||||
| FTE合計 | 40,054 | 42,183 | 42,394 | -5% | -6% | ||||
| 平均FTE | 41,176 | 42,529 | 41,871 | -3% | -2% | ||||
| 期末現在 | 増減率 | ||||||||
| 2026年3月 | 2025年9月 | 2025年3月 | 2026年 3月期末 対2025年 9月期末 | 2026年 3月期末 対2025年 3月期末 | |||||
| 地域 | |||||||||
| オーストラリア | 18,848 | 20,481 | 20,872 | -8% | -10% | ||||
| ニュージーランド | 6,675 | 6,702 | 6,837 | 0% | -2% | ||||
| その他の地域 | 14,531 | 15,000 | 14,685 | -3% | -1% | ||||
| FTE合計 | 40,054 | 42,183 | 42,394 | -5% | -6% | ||||
注(1): 比較情報は、当期の表示に合わせて修正再表示されている。2026年3月半期において、当グループはFTEの定義を変更し、すべての臨時職員を除外した。その結果、全部門において人数が減少(2025年9月:456人、2025年3月:504人)した。また、グループ・オペレーションズを設置し、FTEをグループ・センター部門へ再配分した。
労使関係
2026年3月半期中、労使関係に重要な変更はなかった。
オーストラリア
オーストラリアにおいては、一部またはすべての従業員について、雇用条件は給与を含めて団体企業労働協約(「EBA」)の一部として労働組合と経営陣との間で交渉することができる。ただし、従業員の過半数の賛成を条件とする。オーストラリアにおいてANZBGLは長年にわたってEBAを取り入れており、オーストラリアにおいて約91%を占めるグループ4、5および6の従業員(すなわち中間管理職および非管理職従業員)の最低雇用条件を定めている。
2023年8月、ANZBGLは、2017年9月に修正され、2023年ANZ EBAが開始されるまで適用されていた従前のANZ労働協約2015-2016年(オーストラリア)に代わり、ANZ労働協約2023-2027年(オーストラリア)と称される新たなEBA(「2023年ANZ EBA」)について金融部門組合(「FSU」)との間で合意に達した。2023年ANZ EBAは、同じ従業員層を対象としているが、オーストラリアにおける新たな雇用法を反映して更新されており、従業員の休暇およびその他の給付が改善された。2023年9月に2023年ANZ EBAに対する従業員投票が行われ、投票した91%の従業員により支持を受けた。2023年ANZ EBAは公正労働委員会により承認され、2023年10月26日に適用開始となった。2023年ANZ EBAの名目上の有効期限は2027年9月30日である。同日を過ぎても2023年ANZ EBAは引き続き適用されるが、ANZBGL、FSUおよびオーストラリアにおけるANZBGLの関連従業員は新たな代替のEBA(EBAについて名目上の有効期限前に交渉を開始することも可能である。)を締結することができる。
2024年7月31日、サンコープ・バンクの買収が完了し、約3,000名の従業員がサンコープ・グループ・リミテッドからオーストラリアの当グループ(具体的にはノルフィナ・リミテッド)に移籍した。2015年サンコープ・グループ労働協約は、かかる従業員とともに承継された。当グループは、2024年11月半ばに、FSU(および一部の従業員個人の交渉代表)との間で代替協約について交渉を開始した。当該協約は投票に付され、2025年8月下旬に協約の対象となる従業員の賛成により承認された。当該協約は公正労働委員会により承認され、2025年10月21日に適用開始となった。名目上の有効期限は2027年9月30日である。
オーストラリアにおいて、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はない。
ニュージーランド
ニュージーランドの従業員の過半数は個人の雇用契約によりカバーされている。FIRSTユニオンとANZバンク・ニュージーランドの団体労働協約は、ニュージーランドの従業員の約12%をカバーし、2024年8月1日付で更新され、2026年7月31日まで有効である。かかる団体労働協約の更新のための交渉は2026年6月に開始される。
ニュージーランドにおいて、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はない。
その他の地域
オーストラリアおよびニュージーランド以外にある当グループが従業員を有するいずれかの法域において、経営陣と労働組合との間の重大な紛争はない。
第3【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
上記「第2 企業の概況-2 事業の内容」および下記「2 事業等のリスク」を参照のこと。本項は、本書の表紙 (注)4.に記載の「将来に関する記載」に関する説明とあわせて検討されるべきである。
2【事業等のリスク】
(1)リスク
本「(1)リスク」に記載される情報は、当初ANZBGLの2025年度についてのオーストラリアの年次報告書において公表されたものである。かかる情報は、ANZBGLにより継続的に見直され、オーストラリアの年次報告書において年一回公表される。
ANZグループにおいて、リスク管理は、人々と地域社会が繁栄する世界を築くというANZグループの目標を達成に導く基柱である。ますます複雑化し流動化する環境下にあって、リスクを特定、評価および管理する能力は、顧客との約束を果たし、信頼を保ち、利害関係者を守り、持続可能な成長を達成するために極めて重要であるとANZグループは考えている。
本「 (1) リスク」の以降の記載において、「ANZグループ」はANZグループ・ホールディングス・リミテッドおよびその子会社(サンコープ・バンクを除く。)を指し、「取締役会」はANZグループ・ホールディングス・リミテッドの取締役会を指す。
ANZ****グループのリスク管理の枠組み
ANZグループのリスク管理の枠組み(「RMF」)は、APRAの健全性基準CPS220に沿って、ANZグループの戦略的目標を支援するために構築されている。根本原因改善プログラムの一要素である非財務リスクの重要性のより適切な反映を含め、リスク管理の枠組みを更新および補充していく所存である。
取締役会は、ANZグループの基礎となるシステム、構造、方針、手順、プロセス、および人材を支柱に据えたRMFを設定し、かつ監督することに最終的な責任を負う。これらはANZグループの重要リスクの特定、監視および管理に活用される。ANZグループは、これらの重要リスクを財務リスク、非財務リスクおよび戦略リスクに分類している。当グループの財務リスク管理手法の詳細は、2025年12月16日提出の有価証券報告書中の「第6 経理の状況-1 財務書類」に記載の2025年度財務書類の注記17に記載されている。
取締役会は、ANZグループのリスク管理方針を策定しその遵守状況を監視する権限を取締役会リスク委員会(「BRC」)に対して委任している。BRCは、その活動について取締役会に定期的に報告を行う。ANZグループのRMFの主柱となるものには以下が含まれる。
・ リスク管理戦略(「RMS」)は、ANZグループの目的と戦略をリスク管理面から支援する仕組み、ANZグループ最高リスク責任者およびリスク機能部門の責任、ならびにリスクに関する意思決定の指針となる価値観および行動を概説する。RMSでは各種の重要リスクおよびその対処方法が、方針、基準および手続きを含めて説明される。また、リスクの特定、測定、評価、監視、報告および管理または軽減の方法、ならびに監督の仕組みおよび所定の委員会も記載される。
・ リスク選好報告書(「RAS」)は、株主、預金者および顧客の利益を考慮の上、ANZグループが戦略的目標および事業計画の達成に向かうにあたって受け入れる意思があるリスクの最大レベルを明確にする。
・ ANZグループ戦略策定手順は、ANZグループの戦略目標を実践するためのアプローチを概説し、その中で目標の達成に向けてANZグループが対応を迫られうる重要リスクを検討している。
リスク管理のガバナンスおよび監視は、日々の活動に組み込まれている一方で、ANZグループにわたって委員会および定期的なフォーラムにおける重要な取り組みとなっている(下図を参照のこと)。委員会およびフォーラムにおいては、既知の問題の対処にあたっての管理プランの見直しと進行状況の監視を行い、既知および新規のリスクについての議論と監視を行う。
リスク管理は三線防衛モデルを用いて運用される。それぞれの防衛線において、ANZグループのリスク管理の支援における役割、責任およびエスカレーション・パスが定められている。
1番目の防衛線を担うのは部門および統括・支援機能であり、日常的なリスクおよび統制を管理する。
2番目の防衛線はリスク機能部門が担い、ANZグループのリスク・プロファイルに影響を及ぼす意思決定に対して独立的な監視および異議の提起を行う。
3番目の防衛線は内部監査であり、ANZグループのRMFの有効性を独立的な立場で評価し保証を与える。
重要リスク
以下は、ANZグループが直面する重要リスクと、これらのリスクの管理方法の要約である。
| リスクの種類 | 内容 | リスク管理 |
|---|---|---|
| 戦略リスク | ANZグループが不適切な戦略的意思決定を行う可能性、承認された戦略を効果的に実行しない可能性、または事業環境の変化や外部条件の進展に対して効果的に対応しないリスク。 | ANZグループは、戦略リスクを戦略の策定、計画および意思決定の不可欠な要素として管理しており、不確実性、変化および外部環境が戦略目標の達成にどのような影響を及ぼす可能性があるかに重点を置いている。 |
| 地政学的リスク(戦略リスクの一部) | 政治、安全保障および地域経済の動向により不確実性や混乱が生じ、ANZの戦略、財務状態、業務、リスクプロファイルまたは顧客に重大な影響を及ぼすリスク。 | ANZグループは、主要市場にわたって外部動向を積極的に監視し、これらの考慮事項を戦略立案、リスク評価および業務上の意思決定プロセスに織り込んでいる。重要な地政学的動向またはエクスポージャーの高まりについては、各種ガバナンス・フォーラムを通じてエスカレーション(上位報告)が行われ、エクスポージャーの調整、監視の強化および重点的な統制など、関連するリスクの枠組みを通じて緩和措置が講じられる。 |
| レピュテーショナル・リスク | ANZグループの行動または関係性が原因となり、ステークホルダー(顧客、広範な地域社会、株主、規制当局、政府機関および政治関係者、アドボカシー団体、メディアおよび従業員)(「ステークホルダー」)がANZグループに対して否定的な意見を抱き、その結果、ANZグループの価値や運営に悪影響が及ぶリスク。 | ANZグループは、関連する方針文章や既存のリスク管理フレームワークの中で、ステークホルダーと関与しつつ、その視点を踏まえながら、関連する方針と手続に従ってリスクを積極的に特定し、対応し、監視することにより、レピュテーションに関する考慮事項を最小化、低減および対応することに努めている。 |
| 気候リスク | ANZグループに対して気候変動に起因して生じる戦略、財務および非財務リスクを指し、これには、物理的影響、低炭素経済への移行またはANZグループが気候変動の影響を十分に考慮または対応しない場合に起きる潜在的な訴訟や規制措置を要因とするものが含まれる。 | ANZグループは、気候リスクを単独の重要リスクとして認識している。また、気候リスクは他の重要リスク・カテゴリーを通じてANZグループに影響を与えることを踏まえ、横断的リスクとみなされている。気候リスクが他の重要リスクを高める要因となる場合には、関連するリスク管理フレームワークが主要な統制として機能する。 気候リスクの管理にあたっては、社会・環境リスク方針、社会・環境リスク基準および気候リスク基準が指針文書となる。これらの方針および基準は、関連ツールや手続きの適用によって補完される。 |
| 自己資本充実リスク | ANZグループの連結業務およびリスク選好度を支援するための、健全性規制当局およびその他の主要なステークホルダー(株主、債券投資家、預金者および格付会社等)が要求する自己資本水準をANZグループが維持できない場合に発生する損失に関するリスク。 | 自己資本管理は、内部自己資本十分性評価プロセス(ICAAP)を通じて実施され、中期的な時間軸にわたる詳細な戦略と自己資本計画を伴う。 自己資本計画は毎月見直され、財務業績、経済状況および戦略的施策の進捗を把握するとともに、定期的に取締役会へ報告される。 |
| 流動性および資金調達リスク | 以下を含む、期日が到来した支払債務をANZグループが履行できないリスクをいう。 ・ 預金者への返済またはホールセール債券の満期償還 ・ 資産を増額する資金を賄うANZグループの能力が不十分 | 流動性フレームワークはトップダウン構造で、流動性管理ポリシーおよび基準とともに、流動性リスクの特定、測定、モニタリングおよび管理の手法を定めている。流動性限度は、流動性ストレステスト・フレームワーク枠組みに基づき、各国ごとに割り当てられる。 |
| ホールセール信用リスク | カウンターパーティーが信用上の義務の履行を怠る、またはカウンターパーティーの信用の質が低下し、それにより価値が毀損することにより生じる金融損失のリスク。ANZグループのホールセールの区分には、主にバーゼルの資産クラスであるソブリン、金融機関、企業および適格中央清算機関が含まれる。 | ホールセール信用フレームワークはトップダウン構造で、信用原則、裁量的信用ポリシーおよび裁量的信用要件(JCR)によって定められ、与信のライフサイクル全体にわたる包括的な指針を提供している。 加えて、カントリー・リスク・フレームワークは、カントリー・リスクの管理を導くためのカントリー・リスク方針および限度枠フレームワークから構成されている。 |
| リテール信用リスク | カウンターパーティーが信用上の義務の履行を怠る、またはカウンターパーティーの信用の質が低下し、それにより価値が毀損することにより生じる金融損失のリスク。ANZグループのリテールの区分には、主にAPS第113号の資産クラスであるリテールが含まれる。 | リテール信用フレームワークはトップダウン構造で、信用原則、リテール信用ポリシーおよびリテール信用要件によって定められ、与信のライフサイクル全体にわたる包括的な指針を提供している。 |
| 市場リスク | ANZグループのトレーディングおよびバランスシート取引に起因するリスクであり、以下に起因するANZグループの収益に対するリスクをいう。 ・ 金利、外国為替レート、信用スプレッド、ボラティリティおよび相関関係の変動、または ・ 債券価格、コモディティ価格もしくは株価の変動 | 市場リスクは、市場リスク・フレームワーク、関連するポリシーならびに独立したリスク測定および資本配分の手法を通じて管理されている。 |
| 金融犯罪リスク | ANZグループの方針への不遵守または規制当局の期待に応えられないことを含む金融犯罪を助長するリスク。 | ANZグループは、マネーロンダリングおよび拡散資金供与/テロ資金供与、制裁リスク、贈収賄および汚職ならびに不正行為を防止し、検知し、対応するために設計された包括的なフレームワークを通じて金融犯罪リスクを管理する。このフレームワークは、ANZグループ全体における倫理的行動、規制遵守および効果的な金融犯罪管理を推進する明確に定義された方針および基準によって支えられている。 |
| コンダクト・リスク | ANZグループが事業活動を行うにあたり、消費者の利益、金融市場の健全性およびステークホルダーの期待をANZグループ、従業員または代理人が適切に考慮しないことから生じる損失または損害のリスク。 | コンダクト・リスクは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理される。加えて、ANZグループは、グローバルに適用される原則ベースのコンダクト・リスク・フレームワークを採用し、銀行全体にわたるコンダクト・リスクの特定、管理、監視にあたり価値観重視で顧客中心の手法を確立している。 |
| コンプライアンス・リスク | ANZグループが事業を展開する法域において法律、規制および規制当局の期待に従って行動できないことにより、規制当局からの譴責を受ける、または制裁金を科せられるリスク。 | コンプライアンス・リスクは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理される。ANZグループは、規制、法律および業界コードの違反の回避に努めており、故意、組織的または反復的なコンプライアンス不遵守を容認しない。適切な統制が整備されているにもかかわらず、単発的な不遵守が発生した場合には、ANZグループは速やかに特定し、エスカレーション(上位報告)、是正および報告を行い、これらの事例を活用してコンプライアンス体制の強化を図る。 |
| オペレーショナル・リスクおよびレジリエンス・リスク | ANZグループが混乱を防止し、耐え、適応し、回復する能力を損なう可能性がある不適切または機能不全の内部手続き、人員、システムまたは外的事象に起因する損失のリスク。 | オペレーショナル・リスクおよびレジリエンスは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理され、オペレーショナル・リスクおよび関連する義務の特定、評価、管理、報告およびエスカレーション(上位報告)にあたりリスクベース・アプローチが適用されている。このアプローチは、組織全体にわたる一貫性を図るとともに、ANZが事業を展開する各法域の個別の規制要件に対応している。 |
| テクノロジー・リスク | ハードウェア、ソフトウェアおよびネットワークを含むシステムにおける、性能低下などの停止のリスク。 | テクノロジー・リスクは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理されている。さらに、テクノロジーのライフサイクル全体に組み込まれた統制を通じて管理されている。テクノロジー資産はそのライフスパンを通じて管理および維持され、テクノロジーの変更は規律ある統制された方法の下で実施され、運用プロセスによりシステムの可用性とインシデントの迅速な解決が確保され、事業継続体制により障害発生後のテクノロジー・サービスの効果的な復旧が可能となっている。 |
| データ・リスク | データを適切に収集、利用、管理、維持および処理できないリスク。顧客データ、従業員データおよびANZグループ固有のデータなど、あらゆる種類のデータを含む。 | データ・リスクは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理されている。さらに、エンタープライズ・データ・ガバナンス・フレームワークは、効果的なデータ管理のための要件を定め、組織全体におけるデータ活用能力の向上を推進する。同フレームワークは、明確なデータ所有構造を確立し、データのライフサイクル全体にわたる統制を義務付け、データ管理に関連するインシデントおよび違反の報告プロセスを定めている。 |
| 情報セキュリティおよびサイバー・リスク | データ/情報の喪失または盗難を含む、情報セキュリティ・インシデントのリスク。これは、あらゆる種類のデータ(すなわち、顧客データ、従業員データおよびANZグループ固有のデータ)が対象となり、情報セキュリティに関する規則を遵守できないことが含まれる。 | 情報セキュリティおよびサイバーリスクは、ANZグループのNFR(非財務リスク)フレームワークのもとで管理されている。さらに、ANZグループは、全社的な能力と専門的なセキュリティ機能によって支えられた、明確に定義されたポリシー主導型かつ統制重視型のフレームワークを通じて、情報セキュリティとサイバー・リスクを管理している。このアプローチにより、ANZグループのシステム、データおよびサービスの機密性、完全性および可用性が確保され、それによって情報セキュリティ・インシデントのリスクが低減され、規制上の義務の遵守が支援されている。 |
サンコープ・バンクのリスク管理の枠組み
サンコープ・バンクは現在、独立したリスク管理の枠組みを運用している。サンコープ・バンクのリスク管理の枠組みは今後廃止され、移行作業が完了次第、ANZグループのリスク管理の枠組みに切り替えられる予定である。
(2)主なリスクおよび不確実性
序論
当グループの活動は、当グループの事業、事業モデル、業務、業績、レピュテーション(評判)、見通し、流動性、資本の源泉、財務実績および財務状態(「当グループのポジション」と総称する。)に重大な悪影響を与える可能性のあるリスクおよび不確実性に左右される。これらのリスクと不確実性は、財務上でも非財務上でも発生し得るもので、当グループがほとんどもしくは全く制御できない外部的要因から生じる可能性がある。以下に記載するリスクおよび不確実性は当グループが直面する可能性のあるすべてのものではない。当グループが認識していないまたは当グループが現在重要であるとみなしていないさらなるリスクおよび不確実性も影響を与える重要な要因になる可能性がある。以下に記載する、または記載していないリスクおよび不確実性のいずれかが(個別または集合的に)実際に生じた場合、当グループのポジションが重大な悪影響を受け、その結果当グループの株式および債券の取引価格や価値が下落し、投資家がその投資の全部または一部を失う可能性がある。
下記のリスク要因は、本書の表紙(注)4.に記載の「将来に関する記載」とあわせて検討されるべきである。
当グループの事業の活動および業界に関するリスク
1.政治および経済の情勢の変化(とりわけオーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域、英国、ヨーロッパおよび米国(「関連法域」)におけるもの)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの財務実績は、当グループ、その顧客およびカウンターパーティーが事業を展開している国々および地域における政治、経済および金融の情勢に影響される。当グループが主要な業務を行う関連法域または業務もしくは資金調達を行うその他の法域における経済状況の将来の可能性について、当グループは保証することはできない。
関連法域における政治、経済および金融情勢は様々な要因の影響を受けることがあり、これには国内外の経済事象、銀行システムの安定性および資金調達や資本市場に対する関連の影響、金融市場のその他の変化、グローバル・サプライチェーンの発展、政治上の展開、パンデミックならびに自然災害が含まれるが、これらのみに限定されるものではない。
政治情勢の不安定化は、不確実性、市場流動性の低下および国際金融市場におけるボラティリティの増大につながり、関連法域における経済活動に悪影響をもたらし、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。最近の例としては、ウクライナ紛争および中東紛争(これらの紛争がより広い地域の紛争に拡大する可能性を含む。)、経済安全保障関連法の施行、様々な市場における制裁措置および貿易制限ならびに米国と中国を含むその他の経済国間の緊張の高まりなどがある。
当グループは、イスラエル、ガザ、イラン、レバノン、ロシアまたはウクライナにおいて事業を展開しておらず、これらに対していかなる重要な直接的エクスポージャーも現在有しておらず、カタールおよびアラブ首長国連邦に対するエクスポージャーは軽微である。これらの法域に対する当グループのエクスポージャーは限定的ではあるものの、かかる地域における継続的な不安定性から生じる市場のボラティリティまたは経済の不確実性が長期化した場合には、オーストラリアおよびニュージーランドに対する石油その他エネルギー製品の現物供給への影響を含め、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。台湾の地位に関するものも含めた米国と中国間の緊張状態も、当グループが事業を展開する市場や当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。このような地政学的問題は、米国その他の法域により課せられる関税の引き上げや報復的貿易制限を含む貿易制限の実施につながっており、その最終的な規模は依然として不明で、金融市場の大幅なボラティリティや経済の不確実性をもたらしている。さらに、対内外の投資審査メカニズムの強化、反威圧措置(ACI)、制裁措置(ロシアの二大石油生産企業に対するものを含む。)および輸出管理を含む多くの市場における経済安全保障関連法の施行につながっている。これらはそれぞれ、国内総生産、企業および消費者のマインドならびに消費者の裁量的支出などの全般的な経済状況に悪影響を与えており、今後もそれが続く可能性が高く、その結果、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
関連法域を含む多くの経済においてインフレ圧力が続いている。財およびサービスに対する需要、地政学的緊張と過去および将来の潜在的な関税、ならびにサプライチェーンの問題、農業地域での気象状況、エネルギー価格の上昇、食品価格の上昇と労働市場の逼迫などの世界的な経済の課題が、過去の水準と比較して高いインフレの要因となっており、これが生活費の上昇と消費者の可処分所得の減少をもたらしている。持続的なインフレは、市場ボラティリティの悪化、経済成長の鈍化の促進や失業率の上昇をもたらし、これらのそれぞれが事業および投資家の信頼をさらに悪化させ、顧客の債務不履行リスクを増大させる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
中国はオーストラリアおよびニュージーランドの主要な貿易相手国の一つであり、当グループとその顧客が事業を行っている多くの市場において、商品需要と価格の重要な牽引役となっている。地政学的緊張の高まりや、米国その他の国による追加関税および制裁措置を含むその他の保護貿易政策または経済安全保障関連の貿易政策の実施など、中国の経済成長ならびにオーストラリアおよびニュージーランドと中国の経済関係に悪影響を及ぼす事象が発生した場合、これらのそれぞれが、オーストラリアまたはニュージーランドの経済活動に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、当グループのポジションにも悪影響が及ぶ可能性がある。また、最近において、中国経済の成長は鈍化しており、これが数年間続くと予測されているが、これは国内消費の低迷、不動産部門の軟化、保護主義的貿易政策の強化に晒されている輸出などを反映している。中国で広範かつ持続的な景気減速が起きた場合、中国金融システムの健全性に悪影響が及ぶ可能性があり、それが世界の金融システムと経済に悪影響を与える可能性がある。こうなれば、景気後退、カウンターパーティーの債務不履行および各国の資本規制の導入につながり、オーストラリアおよびニュージーランドの資産価値や不動産市場に一層の圧力をもたらすおそれがあり、その結果、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。リスク要因3.「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
世界の商業用不動産市場はここ数年低迷している。世界的な流動性の逼迫は、ファンダメンタルズの弱体化が商業用不動産市場における評価額および借換えリスクに与える影響をさらに強める可能性がある。商業用不動産市場におけるマイナスの動向は、企業破産による信用損失の増大、金融ストレスの高まり、レバレッジの高い借手の債務不履行につながる可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。リスク要因3.「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
関連法域において経済状況が悪化した場合、住宅、商業用または地方不動産市場の資産価値が下落し、失業が増加し、企業および個人所得が減少する可能性がある。世界市場(株式、不動産、外国為替およびその他資産市場を含む。)の悪化は、当グループの顧客ならびに当グループが貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーに対して保有する担保に影響を与えるおそれがある。
上記は貸付およびその他の信用供与のエクスポージャーを回収する当グループの能力に影響を与える可能性がある。また、他の銀行または金融機関の破綻は、経済状況の悪化の結果であるかその他であるかを問わず、金融銀行システムの不安定化をもたらし、それにより市場に混乱が生じたり、当グループに適用される資本その他の規制要件の変更につながり、当グループのポジションが影響を受ける可能性がある。
当グループは、主要な市場における政府の課税や公共支出に関する意思決定を反映した財政政策の変化から生じるリスクに晒されている。これらの変化は、成長、インフレおよび金利などのマクロ経済状況に影響を与える可能性があり、顧客の活動、返済能力や信用需要にも波及する可能性がある。また、政策または政治の動向により、財政に関する結果と予測が乖離する可能性があり、これがソブリン・リスク、資金調達環境や幅広い金融市場に影響を与える可能性もある。当グループは、財政政策の動向を監視し、関連する進展を戦略やリスク管理プロセスに織り込んでいく。上記のいずれかが生じた場合、当グループのポジションは悪影響を被る可能性がある。リスク要因9.「信用リスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
2.当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループが事業を行う市場での競争は激しく、ますます高まっていくことが予想される。競合相手には、他の銀行(伝統的およびオンラインの双方)、オーストラリアおよび/またはニュージーランドで事業を拡大している国外/オフショアの金融サービス事業者や、新規参入のノンバンクおよび小規模事業者が含まれる。競争に影響を与え、当グループのポジションにマイナスの影響を及ぼす要因の例として下記が挙げられる。
・ オーストラリアおよびニュージーランド外における事業体を含め、当グループと競合する事業体は、当グループより緩やかなレベルの規制および規制活動の対象となる可能性がある。このことは、規制レベルが緩やかであることがそれらの事業体のコストベースを低下させ、および/または当グループが他の方法で雇用を模索することになる従業員を惹き付ける能力を与えるため、より競争力のある商品およびサービスの提供をかかる事業体に可能にさせることがあり得る。
・ デジタル技術およびビジネスモデルが顧客の行動および競争環境を変化させている。競合会社は、人工知能(AI)を含む新技術の利用を増やし、金融サービス部門における既存のビジネスモデルの分断を図っており、当グループのビジネス・プロセスや顧客オファリングにおけるAIその他の新テクノロジーの採用が十分でない場合、当グループが競合他社と比べて戦略上不利になる可能性がある。
・ 金融サービス部門以外の会社が、従来銀行が提供する商品およびサービスを提供することにより当グループと直接競争を展開している。これには、新規参入者による銀行業免許の取得および既存の競合会社との提携、プライベート・クレジット・ファンド、保険会社、ミューチュアル・ファンド、ヘッジ・ファンド、証券仲介業者、フィンテック企業、デジタル・プラットフォームおよび大手グローバル・テクノロジー会社によるものが含まれる。これらの競合他社の中には、規模、法域、事業体の種類その他の要因の如何を問わず、当グループとは異なったり、場合によってはより緩やかな法的、規制上、監督上の要件に従うものもあり、これにより当グループが競争において相対的に不利な立場に置かれる可能性がある。
・ 消費者および企業が、競争上当グループがそれに関する金融サービスを提供しないことを選択する可能性がある、または提供できない可能性がある(ほとんど規制がなされていない仮想通貨、規制されたステーブルコインまたは中央銀行のデジタル通貨などの)新しい形態の国内外の通貨を利用した取引またはこれらの通貨への投資もしくは価値の保存を行う選択をすることもあり得る。新しい形態の通貨は、金融仲介および市場の運営方法の変更につながり、それに伴い当グループの競争上および商業上のポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
・ オーストラリア政府およびニュージーランド政府は、銀行市場の競争をさらに高める政策の実施を検討する可能性がある。例として、以下がある。
- オーストラリアの金融規制協議会(「CFR」)は、中小の銀行が直面する課題について審議を行い、市場の競争においてこれらの銀行が果たす役割について検討した。CFRは、2025年8月に報告書を公表し、その中でオーストラリア政府に対し9つの勧告を発し、中小の銀行部門における競争力の改善のため、規制当局(オーストラリア準備銀行(RBA)、オーストラリア健全性規制庁(APRA)、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)およびオーストラリア競争消費者委員会(ACCC))が講じるべき措置を提案した。これには、資金調達コストの低減、より効率的な資本へのアクセス拡大、APRAの認可手続きの迅速化およびより明確な比例原則の認識を目的とした措置が含まれた。また、オーストラリア政府の制度で、銀行ごとに口座保有者1人あたり最大25万豪ドルまでの預金を保護する金融請求権制度(FSC)の近代化への勧告も含まれた。オーストラリア政府は、9つの勧告のうち8つを原則として受け入れている。オーストラリア政府が勧告の一部または全ての実施を選択した場合、当グループの一部の競合相手が当グループと競合する能力を高める効果をもたらす可能性がある。明確な実施のスケジュールはないが、いくつかの勧告についてはすでに取り組みが開始されている。例えば、APRAは、中規模銀行の自己資本要件の引き下げを含む、銀行の資本および流動性の枠組みの強化に関して協議すると2026年3月16日に発表しており、これが実施された場合、これら銀行の競争力が高まる可能性がある。
- 2024年8月、消費者データ権(「CDR」)の中にアクション開始を定める法案がオーストラリア議会で可決された。この法案は、CDRに基づき開始できるアクションを大臣が宣言できる枠組みを確立するものである。宣言がなされた後に、CDRの下にある消費者は、当グループの競合他社などの認定者に対し自身に代わって宣言されたアクションを実行するよう指示することができる。銀行に関して宣言されたアクションはまだないが、このようなアクションが宣言された場合、競合他社は当グループのプラットフォームを利用した決済の開始など当グループの顧客に対してサービスを提供することが可能となり、当グループと顧客との関係が弱まることが起こり得る。
- 2025年3月、ニュージーランドの2025年顧客・商品データ法(「CPD法」)が発効し、CPD法によりニュージーランドの消費者のデータに関する権利(NZ CDR)が確立されている。NZ CPDは、顧客が自身に関して保有されているデータを認定を受けた第三者と安全に共有できることを可能とし、商品を比較して乗り換える顧客の能力を向上させることを目的としている。銀行業界はCPD法の適用対象として指定された最初の業界である。かかる指定は、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドを含むニュージーランドのシステム上重要な銀行4行に対して2025年12月1日に発効した。CPD法により、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドが保有する顧客データに第三者がアクセスし、取引口座からの決済の開始など、当該顧客に対するサービスを提供できるようになることが想定されるが、これは、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドとその顧客との関係を弱め、顧客による当グループのサービスの利用を減少させる可能性がある。
- ニュージーランド議会の財政・歳出委員会は、銀行業の競争に関する調査を行い、2025年8月に最終報告を行った。最終報告には、銀行部門の競争の改善を目的とした、ニュージーランド政府機関、金融規制当局、リテール銀行を含む金融機関に対する19の勧告が含まれた。ニュージーランド政府は、すべての勧告を受け入れたか、または部分的に受け入れている。当グループへの影響についてはまだ不明である。
- RBNZは、銀行部門の競争の支援と改善に向けてさまざまな取り組みを実施しており、その中には主要な資本設定の見直しが含まれている。RBNZは、主要な資本設定の見直しに関する決定を2025年12月に公表した。リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。実施の詳細と移行措置を含む上記決定の全容は、まだ確定していない。
上記の勧告、政策または規制上の措置は銀行市場の競争強化を目的とした規制の実施につながる可能性があるが、これらの勧告、政策または規制上の措置が当グループに与える影響はまだ不明である。
市況における競争の増加による当グループに対する影響または当グループの事業プラットフォームを競争上不利にする技術の変動は、特に当グループの主要市場および商品においては、当グループの市場シェア、顧客および利鞘の大幅な減少につながる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。預金獲得のための競争の高まりにより当グループの資金調達コストが増加しうる。当グループが預金獲得に首尾よく競争できない場合、当グループはより安定していないおよび/またはよりコストが高い形の資金調達に頼るか、貸付を削減せざるを得ないかもしれない。これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。地政学的および経済的混乱は、資金調達コストおよび信用引当金の増加、金利の変動、流動性の不足、事業継続計画の実施、事業戦略の変更ならびに規制上のセーフハーバーにより、金融サービス部門の競争や収益性に大きな影響を与える可能性がある。低成長環境下においては、競争の激化とマージンの圧迫が起こる可能性がある。
3.オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
住居用および商業用不動産への融資は、不動産開発および投資不動産向け融資とともに、当グループの重要な事業である。当グループの貸付ポートフォリオの主要なサブ・セグメントには以下が含まれる。
・ 住宅ローン(自己所有および投資)
・ 商業用不動産ローン(投資および開発)
高金利、高インフレ、生活費の上昇圧力が存在する経済環境は、住宅用不動産市場の状況に悪影響を及ぼし、その結果、当グループの住宅ローン・ポートフォリオの信用パフォーマンスにも影響する可能性がある。金利の上昇が借手の返済債務を増加させる一方で、インフレや家計支出の増加が可処分所得や財政的余裕を縮小させている。これらの要因が、キャッシュフローをさらに逼迫させ、その結果、特に高レバレッジまたは低所得の借手について、滞納、債務条件の緩和および信用損失のリスクが増大する可能性がある。
これらの要因は、人口増加、建設コストの上昇圧力および労働力不足と相俟って、住宅の需要と供給の動向に影響を与え、住宅用不動産市場のボラティリティを高める可能性がある。不動産価格が不利に変動すれば、当グループの住宅ローン・ポートフォリオの信用の質に悪影響が及ぶ可能性がある。不動産価値の低下は、ローン資産価値比率(LTV)を上昇させ、そのためローンの一部がネガティブ・エクイティの状態となり、これが担保カバレッジの低下と信用損失の増大につながるおそれがある。また、不動産価格の下落は、借換えの選択肢を限定的なものとさせ、損失を被ることなく不動産を売却することができないことを含めて財政的困難に直面している顧客を高リスクの状態にとどまらせる可能性が増すおそれがある。一方で、居住用不動産価格が上昇すれば、顧客の購入可能性の低下と相俟って、当グループの住宅ローン・ポートフォリオへの影響は複合的なものとなる可能性がある。不動産価値が上昇すれば担保カバレッジが改善し、既存ローンのLTV比率が低下するが、購入可能性の低下が新規の貸出しと借換えの活動の縮小を通じて貸出額を減少させるため、当グループの収益が減少する可能性がある。さらに、購入余力への圧力がポートフォリオ構成の変化をもたらす可能性があり、ローン・トゥ・インカム(LTI)比率もしくはLTV比率が高い借手または契約期間の長いローンへのシフトも含め、経済状況の悪化に対してポートフォリオの感応度を高める可能性がある。
中東において続いている紛争は、燃料価格の高騰を招き、生活費の増加とインフレや金利の上昇圧力をさらに高めている。これらのリスクは、まだポートフォリオのパフォーマンスの悪化をもたらしてはいないが、顧客の返済能力への圧力となっており、その影響は今後時間をかけて顕在化する可能性がある。また、これらの要因は、消費者心理を圧迫し、労働市場の状況や住宅需要に悪影響を及ぼし、不動産価格の下押し圧力をもたらす可能性がある。
上記の結果、経済的困難者向け支援への需要が増加して滞納の増加圧力が高まる可能性があり、信用損失は不動産価格の動向と逆相関の関係となっている。インフレや金利上昇が顧客の返済能力に与える影響と不動産価格の下落リスクを踏まえ、追加の引当金が計上された。
投資目的の住宅ローンに対する需要は、ポートフォリオの成長を促進させ、不動産価格動向の上昇に寄与する可能性がある。投資家は、自宅所有者と比べて、金利、税制、資本的利益(キャピタルゲイン)への期待の変動により敏感に反応する傾向にある。支払利息、キャピタルゲイン、不動産関連控除の扱いを含め、投資家に適用される税制は、借入行動や住宅信用需要に重大な影響を与えることがあり、これらの制度が変更した場合には、貸出量やポートフォリオの構成に変化が生じる可能性がある。投資家の参加水準が高まると、不動産価格、家計レバレッジ(負債水準)およびポートフォリオの集中(地域別または借手のタイプ別の集中を含む。)が拡大し、住宅市場における循環的な変動を増幅させる可能性がある。これに対し、市場環境の悪化、規制介入または税制変更のいずれのものであれ、投資家需要が縮小した場合は、不動産価格の調整リスクが高まる可能性があり、その結果、信用損失の増加および新規貸出の減少を含め、当グループの資産の質および収益が悪影響を受けるおそれがある。
商業用不動産については、金利の上昇は、インタレスト・カバレッジ・レシオと資産価値を低下させる可能性がある。評価額の低下はすべての商業用不動産セクターについて一様ではないが、不動産市場の変化によって、一部の機関投資家顧客および民間投資家顧客の不動産投資ポートフォリオの価値は低下する可能性がある。これにより、かかる投資家のリスク・プロファイルが悪化し、当グループに対する関連ローン・ファシリティの返済意欲および/または能力が低下する可能性がある。さらに、COVID-19のパンデミックにより、一定の柔軟な勤務体系が続いているため、オフィス部門の需要と供給の動向に引き続き変化が生じており、需要が縮小した市場においてはテナントによる選別が厳しくなっていることから、特に環境・社会・ガバナンス(ESG)クレデンシャル(認証)(特にエネルギー効率)が低いセカンダリーグレードの資産については、テナントからの需要が影響を受け、賃料の伸びが抑制され、オーナーがテナントに提供するインセンティブが増加し、投資家の需要、イールド予測および評価額が軟化する可能性がある。
オーストラリアにおける評価額は市場センチメントより遅れて反応しているが、利回りが安定しつつある兆候が見られる。空室率が高止まりしており、より困難な状況にあるセカンダリーグレードの資産の評価額は、依然として下方圧力にさらされる可能性がある。さらに、セカンダリーグレードの資産は、特に経済見通しと金利環境がもっと良好な時期に投資家がファンダメンタルズの弱体化を見逃した場合、価格が下落しやすくなる可能性がある。これらの要因のそれぞれが、借手にとって借換えリスクの増加につながり、債務削減および/または融資条件の再構築に向けた資本拠出が必要となる場合がある。
また、銀行部門において流動性の逼迫がみられた場合、借換えリスクが高まる可能性がある。オーストラリアでは、ノンバンクの債券市場は依然として利用可能な資金調達のソースとなっている。ノンバンクの金融機関は近年において開発前の土地や不動産開発セクターを支援してきたため、資金調達コストの上昇を考えた場合、またはノンバンクの金融機関がより脆弱な出資者からの支援を取り止める場合には、新規プロジェクト開始数は減少する可能性がある。また、ノンバンク/プライベート・クレジット部門が抱える課題が要因となり、企業やディベロッパーの財務安定性が脅かされる連鎖リスクが起こることもあり得る。かかる連鎖リスクが発生した場合、債務不履行が増加する可能性がある。
中東で継続中の紛争に起因するサプライチェーンの逼迫や資材コストの急騰などの建設リスクの問題は、労働力不足や人件費の上昇と相俟って、請負業者の収益性、キャッシュフロー、流動性および財務の安定性に影響を及ぼすおそれがある。これが短・中期的に商業用および大規模住宅開発プロジェクト(土地およびマンション開発を含む。)に関連する引渡しリスク、かかる開発の実行可能性および基礎的な地価に影響を与える可能性がある。
ニュージーランドでは、商業用不動産の販売・建設活動が、2021年後半以降、長期にわたり低迷している。2025年下半期にかけての継続的な利下げにより、販売活動は活発化し、市場心理の改善にも寄与したが、ニュージーランド全体にわたる価格の大幅な上昇をもたらすには至っていない。
商業用不動産部門は、市場の信頼感の後退や流動性の低下が販売や建設活動を引き続き抑えているが、比較的安定し続けている。テナントや購入者の間では「質への逃避」が引続き起きている。工業用不動産部門は他の資産クラスを引き続き上回るパフォーマンスを示している。開発の実現可能性については、買い手の需要の減少や建設コストにより依然として課題が存在している。
上記の各要因は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
4.ソブリン・リスクに関する事象が世界の金融市場の不安定化を招き、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
ソブリン・リスクは政府が債務につき不履行となる、満期を迎えたときに債務の借換えができない、それにより自国の経済の一部が不安定化するリスクである。ソブリン・リスクは、当グループの資産価値に悪影響を及ぼすことを通じて直接的に、または国際金融市場の不安定化を通じて間接的に、当グループに悪影響を与え、これにより当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。ソブリン・リスクは、関連法域を含む多くの経済国において存在している。1つの国家が債務不履行に陥った場合、他の市場および国へ波及する可能性があり、それによる影響は、世界金融危機およびその後のソブリン債務危機の期間中に経験した状況に類似もしくはそれより悪いものとなる可能性がある。
5.市場リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
市場リスクは、金利、為替レート、信用スプレッドのマイナスの変化、または債券、商品もしくは株式価格の変動から生じる損失のリスクである。財務リスク管理の目的で、当グループはトレーディングおよび非トレーディングの市場リスクを区別する。トレーディング市場リスクは主に当グループの金利、為替レート、商品および有価証券のトレーディング・オペレーションから生ずる。非トレーディング市場リスクは専ら銀行勘定における金利リスクである。その他の非トレーディング市場リスクには、海外営業での資本投資から生ずる取引および構造的為替リスクおよび非トレーディング株式リスクが含まれる。さらに、国際的な地政学的緊張、エネルギー(石油を含む。)価格の変動およびそれに伴う各国の経済への影響や政策対応は、国際金融市場におけるボラティリティの高まりを引き起こすリスクとなる。直接的な影響は主に当グループの海外事業を通じて生じるが、エネルギー価格の変動、インフレや金利見通しの変化およびグローバルなリスクセンチメントの変動を通じて、オーストラリア経済へ間接的に波及する可能性がある。リスク要因1「政治および経済の情勢の変化(とりわけオーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域、英国、ヨーロッパおよび米国(「関連法域」)におけるもの)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因17「マネーロンダリング防止、対テロ資金、制裁、不正行為および詐欺に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。」を参照のこと。これらの要因は、国内の資産価格、市場流動性および資金調達環境に悪影響を与えるおそれがある。かかる市場リスクに関する事由の発生により生じる損失は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
6.為替レートの変動が、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、いくつかの異なる通貨で事業を行っている。そのため、当グループの事業は、為替レートの変動により影響を受ける可能性がある。当グループの年次報告書および中間報告書は豪ドルで作成・提示される。当グループが収益を得ている(特にニュージーランドドルおよび米ドル)、資本を保有している、または資本商品の発行通貨となっている他の通貨に対する豪ドルの価値の変動は、当グループの報告された収益および/または自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性がある。現在、当グループは通貨の変動の影響を一部軽減するためにヘッジを設定している。当グループのヘッジが十分なものまたは効果的となる保証はなく、当グループが収入を得ているまたは資本を保有している他通貨に対して豪ドルの価値が変動した場合には当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
7.パンデミックおよびその他の公衆衛生危機は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
パンデミックまたはその他の公衆衛生危機は、COVID-19のパンデミックの時と同様に、当グループのポジションや国内および世界経済に影響を及ぼすおそれがある。
また、当グループの顧客や事業に影響を与える疾病由来の変異株が発生すれば、政府による措置が講じられる可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、パンデミックや公衆衛生危機から生じるサプライチェーンの混乱およびモビリティの制約により、当グループの利益率が低下する可能性があり、顧客のキャッシュフロー、資本、流動性および資金調達需要に影響する可能性がある。これらの事象発生後の政治と経済の情勢によって、当グループの商品およびサービスに対する需要の減退、貸付その他の債権のデフォルト、不良債権および減損の増加、ならびに当グループの事業コストの増加が起きる可能性がある。これらのいずれかが発生した場合、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
8.買収および売却は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは定期的に、当グループの戦略的ポジションおよび財務実績を強化する機会か否かを判断するため、買収および売却を含め、様々な企業の機会を検討している。これには完了したサンコープ・バンクの買収などがあり、下記のリスクを伴う。
買収(または売却)した事業の統合(または分離)は複雑で費用がかかる。これは、時には会計およびデータ処理システム、技術プラットフォームならびに経営管理の統合(または分離)とともに、従業員、顧客、規制当局、カウンターパーティー、サプライヤーおよびその他の事業の相手方との関係や契約を管理することを含む。買収または売却により重要な関係および人員の喪失があった場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
買収に関して行われたデューデリジェンスが確定的であったとの保証はなく、買収後に特定されたかかる買収に関するあらゆる重大な問題やリスクが回避または軽減されているという保証はないため、買収後に当グループに悪影響を及ぼす問題や事項が発生する可能性がある。また、買収(または売却)は、その基礎となった前提が正確であったか、または達成可能であったかわからないため、シナジー効果、コストまたはコスト節減、統合(または分離)までの時間および全体的なパフォーマンスに関して期待されるプラスの結果を生み出す保証はない。さらに、買収(または売却)は、当グループの信用格付、資金調達コストおよび追加の資金調達の手段に影響を与え、その結果、当グループの資金調達のポジションおよび流動性のポジションに悪影響を与える可能性がある。
統合(または分離)への取り組みの中で、基準、統制、手続および方針の不一致を生じさせる可能性があり、経営陣の注意をそらし、資源が流出する可能性がある。カウンターパーティーが当グループに対して完了済みまたは未完了の取引に関して請求を行うリスクが存在し、それが当グループのポジションに悪影響を与えるおそれがある。これらの要因のすべてまたは一部が、当グループが事業を成功裡に行う能力に悪影響を及ぼす可能性があり、また当グループの業務または業績に影響を与える可能性がある。新しく買収(または維持)した事業の従業員、顧客、カウンターパーティー、サプライヤーおよび事業の他の相手方がかかる買収後(または売却後)も留まるという保証はない。さらに、当グループまたはカウンターパーティーが完了条件を満たすことができないため、または規制当局、株主その他の承認などのその他の完了条件が成就しないためなど、当事者間で当初合意された形かまたは全く違う形であるかにかかわらず、合意された取引が完了しないリスクが存在する。統合または分離リスクのいずれかが発生した場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
公表済みの買収または売却が何らかの理由により完了しなかった場合、当グループの継続事業が悪影響を受け、当グループが多くのリスクに晒されるおそれがある。かかるリスクには以下が含まれる。
・ 金融市場が否定的に反応し、その結果、当グループの証券への悪影響およびその他の悪影響が起こる可能性
・ 当グループの顧客、ベンダー、従業員およびより広範な利害関係者が否定的に反応する可能性
・ 完了するか否かにかかわらず、当グループは、法務、会計、投資銀行、その他の専門家への報酬や事務手数料など買収または売却に関する費用を負担し、一定のコストを支払う必要が生じる可能性
・ 買収または売却に関連する事項に対し、当グループが他の利益をもたらす機会に充てることができたはずであった時間と資源を多大に費やす必要が生じる可能性
当グループの財政状態に関するリスク
9.信用リスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、カウンターパーティーがその契約債務を履行することができない、あるいは履行を拒否する結果として起こり得る信用関連の損失を被る場合を含め、信用供与から生じるまたはそれに関するリスクに晒されている。信用損失によって、金融サービス機関が重大な損失を被るか、場合によっては完全に破綻するようなケースが生じる可能性があり、これまでも生じている。
金利の上昇、持続的なインフレ、グローバル・サプライチェーンの混乱および特にリスク要因1.「政治および経済の情勢の変化(とりわけオーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域、英国、ヨーロッパおよび米国(「関連法域」)におけるもの)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」に記載されているような政治的緊張の高まりにまつわる状況が信用関連損失のリスクに引き続き影響を与えている。信用関連損失のリスクは、上述の要因により依然として高く、全般的、または特定の産業部門あるいは地理的地域であれ、不利な状況が起こればさらに増大する可能性があり、これによって、顧客またはカウンターパーティーは債務を履行できない可能性がある。このような状況には、当グループ、その顧客またはカウンターパーティーに影響を与える可能性がある銀行システム全般または特定の金融機関の安定性に対する信頼の低下、高水準の失業率、景気減速およびインフレ状態、長期にわたる高金利、当グループが担保として保有する資産の価値または当グループが保有するカウンターパーティーの商品や債務の市場価値の低下が含まれるが、これらに限定されない。
以下を含むエクスポージャーに晒されている当グループの顧客およびカウンターパーティーの一部は、特に脆弱化のおそれがある。
・ 継続的な高金利に著しい影響を受ける産業。
・ 消費者の裁量的支出に依存する産業。
・ 燃料供給不足ならびに航空、道路輸送・海運および農業などのコストの上昇に晒される産業。
・ (これにより、投入コスト、生産、キャッシュフロー、顧客の返済能力に悪影響を及ぼす可能性がある)肥料およびリン酸塩の価格変動、供給制約および供給の地政学的偏在に晒される農業・食品産業。
・ 価格の変動に起因するデリバティブの証拠金の支払い要求の増加に晒されるエネルギーまたは商品市場の参加者。
・ 供給または需要の変動により商品価格の持続的な下落に晒されている採掘事業
・ 制裁、関税、地政学的な緊張または貿易紛争のリスクのある産業(テクノロジー、農業、製造業および海運業、資源および採取産業、通信および金融機関を含む。)
・ 世界的な成長の落ち込み、過剰供給およびグローバル・サプライチェーンの混乱に晒される産業。これには、リテール、ホールセール、自動車、金属精錬、製造およびパッケージング産業を含むがそれらに限定されない。
・ 商業用不動産部門(建設および請負業者を含む。)。かかる部門は、サービサビリティ(返済可能性)に影響を与え、評価額に引下げ圧力を与えている金利の急激な上昇に晒されていた。この状況は、オーストラリアにおける最近の利上げによりさらに悪化する可能性がある。
・ 観光業、接客業、技術、農業、小売業、医療、建設業およびサービス業など、労働力不足に直面している、ならびに熟練・未熟練双方の移民労働者の獲得に依存している産業。
・ 移行リスク(排出削減要件に関連する政策または市場主導の変化とそれに伴う流動性または商品およびサービスの需要の変化など)などの気候リスク、ならびに物理的な気候リスク(森林火災、洪水、暴風雨および干ばつなど)による混乱に晒される顧客および産業。保険が利用できない、または負担不能になった場合は、損失はさらに増大する可能性がある。気候関連のリスクの詳細については、リスク要因21.「将来の気象関連事象、自然の喪失、人権、地質学的事象、植物、動物および人間の疾病ならびにその他外因性事象の影響は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
・ 為替相場の変動に晒されている産業および外国為替市場全般。
・ 規制変更および法令遵守コストの影響を受ける産業。
・ 生成AIや量子コンピューティングの採用および導入の増加を含む、技術的破壊に晒される可能性が大きい産業。
・ プライベート・クレジットもしくはその他ノンバンク資金調達市場に依存している参加者、またはかかる市場において利用の制約、コストの上昇もしくは選別の厳格化が生じた場合に、重大な借換リスクに直面する参加者。
・ サイバー犯罪(ソーシャル・エンジニアリング、スキャム、アカウント不正アクセス・乗っ取り、決済・金融詐欺、データ・個人情報の犯罪、マルウェア、恐喝、サービス妨害)に対するエクスポージャーが大きい産業。
・ 銀行およびノンバンク金融機関は、市場のボラティリティ、景気減速、金利上昇およびこれらが資産価値に及ぼす波及的影響により流動性の逼迫に晒される可能性があり、投資ファンドの場合は、償還請求の増加により、信用格付の引下げ、リストラクチャリングおよび資本増強の必要性の発生や金融機関に対する信用の喪失が生じる可能性がある。
当グループはまた、特定の状況において第三者に対する権利が強制履行できない場合があるリスクに晒されており、これが信用損失につながる可能性がある。当グループの信用供与のエクスポージャーに重大な信用損失が生じる場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
また、当グループが締結した一定のデリバティブ、クリアリングおよび決済契約により、ならびにその他の銀行、ノンバンク、金融機関、会社、政府および政府機関の財務状態が経済状況や世界金融市場の影響を受ける場合、かかる機関が発行した債券のディーリングおよび保有により、信用リスクが発生する可能性がある。
また、顧客および/またはカウンターパーティーと与信取引を行うかあるいは他の取引を行うかを判断するにあたり、当グループは、財務諸表およびその他の財務情報を含む、顧客およびカウンターパーティーあるいはその代理により提供された情報に依拠する。また、当グループはそれらの情報の正確性および完全性に関しては顧客および独立顧問による表明に依拠する可能性がある。当グループの財務実績は、不完全、不正確あるいは著しく誤解を招くおそれのある情報に依拠する場合、マイナスの影響を受ける可能性がある。
信用リスクは、顧客が信用供与に関する特定の条件を遵守しない場合にも発生する可能性がある。例えば、顧客がモーゲージ・ローンに関して十分な額の不動産保険に加入していない、またはそれを維持していない場合には、当グループの担保価値に対する悪影響や、通常なら保険でカバーされるはずの事象によって物件が損傷または破壊された状況において担保権の実行が必要となった場合に、当グループが回収できる金額に対する悪影響が生じる可能性がある。
当グループは貸倒引当金を保有しており、これらの引当金は、当グループの貸付ポートフォリオ内の減損の現在の情報および主観的で複雑な判断に基づき決定される。しかし、評価が行われる情報が不正確である場合、または当グループが情報を正確に分析できない場合、貸倒れの引当金は不十分である可能性があり、当グループのポジションに悪影響を与えかねない。
10.当グループの資本基盤の管理における課題が要因となり、自己資本比率におけるボラティリティが高まる可能性があり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループの資本基盤は、当グループの事業を管理し資金を調達するにあたり不可欠である。当グループの健全性規制機関は、APRA、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)ならびに米国、英国およびアジア太平洋地域の規制機関を含むがそれらに限定されない。当グループは、主たる規制機関であるAPRAおよびRBNZ(ANZバンク・ニュージーランド・グループの場合)により、適切な規制上の自己資本を維持することを義務付けられている。
現在の規制上の要件のもとでは、リスク加重資産(RWA)および予想貸付損失はカウンターパーティーのリスク度合いの悪化に従い増加する。これらの規制上の自己資本の要件は、ストレス時の利益減少による自己資本の減少の影響を強める傾向にある。その結果、自己資本比率におけるボラティリティがより高まる可能性があり、当グループが追加資本の調達を求められる可能性がある。必要とされる追加資本が利用可能であるか、または合理的な条件で調達可能であるかについては確実ではない。
当グループの自己資本比率は、(ⅰ) 収益低下(非連結となった子会社(例えば、保険事業子会社)ならびに関連会社への投資からの配当減少を含む。)、(ⅱ) 資産の伸び、(ⅲ) RWAまたは為替換算調整勘定に影響を与える、当グループが業務を行う他通貨(特にニュージーランドドルおよび米ドル)に対する豪ドル価値の変動、(ⅳ) 事業戦略の変更(買収、売却および投資または資本集約的事業の増加を含む。)ならびに(ⅴ) 規制要件の変更などの数々の要因に影響を受ける可能性がある。
当グループに影響を与えている、または与える可能性がある最近の健全性規則の変更の詳細については、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。当グループが規制上の自己資本を維持することができなかった場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
11.当グループの信用格付は変更される可能性があり、資本およびホールセール資金を調達する当グループの能力に悪影響を与え、新規貸付を抑制する可能性があり、これにより当グループのポジションに悪影響を受ける可能性がある。
当グループの信用格付は、資本およびホールセール資金調達の利用およびコストに顕著な影響を与える。また、当グループの信用格付は、顧客またはカウンターパーティーが当グループの商品およびサービスを評価する際に重要となることがある。信用格付および格付けのアウトルックは信用格付機関によっていつでも撤回、限定、修正または保留されることがある。格付機関が信用格付および格付のアウトルックを決定するために用いる方法も、法的もしくは規制上の変更、市場の動向またはその他の理由に対応し、修正される可能性がある。
当グループの信用格付または格付のアウトルックは、オーストラリア連邦またはニュージーランドの信用格付もしくは格付アウトルックの変更、本項に記載された1つまたは複数のその他のリスク、格付手法の変更またはその他の事象により、マイナスの影響を受ける可能性がある。このため、全般的な経済状況または当グループの財政状態の変化を反映しない当グループの信用格付または格付アウトルックの格下げが行われる可能性がある。当グループ(および世界のその他銀行)が発行する個別の証券(一定のTier 1資本およびTier 2資本証券ならびにカバード・ボンドを含むがそれらに限られない。)の格付は、かかる商品に対する規制要件および格付機関が利用する格付方法論の変化によって影響を受ける可能性がある。
当グループの信用格付または格付のアウトルックの引き下げまたは引き下げの可能性により、資本およびホールセール債券市場の利用が制限され、および資金調達コストを増加させる可能性があり、新規に供与できる貸付高を抑制し、カウンターパーティーが当グループと取引しようとする意思に影響を与え、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。信用格付は、関連格付機関が当グループの募集する証券への投資を奨励するものではない。
12.流動性および資金調達リスクに関する事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
流動性リスクおよび資金調達リスクは、当グループが(預金者への払戻しやホールセール債権者への返済を含め)期日どおりに支払債務を履行することができない、または当グループが資産の増加に対して資金調達能力が不十分であるというリスクである。流動性リスクおよび資金調達リスクは、資金収入と資金支出の間のタイミングのミスマッチのため、銀行業務に内在するものである。
市場情勢の悪化およびボラティリティならびに当グループに対する投資家の信頼の低下によって、満期を迎える債務を借り換え、タイムリーかつコスト効率の良い方法で資金調達を利用する当グループの能力が重大な影響を受ける可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。技術の進歩により、当グループに預けた資金を顧客が迅速に引き出せるようになったため、普通預金および貯蓄預金などの要求払い負債に関するリスクが加速される可能性がある。
当グループは、資金調達需要を満たすため、また当グループの事業を維持あるいは成長させるため、国内の市場およびオフショア市場内で顧客預金およびホールセール資金調達を含む様々な調達源から資金を調達する。主要市場の情勢は、国際資本市場における流動性に悪影響を受ける場合がある。例えば、流動性ストレスの時期において、当グループに対する市場の信頼が損なわれた場合、またはオーストラリア内外の市場からの資金調達が利用できないもしくは抑制された場合に、当グループの資金調達源および流動性を利用する能力は、抑制される可能性があり、当グループは流動性リスクおよび資金調達リスクに晒されることになる。
流動性の低下は、当グループの借入コストの増加を招き、新規貸付額の制限につながり、預金者の引出し需要や支払義務を満たす当グループの能力に悪影響を及ぼし、それにより当グループのポジションが悪影響を受ける可能性がある。
13.当グループの一部の資産および負債の評価の変動は、当グループの収益および資本ならびに当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、デリバティブ商品を含む多様な金融商品、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資産および負債、損益を通じて公正価値で測定される資産および負債ならびに一定の資産および負債(「第6 経理の状況-1 中間財務書類」に記載の2026年3月31日終了の半期に係る要約中間連結財務書類(「要約中間連結財務書類」)の注記12に記載されるもの)を公正価値で測定することを要する会計基準を採用しており、公正価値の変動は損益または資本に認識される。
一般的に、これらの金融商品の公正価値を測定するために、当グループは取引相場価格、現在価格の見積もりまたは市場参加者が資産と負債の評価に際して考慮すると思われる要因の影響を組み込んだその他の評価手法に依拠する。一部の非上場の株式への投資を含む一定のその他の資産は割引キャッシュフロー法または要約中間連結財務書類に概要が記されているその他の評価技法により評価される。これらの商品の公正価値は、当グループの収益および/または資本に悪影響を与える可能性がある市場価格または評価の変数の変動により影響を受ける。
当グループは貸付関連でない資産の減損(損益に認識される。)の結果としてその価値の下落に晒される場合がある。当グループは、のれん残高および耐用年数が確定できないまたは使用可能になっていない無形資産について少なくとも年1回減損テストをする必要があり、減損の兆候がある場合には土地建物および設備機器(リースから生じる使用権資産を含む。)、関連会社に対する投資、資産計上したソフトウェアならびにその他の無形資産を含むその他の貸付関連でない資産の回収可能性をテストする必要がある。
のれん残高の回収可能性を評価するため、当グループは処分コスト控除後の公正価値アプローチを用い、処分コスト控除後の公正価値が帳簿価額を下回った場合には使用価値も用いる。当該計算の基礎となる仮定の変更は、収益の変動とともにこの査定に大きく影響するかもしれず、結果としてのれん残高の一部または全部の償却の可能性がある。
その他の貸付関連でない資産について、資産が今後使用されない場合または当該資産により生み出されるキャッシュフローが帳簿価格を裏付けられない場合、減損費用が計上される可能性がある。これは、上述の他の潜在的な変化と相俟って、当グループのポジションに影響を及ぼす可能性がある。
14.会計方針の変更が当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループが適用する会計方針は当グループが財務状態および財務実績を記録および報告する方法にとって基礎となる。経営陣は、これらの会計方針の多くについて選択および適用につき判断を下し、当グループが適用ある会計基準または解釈を遵守し、当グループの財務状態および財務実績を記録および報告するのに最も適切な方法を反映させるようにする。これらの会計方針が不正確に適用され、その結果、当グループの財務状態および/または財務実績につき不実表示がされる可能性がある。新規のまたは改正された会計基準または解釈の適用によっても当グループの財務状態および/または財務実績が悪影響を受ける可能性がある。当グループは、いずれかの報告期間において初めて発効する新たな会計基準の影響については、その期間に関する連結財務書類の注記において開示している。時には、経営陣は、2つ以上の選択肢から会計方針を選択する必要があり、いずれの選択肢も関連する会計基準または解釈に適合しその状況下で合理的であるかもしれないが、選択肢に基づいて報告されたものとは著しく異なる結果を報告する結果になる可能性がある。
法的および規制上のリスク
15.規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの事業および業務は厳しく規制されている。当グループは、関連法域において業界の自主規制を含めた法律、規則および政策(「関連規制」)に従っている。関連規制は、オーストラリア政府または他の規制当局が行った調査によりなされた勧告を含む、様々な要因の影響を受ける可能性がある。関連規制はほとんどまたは全く知らされることなく行われるものを含め、絶えず変更されており、通常、要求される遵守の範囲、規模、複雑さ、コストおよびスピードは増していく。関連規制の変更とそれに伴うコンプライアンス(法令遵守)コストの増加は、当グループの収益性に影響を及ぼし、当グループが直面する競争レベルを変化させ、当グループの事業の一つまたは複数の要素を遂行する能力に影響を及ぼす可能性がある。さらに、関連規制を遵守していない企業に対して強制措置を講じるよう規制当局に対する圧力が強まっている。関連規制の複雑さが増し、違反に対して制裁やより厳しい金銭的処罰の傾向が強まれば、当グループの業績や評判に悪影響が及ぶ可能性がある。
関連規制により、当グループの事業環境が影響を受け、当グループに多大なコンプライアンス・コストが生じる可能性があり、また実際に生じている。当グループが関連規制を遵守できなかった場合や関連規制変更に対処できなかった場合、規制当局の調査、訴訟、法律上もしくは規制上の制裁、国民の批判、財務損失もしくはレピュテーションの喪失、当グループが事業を行う能力の制限、罰金またはその他の強制執行もしくは行政処分もしくは刑罰につながる可能性があり、これらのいずれもが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
最近の重要な規制動向には以下が含まれる。
・ 2025年4月、ANZBGLは、当グループ全体の非財務リスク(「NFR」)管理慣行およびリスク文化における不備に関連して、APRAと裁判所執行可能確約(「CEU」)を交わした。
・ 2025年12月19日、ANZBGLは、オーストラリアの「マーケッツ」および「オーストラリア・リテール」事業について、個別の規制調査の対象となっていた5件の問題を解決するためにANZBGLがASICと合意した和解に関してオーストラリア連邦裁判所が命令(「連邦裁判所命令」)を下した旨発表した。この連邦裁判所命令により、ANZBGLに対して2億5,000万豪ドルの民事制裁金が科され、オーストラリアでの大口取引のプレヘッジと顧客に対する関連する開示に重点を置いたコンプライアンス・プログラムの実施が求められた。
CEUおよび連邦裁判所命令により、当グループに対する規制当局の監視が強化され、非遵守の場合には、財務または評判に関する潜在的な影響を含め、当グループが受けるリスクが高まる。ANZBGLがCEUまたは連邦裁判所命令に基づく義務を果たさなかった場合、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
最近の関連規制に関するテーマには、金融機関の健全性の状態、自動化された意思決定およびAI利用の透明性の向上、顧客の保護、規制環境ならびに情報の保護および利用などがある(が、これらに限られない。)。下記に、当グループのポジションに影響を与える可能性のある最近または将来に生じる可能性のある規制変更の例を示す。
健全性規則
健全性規則の変更が、当グループに対して維持することが要求される規制上の自己資本の水準の引き上げにつながり、当グループの柔軟性を制限し、多額の費用の負担が必要となり、および/または1つもしくは複数の事業ラインの利益性に影響を及ぼす可能性があり、このいずれもが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループのポジションに影響を与えたまたは与える可能性がある最近の健全性規制には、以下のものを含む。
・ 金融のレジリエンス: APRAは、2023年1月1日、ADIに対する新たな銀行の自己資本フレームワークを導入し、オーストラリアの基準と国際的に合意されたバーゼル3の要件の整合を図っている。2024年12月、APRAは、APS第110号「自己資本比率」、APS第116号「自己資本比率:市場リスク」について最終的な基準を公表し、両基準とも2025年1月1日に発効した。その他の主要な規制変更には、2025年1月1日より発効したAPS第330号「情報公開」、2025年7月1日に発効するAPS第210号「流動性」、2025年10月1日に発効するAPS第117号「自己資本比率:銀行勘定における金利リスク」が含まれた。APRAは引き続き、APS第210号「流動性」、CPS第220号「リスク管理(気候リスクの組み込み)」、CPS第510号「ガバナンス」およびCPS第520号「適格性」の改訂について協議し、最終決定を行う。APRAは健全性の枠組みにおけるAT1資本の廃止に関する改訂についてはすでに最終化している(下記「APRAのオーストラリアにおけるAT1資本に対するアプローチ」を参照のこと。)。マクロ・プルーデンスの観点から、APRAは、2026年2月1日付で新たな収入負債比(DTI)制限を導入しているが、これは高DTIの貸付、投資家向け貸付やインタレスト・オンリー・ローンなどの住宅モーゲージ貸付に影響を与えている。
・ オペレーショナル・レジリエンス: CPS第230号「オペレーショナル・リスク管理」の詳細については、リスク要因25.「非財務リスク事象(NFR)は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
・ 破綻処理計画: 健全性基準CPS第900号「破綻処理計画」(「CPS900」)」が2024年1月1日に発効した。CPS900は、重要な金融機関を含む一定の企業に対し、APRAと協力して破綻処理計画を策定することを要求しており、これにより、企業が債務不履行に陥る、もしくは陥る可能性が高い場合、または支払停止に陥る、もしくは陥る可能性が高い場合に、APRAが秩序をもって企業を処理できるようになる。
・ ADIの資本および流動性要件の強化に関するAPRAの協議: 2026年3月、APRAは、ADIの自己資本および流動性要件の強化に関して協議を行う計画を発表した。かかる提案には以下の事項が含まれる。
・ 最大手銀行の流動性フレームワークの変更であり、これには、既存の流動性カバレッジ比率(LCR)最低要件ではカバーされていないリスクに対処するための流動性の保有が含まれる。
・ 標準的信用リスク自己資本フレームワークに対する的を絞った改正
・ バーゼル委員会のトレーディング・ブックの抜本的見直し(FRTB)に対する簡素化されたアプローチの導入
APRAは、協議を段階的に実施する方針を示しており、標準的信用リスク自己資本フレームワークのレビューは2026暦年に行われ、流動性フレームワークおよびFRTBに関する協議は2026暦年および2027暦年に行われる予定である。
・ APRAのオーストラリアにおけるその他Tier1(AT1)資本に対するアプローチ: APRAは、2025年12月に、AT1資本の除外に関する健全性基準を最終化し、新しい健全性基準は2027年1月1日から発効する予定である。当グループのような国際的に活動する大規模な銀行で、信用リスク資本要件に対する内部格付に基づくアプローチの使用についてAPRAの承認を受けた銀行(「先進的な」銀行)には、以下のことが要求される。
・ AT1資本の1.5%という現行の要件を、CET1資本の0.25%およびTier2資本の1.25%に置き換えること
・ CET1資本要件の下限を4.5%から6.0%に引き上げるが、1.25%の資本保全バッファーの先進的な部分を削除すること
・ APRAのバッファーを含む、資本要件の下限総額を18.25%(TLAC要件を含む。)に据え置くこと
・ Tier2要件(TLAC要件を含む。)を6.5%から7.75%に引き上げること
さらに、APRAは、APS第222号、APS第221号およびトランス・タスマンの資金調達における、レバレッジ比率およびエクスポージャーの制限の目的のために、Tier1資本への参照をCET1資本に置き換えた。APRAは、最低レバレッジ比率を3.50%から3.25%に0.25%削減した。
かかる変更により、当グループの上記指標に基づくエクスポージャー分の資金調達力は低下する見込みであるが、当グループへの影響はかかる指標下での既存の資金調達能力に依存することとなる。当該変更に関するAPRAの協議文書には、APS第222号、APS第221号またはトランス・タスマン資金調達にかかる変更の影響を受けるADIは、APRAと調整の可能性について協議できる旨が記載されている。
・ 預金受入機関法: 預金受入機関法は、危機対応準備についての新たな基準に関するものを除き、2028年後半に全面施行される予定である。RBNZは、預金受入機関法の施行を支援するための政策、基準および規制を策定するための複数年にわたる作業計画に着手している。ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドは、預金受入機関法のもとで新たな銀行免許を取得する必要がある。預金受入機関法が導入した預金補償制度(DCS)は2025年7月から開始され、預金受入機関が破綻した場合には、1機関につき預金者1人当たり対象預金の10万ニュージーランド・ドルまでが保護される。このDCSにより、顧客が預金を分散させる可能性があり、その結果、ANZバンク・ニュージーランド・グループにとって資金調達上の制約が生じる可能性がある。
・ RBNZの更新後の自己資本要件: 2025年、RBNZは、2028年7月までに段階的に導入することとされていたニュージーランドの銀行に対する主要な自己資本要件の見直しを行い、自己資本比率要件の改定、特定の種類の貸付に対する標準的リスク加重の引下げおよび細分化の強化、ならびに自己資本フレームワークからのAT1資本の除外を決定した。ANZバンク・ニュージーランド・グループを含むニュージーランドのシステム上重要な銀行については、改正後の要件として、CET1比率の最低値を12%とし、総自己資本比率の最低値を15%とすることが含まれる。これらの比率は現在それぞれ10%および14.5%と定められており、2028年7月からは13.5%および18%となる見込みであった。また、6%の新たな損失吸収力(LAC)要件も導入される。RBNZは、標準的リスク加重の変更を実施するのと同時に、2026年10月にCET1自己資本比率の要件を0.5%引き上げることを明らかにした。残りの自己資本比率関連の変更は、2028年12月までは行われない見込みである。
2026年10月以降は、新たなAT1の発行は認められない見込みであり、既存のAT1永久優先株式(PPS)については、2029年12月から段階的にTier1資本としての適格性を失う見込みである。
RBNZは、2028年12月までの期間における一定の経過措置を含め、改正後の要件に関する協議を継続するものと見込まれる。
かかる見直しがANZバンク・ニュージーランド・グループおよび当グループに与える影響は、その最終的な実施内容の詳細、事業構成および当該時点における貸借対照表の状況による。したがって、当該見直しがANZバンク・ニュージーランド・グループおよび当グループに与える影響は、現在のところ不明である。
その他のオーストラリアにおける規制
当グループに影響を及ぼしている、または将来及ぼす可能性がある、オーストラリアの規制に関する最近のその他の進展には、以下のものがある。
・ 気候関連開示: オーストラリアでは、基準の範囲内に含まれる大企業から中規模企業に対して報告義務要件を導入する法案が2024年9月に可決された。ANZGHLおよび当グループを含むその子会社は、2025年10月1日から開始する各年次報告期間において気候関連開示を作成することが求めらている。この法令では、とりわけ、気候関連のリスクと機会、シナリオ分析、気候関連移行計画の詳細ならびにスコープ1、2および3の排出を開示するよう企業に要求している。スコープ3の排出の開示要件は2026年10月1日以降の年次報告期間において求められる。保証の要件については段階的に導入されていく。最大で3年間は限定的な修正責任の枠組みが適用される。ANZGHLとその子会社(当グループを含む。)は、この法令に関する報告および法令遵守に伴うコストの増加に直面する可能性のほか、気候関連開示に関して(かかる開示の正確性と裏付けに関するものも含め)監視がさらに強化されるおそれがある。
・ サイバーセキュリティ: 2024年11月、オーストラリア議会は、サイバーセキュリティ法と2018年重要インフラ・セキュリティ法を改正する法案を可決した。これらの改正には、企業のランサムウェア報告義務とサイバーセキュリティ大臣の結果管理権限の強化が含まれる。これとは別に、オーストラリア政府は、デジタル・アイデンティティ・サービスを提供する企業の認可スキームを確立するための法案を可決した。これらの動向は、サイバーレジリエンス、インシデント対応、サードパーティーとサプライチェーンの脆弱性、重要インフラに対する規制当局の取り組みの強化と相俟って、法令遵守コストの増加や業務要件の変更をもたらし、規制当局による調査や執行措置の対象となる可能性があり、例えば、当グループがデジタル・アイデンティティ・サービスのプロバイダーとなること、または顧客向けのオンボーディング・プロセスの一環としてデジタル・アイデンティティを利用することを希望する場合、その結果として、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。重要インフラの安全保障に関する大臣指示権の変更案および重要インフラ・リスク管理プログラム規則の公開草案に関する協議が2026年5月1日に終了した。これらの協議の結果は現時点では不明であるが、協議を踏まえて変更が行われた場合には当グループの報告義務に重大な影響を及ぼす可能性がある。
・ フィジカル・バンキング(物理的な銀行業): 2025年2月、オーストラリア政府は、地域の銀行サービスが引き続き利用できるように「銀行によるコミットメントを確約させた」とし、地域における目的に適合した持続可能な銀行サービスの利用を長期にわたって確保するための取り組みを継続していくと発表した。また、オーストラリア政府は、必要不可欠な商品やサービスを提供する事業者(小規模事業者を除く。)が、直接本人から支払いを受ける場合には現金支払いを受け付けるよう義務付ける新たな規則を導入した。かかる義務の実施には、現金輸送の支援策が必要となる可能性が高く、当グループのコストの増加に結び付くおそれがある。これとは別に、ACCCは、オーストラリア銀行協会(ABA)、その加盟銀行およびその他関連業界参加者に対し、オーストラリア経済全体における現金の物理的流通を維持する取決めについて議論して策定し、特定の事業継続対策を実施することについて暫定的な許可を与えている。ABAが行った許可の申請は、オーストラリアの現金輸送サービスの大手供給業者であるアーマガードが、現金の使用が減っていることから当業界は現在の形態では持続可能でないという懸念を示したことを受けたものである。現金輸送サービスの中断は、顧客に現金を提供する当グループの能力に重大な影響を及ぼす可能性がある。現金輸送に関する措置(事業継続対策を含む可能性がある。)により、当グループの費用が増大する可能性がある。現在、オーストラリアの財務大臣は、国内全域での現金利用の確保を支援するために、規制当局に新たな権限を付与する改革の選択肢について協議を行っている。
・ 支払い: 2024年11月、オーストラリア政府は「小切手移行計画」を発表し、2029年のオーストラリアの小切手制度廃止に向けて、オーストラリア政府が産業界に期待することが述べられている。2024年10月にオーストラリア政府は、オーストラリア準備銀行(RBA)による協議ならびに小規模企業および消費者の双方がコスト低下の恩恵を確実に受けられる十分な措置を講じられることを条件として、2026年1月1日からデビットカード取引に対してサーチャージを課すことを禁止する準備が整ったことを発表した。2025年7月、RBAは、サーチャージの禁止と、カード発行銀行から加盟店契約銀行に課されるインターチェンジ手数料の引き下げに関する提案について協議を開始した。2026年3月31日、RBAは報告書を公表し、エフトポス、ビザおよびマスターカードのネットワークにおける「サーチャージ禁止」ルールの適用が2026年10月1日から廃止され、それに伴い、これらのスキームを通じてのデビットカードおよびクレジットカード取引に対するサーチャージは認められなくなる見込みである。また、クレジットカードのインターチェンジ手数料の上限が、国内発行カードについては2026年10月1日から、海外発行カードについては2027年4月から引き下げられる予定である。これらの変更が想定どおりに実施されたとすると、インターチェンジ手数料の変更は当グループの財務に悪影響を及ぼす可能性がある。RBAは、2026年6月から決済システムについて、より包括的な見直しを実施する意向を示している。この見直しでは、改正後のオーストラリアの1998年決済システム(規制)法に基づき、現在はRBAの規制対象に含まれている(ウォレット、電子商取引、決済ゲートウェイ、プラットフォーム仲介事業者など)より広範なシステムおよび参加者に対する決済規制の適用が検討される見込みである。
・ 最終補償制度(CSLR): 2025年8月、オーストラリア政府財務省は、CSLRの2025-26年度賦課期間(2025年7月1日から2026年6月30日まで)において、金融アドバイス部門の2,000万豪ドルの上限を超える4,730万豪ドルの超過請求分に対処するために金融サービス担当大臣が採れる選択肢について協議を行った。CSLRの下では、4つの金融サービス部門(金融アドバイス、クレジット提供者、クレジット仲介業者および証券ディーラー)が、それぞれの部門についてCSLRに提出された請求額を基準に算出される最大2,000万豪ドルの年間賦課金を拠出することが要求される。金融サービス担当大臣は、かかる超過分を賄うため、2025-26年度賦課期間について、各金融サービス部門に追加の「特別賦課金」の支払いを求める決定を下した。現在、オーストラリア財務省は、CSLRの継続的な持続可能性の確保を目的として、制度改革のための選択肢に関する協議を行っているが、その中には特別賦課金の枠組みの変更も含まれており、これが当グループの将来のCSLR拠出額の予見可能性を高めると見込まれる。
・ 税制改革: 2025年12月に生産性委員会は、その最終報告の中で、売上高が10億豪ドル未満の企業に対して法人税の法定税率を30%から20%に引き下げ、売上高が10億豪ドル超の企業については28%の税率を課すことを提言した。さらに、5%の新たな純キャッシュフローベース課税がすべての企業に適用されることも提言された。純キャッシュフローベース課税のもとで、金融サービス会社はその純利息を基準に課税されるが、金融資本支出に対しては控除を受けることが提案されている。もしこれが施行されれば、生産性委員会の提言は当グループの税務負担に悪影響を及ぼす可能性がある。
・ 金融犯罪: マネーロンダリング防止、対テロ資金、スキャムおよび制裁措置に関する最近の規制上の進展については、リスク要因17.「マネーロンダリング防止、対テロ資金、制裁、不正行為および詐欺に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。」を参照のこと。
その他のニュージーランドにおける規制
ニュージーランドの政府および規制当局もまた、ニュージーランドの金融機関に対する大幅な法律上および規制上の変更について提案または実施している。
ニュージーランド政府は、NZ CDR制度を導入しており、2025年12月1日からANZバンク・ニュージーランド・リミテッド(およびニュージーランドにおいてシステム上重要とみなされている他の3つのニュージーランドの銀行)に適用された。リスク要因2.「当グループが業務を行う市場における競争は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
上記の変更は、ANZバンク・ニュージーランド・グループに悪影響を及ぼす可能性があり、潜在的にその企業構造、事業、戦略、資本、流動性、資金調達および収益性、コスト構造、顧客のためのコストおよび信用の利用ならびにさらに広い範囲にわたる経済に影響し、これがさらに当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
16.訴訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、その時々において重大な訴訟、規制措置、法的あるいは仲裁手続きおよびその他の偶発債務の対象となる可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、2026年3月31日現在、要約中間連結財務書類の注記17に概要が記載される事項に関する偶発債務を有していた。注記17は特に以下の事項を含む。
・ 監督当局、顧客および第三者に対するエクスポージャー
・ 南アフリカの金利に関する訴訟
・ NFR管理に関する裁判所執行可能確約(CEU)(「CEU」と定義される。詳細については、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。)
・ OnePathの年金に関する訴訟
・ ニュージーランドのローン情報に関する訴訟
・ 担保回収の訴訟
・ 保証、補償およびパフォーマンス管理費
2026年5月4日、ニュージーランド高等裁判所は、ニュージーランドのローン情報に係る訴訟に関して、ANZバンク・ニュージーランドに対して略式判決を下した。ANZバンク・ニュージーランドは、本判決に起因して生じ得る、借入コストに関する責任額について、最大約1億2,500万ニュージーランドドルと見積もっている。2026年5月29日、ANZバンク・ニュージーランドはかかる略式判決に対して控訴した。
当グループは、国内外の規制当局ならびにその他の法定機関および監督機関と定期的に意見交換を行っている。これらの規制に関するやり取りの性質は広範囲にわたり、規制当局による調査、監視および見直し、報告対象の事態、公式および非公式の照会ならびにオーストラリア、ニュージーランドおよび世界における規制当局による監視活動が含まれる可能性がある。当グループはまた、業界全体に対する見直しおよび当グループ固有の見直しの両方の一環として、その時々の規制当局その他機関からの通知や情報の請求を受け、勧奨に基づき規制当局に対する開示を行っている。
当グループが規制当局と最近において意見交換した事項には以下を含む。
・ オーストラリア・リテール部門におけるASIC関連事項解決プログラム。同プログラムは、複数の領域を対象としており、具体的には、ANZBGLのオンラインセーバー商品、経済的困難対応プロセス、遺産、違反報告、事象管理、顧客救済および苦情対応などがある。
・ 共通報告基準(CRS)および外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)に基づく義務、プロセスおよび報告。
・ マネーロンダリング防止および対テロ資金に関する義務、プロセスおよび手続き。例えば、近年においてAUSTRACは、ANZBGLおよびサンコープ・バンクに対して審査および調査を行った。AUSTRACにより特定された多くの潜在的な法令不遵守事項には、AUSTRACに対する定期的な報告を伴う継続的な改善プログラムの対象となっている。当グループは、マネーロンダリング防止/対テロ資金(AML/CTF)の遵守に関する問題の自己特定とAUSTRACに対する報告を継続的に行っており、改善活動に関しての最新情報を定期的にAUSTRACに提供している。
・ 特定の商品における金利および手数料の適用ならびに金融説明責任体制などのNFR管理慣行。
当グループの規制当局とのやり取りに関連して生じる可能性があるエクスポージャーには、民事強制措置、刑事訴訟手続き、罰金、資本要件または流動性要件の賦課、顧客救済、独立審査の実施要件、制裁その他の規制権限の行使が含まれる可能性がある。
規制当局に対するエクスポージャーに加えて、顧客、第三者および株主に対するエクスポージャーも発生する可能性があり、これらには補償その他の救済のためのクラス・アクションまたは請求が含まれうる。
これらの潜在的な規制、顧客およびその他のエクスポージャーの結果や関連する費用の総額は不明である。
しかしながら、偶発債務が予想以上に大きい、あるいは追加的訴訟、規制上措置、訴訟もしくは仲裁手続きまたはその他の偶発債務が生じ、当グループのポジションに重大な悪影響を及ぼす可能性があるリスクが存在している。
17.マネーロンダリング防止、対テロ資金、制裁、不正行為および詐欺に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
マネーロンダリング防止、対テロ資金、制裁、不正行為および詐欺に関する法令は、近年において複雑さを増している。規制変更ならびに国内外で取られる制裁および強制措置の拡大は、引き続き当グループが注視している事項である。
・ マネーロンダリング防止/対テロ資金(AML/CTF)
AUSTRACは、オーストラリアのAML/CTF規制当局で、かつ金融情報機関である。AUSTRACは、オーストラリアAML/CTF法およびオーストラリアの2025年マネーロンダリング防止およびテロ資金対策規則(「AML/CTF規則」)に対する遵守の推進と履行のために、一連の規制手段と権限を用いる。AUSTRACは、報告事業体がAML/CTF上の義務の履行を怠った場合は、強力な規制措置を講じる意思を明確にしており、これには民事制裁手続、履行確約および違反通知が含まれる。近年では、深刻かつ体系的なコンプライアンス違反に対応して、複数の国内の金融機関に対し多額の制裁金が科された。
2024年11月、オーストラリア議会は、オーストラリアAML/CTF法を改正する法案を可決し、これにより、AML/CTFプログラム、リスク評価、カスタマー・デューデリジェンス(CDD)(顧客管理)、疑わしい取引報告、取引閾値報告および価値移転に関するものを含む規制要件に変更が生じた(「オーストラリアAML/CTF法改正」)。オーストラリアAML/CTF法改正は、2025年8月に制定され、2026年3月に改正された新たな改正後AML/CTF規則により補完されており、かかる規則は特定の義務の実施方法を定めている。2026年3月、オーストラリアAML/CTF法のさらなる改正案がオーストラリア議会に提出された。改正案が可決された場合、これらの改正はAML/CTF上の義務にさらなる変更をもたらすこととなる。
オーストラリア政府は、改正されたオーストラリアAML/CTF法の下での特定の主要義務の施行を繰り延べる移行措置のルールを公表した。特に、「初回顧客デューデリジェンス」の要件については、現時点において2029年3月31日まで延期されている。これらの移行措置のルールで対象とされる事項を除き、当グループの報告事業体を含む現行の報告事業体に対する改正の大部分が2026年3月31日に施行された。
これらの改正に完全に準拠するには、オンボーディング、業務システムおよび報告システムの複雑な技術的アップグレードが必要となる。さらに、関連する方針、手続およびスタッフ研修についても大幅なアップデートが必要となる。このため、実施は複数年にわたる取り組みとなるが、2026年3月31日現在において当グループは新要件すべてに関して準拠しているわけではない。AUSTRACは、これらの改正を実施するに際して企業にとって厳しいタイムラインと課題が伴うことを認識している。AUSTRACが公表したガイダンスに沿って、当グループは現行のマネーロンダリング防止管理を維持し、移行期間中においても当該管理の継続的な遵守を確保する意向である。当グループは、とりわけマネーロンダリング/テロ資金供与および拡散金融のリスクに対応した実施計画を策定している。
当グループは、実施計画に対する進捗をモニタリングし、実施を進める中で必要に応じて当該計画を調整していく。オーストラリアAML/CTF法改正に関連する主なリスクには、当グループの実施計画がAUSTRACの期待または移行措置のルール(タイムラインを含む。)と整合しないこと、遅延が発生すること、または意図したコンプライアンスの結果を達成できないことなどがあり、これにより当グループが規制当局による監督、執行措置および制裁の対象となるおそれがある。(移行期間中を含め)ますます複雑化する金融犯罪リスクに対応するためのシステムや手続きの十分な更新が行われなかった場合には、AML/CTFその他の法令違反につながる可能性があり、その結果、多額の金銭的制裁、レピュテーションの毀損が生じる、または当グループのポジションに重大な悪影響が及ぶおそれがある。
ニュージーランドの2009年マネーロンダリング防止および対テロ資金対策法は、ニュージーランド政府による見直しを受けて改正が進められており、改正は段階的に施行されている。すでに一部の改正は発効しており、これには強化されたカスタマー・デューデリジェンス、顧客リスク格付および住所確認要件に関する改正などがある。さらに、改正には、報告事業体に対する賦課金の導入や、3つの監督当局を1つの当局にするAML/CTFの監督枠組みの統合も含まれる。さらなる改正案として、拡散金融を対象に含めるための制度範囲の拡張も含まれている。現時点では残る改正の結果にはなお不確実性が存在するものの、改革の過程においてANZバンク・ニュージーランド・グループに新たな規制要件が課され、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
・ 制裁
対外的な制裁および輸出管理の状況が複雑さを増し続ける中、規制当局の要求も拡大しており、多くの規制当局が不遵守に対する強制執行に注力している。2022年2月にロシアとウクライナにおける紛争が始まって以来、世界的に展開されている制裁回避ネットワークの関係者を含む、個人および組織を対象とした規制当局による制裁の発動が続いている。2026年2月、オーストラリア、ニュージーランド、米国、EU、英国を含むいくつかの法域は、エネルギー、海運、暗号資産サービス提供者および金融セクターを対象としたロシア関連制裁を大幅に強化し、また(米国の場合を除いて)それらすべてがロシア産の海上輸送原油に対する価格上限を1バレルあたり44.10米ドルへ引き下げた。最近の規制の進展により、二次制裁の範囲が拡大され、ロシアを含む制裁対象の団体や法域に関して重要な支援を提供したり、重要な取引を促進する金融機関も対象に含まれるようになった。このような活動に関与する機関は、適用される制裁制度の下で制限措置を受けるおそれがあり、これには主要な金融システムへのアクセス喪失、資産凍結その他の制裁措置などが含まれる。企業は、二次的な制裁リスクを考慮に入れつつ、ロシアまたはロシア所有もしくはその支配下の団体との直接・間接の事業活動に関してリスク選好度評価を続けている。その結果、企業は提供する事業サービスの種類を調整したり、場合によっては事業サービスの提供を停止する可能性がある。
2025年9月、フランス、ドイツおよび英国がイランの核合意義務に対する不遵守を正式に認定したことを受け、国連は包括的共同作業計画(JCPOA)の「スナップバック」メカニズムに基づき、イランへの制裁を再発動した。これらの制裁は、米国による既存の制裁と合わせて、イランの核兵器取得を阻止し、その地域的影響力を抑制し、イランの石油輸出をゼロに追い込むことを目的とした包括的な制裁と外交戦略を形作るものである。さらに、イランの海運ネットワーク、第三者仲介者、関連する個人や企業に対する制裁の数は増え続けている。当グループは、イランに関わる取引を引き続き包括的に禁止している。
現在も進行中である中東紛争およびホルムズ海峡での混乱により、米国の一般ライセンスの下で割安なロシア産、ベネズエラ産またはイラン産の原油/ナフサの購入が進む可能性がある。当グループは、イラン、ロシアおよびベネズエラに関連する石油取引の関与(ファシリテーション)を禁止している。現在の方針は、当グループが事業を展開するすべての法域における累積的な要求事項を考慮して設定されている。そのため、当グループの方針は場合によって、個別の法域の最低要件を上回る水準に設定されることがあり、法的には許容される取引であっても、リスク許容度の範囲外として許可されないことがある。
2026年4月に中国で可決された新たな規制により、中国国内におけるサプライチェーンのデータ収集が制限され、外国企業に対する対抗措置が可能となり、さらに外国法の遵守を当局が阻止することが認められた。また、2026年5月に中国は、中国の製油所に対する一部の米国制裁の遵守を阻止する初の禁止命令を発した。これにより、当グループの活動が相反する法的要件の対象となるリスクが生じている。
米国、EU、英国およびオーストラリアがシリア・アラブ共和国に対する制裁を緩和している一方、米国はシリアに対してテロ支援国家の指定を続けている。当グループは、シリアに関する取引の包括的な禁止を維持している。各組織は、世界の同盟国間の制裁政策の違いに伴うリスクを評価し、それらリスクを管理するために適切な対応を取ることを続けている。
・ 不正行為および詐欺(スキャム)
世界的に、不正行為や詐欺は、金融サービスその他のセクターにおいて引き続き蔓延しており、急速に進化している。2025年2月、オーストラリア政府のスキャム防止フレームワーク(「SPF」)が国王の裁可を受け、銀行、電気通信事業者およびデジタルプラットフォームに新たな義務を課し、組織がどのようにスキャムを管理、防止、検知、報告、途絶および対応するかに関しての期待事項を定めた。2025年11月、オーストラリア政府は、スキャム協議パッケージを公表し、SPFの導入に向けて業界からのフィードバックを求めている。SPFは2026年7月1日に運用を開始し、2027年末までに銀行、電気通信事業者および特定のデジタル・プラットフォームに対して全面適用される予定である。ANZBGLは、提案された規範や規則に関して(オーストラリア銀行協会を通じた提出も含め)回答を提出しており、影響範囲への対応、規制上の定義の明確化および既存の法的義務との整合性の確保に向けて、オーストラリア政府との協議プロセスに積極的に関与している。
様々なレベルや種類の金融犯罪についての綿密な監視が当グループ全体にわたって続けられている。当グループの規模および複雑性ならびに複数の改革が進行中であることを考慮すると、不遵守リスクの可能性は引き続き高い。仮想資産サービス・プロバイダー(例えばデジタル通貨の交換業者およびウォレット・プロバイダー)により提供されるもの等の新興技術ならびにフィンテックやその他のディスラプターを通じたますます複雑化する送金の取決めにより、資金の流れを追跡し、関連取引の監視を進め、報告義務を満たす当グループの能力が制限される可能性がある。当グループの技術の複雑性ならびにAML/CTFおよび制裁遵守において機能するシステムの変更の頻度の増加により、当グループは、システムおよび制御への影響を特定できないリスクに晒されている。資金の流れを報告し、マネーロンダリング、テロ資金調達、スキャムその他の重大な犯罪に対抗するための強固なプログラムを実施できないと、当グループおよびその従業員に財務上、法的およびレピュテーションの面で深刻な影響が及ぶ可能性がある。
当グループがAML/CTF、制裁措置、不正行為およびスキャムに関する規制当局の期待に応えられない結果、罰金、刑事上および民事上の罰則、民事訴訟、レピュテーションの毀損および一定の法域で事業を行うことの制限などが発生する可能性がある。これらの結果によっては、個別または集団的に、当グループのポジションに悪影響が及ぶこともあり得る。当グループが海外業務を行っていることにより、当グループに対する規制当局からの監視が強化され、法令遵守コストが増加する可能性がある。
法律、規則への不遵守や規制当局の期待に応えられないことに関連するリスクの詳細については、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
18.金融政策の変更は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
中央金融当局(RBA、RBNZ、米国連邦準備制度理事会、欧州中央銀行、イングランド銀行および当グループが業務を行うアジアの法域の金融当局を含む。)はそれぞれ関連法域で通貨および信用の需要に影響を与えるため、政策金利の設定またはその他手段を取っている。法域の一部では、通貨政策が全般的な事業状況ならびに通貨および信用の需要に影響を与えるために使用される。これらの手段および政策は、当グループの貸付および投資の資金コスト、ならびに当グループがそれらの貸付および投資からあげるリターンにかなりの影響を与える可能性がある。これらの要因は当グループの純預貸利鞘に影響を与え、当グループが保有する債券およびヘッジ商品などの金融商品の価値に影響を与える可能性がある。中央金融当局の取る手段および政策はまた、当グループの借入者に影響を与える可能性があり、借入金返済を履行できないリスクを潜在的に増加させる。かかる政策金利および金融政策の変更を予測することは困難であり、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。リスク要因3.「オーストラリア、ニュージーランドまたは当グループが事業を行うその他市場の不動産市場の変動は当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因9.「信用リスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
19.自動情報交換(AEoI)に基づくグローバル顧客の税務の透明性に関する制度により課される、現在も拡大している広範囲に及ぶ義務を遵守しなかった場合、規制上の影響(多額の制裁金を含む。)が生じる可能性ある持続的なリスクがあり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
すべてのグローバルな金融機関(「FI」)(当グループ内のFIを含む。)による、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)、経済協力開発機構(OECD)の共通報告基準(CRS)およびこれらに類する租税回避対策制度に基づくグローバル顧客の税務の透明性に関する制度への遵守に関して、引き続き強制的かつ大幅な変更が行われており、また規制当局の関心も高まっている。これらは、強制執行や罰則の世界的な規制による動きや、追加的なコンプライアンス枠組み要件、コンプライアンス評価要件、調査、オンサイトの金融機関監査、証拠に関する要件、回避の封じ込め、不遵守の阻止、検出および罰則の賦課を目的とした詳細な規則および枠組みの規制による実施の強化が含まれている。継続中のOECD諸国の政府レベルでの相互審査ならびに米国内国歳入庁(IRS)および規制当局によるFIのコンプライアンス審査/監査要件によりFIに対する監視は強化されているため、世界中でFIには予定外の作業負荷が増している。不遵守の防止および処罰のために罰金制度が十分であることを確保するよう、各CRS採択国はOECDにより迫られている。
当グループは世界的に相関関係が存在する事業環境で事業を展開するFIであるため、各国の様々な制度の実施に伴う義務が高度に複雑かつ厳格な性質を有するものであることは当グループのオペレーショナル・リスクやコンプライアンス・リスクを高めている。国際的な規制遵守の枠組みが成熟し、規制当局が執行(金銭的制裁を含んだり、その他のより一般的な税務リスクの枠組みに影響する可能性がある。)に重点を移しているため、不遵守となった場合には多額の制裁金の要求や評判の失墜につながる可能性がある。したがって、グローバル顧客の税務の透明性に関する制度の遵守は、当グループにとって主要な関心分野であり、大きなコストを発生させている。
FATCAおよびその他の関連する米国財務省の規則に基づき、当グループは以下の影響を受ける可能性がある。
・ 継続中の詳細にわたる義務を適切に履行できない場合、一定金額(顧客に支払われる金額を含む。)に対して30%の源泉徴収税を課せられ、上位支払者に対して一定の情報を提供するよう求められる可能性があり、また、その他の不利な影響も受ける可能性がある。
・ 米国と当グループが業務を行う適用ある法域との間のFATCAに関する政府間協定が失効した場合、広範なコンプライアンスの問題、重大な源泉徴収に関わるエクスポージャー、競争面での不利な状況およびその他の業務上の影響を受ける可能性がある。
CRSの下で、当グループは、
・ 太平洋地域などの当グループが事業を行っている開発途上国における課題に直面している。これらの国々の現地規制当局は一般に「パートナー」国家から支援を受けており、実施や遵守のための基準や証拠に関する要件の導入は引き続き困難である。
・ 所定の顧客情報の収集または報告の不履行について、さらに広範な「裏付けのある信頼関係」による結論および多額の罰金と共に、現地の法律および規制の実施において国ごとに特有の広がり続ける大幅な差異に対処しなければならない。
・ 規制当局の取り組みの重点がFIの効果的な実施へ移ったため、ますます厳格化する規制当局による監視と措置を受けている。このような規制強化は各国で異なるペースで行われているが、影響を受ける顧客にとって重大な不利益な体験(一方的な口座の凍結および閉鎖ならびに顧客への直接的な罰則の可能性を含む。)につながる可能性があり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ、また、他のFIが同様のことを履行しない場合には重大な競争上の不利益および事業上の損失が生じる可能性がある。
・ 凍結および閉鎖の影響により不当に扱われたと感じる顧客により、法的責任や第三者賠償責任に晒される可能性が高まるなど、顧客成果の悪化に直面するが、これはとりわけ当グループが規制上の問題を顧客に明確に伝えていなかったり、(例えばデータやプロセスの誤りにより)不正に口座を凍結または閉鎖した場合に起こる可能性がある。
・ 仲介機関に関連する複雑な要件が絡む多くの実施上の課題に引き続き対処しており、このことがまた、規制上の影響を受けるリスクを高める可能性がある。
・ OECDの暗号資産等報告枠組み(CARF)および改正された共通報告基準(CRS)に関連する規制変更の実施が、当グループが事業を展開するほとんどの法域で差し迫っている状況に直面している。導入スケジュールが統一されていないため、各法域で異なる開始日が適用されることとなる。
当グループ、サンコープ・バンクおよびANZバンク・ニュージーランド・グループの規模および複雑性は、FATCA、CRSおよびその他の税務報告制度への不遵守を犯すリスクが引続き高いことを意味している。最近では、CRSおよびFATCAに関する義務、手続きおよび報告(該当する場合)について、オーストラリア税務当局、ニュージーランド内国歳入庁その他の現地規制当局との間でやり取りが行われている。主要な人材および重要な特定分野の専門家の流出と共に、資格を有する後任者の発掘という課題は上記義務への不遵守リスクを増大させている。実施されたプロセスを上手く運用できない、または義務のすべてを特定および履行できない場合、当グループおよびその従業員に法律、財務およびレピュテーション面への影響が生じる可能性がある。かかる影響には、罰金、刑事上および民事上制裁、民事上の請求、是正措置、システムやプロセスの修正、レピュテーションの毀損、競争上の不利益、事業損失、事業遂行上の制約が含まれる。
これらの影響は、個別的または集合的に、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
20.いずれかの法域における当グループの営業免許の予期せぬ変更は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループは、様々な法域で営業する免許を取得している。政府、当局または規制省庁により、営業免許の条件に対し、当グループがこれまで許可されていた方法での取引を禁止または制限するような予期できない変更がなされた場合には、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
環境関連リスク、ソーシャル・リスクおよびガバナンス・リスク
21.将来の気象関連事象、自然の喪失、人権、地質学的事象、植物、動物および人間の疾病ならびにその他外因性事象の影響は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループおよびその顧客は、気象関連事象(自然災害を含む。)、地質学的事象(火山・地震活動または津波等)、自然の喪失(種の絶滅や減少、生態系の悪化に起因するものを含む。)、植物、動物および人間の疾病またはCOVID-19などのパンデミックならびに人権リスクなどから生じるESGリスクに晒されている。これらはそれぞれ、当グループの事業および顧客に重大な影響を及ぼす可能性がある。
気候関連の物理リスクは増加しつつあり、世界の平均気温の上昇や、恒常化している異常気象の影響を通じて観測されている。気象関連事象には、暴風雨、森林火災、サイクロンおよび洪水などが起こり得る。気候パターンの長期的な変化には、海面水位上昇ならびに気温および降雨量(干ばつを含む。)の変化などがあり得る。これらの事象による影響は、二次的影響も含めて拡大する可能性がある。例えば、干ばつが経済に与える影響は、一次生産者のみならず、農業部門への供給業者を含む当グループの他の顧客や、影響のあった地域に居住しその地域内で事業を営む者にも及ぶ可能性がある。この結果、直接的または顧客に対するこれらの事象が及ぼす影響を通じて、当グループは気象関連事象に晒される可能性がある(リスク要因22.「直接または間接に気候リスクの影響を受けることがある顧客向けの貸付に伴うリスクは当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。)。
当グループがさらに理解を深めるよう努めている新たなリスクに自然リスクがある。自然リスクは、自然に重大な影響を与える、または自然に依存する顧客への融資から生じる可能性がある。また、これらのリスクは法律や規制の変更によっても起こる可能性があり、これが直接的にまたは当グループの顧客を通じて間接的に当グループに影響を与える可能性がある。これらのリスクの管理を怠った場合、財務リスクおよびNFRにつながり、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
人権リスクは、当グループの人員の安全と安心、労働上の権利、現代の奴隷制、プライバシー、汚職と贈収賄、環境保護および土地の利用と権利に関して生じる。当グループは、リスクベースのデューデリジェンスにより、人権リスクと当グループのビジネス関係に関連する影響を特定している。これらのリスク管理ができない場合、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
気候変動、自然、人権、またはその他のESGリスクに関連する法令に加えて、株主、従業員および利害関係者の見解により、当グループが一定の活動に従事するかまたは一定の商品を提供するか否か、およびそれらを行う条件に影響が及ぶ可能性がある。その頻度および深刻さによっては、これらのリスクは、当グループの支店もしくはビジネスセンターなどのサービスまたは他の当グループのサービスの提供を中断または制限する可能性がある。また、当グループの財務状態または顧客に対して供与する信用ファシリティに関連する担保状況に悪影響を与える可能性があり、これがさらに当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
22.直接または間接に気候リスクの影響を受けることがある顧客向けの貸付に伴うリスクは当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループにとって最も重大な気候リスクは、企業およびリテールの顧客に対する貸付によって引き起こされる。顧客は物理リスクおよび移行リスクによる影響を直接受ける可能性がある。これには、異常気象が顧客の事業または財産に及ぼす影響(保険料のコスト、保険金の入手可能性や保険の補償範囲の十分性の影響を含む。)、顧客の事業が行われている規制環境および政策環境の変化、新テクノロジーによる混乱、ならびにより低排出な商品やサービスへの需要の変化などがある。気候リスクは顧客のサプライチェーンに対する影響により、間接的に顧客に影響を与える可能性がある。
気候リスクは、顧客の債務返済能力に影響を与え、債務不履行の可能性を高め、「座礁資産」を生み出し、および/または担保として保有された担保物件の価値や流動性が損なわれることにより当グループの回収可能額に影響する可能性がある。熱帯低気圧サイクロン「アルフレッド」や2025年のクイーンズランドおよびニューサウスウェールズでの洪水などのオーストラリアにおける最近の異常気象が顧客に影響を与えている。
気候変動に関するリスクに対し、規制上、政治的および社会的に注目が高まっている。
リスク管理、内部統制、非財務リスク(NFR)およびレピュテーショナル・リスク
23.コンダクト・リスク事象は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
コンダクト・リスクは、当グループが事業活動を行うにあたり、消費者の利益、金融市場の健全性およびステークホルダーの期待を当グループ、従業員または代理人が適切に考慮しないことから生じる損失または損害のリスクである。
コンダクト・リスクは以下のものを含む。
・ 顧客に対する不相応または不適切な助言の提供。
・ 商品もしくはサービスに関する不正確な説明もしくは開示、または顧客に対してリスクおよび利益について十分な情報を提供しないこと。
・ 条件、開示、提案および助言に従った商品の特徴および利益の伝達ができないこと。
・ 実際、潜在的、およびすでに認識されている利益相反を特定、管理および(適切な場合には)回避できないこと。
・ 不適切な苦情処理または改善プロセス。
・ 経済的困難にある顧客に対する義務を尊重せず、遵守しないこと。
・ 金融市場における無許可の取引活動
オーストラリアおよびニュージーランド全域にわたり、規制当局やステークホルダーはコンダクト・リスクに対して厳しい監視を続けている。継続的な経済的不確実性、生活費の上昇および可処分所得の減少は、顧客にとって持続的な圧力となっており、顧客への貸出能力や必要とされる返済猶予の水準の双方に影響を及ぼしている。中東における紛争の激化は、市場のボラティリティの高まりや生活費の逼迫により、顧客の脆弱性やサービス提供に影響を与えることで、コンダクト・リスクを一層高めるおそれがある。このような環境下で高まっているコンダクト・リスクを管理するため、当グループは、引き続き財務的困難に直面している顧客を密接に監視し、対象を絞った適切な支援を提供していく必要がある。依然としてこれらの課題は進展を続ける規制当局の優先事項であり、より規範的な指針の提示と執行の強化を通じて規制当局からの期待は高まっている。このような状況下で、責任のある貸出慣行に脆弱性があれば、住宅ローン詐欺(収入、支出または居住状況の虚偽申告を含む。)のリスクが高まる可能性があり、これが顧客への損害、規制措置、レピュテーションの毀損や財務的損失につながる可能性がある。
ニュージーランドにおいて、金融機関が顧客を公正に扱うことを確保するための包括的な金融機関向けの行動規制の制度が、2025年3月に導入された。この制度が施行から2年目に入るにあたり、金融市場庁はコンプライアンスに対する監視を強化する可能性がある。この期待に対応できない場合、コンプライアンス・コストの増加や規制上のリスクの拡大につながり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、内部の紛争解決手続きおよび外部の紛争解決制度(オーストラリア金融苦情監督機構など)を通じて、顧客からの苦情対応を行っている。これらの苦情に関連して、当グループは、顧客に対する支払いおよび/または外部の紛争解決制度に課される手数料を支払うことがある。
当グループの顧客に影響を与えるリスク事象の発生にあたり、ANZBGLには、顧客救済プログラムに対して責任を負う中央化されたチームが置かれており、かかるプログラムにはANZBGLの見直しから明らかになった行為に関する問題への対処が含まれる。同様に、ANZバンク・ニュージーランド・リミテッドも個別の中央化された顧客救済チームを有している。コンダクト・リスク事象により、顧客や市場の健全性が悪影響を受ける可能性があるばかりでなく、当グループが規制当局の措置、銀行業免許に制限もしくは条件を課せられ、レピュテーションへの影響にさらされる可能性があり、これが当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。救済プログラムが適切に実施されない、またはさらなる救済業務が必要となる可能性があり、これが訴訟、規制上の措置および当グループの費用の増加を招き、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。コンダクト・リスクに対する規制上の関心の高まりについての詳細は、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」およびリスク要因16.「訴訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
24.レピュテーショナル・リスクに関する事象は、業務上の不履行および規制の不遵守とともに、レピュテーショナル・リスクを引き起こす可能性があり、これが利害関係者の信頼を損ない、当グループのブランドを低下させ、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループのレピュテーションは貴重な財産であり、事業のイニシアチブおよび資金調達力または資本調達力に関して地域社会から受ける支援に大きく貢献している。レピュテーショナル・リスクは、外部の事象または業務上の不履行および規制の不遵守を含む当グループの実際のまたはそのようにみなされる行為および慣行の結果として生じる可能性がある。これらの事象が発生すれば、当グループに対する一般(当グループの顧客を含む。)、株主、投資家、規制当局および格付機関の認識に悪影響を及ぼす可能性がある。当グループのレピュテーションに関するリスク事象の影響は、リスク事象そのものの直接的なコストを上回る可能性があり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループの慣行の一つが社会の期待に応えることができなかった場合、当グループはレピュテーションから生じる損害を被る可能性がある。社会の期待は、継続的に変化し進化している。期待は適用法に従うために必要な基準を超えて求められることもあるため、当グループは法的義務を果たしている場合でもレピュテーションによる損害を被る可能性がある。
社会の期待と当グループの慣行との相違は、商品およびサービスの開示の慣行、価格設定方針ならびにデータの利用を含め、多くの状況で発生しうる。当グループのレピュテーションは、特に金利上昇の局面において、広範な金融サービス業界に対する社会の認識により悪影響を受ける可能性がある。レピュテーションから生じる損害は、当グループによる効果的なリスク管理の不履行、規制当局による執行または監視措置、規制当局による調査の不利な結果によって、ならびに地域社会、環境および倫理的問題に適切に対応できないまたは対応できないとみられた場合に生じる可能性がある。当グループは随時、アクティビスト株主の行動の結果、世間の監視が強まり、レピュテーションによる損害に晒される可能性がある。オーストラリアにおいて投資家の行動主義(アクティビズム)を呼んでいる分野は主に環境および社会問題に関連しており、当グループ自身または当グループが資金提供している相手方の行動にも関心が寄せられている。
業務上の不履行および規制の不遵守または業務上の不履行および規制の不遵守とみなされることがレピュテーショナル・リスクを生じさせる可能性がある。かかる業務上の不履行および規制の不遵守には、以下が挙げられる(ただし、これらに限定されない。)。
・ 身元確認義務の充足に関する不履行
・ 商品の開発に関する新たに発生する不履行
・ 継続中の商品モニタリング活動に関する不履行
・ ターゲット市場外で商品販売を行う際の適合性要件に関する不履行
・ 開示義務の不遵守
・ 財産管理リスク(例えば、信用、市場、オペレーショナルまたはコンプライアンス)に関する失敗
・ 市場操作または反競争的行為
・ 不適切な危機管理/危機的事象への対応
・ 不適切な顧客苦情処理
・ 不適切な第三者との取決め
・ プライバシーの侵害、および
・ 不測のリスク
当グループのレピュテーションに対する損害は、当グループの収益性、規模および資金調達費用、規制当局による監視の強化、規制当局による強制措置、追加的な法的リスク、ならびに新規事業機会の獲得可能性の制限への悪影響など、広範囲に影響を及ぼす可能性がある。当グループのレピュテーションが損なわれる場合、当グループが顧客を引き付け維持する能力もまた悪影響を受ける可能性があり、これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
25.非財務リスク(NFR)事象は、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
NFRは、不適切または不備のある社内の手続き、人員およびシステムおよび/もしくはデータまたは外的事象から生ずる損失リスクおよび/もしくは法の不遵守(法律、規制、業界基準および規範、ならびに内部方針に従い行為しないことを含む。)のリスクである。当グループの非財務リスク(NFR)フレームワークは、以下に示すリスク・カテゴリーに基づいて構成されている。これらのリスクは単独あるいは複合的に生じる可能性があり、財務的損失、規制措置、レピュテーションの毀損または当グループの業務上の混乱を招き、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
・ 金融犯罪および不正行為リスクとは、当グループが金融犯罪や不正行為を助長したり、可能にしたり、または防止できないリスクであり、当グループの方針への不遵守または規制当局の期待事項に応えられないことも含む。これには、マネーロンダリング、テロ資金供与、制裁回避または贈収賄および汚職を助長するリスクが含まれる。リスク要因17.「マネーロンダリング防止、テロ資金、制裁、不正行為および詐欺に関連する法令違反の場合に多大な罰金および制裁を受ければ、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。」を参照のこと。金融犯罪および不正行為リスクは内部不正も含み、内部不正とは、内部関係者(例えば、当グループの従業員や臨時職員)が企図するまたは遂行する不正行為や窃取のリスクを指し、従業員が外部関係者と共謀して行為する場合を含む。外部不正とは、当グループの従業員や臨時職員の意図的な関与なしに企図または遂行される不正行為のリスクを指す。外部不正の一例として住宅ローンに関する不正があり、これは住宅ローン貸出に内在するリスクで、ローンの組成から債権管理に至る各業務において、顧客による虚偽申告、偽造書類または仲介業者その他第三者による不正行為から発生する可能性がある。かかる行為は、返済の延滞の増加や信用損失拡大につながる可能性があるほか、業務、是正対応、法務およびコンプライアンスに係る追加コストを生じさせる可能性がある。さらに、住宅ローン不正は、規制当局による監視の強化やレピュテーションの毀損を招くおそれがあり、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
・ コンプライアンス・リスクとは、当グループが事業を展開する法域において、適用ある法令、規則および規制当局の期待に沿って行動できないリスクを指し、その結果、規制当局による譴責、制裁金その他の監督上の措置につながるものである。これには、コンプライアンス・リスクに加え、より広範な規制上のリスクも含まれる。コンダクト・リスクは、当グループ、その従業員または代理人が当グループの事業活動の遂行にあたり、顧客の利益、金融市場の健全性や規制当局その他のステークホルダーの期待を適切に考慮しなかった場合に生じる可能性がある。リスク要因23.「コンダクト・リスク事象は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
・ オペレーショナル・リスクおよびレジリエンスは、業務上の混乱に対する予防、耐性、適応または回復を行う当グループの能力を損なう不適切または機能不全の内部プロセス、人員、システム、または外部事象から生じる可能性がある。これには、事業継続および危機管理、第三者との関係、物理的安全、人員および雇用慣行、取引の処理および実行、法的手続およびプロセス、法定・税務・規制報告ならびに変革イニシアチブの遂行に関連するリスクが含まれる。当グループは、リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」に記載のものを含め、大規模かつ複雑な戦略や規制に関する変革イニシアチブのポートフォリオを推進している。このポートフォリオの規模の大きさや同時並行で実施されていることは、大規模変革に伴うオペレーショナル・リスクを増大させる要因となる。また、「オペレーショナル・リスクおよびレジリエンス」にはモデルリスクも含まれており、これはビジネス上の意思決定の伝達に用いられるモデルの設計、開発、利用または報告における誤りに起因して不利益な結果が生じるリスクを指す。リスク要因32.「モデルリスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
テクノロジー・リスクは、ハードウェア、ソフトウェアまたはネットワークの障害を含む技術システムの停止または性能低下が発生し、これにより業務運営が阻害される場合に生じ得る。リスク要因28.「ITシステムの障害、あるいは新規技術システムの実施の失敗は、当グループの事業を大いに妨害する可能性があり、これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。データ管理リスクは、顧客および従業員に関するものを含むデータや当グループの固有データの収集、利用、管理、維持または処理を当グループが適切に行えない場合に生じる。リスク要因30.「データ管理リスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
・ 情報セキュリティおよびサイバー・リスクには、サイバー攻撃、データの喪失または情報の盗難などの情報セキュリティ・インシデントのリスクが含まれ、情報資産を十分に保護または統制できないことや、情報セキュリティの要件を遵守できないことから生じる。
当該リスクは、顧客データ、従業員データおよび当グループの固有データを含むあらゆる種類のデータに当てはまる。リスク要因29.「サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」を参照のこと。
26.当グループのリスク管理の枠組みによりすべての既存のリスクを適切に管理する、または新たに発生したリスクを十分に素早く検知することができない場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
リスク管理は当グループの活動にとって重要な要素である。これには、当グループのリスクの特定、測定、監視および緩和ならびに当グループのリスク・プロファイルおよび特定された管理の有効性に関する報告を含む。当グループのリスク管理の枠組みの有効性について完全な保証はなく、それらには、既存のリスクおよび当グループが適時に予想もしくは識別できない新たなリスクへの効果が含まれ、また、これらに対する管理が有効でない可能性がある。リスクを効果的に管理することができない場合、当グループのレピュテーションまたは規制上の義務の遵守に悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループは、定期的にリスク管理の枠組みの改善に取り組んでいる。当グループは、そのリスク管理方針の遂行および定期的な見直しを行い、リスクの管理および軽減のため追加資金を当グループ内で配分する。かかる取組みによって当グループがリスクに晒されることを防げない可能性もあり、当グループのリスク管理の枠組みが効果的であるという完全な保証はない。例えば、当グループは、そのリスク文化や非財務リスクの管理について改善が必要であり、規制当局が当グループに対して正当に期待する基準には達していないことを認識している。リスク要因15.「規制の変更または法律、規則もしくは方針を遵守できないことは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」に記載のとおり、2025年4月にANZBGLは、非財務リスク管理慣行およびリスク文化の不備に関連してAPRAとの間でCEUを交わした。当グループはこれらに対処するための措置を講じているが、その成果はこれらの措置が時間の経過とともにどの程度定着し、成熟するかに依存することになる。当グループのリスク管理プロセスまたはリスクガバナンスにおける不備により、当グループが不測の損失およびレピュテーションの低下を被る、および規制上の義務を遵守できない可能性があり、このことが当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
27.人的資本リスクは、現在および将来の事業ニーズを満たすために、当グループの人員を引き付け、育成し、意欲を持たせ、維持することができない状態に関連するものであり、財務的成果および顧客成果を上げられず、当グループが顧客およびその他の利害関係者の期待に応える能力が減少する可能性がある。
主要な執行役員、従業員および取締役は、当グループの事業運営およびその戦略的目標の追求において、重要な役割を果たしている。重要な役割を担う個人の予想外の離職が生じた場合、または特にデジタル、テクノロジー、リスクまたはコンプライアンスの分野において、当グループがこれらの役割に適切な技術および資格を有する者を採用、育成および維持できない場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
当グループは、業務の効率化と簡素化およびコスト削減への取り組みの一環として、人員削減とコンサルタントやその他第三者との契約縮小を続けている。人員削減は、事業の継続を妨げ、組織内の知識の喪失を招き、さらには当グループを法的請求、規制当局による監視またはレピュテーションの毀損のリスクに晒す可能性がある。当グループが移行を効果的に管理し、組織内に必要なスキルを維持できない場合、業務実績や長期の成長見通しに悪影響が及ぶ可能性がある。
28.ITシステムの障害、あるいは新規技術システムの実施の失敗は、当グループの事業を大いに妨害する可能性があり、これは当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
当グループの日々の運営およびサービス提供(デジタル・バンキングを含む。)は、第三者が保守/提供するシステムを含む情報技術(「IT」)システムに大きく依存している。デジタル時代において、顧客は24時間年中無休でいつでも利用可能な銀行サービスを期待している。この期待に応えるためには、高い可用性とレジリエンス(回復力)を兼ね備えたITシステムが必要となる。重要業務を支えるITシステムに障害が生じた場合には、当グループがコンプライアンス義務を履行できなかったり、顧客のバンキング業務のニーズに応えられなくなる可能性がある。ITシステムの障害は予測不能であり、多数の原因から発生する可能性があり、その多くが当グループの直接的な管理を超えている。例として、第三者のサービス提供者による業務上の障害または不備、偶発的な技術的障害、電力または電気通信の停止、コンピューター・サーバーまたはインフラストラクチャーの障害などがある。
当グループは、ITシステムを維持し、これらのシステムに関するリスクを予防的に特定、評価、対応する継続的な責任を負っている。主要なリスク・エクスポージャーには、IT資産のライフ・サイクル管理、プロジェクト・デリバリー、技術のレジリエンス、技術のセキュリティ、第三者の利用、データの保持および復元ならびにビジネスルールおよび自動化などが含まれる。これらのリスクへの対応が不十分であった場合は、システムの安定性と安全性が損なわれ、顧客に悪影響を与え、当グループの運営コストの増加、および/または規制要件の不遵守を招く可能性があり、これらのいずれも当グループのポジションに悪影響を及ぼし得る。
外部の脅威環境は絶えず変化しており、当グループのインシデント対応、災害復旧および事業継続対策が深刻かつ複雑な事象に対処できることが求められている。当グループのシステムに障害が発生した場合、その影響はネットワーク全体に広がるおそれがあり、最終的に当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。重要なシステムに関する復旧目標は、顧客への影響および規制上の義務に基づき定められている。かかる目標は、レジリエンス投資の優先順位付けに反映されるとともに、インシデント対応活動の指針となる。
当グループは、その技術環境の費用対効果を高く保ち、かつ進化する顧客要求に対応できるように、引き続きクラウド、データ、AIおよび自動化テクノロジーなどの新しいITシステムや機能を導入し、統合させている。これらの取り組みの成否は、適切な導入や統合に加え、ベンダーやサプライチェーンの効果的な管理に依存している。これらのいずれかに不備があった場合は、当グループのポジションに悪影響が及ぶ可能性がある。
このリスク要因については、情報セキュリティ侵害やサイバー攻撃が、ITシステムの障害を引き起こす可能性があるため、リスク要因29.「サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。」と併せて読むべきである。
29.サイバー攻撃を含む情報セキュリティに関連するリスクは、当グループのポジションに悪影響を与える可能性がある。
デジタル界は、積極的な革新および新たな脅威の両方を伴って絶えず進化している。そのため、当グループは、サイバー事象やデータ損失のリスクが、当グループの事業にとって依然として重大な懸念事項であることを認識している。人工知能の進展などのサイバー脅威を取り巻く最近の動向は、ソフトウェアの脆弱性を特定し、悪用するまでの速度を速める可能性がある。業界では、かかる動向により、脆弱性の発見から悪用までの時間が短縮され、攻撃チェーンの高度化と有効性の向上をもたらし、ソフトウェアや第三者のサプライチェーンに関連するリスクを増大させる可能性があると指摘されている。これらの動向は、金融サービス部門に影響を及ぼすさらなるサイバー脅威環境の変化を示しているおそれがあり、急速に表面化する、または従来知られていなかった脆弱性(第三者への依存に起因するものを含む。)を悪用したサイバー攻撃が頻度を増したり、より大きな影響を及ぼす可能性を高めている。
サイバー攻撃の脅威は巧妙さ、持続性、規模、頻度および影響において増大し続けている。脅威には、ビジネスメール詐欺、ランサムウェア、分散型サービス拒否攻撃、データ侵害、第三者やソフトウェア・サプライチェーンのリスク、内部リスク、ソフトウェアの脆弱性、国家支援および犯罪組織によるAIを活用した攻撃、地政学的動機によるサイバースパイおよび破壊的攻撃を含むものの、これらに限られない。
サイバー攻撃は金融システムを不安定にし、顧客の銀行サービスの深刻な障害または顧客データのプライバシーの漏えいを招く可能性がある。サイバー攻撃の規模も複雑さも増大しているため、対策および防御層が十分でなくなり、機密情報が不注意で漏えいしてしまうリスクが常にある。
当グループは、ランサムウェアや第三者によるデータ侵害の外部発生件数の増加、世界的な政治情勢の不安定化の持続、AIの広範な採用によるセキュリティへの影響に着目している。AIは、顧客へのサービスの大幅な進歩を支援する可能性を秘めているが、犯罪者による当グループとその顧客に対する詐欺、スキャムおよびサイバーによる脅威の実行を助け、可能にし、既存の手法を強化する可能性もあり、サービス拒否、ディープフェイクの犯罪利用およびより巧妙なソーシャル・エンジニアリング攻撃のリスクを含め、サイバーセキュリティに対するリスクを増大させる。さらに、データセットやアルゴリズムにおける顧客データの不用意な開示や誤用があればレピュテーショナル・リスクに影響する可能性がある。詳細については、リスク要因33.「AIの利用は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」を参照のこと。
サイバー攻撃に対する国民の強い反応は、プライバシー侵害に対する将来の罰則の大幅強化の可能性を伴う政治的関心を高める結果となった。当グループがサイバー攻撃の標的となった場合、上述のリスクに加え、サイバー攻撃に対する国民の反応および/または規制当局によって科される罰則を考えると、レピュテーションが毀損するリスクがあり、当グループの業務に重大な悪影響が及ぶ可能性がある。国内および国際的な規制当局が、2023年-2030年オーストラリア・サイバーセキュリティ戦略の公表、ニュージーランド政府による同様の取り組みおよびその公表後の法改正に関する議論、審議および実施を含め、情報セキュリティに注力するようになり、規制の様相も変化している。
情報セキュリティへの注力はシステムおよびデータの機密性、完全性または可用性を保護するための鍵である。当グループは、世界的な銀行業務の一環として、当グループが事業を展開する複数の地域にわたって、顧客およびその内部プロセスについて相当数の個人情報および機密情報を取り扱い、保管している。かかる情報は内部および第三者のホスト環境の双方において処理および保存されている。そのため、当グループまたは当グループが契約している第三者によって運用されている主要なセキュリティの方針または管理における脆弱性が、データやその他の個人情報または機密情報の喪失を招き、また、財務的損失(顧客への通知および補償に関するコストを含む。)、規制当局の調査、制裁またはレピュテーションの毀損が生じ、当グループの事業に悪影響を及ぼすおそれがあり、この結果、当グループのポジションが影響を受ける可能性がある。
30.データ管理リスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
データ管理とは、業務データ、顧客データ、従業員データおよび当グループの固有データをそのライフサイクル(取得、利用、維持、保存および処分を含む。)にわたって管理するプロセスと手法を指す。これには、データの適切な管理と保護、ならびに安全かつ効果的な意思決定のためのデータ利用を確保することを目的とした、方針、基準およびアカウンタビリティの策定、実施および監督が含まれる。
データ管理リスクとは、業務プロセス全般(エンドツーエンド)にわたり、データが適切に取得、統制、維持、生成または利用されない場合(特にシステム導入、業務プロセスの再設計または規制変更などの変化の局面の際)に生じるリスクである。不十分なデータ管理は、不正確、不完全、利用不可もしくは目的適合性を欠くデータの発生、データの所有権およびアカウンタビリティの不明確化、データのライフサイクル全体を通じた整合性の喪失、データの意味の明確さの不足、重要データに対する不十分な管理、またはデータ不備の検知および対応の遅延を招くおそれがあり、データ品質、完全性およびコンプライアンスを損なう可能性がある。データ管理リスクが適切に管理されない場合、効果的なリスク管理が阻害され、経営および規制当局への報告の正確性や信頼性が損なわれ、オペレーショナル・レジリエンスが低下し、顧客成果の悪化や不備のある意思決定につながる可能性がある。規制要件やプライバシー要件を含むデータ管理や記録保持の義務を遵守できない場合、当グループは財務的損失、規制措置またはレピュテーションの毀損に晒される可能性がある。また、データ管理リスクは、当グループ全体にわたってオペレーショナル・リスク、コンプライアンス・リスク、財務報告リスクや変革リスクを増幅させ、他の重要リスクの根本原因としても作用し得る。
31.プライバシー・リスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
銀行業は顧客と直接接する産業である。当グループの顧客情報を適切に管理できる能力に対する信頼は、その事業の基盤を成す要素であり、個人情報の収集、利用および開示は、当グループの中核商品やサービスの提供において不可欠である。適用されるプライバシーに関する法律や規制に従わない場合、レピュテーションへの影響、規制措置および/または訴訟を通じて、当グループのポジションに重大な悪影響が及ぶ可能性がある。
32.モデルリスクは、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
当グループは、重大なビジネス上の意思決定(貸付の決定、所定自己資本の計算、引当金の水準、顧客へ支払う補償金およびストレスのかかるエクスポージャーを含むがこれらに限定されない。)のための多数のモデルに依拠している。モデルが不適切に設計、実施、使用もしくは維持され、または不正確な仮定もしくはインプットに基づいていることが明らかになった場合、当グループのポジションは悪影響を受ける可能性がある。
33.AIの利用は、当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。
AIは、ラーニング(学習)、リーゾニング(推論)および意思決定などの人間の知性を通常必要とするタスクを実行できるシステムの開発を指す。AIは、当グループのビジネス・プロセス全体において革新と効率化の促進のためにますます活用されるようになっており、当グループの戦略と競争上の地位の実現を支える重要な役割を果たしている。
しかしながら、AIが当グループの業務に一層取り込まれるようになり、AI関連の規制環境が急速に進化を続け、また、AI技術が自律的かつ拡張可能となり、重要な業務プロセスに組み込まれていく中で、当グループまたは第三者によるかを問わず、AIの利用にあたり管理およびガバナンスが不十分である場合には、重大なオペレーショナル・リスク、コンダクト・リスク、プライバシー・リスク、知的財産リスク、コンプライアンス・リスク、レピュテーション・リスクおよび人材関連リスクを招く可能性がある。上記には以下が含まれるが、これらに限定されない。
・ 不正確、信頼性を欠く、または不明瞭なAI出力により、不適切、不整合または説明不能な意思決定が行われる可能性(意思決定が十分に理解、検証または正当化されない場合を含む。)。
・ 既存のバイアスの増幅や新たなバイアスの発生により、顧客、従業員またはカウンターパーティーに影響を及ぼす差別的、不公平または非倫理的な結果を招く可能性。
・ AIシステムまたはその出力への過度な依存(オートメーション・バイアスまたは意思決定権限の不適切な委譲を含む。)による、的確な人的判断または監督の低下。
・ 顧客、カウンターパーティー、従業員の情報または機密情報がAIツール、プロンプト、学習データまたは出力において不適切に利用、開示、保持または組み込まれる場合を含め、データの機密性、可用性または完全性が失われることによる、プライバシー、機密保持または知的財産に関するリスクの発生。
・ データ・ドリフト、運用環境の変化またはライフサイクルにわたるモニタリング、テストおよび変更管理が不十分であった場合に起因するものを含めた、時間の経過に伴うモデル性能の劣化。
・ 限られた数のAIベンダー、プラットフォームまたは基盤モデルへの過度な依存による、業務における脆弱性、集中リスク、システミックな依存関係、第三者の障害または契約上の制約に対するエクスポージャーの増大。
・ 断片的で急速に進化し、かつ法域ごとに異なるAI関連の法令、規制および監督当局の期待に起因する、コンプライアンスの複雑性の増大および法的な不確実性の高まり。
・ ディープフェイク、合成ID、なりすまし、フィッシングやより高度なソーシャル・エンジニアリング手法を通じて行われるものを含め、不正行為、詐欺その他の金融犯罪を助長または増幅させる悪意ある行為者によるAIの利用による、財務上の損失、是正コスト、業務障害およびレピュテーション毀損が増大する可能性。
・ AIの導入拡大に伴う労働力の変容(雇用の代替および求められる技能や役割の大幅な変化を含む。)により、要員計画、リスキリング、変革の実行および従業員との関係に関する課題が生じる可能性がある。より広くみれば、経済全体においてAI主導による労働市場の変革が加速することで、失業または不完全雇用が増加し、住宅ローンなどのポートフォリオを含め、顧客の所得の安定性と与信の質に悪影響を及ぼす可能性がある。
・ AIにより可能となった高度な外部からの悪意ある攻撃(高度な能力を有する脅威アクターによるAIシステム、モデル、データまたは出力の操作、悪用または汚染を含む。)により、AIを活用した意思決定の完全性と信頼性が損なわれ、既存の統制が回避されるおそれがあり、それによって業務の混乱、不正行為、財務的損失またはレピュテーションの毀損が生じる可能性がある。
また、AIシステムは、敵対的手法、サイバーによる干渉または不正アクセスにより、悪用、操作または攻撃を受ける可能性があり、システムの完全性、可用性または安全性が損なわれるおそれがある。かかるリスクは、従来の技術や不正に比べて検知、原因特定および是正がより困難となる場合がある。
これらのAI関連リスクが適切に特定、評価および管理されない場合、当グループにおいて顧客への損害、規制措置、訴訟、財務的損失、レピュテーションの毀損またはステークホルダーの信頼の毀損が生じるおそれがあり、これらはいずれも当グループのポジションに重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下は、2026年3月31日に終了した半期に関する当グループの連結財務報告書に記載された情報に基づいている。本半期報告書に記載されている場合を除き、開示されているすべての財務情報は、当グループに関連している。
A. 作成基準
(1) IFRSに準拠していない財務指標
当グループは、営業セグメントの業績をIFRSに準拠していない指標である現金利益に基づき測定しており、現金利益は、当該セグメントが内部でどのように管理されているかを示すものである。当グループは、株主に帰属する税引後利益からいくつかの項目を除外して現金利益を計算している。調整は、将来の利益を通じて解消される期間差異を表す経済ヘッジならびに収益および費用ヘッジの影響、ならびにサンコープ・バンクの買収の会計処理過程で認識した無形資産の償却費に関連している。現金ベースで表示される情報は、営業セグメントの財務実績の法定指標を示すものとみなされてはならず、またそれに代わるものとしてもみなされるべきではない。現金利益と税引後利益との調整を含む追加情報については、「F. 部門別経営成績」を参照のこと。
(2) 過去の期間の比較情報の修正再表示
2026年3月半期中の以下の変更により、部門別経営成績の表示に影響が生じた。
・ 組織体制の変更 ― より効果的に銀行戦略を支援するため、グループ・センター部門内にグループ・オペレーションズ機能を新設した。全社共通のシェアード・サービスの体系化を実現し、オペレーションを効率化し、各部門をより効果的に支援するため、銀行組織全体のオペレーション、業務支援サービスおよび基盤サービスの各チームをグループ・オペレーションズに集約する。グループ・オペレーションズの設置により、主に各部門のフルタイム換算従業員(FTE)に影響が生じたが、各部門の損益計算書およびバランスシート項目への影響は軽微であった。
・ 法人部門 ― 当期の表示形式に合わせて、一部の預金をコーポレート・ファイナンスからトランザクション・バンキングに振り替えた。この変更は法人部門の経営成績に影響を与えなかった。
これらの変更に伴い過去の期間の比較情報を修正再表示しているが、当グループの業績に影響は生じなかった。
また、当グループはフルタイム換算従業員(FTE)の定義を改め、外部契約社員を一切含めないこととした。当グループの業績および部門別経営成績の過去の期間の比較情報は、当期の表示方法に合わせて修正再表示されている。
(3) 2025年9月半期の重大項目
2025年9月半期中に、当グループは法定利益および現金利益に影響するいくつかの重大項目を認識した。詳細は「B. 営業活動および財務レビュー」を参照のこと。2026年3月半期および2025年3月半期については、法定利益および現金利益に影響する重大項目に該当する事項はなかった。
B. 営業活動および財務レビュー
以下の説明は、オーストラリア会計基準(「AAS」)に基づき作成された2026年3月31日に終了した6か月間に係る要約連結財務書類(「要約連結財務書類」)に基づいており、要約連結財務書類は「第一部 企業情報-第6 経理の状況-1 中間財務書類」に記載されている。
当グループの過去3半期の業績は以下のとおりであり、また「D. 主な収入および費用項目の分析」および「F. 部門別経営成績」にも記載されている。
2025年9月半期の重大項目
2025年9月半期中に、当グループは法定利益および現金利益に影響する重大項目を認識し、以下はその要約である。2026年3月半期および2025年3月半期については、法定利益および現金利益に影響を与える重大項目に該当する事項はなかった。
(1) PT Paninの減損処理
当グループは、PTバンク・パン・インドネシアTbk(「PT Panin」)への持分法適用投資の減損に関して、使用価値の計算と整合的に帳簿価額を調整するため、2億8,500万ドルの税引前費用(税引後:2億8,500万ドル)を計上した。計上先はグループ・センター部門とした。同額分の資本控除額減額が行われた結果、CET1資本への影響は生じなかった。
(2) 剰余人員の整理
2025年9月、当グループは、銀行の簡素化、重点分野への集中強化および顧客への奉仕に向けた自己変革を表明した。この変革により、当グループの想定では、2026年9月までに約3,500人の従業員が退職し、またコンサルタントやその他の外部業者との契約の縮小により約1,000名の運用管理サービス請負者に影響が及ぶことになる。
当グループは、これらの変革に関連して、2025年9月半期にグループ全体で5億7,900万ドルの税引前費用(税引後:4億800万ドル)を計上した。
(3) ASICとの和解
2025年9月、当グループは、規制当局による個別調査の対象となっていたオーストラリアのマーケッツ事業とオーストラリア・リテール事業の5件の事案を解決するため、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)と合意を交わした。合意は連邦裁判所の承認を要するが、この合意に基づき当グループは総額2億4,000万ドルの制裁金を科される。
当グループは、ASICの制裁金2億4,000万ドルおよび本件に関連する諸費用3,100万ドルからなる2億7,100万ドルの税引前費用(税引後:2億6,400万ドル)を計上した。計上先はオーストラリア・リテール部門および法人部門とした。
(4) サンコープ・バンクからの移行作業
当グループは、2025年10月戦略日(ストラテジー・デイ)において、株主価値の創出を加速し、顧客の利益を高め、業務煩雑性を大幅に軽減するために、サンコープ・バンクの統合を前倒しして2027年6月までに統合を完了させる意向を発表した。
当グループは、前倒し後の移行期日以降も継続する既存の契約に関する費用につき9,700万ドルの税引前費用(税引後:6,800万ドル)を計上した。計上先はサンコープ・バンク部門とした。
これらの重大項目による財務的な影響は以下のように要約される。
| 2025年9月30日終了半期 | |||||||||||||||
| オーストラリア・リテール | ビジネス&プライベート・バンク | 法人 | ニュージーランド | サンコープ・バンク | パシフィック | グループ・センター | グループ 合計 | ||||||||
| 法定利益への影響 | (百万ドル) | ||||||||||||||
| 営業収入 | - | - | - | - | - | - | (285) | (285) | |||||||
| 営業費用 | (410) | 3 | (165) | (11) | (169) | (3) | (192) | (947) | |||||||
| 税引前現金利益/(費用) | (410) | 3 | (165) | (11) | (169) | (3) | (477) | (1,232) | |||||||
| 法人税(費用)/ベネフィット | 88 | (1) | 10 | 3 | 50 | 1 | 56 | 207 | |||||||
| 法定利益 | (322) | 2 | (155) | (8) | (119) | (2) | (421) | (1,025) | |||||||
4【重要な契約等】
2026年3月半期の開始日から本書提出日までの間において、当グループが締結した重要な契約はない。ただし、当グループが実質的に依存している、業務の通常の過程においてなされる契約を除く。
5【研究開発活動】
当グループは、顧客の財務的健全性の改善という戦略に沿って、商品およびサービスの研究開発を続けている。
第4【設備の状況】
1【主要な設備の状況】
当グループは事業目的で、オーストラリア、ニュージーランド、アジア、パシフィック、ヨーロッパおよびアメリカの各地に土地および建物を所有(自由保有)および賃借している。支店および商用管理センターを含むこれらの土地建物は、2026年3月31日現在の帳簿価格が13億9,100万ドル(2025年9月:14億9,500万ドル、2025年3月:14億4,580万ドル)であり、以下で構成されている。
| 2026年3月31日現在 | 2025年9月30日現在 | 2025年3月31日現在 | ||||||||||
| 不動産の数 | 所有 (自由保有) | 賃借 | 所有 (自由保有) | 賃借 | 所有 (自由保有) | 賃借 | ||||||
| リテール(支店網) | 22 | 541 | 22 | 545 | 23 | 547 | ||||||
| 管理およびオペレーション・センター | 2 | 83 | 2 | 88 | 2 | 91 | ||||||
| 居住用 | 11 | 0 | 11 | 0 | 11 | 0 | ||||||
| 不動産の数合計 | 35 | 624 | 35 | 633 | 36 | 638 | ||||||
2026年3月半期中、当グループの営業活動に重要な影響を与える不動産の動向はなかった。
2【設備の新設、除却等の計画】
2025年10月1日から2026年3月31日までの半期中、有価証券報告書(令和7年12月16日提出)の「第一部 企業情報-第4 設備の状況-3 設備の新設、除却等の計画」に記載の内容につき、重要な変更はなかった。
当グループは、定期的に世界中のリテールおよび商業部門の不動産拠点を見直し、今後の営業モデルに沿わない賃借不動産を除却している。
第5【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
| (2026年3月31日現在) | |||
|---|---|---|---|
| 授権株数(株) | 発行済株式総数(株) | 未発行株式数(株) | |
| 普通株式 | 該当なし | 3,084,959,996 | 該当なし |
| 合計 | 該当なし | 3,084,959,996 | 該当なし |
②【発行済株式】
| (2026年3月31日現在) | ||||
| 記名・無記名の別及び額面・無額面の別 | 種類 | 発行数(株) | 上場金融商品取引所名又は 登録認可金融商品取引業協会名 | 内容 |
| 記名無額面 | 普通株式 | 3,084,959,996 | 該当なし | 普通株式(当行の定款に定める条項に基づき発行される普通株式) |
| 計 | 3,084,959,996 | |||
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項なし
(3)【発行済株式総数及び資本金の状況】
普通株式
| 年月日 | 発行済株式総数 増減数(株) | 発行済株式総数 残高(株) | 資本金増減額 (単位:百万ドル (百万円)) | 資本金残高 (単位:百万ドル (百万円)) | 備考 (増減の理由) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年 9月30日 | 3,003,366,782 | 27,053 (3,153,568) | |||
| 2026年 3月半期 | 81,593,214 | 1,972 (229,876) | 直接親会社であるANZ BH Pty Ltdに対する新普通株式の発行による増額(19億3,000万ドル)および従業員株式および オプション制度による増額(4,200万ドル) | ||
| 2026年 3月31日 | 3,084,959,996 | 29,025 (3,383,444) |
(4)【大株主の状況】
普通株式
| (2026年3月31日現在) | |||
|---|---|---|---|
| 氏名又は名称 | 住所 | 所有株式数(株) | 発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%) |
| ANZ銀行持株会社 (ANZ BH Pty Ltd) | オーストラリア、ヴィクトリア州3008、ドックランズ、コリンズ・ストリート833、9階、ANZセンター・メルボルン | 3,084,959,996 | 100 |
2【役員の状況】
(1)取締役
2025年度に係る有価証券報告書の提出日(令和7年12月16日)から本半期報告書の提出日までの期間中、有価証券報告書の「第一部 企業情報-第5 提出会社の状況-3 コーポレート・ガバナンスの状況等-(2)役員の状況-①取締役」に記載の当行の取締役につき、以下を除き、異動はなかった。
退任した取締役1名は以下のとおりである。
| 役職名 | 氏名 | 退任日 |
|---|---|---|
| 独立非執行取締役 | G. K. Hodges (ホッジス) | 2026年2月8日 |
取締役1名の役職名の異動は以下のとおりである。
| 氏名 | 新役職名 | 旧役職名 | 異動日 |
|---|---|---|---|
| N. G. M. S. A Matos (マトス) | マネジング・ディレクター兼 グループ最高経営責任者 | 最高経営責任者兼執行取締役 | 2026年5月1日 |
本半期報告書の提出日現在、当行の取締役会は、男性6名、女性3名(取締役のうち女性の比率33.3%)で構成されている。
(2)経営幹部および執行役員
当行の経営幹部および執行役員についての包括的な説明は、令和7年12月16日提出の有価証券報告書に記載の「第一部 企業情報-第5 提出会社の状況-3 コーポレート・ガバナンスの状況等-(2)役員の状況-②執行役員」を参照のこと。
2025年度に係る有価証券報告書の提出日(令和7年12月16日)から本半期報告書の提出日までの期間中、当行の経営幹部および執行役員につき、以下を除き、異動はなかった。
新任の経営幹部および執行役員1名は以下のとおりである。
| 役職名 | 氏名 (年齢) | 略歴 | 任命日 | ANZグループ への入社 | 所有株式数 (株)(1) |
|---|---|---|---|---|---|
| グループ執行役員(ビジネス&プライベート・バンク担当) | T Medard (メダード) (47歳) | 北米、オーストラリアおよびアジアにおいて、機関、法人および国際市場にわたる金融サービスおよび銀行業務の豊富なリーダーシップの経験を有している。 ANZにおける過去の役職 オーストラリアおよびパプアニューギニアの法人部門担当マネジング・ディレクター、総合産業・政府・子会社担当ヘッド、ANZラオス最高経営責任者、人材・リスク部門担当チーフ ANZ入社前の役職 スタンダード・アンド・プアーズ・レーティングス・サービシズのインフラストラクチャー・クレジット・アナリスト、JPモルガン・チェースのアシスタント・バイス・プレジデント | 2026年 4月20日 | 2009年 1月27日 | 0 |
注:(1) 本書日付現在。この文脈において、「株式」とは(本書の提出会社として)ANZBGLが発行した普通株式を意味する。
退任した経営幹部および執行役員1名は以下のとおりである。
| 役職名 | 氏名 | 退任日 |
|---|---|---|
| グループ執行役員(ビジネス&プライベート・バンク担当) | C Morgan (モーガン) | 2026年4月19日 |
経営幹部および執行役員の役職名の異動は以下のとおりである。
| 氏名 | 新役職名 | 旧役職名 | 異動日 |
|---|---|---|---|
| E Clements (クレメンツ) | グループ最高人材責任者 | グループ執行役員 (人材・カルチャー担当) | 2026年5月1日 |
| F Faruqui (ファルーキ) | グループ最高財務責任者 | 最高財務責任者 | 2026年5月1日 |
| S White (ホワイト) | グループ最高執行責任者 | グループ執行役員 (オペレーション担当) | 2026年5月1日 |
2026年6月12日、当グループは、グループ執行役員兼最高経営責任者(ニュージーランド担当)であるアントニア・ワトソン氏が2026年9月30日付で退任すると発表した。ワトソン氏に代わって、ベン・ケレハー氏がグループ執行役員兼最高経営責任者(ニュージーランド担当)に就任する予定である。同氏はANZバンク・ニュージーランドの最高リスク責任者を2年以上務めており、それ以前はマネジング・ディレクター(パーソナル・バンキング担当)を5年間務めた。また、ANZバンク・ニュージーランドのプライベート・バンキングおよび戦略チームの責任者でもある。ANZバンク・ニュージーランド以前には、同氏はニュージーランドおよび英国において戦略、アナリストおよびプロジェクト・マネージメントの職務に従事していた。同氏の任命は、RBNZから異議がないことと、その他の規制上の対応を条件としている。
本半期報告書の提出日現在、当行の経営幹部および執行役員は、男性6名、女性4名(経営幹部および執行役員のうち女性の比率40.0%)で構成されている。
第6【経理の状況】
(イ)本書記載のオーストラリア・ニュージーランド銀行(以下「当行」という。)およびその被支配法人(当行と合わせて、「当グループ」という。)の2026年3月31日現在および同日までの6か月間に係る要約連結財務書類(以下「要約中間連結財務書類」という。)は、オーストラリア会計基準審議会(AASB)が公表したオーストラリア会計基準(AAS)、AASBが公表したAASB第134号「期中財務報告」(以下「AASB第134号」という。)ならびに2001年会社法(連邦法)(以下「会社法」という。)の認識および測定に関する要件に準拠して作成されたものである。国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)は、国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)により採用されている基準および解釈である。AASの認識および測定に関する要件を当グループが適用することにより、要約中間連結財務書類およびそれに含まれる財務情報の、IFRSの認識および測定に関する要件への準拠が確保されている。AASB第134号に従った作成により、IASBが公表した国際会計基準(IAS)第34号「期中財務報告」への準拠が確保されている。英文の要約中間連結財務書類はオーストラリア証券投資委員会(ASIC)に提出され、オーストラリア証券取引所のウェブサイトにおいて公衆の縦覧に供されている。
当グループが採用した会計基準、会計手続きおよび表示方法と、日本において一般に公正妥当と認められている企業会計基準、会計手続きおよび表示方法との主な相違点に関しては「3.日本とオーストラリアとの会計原則の相違」に記載されている。
要約中間連結財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)(以下「財務諸表等規則」という。)第328条第1項の規定に基づき本書に記載されている。
(ロ)要約中間連結財務書類は、独立会計監査人の監査を受けていない。
(ハ)要約中間連結財務書類の原文は、豪ドルで表示されている。以下の要約中間連結財務書類に「円」で表示されている金額は、「財務諸表等規則」第331条の規定に基づき、2026年6月1日現在の、株式会社三菱UFJ銀行公表の対顧客電信直物売相場(1豪ドル=116.57円)の換算率により換算したものである。
(ニ)日本円への換算額ならびに「2.その他」および「3.日本とオーストラリアとの会計原則の相違」に関する記載は、原文の要約中間連結財務書類に含まれていない。
1【中間財務書類】
2026年3月31日に終了した6か月間に係る要約中間連結財務書類
(ⅰ)要約連結損益計算書
| 2026年3月半期 | 2025年9月半期 | 2025年3月半期 | 2026年 3月期 対2025年9月期 増減率 | 2026年 3月期 対2025年3月期 増減率 | |||||
| 注記 | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |||
| 受取利息(1) | 28,962 | 3,376,100 | 31,204 | 3,637,450 | 32,755 | 3,818,250 | -7% | -12% | |
| 支払利息 | (20,091) | (2,342,008) | (22,139) | (2,580,743) | (23,917) | (2,788,005) | -9% | -16% | |
| 純利息収益 | 2 | 8,871 | 1,034,092 | 9,065 | 1,056,707 | 8,838 | 1,030,246 | -2% | 0% |
| その他営業収入 | 2 | 2,190 | 255,288 | 1,930 | 224,980 | 2,315 | 269,860 | 13% | -5% |
| 営業収入 | 11,061 | 1,289,381 | 10,995 | 1,281,687 | 11,153 | 1,300,105 | 1% | -1% | |
| 営業費用 | 3 | (5,604) | (653,258) | (7,078) | (825,082) | (5,788) | (674,707) | -21% | -3% |
| 貸倒引当金繰入および 法人税控除前利益 | 5,457 | 636,122 | 3,917 | 456,605 | 5,365 | 625,398 | 39% | 2% | |
| 貸倒引当金(繰入)/戻入 | 8 | (277) | (32,290) | (292) | (34,038) | (143) | (16,670) | -5% | 94% |
| 税引前利益 | 5,180 | 603,833 | 3,625 | 422,566 | 5,222 | 608,729 | 43% | -1% | |
| 法人税費用 | 4 | (1,529) | (178,236) | (1,233) | (143,731) | (1,538) | (179,285) | 24% | -1% |
| 当期利益 | 3,651 | 425,597 | 2,392 | 278,835 | 3,684 | 429,444 | 53% | -1% | |
| 内訳: | |||||||||
| 当行株主に帰属する利益 | 3,631 | 423,266 | 2,372 | 276,504 | 3,663 | 426,996 | 53% | -1% | |
| 非支配持分に帰属する利益 | 13 | 20 | 2,331 | 20 | 2,331 | 21 | 2,448 | 0% | -5% |
(1) 償却原価で測定される金融資産またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産について、実効金利法を使用して算出された受取利息が、2026年3月半期に26,649百万ドル(2025年9月半期:28,772百万ドル、2025年3月半期:30,294百万ドル)含まれている。
後述の注記は、本要約中間連結財務書類の重要な一部である。
(ⅱ)要約連結包括利益計算書
| 2026年3月半期 | 2025年9月半期 | 2025年3月半期 | 2026年 3月期 対2025年9月期 増減率 | 2026年 3月期 対2025年3月期 増減率 | ||||
| (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |||
| 当期利益 | 3,651 | 425,597 | 2,392 | 278,835 | 3,684 | 429,444 | 53% | -1% |
| その他の包括利益 | ||||||||
| 将来、損益に組み替えられない項目 | ||||||||
| 投資有価証券-FVOCIで測定される持分証券 | 56 | 6,528 | (221) | (25,762) | 84 | 9,792 | 大 | -33% |
| その他の準備金の増減(1) | (19) | (2,215) | (98) | (11,424) | 39 | 4,546 | -81% | 大 |
| 将来、損益に組み替えられる可能性のあ る項目 | ||||||||
| 為替換算調整勘定 | (1,466) | (170,892) | (1,210) | (141,050) | 608 | 70,875 | 21% | 大 |
| キャッシュフロー・ヘッジ準備金 | (1,632) | (190,242) | 554 | 64,580 | 289 | 33,689 | 大 | 大 |
| FVOCI準備金 | 411 | 47,910 | 624 | 72,740 | (116) | (13,522) | -34% | 大 |
| 上記項目に帰属する法人税 | 375 | 43,714 | (250) | (29,143) | (77) | (8,976) | 大 | 大 |
| 関連会社のその他の包括利益の持分(2) | 11 | 1,282 | 17 | 1,982 | (5) | (583) | -35% | 大 |
| 当期包括利益合計 | 1,387 | 161,683 | 1,808 | 210,759 | 4,506 | 525,264 | -23% | -69% |
| 包括利益合計の内訳: | ||||||||
| 当行株主に帰属するもの | 1,405 | 163,781 | 1,815 | 211,575 | 4,493 | 523,749 | -23% | -69% |
| 非支配持分に帰属するもの(1) | (18) | (2,098) | (7) | (816) | 13 | 1,515 | 大 | 大 |
(1) 非支配持分株主に帰属する為替換算差額が2026年3月半期に-38百万ドル(2025年9月半期:27百万ドル、2025年3月半期:-8百万ドル)含まれている。
(2) 将来、損益に組み替えられる可能性のある、関連会社のその他の包括利益の持分は、以下に表示されているPT Paninの準備金の当グループ持分である。
| 2026年3月半期 | 2025年9月半期 | 2025年3月半期 | ||||
| (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |
| FVOCI準備金の利益/(損失) | 13 | 1,515 | 17 | 1,982 | 1 | 117 |
| 確定給付制度の利益/(損失) | (2) | (233) | - | - | (6) | (699) |
| 合計 | 11 | 1,282 | 17 | 1,982 | (5) | (583) |
後述の注記は、本要約中間連結財務書類の重要な一部である。
(ⅲ)要約連結貸借対照表
| 2026年3月半期 | 2025年9月半期 | 2025年3月半期 | 2026年 3月期 対2025年9月期 増減率 | 2026年 3月期 対2025年3月期 増減率 | |||||
| 注記 | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |||
| 資産 | |||||||||
| 現金および現金同等物 | 165,533 | 19,296,182 | 155,209 | 18,092,713 | 195,788 | 22,823,007 | 7% | -15% | |
| ANZの未収決済残高 | 16,393 | 1,910,932 | 23,394 | 2,727,039 | 6,225 | 725,648 | -30% | 大 | |
| 支払担保 | 8,173 | 952,727 | 9,831 | 1,146,000 | 10,464 | 1,219,788 | -17% | -22% | |
| 売買目的資産 | 51,225 | 5,971,298 | 48,248 | 5,624,269 | 45,745 | 5,332,495 | 6% | 12% | |
| デリバティブ金融商品 | 67,911 | 7,916,385 | 47,480 | 5,534,744 | 49,552 | 5,776,277 | 43% | 37% | |
| 投資有価証券 | 164,438 | 19,168,538 | 165,540 | 19,296,998 | 155,072 | 18,076,743 | -1% | 6% | |
| 正味貸付金および前渡金 | 7 | 822,252 | 95,849,916 | 829,986 | 96,751,468 | 820,852 | 95,686,718 | -1% | 0% |
| 規制上の預け金 | 570 | 66,445 | 541 | 63,064 | 644 | 75,071 | 5% | -11% | |
| 関連会社に対する投資 | 15 | 1,144 | 133,356 | 1,140 | 132,890 | 1,479 | 172,407 | 0% | -23% |
| 当期税金資産 | 28 | 3,264 | 25 | 2,914 | 43 | 5,013 | 12% | -35% | |
| 繰延税金資産 | 3,641 | 424,431 | 3,327 | 387,828 | 3,180 | 370,693 | 9% | 14% | |
| のれんおよびその他の無形資産 | 5,583 | 650,810 | 5,762 | 671,676 | 5,780 | 673,775 | -3% | -3% | |
| 土地建物および設備機器 | 2,114 | 246,429 | 2,283 | 266,129 | 2,325 | 271,025 | -7% | -9% | |
| その他資産 | 5,323 | 620,502 | 4,905 | 571,776 | 5,822 | 678,671 | 9% | -9% | |
| 資産合計 | 1,314,328 | 153,211,215 | 1,297,671 | 151,269,508 | 1,302,971 | 151,887,329 | 1% | 1% | |
| 負債 | |||||||||
| ANZの未払決済残高 | 32,370 | 3,773,371 | 31,144 | 3,630,456 | 16,085 | 1,875,028 | 4% | 大 | |
| 受取担保 | 11,284 | 1,315,376 | 7,428 | 865,882 | 10,129 | 1,180,738 | 52% | 11% | |
| 預金およびその他の借入金 | 9 | 960,754 | 111,995,094 | 956,401 | 111,487,665 | 973,630 | 113,496,049 | 0% | -1% |
| デリバティブ金融商品 | 59,466 | 6,931,952 | 43,902 | 5,117,656 | 44,279 | 5,161,603 | 35% | 34% | |
| 当期税金負債 | 323 | 37,652 | 537 | 62,598 | 306 | 35,670 | -40% | 6% | |
| 繰延税金負債 | 250 | 29,143 | 226 | 26,345 | 190 | 22,148 | 11% | 32% | |
| 支払債務およびその他の負債 | 15,407 | 1,795,994 | 15,147 | 1,765,686 | 15,726 | 1,833,180 | 2% | -2% | |
| 従業員受給権 | 697 | 81,249 | 688 | 80,200 | 655 | 76,353 | 1% | 6% | |
| その他引当金 | 1,947 | 226,962 | 2,479 | 288,977 | 1,704 | 198,635 | -21% | 14% | |
| 発行済社債 | 10 | 160,480 | 18,707,154 | 169,274 | 19,732,270 | 169,555 | 19,765,026 | -5% | -5% |
| 負債合計 | 1,242,978 | 144,893,945 | 1,227,226 | 143,057,735 | 1,232,259 | 143,644,432 | 1% | 1% | |
| 純資産 | 71,350 | 8,317,270 | 70,445 | 8,211,774 | 70,712 | 8,242,898 | 1% | 1% | |
| 株主資本 | |||||||||
| 普通株式資本 | 13 | 29,025 | 3,383,444 | 27,053 | 3,153,568 | 27,028 | 3,150,654 | 7% | 7% |
| 準備金 | 13 | (3,644) | (424,781) | (1,379) | (160,750) | (902) | (105,146) | 大 | 大 |
| 利益剰余金 | 13 | 45,266 | 5,276,658 | 44,032 | 5,132,810 | 43,822 | 5,108,331 | 3% | 3% |
| 当行株主に帰属する株式資本 および準備金 | 70,647 | 8,235,321 | 69,706 | 8,125,628 | 69,948 | 8,153,838 | 1% | 1% | |
| 非支配持分 | 13 | 703 | 81,949 | 739 | 86,145 | 764 | 89,059 | -5% | -8% |
| 株主資本合計 | 71,350 | 8,317,270 | 70,445 | 8,211,774 | 70,712 | 8,242,898 | 1% | 1% | |
後述の注記は、本要約中間連結財務書類の重要な一部である。
(ⅳ)要約連結キャッシュフロー計算書
| 2026年3月半期 | 2025年9月半期 | 2025年3月半期 | |||||
| (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | ||
| 当期利益 | 3,651 | 425,597 | 2,392 | 278,835 | 3,684 | 429,444 | |
| 営業活動による(に使用された) 純キャッシュフローとの調整: | |||||||
| 予想信用損失引当金 | 277 | 32,290 | 292 | 34,038 | 143 | 16,670 | |
| 関連会社に対する投資の減損 | - | - | 285 | 33,222 | - | - | |
| 減価償却費および償却費 | 498 | 58,052 | 555 | 64,696 | 545 | 63,531 | |
| のれんおよびその他の無形資産の減損 | 13 | 1,515 | 71 | 8,276 | - | - | |
| 正味デリバティブ/外貨換算調整 | (8,949) | (1,043,185) | 327 | 38,118 | 3,541 | 412,774 | |
| その他の非現金項目の増減 | (115) | (13,406) | 17 | 1,982 | (7) | (816) | |
| 営業資産の純(増加)/減少: | |||||||
| 支払担保 | 1,345 | 156,787 | 207 | 24,130 | 372 | 43,364 | |
| 売買目的資産 | 2,857 | 333,040 | (20,725) | (2,415,913) | (15) | (1,749) | |
| 正味貸付金および前渡金 | (2,765) | (322,316) | (17,428) | (2,031,582) | (11,808) | (1,376,459) | |
| その他資産 | (436) | (50,825) | 614 | 71,574 | (588) | (68,543) | |
| 営業負債の純増加/(減少): | |||||||
| 預金およびその他の借入金 | 21,069 | 2,456,013 | (1,620) | (188,843) | 51,750 | 6,032,498 | |
| ANZの未払決済残高 | 2,056 | 239,668 | 15,571 | 1,815,111 | (240) | (27,977) | |
| 受取担保 | 4,189 | 488,312 | (2,318) | (270,209) | 2,913 | 339,568 | |
| その他の負債 | (226) | (26,345) | 281 | 32,756 | (2,783) | (324,414) | |
| 調整額合計 | 19,813 | 2,309,601 | (23,871) | (2,782,642) | 43,823 | 5,108,447 | |
| 営業活動による(に使用された) 純キャッシュフロー(1) | 23,464 | 2,735,198 | (21,479) | (2,503,807) | 47,507 | 5,537,891 | |
| 投資活動によるキャッシュフロー | |||||||
| 投資有価証券資産: | |||||||
| 購入 | (41,033) | (4,783,217) | (41,643) | (4,854,325) | (41,649) | (4,855,024) | |
| 売却または満期による手取金 | 39,005 | 4,546,813 | 28,117 | 3,277,599 | 31,629 | 3,686,993 | |
| その他資産への純投資 | (310) | (36,137) | (211) | (24,596) | (242) | (28,210) | |
| 投資活動による(に使用された) 純キャッシュフロー | (2,338) | (272,541) | (13,737) | (1,601,322) | (10,262) | (1,196,241) | |
| 財務活動によるキャッシュフロー | |||||||
| 預金およびその他の借入金の(返済)/実行 | (953) | (111,091) | (919) | (107,128) | (510) | (59,451) | |
| 発行済社債:(2) | |||||||
| 発行額 | 19,231 | 2,241,758 | 19,977 | 2,328,719 | 25,961 | 3,026,274 | |
| 償還額 | (22,763) | (2,653,483) | (18,786) | (2,189,884) | (19,798) | (2,307,853) | |
| 配当金支払額(3) | (2,425) | (282,682) | (2,126) | (247,828) | (2,539) | (295,971) | |
| 自己株式の市場での購入 | (29) | (3,381) | (8) | (933) | (118) | (13,755) | |
| リース負債の返済 | (161) | (18,768) | (205) | (23,897) | (172) | (20,050) | |
| 普通株式の発行 | 1,930 | 224,980 | - | - | - | - | |
| 財務活動による(に使用された) 純キャッシュフロー | (5,170) | (602,667) | (2,067) | (240,950) | 2,824 | 329,194 | |
| 現金および現金同等物の純増加/(減少) | 15,956 | 1,859,991 | (37,283) | (4,346,079) | 40,069 | 4,670,843 | |
| 現金および現金同等物の期首残高 | 155,209 | 18,092,713 | 195,788 | 22,823,007 | 150,965 | 17,597,990 | |
| 現金および現金同等物に関する為替レート 変動の影響 | (5,632) | (656,522) | (3,296) | (384,215) | 4,754 | 554,174 | |
| 現金および現金同等物の期末残高 | 165,533 | 19,296,182 | 155,209 | 18,092,713 | 195,788 | 22,823,007 | |
(1) 営業活動による(に使用された)純キャッシュフローには2026年3月半期について、利息受取額28,819百万ドル(2025年9月半期:31,419百万ドル、2025年3月半期:32,582百万ドル)、利息支払額20,545百万ドル(2025年9月半期:22,836百万ドル、2025年3月半期:24,129百万ドル)および法人税納付額1,704百万ドル(2025年9月半期:1,295百万ドル、2025年3月半期:1,785百万ドル)が含まれている。
(2) 発行済社債に係る現金を伴わない変動には2026年3月半期について、主に公正価値ヘッジ調整および為替差異による未実現変動からの利益5,262百万ドル(2025年9月半期:1,472百万ドルの利益、2025年3月半期:7,014百万ドルの損失)が含まれている。
(3) 配当金再投資制度に対応するための株式購入に伴うキャッシュ・アウトフローは、配当金支払額に分類されている。
後述の注記は、本要約中間連結財務書類の重要な一部である。
(ⅴ)要約連結持分変動計算書
| 普通株式資本 | 準備金 | 利益剰余金 | ||||
| (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |
| 2024年10月1日現在 | 27,065 | 3,154,967 | (1,678) | (195,604) | 42,602 | 4,966,115 |
| 当期利益 | - | - | - | - | 3,663 | 426,996 |
| 当期その他の包括利益合計 | - | - | 804 | 93,722 | 26 | 3,031 |
| 当期包括利益合計 | - | - | 804 | 93,722 | 3,689 | 430,027 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 配当金支払額 | - | - | - | - | (2,472) | (288,161) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | (37) | (4,313) | (28) | (3,264) | 3 | 350 |
| 2025年3月31日現在 | 27,028 | 3,150,654 | (902) | (105,146) | 43,822 | 5,108,331 |
| 当期利益 | - | - | - | - | 2,372 | 276,504 |
| 当期その他の包括利益合計 | - | - | (508) | (59,218) | (49) | (5,712) |
| 当期包括利益合計 | - | - | (508) | (59,218) | 2,323 | 270,792 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 配当金支払額 | - | - | - | - | (2,108) | (245,730) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | 25 | 2,914 | 27 | 3,147 | (1) | (117) |
| その他の項目 | - | - | 4 | 466 | (4) | (466) |
| 2025年9月30日現在 | 27,053 | 3,153,568 | (1,379) | (160,750) | 44,032 | 5,132,810 |
| 当期利益 | - | - | - | - | 3,631 | 423,266 |
| 当期その他の包括利益合計 | - | - | (2,237) | (260,767) | 11 | 1,282 |
| 当期包括利益合計 | - | - | (2,237) | (260,767) | 3,642 | 424,548 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 普通株式の発行(1) | 1,930 | 224,980 | - | - | - | - |
| 配当金支払額 | - | - | - | - | (2,407) | (280,584) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | 42 | 4,896 | (28) | (3,264) | 2 | 233 |
| その他の項目 | - | - | - | - | (3) | (350) |
| 2026年3月31日現在 | 29,025 | 3,383,444 | (3,644) | (424,781) | 45,266 | 5,276,658 |
| 当行株主に帰属する株式資本および準備金 | 非支配持分 | 株主資本合計 | ||||
| (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | (百万ドル) | (百万円) | |
| 2024年10月1日現在 | 67,989 | 7,925,478 | 771 | 89,875 | 68,760 | 8,015,353 |
| 当期利益 | 3,663 | 426,996 | 21 | 2,448 | 3,684 | 429,444 |
| 当期その他の包括利益合計 | 830 | 96,753 | (8) | (933) | 822 | 95,821 |
| 当期包括利益合計 | 4,493 | 523,749 | 13 | 1,515 | 4,506 | 525,264 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 配当金支払額 | (2,472) | (288,161) | (20) | (2,331) | (2,492) | (290,492) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | (62) | (7,227) | - | - | (62) | (7,227) |
| 2025年3月31日現在 | 69,948 | 8,153,838 | 764 | 89,059 | 70,712 | 8,242,898 |
| 当期利益 | 2,372 | 276,504 | 20 | 2,331 | 2,392 | 278,835 |
| 当期その他の包括利益合計 | (557) | (64,929) | (27) | (3,147) | (584) | (68,077) |
| 当期包括利益合計 | 1,815 | 211,575 | (7) | (816) | 1,808 | 210,759 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 配当金支払額 | (2,108) | (245,730) | (18) | (2,098) | (2,126) | (247,828) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | 51 | 5,945 | - | - | 51 | 5,945 |
| その他の項目 | - | - | - | - | - | - |
| 2025年9月30日現在 | 69,706 | 8,125,628 | 739 | 86,145 | 70,445 | 8,211,774 |
| 当期利益 | 3,631 | 423,266 | 20 | 2,331 | 3,651 | 425,597 |
| 当期その他の包括利益合計 | (2,226) | (259,485) | (38) | (4,430) | (2,264) | (263,914) |
| 当期包括利益合計 | 1,405 | 163,781 | (18) | (2,098) | 1,387 | 161,683 |
| 株主権に基づく株主との取引: | ||||||
| 普通株式の発行(1) | 1,930 | 224,980 | - | - | 1,930 | 224,980 |
| 配当金支払額 | (2,407) | (280,584) | (18) | (2,098) | (2,425) | (282,682) |
| その他の資本増減: | ||||||
| 従業員持株およびオプション制度 | 16 | 1,865 | - | - | 16 | 1,865 |
| その他の項目 | (3) | (350) | - | - | (3) | (350) |
| 2026年3月31日現在 | 70,647 | 8,235,321 | 703 | 81,949 | 71,350 | 8,317,270 |
(1) 2026年3月半期に、当行はANZ BH Pty Ltdに普通株式81,593,214株を1,930百万ドルで発行した。
後述の注記は、本要約中間連結財務書類の重要な一部である。
2【その他】
(1) 後発事象
2026年3月31日から本書提出日までに、上記「1 中間財務書類-注記18(貸借対照表日以降の重要な事象)」に記載された事項を除き、当グループに関して重要な事象はなかった。
(2) 訴訟等
当グループに有利なおよび不利な未解決の裁判所における訴訟、請求および請求の可能性がある。関連がある場合、専門的な法的助言を得ており、かかる助言に照らして、適切と考えられる引当金を計上し、および/または開示が行われている。場合により、当グループは個別の項目の財務上の影響の見積もりを開示していない。なぜなら、開示することが実際的ではないか、あるいは、かかる開示が当グループの利益を害する可能性があるからである。
詳細については、上記「1 中間財務書類-注記17(コミットメント、偶発債務および偶発資産)」および令和7年12月16日提出の有価証券報告書の「第一部 企業情報-第6 経理の状況」中の「-1 財務書類-注記31(コミットメント、偶発債務および偶発資産)」を参照のこと。さらに完全を期し補足するため、上記「第3 事業の状況-2 事業等のリスク-(2)主なリスクおよび不確実性」の「16. 訴訟および偶発債務は当グループのポジションに悪影響を及ぼす可能性がある。」で開示されているリスク要因も参照のこと。
3【日本とオーストラリアとの会計原則の相違】
当グループの要約中間連結財務書類はオーストラリア会計基準(AAS)およびオーストラリア会計基準審議会(AASB)が発行したその他の権威ある公表文書(「AGAAP」と総称する。)に準拠して作成されている。国際財務報告基準(IFRS)はAGAAPの基礎を成している。
以下の記述は、当グループが適用するAGAAPと日本基準の重要な差異を概説したものである。当グループは、要約中間連結財務書類および関連注記の開示に関して、AGAAPと日本基準との間の比較表を作成しておらず、かかる差異を定量化していない。したがって、以下のAGAAPと日本基準の差異の概説が完全であるという保証はない。
投資の決定にあたって、投資家は当グループ、申込の条件および財務情報に関する自らの検証に依拠しなければならない。投資家はAGAAPと日本基準の差異、およびそれらの差異がどのように本書の財務情報に影響を与えるかを理解するために、自身の専門アドバイザーに相談すべきである。
AGAAP、AGAAPの基礎となるIFRSおよび日本基準を公表する組織は、比較に将来重要な影響を与えうる継続中のプロジェクトを複数抱えている。さらに、所定の会計基準の変更の結果生じるAGAAPおよび日本基準の今後の差異を特定することは行っていない。
投資家は、投資を行うかどうかの決定にあたって、AGAAPと日本基準とでは結果が大きく異なりうることを前提とすべきである。当グループの連結当期純利益、資産および株主持分の決定に影響を与える可能性がある、AGAAPおよび日本基準の間の重要な差異は、以下のとおりである。
(a) 連結
被支配法人の識別
AGAAPにおいて、グループの連結財務諸表には、親会社および親会社が支配するすべての会社(すなわち子会社。組成された事業体を含む。)の財務諸表が含まれている。「支配」は、当グループが事業体に関与することで変動するリターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ事業体に対するパワーを通じてそのリターンに影響を及ぼす能力を有する場合に存在するとみなされる。パワーは、当グループに当該事業体の関連活動を指示する現在の能力を与える既存の権利を検討することで評価される。場合により、支配の決定には判断を伴う。
日本基準においても、原則として親会社は支配しているすべての会社等を連結することが求められている。日本基準において、会社(親会社)は他の会社の意思決定機関を支配している場合、支配が存在するとみなされる。ただし、一定の要件を満たす特別目的会社(SPE)については、子会社の定義に該当しないものと推定され、連結しないことができる。
連結事業体の会計方針の統一
AGAAPにおいて、要約中間連結財務書類は統一した会計方針を使用して作成される。
日本基準においては、親会社および子会社が連結財務諸表を作成するために採用する会計原則は、原則として統一されていなければならない。「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」によれば、在外子会社の所在地国の会計原則に準拠して作成された財務諸表は原則として親会社の会計方針(日本基準)に修正する必要があるが、在外子会社の財務諸表がIFRSまたは米国会計基準に準拠して作成されている場合は、修正額に重要性が乏しい場合を除いて、のれんの償却および退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理等の一定の項目を修正した場合に、これを連結決算上利用できることと規定されている。
(b) 売却目的で保有する非流動資産および非継続事業
AGAAPにおいては、売却目的保有に分類される要件を満たす資産は、帳簿価額又は売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い方の金額で測定され、財政状態計算書(貸借対照表)において区分表示が求められる。非継続事業への区分が求められる構成単位の経営成績は、包括利益計算書において区分表示される。
日本基準においては、売却目的で保有する非流動資産および非継続事業を扱う基準はないため、区分開示は求められない。
(c) 株式報酬
AGAAPにおいては、株式報酬の付与後に株価に関する条件が充たされずに報酬の確定後に失効が生じた場合、損益計算書への調整は行わない。
日本基準においては、権利の確定後に失効が生じた場合、以前に計上された株式報酬費用は戻し入れられ、損益計算書に戻入益を計上する。
(d) のれん
AGAAPにおいては、企業結合で取得したのれんは償却される代わりに毎年減損についてテストし、また事象や状況の変化が減損の可能性を示している場合は、より頻繁に減損テストを実施する。減損損失をその後戻し入れることは認められていない。
日本基準においては、企業結合により発生するのれんの償却は20年以内の期間にわたって規則的に償却される。のれんを含む、より大きな単位について、減損の兆候がある場合等の一定の場合には、のれんに減損の兆候があることとなり、のれんの未償却簿価は減損テストが行われる。
(e) 資産の減損
AGAAPのもとでは、以下の減損テストが求められる。
・各報告日において、有形固定資産または耐用年数を確定できる無形資産(または無形資産が配分された資金生成単位(「CGU」))に減損の兆候があるかどうかを判断する。
・耐用年数が確定できないまたは使用可能になっていない無形資産およびのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず年次で減損テストを実施する。
減損テストにあたり、資産またはCGUの帳簿価格はその回収可能価額と比較される。当該回収可能価額が資産またはCGUの簿価より小さい場合には、当該差額を減損として認識する。回収可能価額は、資産またはCGUの公正価値から売却費用を控除した金額と、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割引いて算出した使用価値のいずれか高い方の額である。
無形資産(のれんを除く)または有形固定資産について以前認識された減損損失は、減損損失がその後減少したか、もはや存在しなくなった場合には損益計算書に戻し入れられる。ただし、増加する資産額は、過年度において当該資産について減損損失が認識されていなかった場合に決定されたであろう帳簿価格(減価償却費を控除後)を超えてはならない。のれんに対する減損損失を、その後戻入れることは認められていない。
日本基準においても、減損会計は基本的にAGAAPと同様である。しかしながら、日本基準の場合、減損テストは減損の兆候がある場合にのみに行われ、簿価と割引前見積将来キャッシュ・フローとを比較し、簿価が高い場合に限り、正味売却価額(売却費用控除後の時価)および使用価値を考慮して減損損失を算定する。減損損失を、その後戻入れることは認められていない。
(f) 金融資産の分類および測定
AGAAPのもとでは、金融資産は、管理におけるビジネスモデルおよび契約上のキャッシュ・フローの特性(契約上のキャッシュ・フローが元本および利息の返済のみを表しているかどうか)に基づいて、「償却原価による測定」、「損益を通じた公正価値による測定(FVTPL)」、「その他の包括利益を通じた公正価値による測定(FVOCI)」の3つに分類される。金融資産は、FVTPLで測定するものとして指定することによって、指定しない場合に発生するであろう会計上のミスマッチを消去または大幅に低減する場合に、FVTPLで測定するものとして取消不能の指定をすることができる。売買目的保有でない資本性金融商品は、当初認識時にFVOCIで測定するものとして取消不能の指定をすることができる。
金融負債は、「償却原価」または、売買目的で保有される場合は「損益を通じた公正価値による測定(FVTPL)」で測定される。加えて、金融負債は以下の場合にFVTPLで測定するものとして指定することができる。
・この指定により、指定しない場合に発生する会計上のミスマッチを解消または著しく減少させる場合。
・金融負債グループが、文書化されたリスク管理戦略に従って、公正価値で管理され、その実績が公正価値に基づいて評価される場合。
・金融負債が1以上の組込デリバティブを含む場合で以下の場合を除く。
a) 組込デリバティブが、組込デリバティブがない場合には契約によって要求されるキャッシュ・フローを著しく変更しない。
b) 組込デリバティブが、主契約となる金融負債と密接に関連している。
金融負債が公正価値で測定するものとして指定されている場合、企業自身の信用リスク変動に係る利益および損失は、その他の包括利益に含められるが、それにより、損益における会計上のミスマッチが生じるまたは拡大する場合を除く。
日本基準においては、金融資産は金銭債権、有価証券およびデリバティブといった種類別に計上される。有価証券はさらに保有目的別に「売買目的有価証券」「満期保有目的の債券」「子会社株式及び関連会社株式」、「その他有価証券」に分類される。「金銭債権」、「子会社株式及び関連会社株式」は取得原価で計上される。「満期保有目的の債券」は取得原価(債券を債券金額で取得した場合)または償却原価(債券を債券金額と異なる価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められる場合)のいずれかで計上される。「売買目的有価証券」および「デリバティブ取引から生じる正味の資産」は時価で計上され、評価差額は当期の損益として処理される。「その他有価証券」は、時価で計上され、評価差額は原則として純資産の部に計上される。
金融負債は、「金銭債務」および「デリバティブ取引から生じる正味の負債」に区分される。金銭債務は債務額をもって計上される。「デリバティブ取引から生じる正味の負債」は時価で計上され、評価差額は当期の損益として処理される。
日本基準においては、金融商品の公正価値オプションは認められていない。
(g) 金融資産の減損
AGAAPのもとでは、償却原価またはFVOCIに分類される負債性金融商品、リース債権、契約資産、またはAASB第9号の減損規定が適用されるFVTPL以外のローン・コミットメントおよび金融保証契約について予想信用損失に対する損失評価引当金が認識される。減損は、当初認識以降の信用悪化の程度に基づき3つのステージを用いたアプローチ(予想信用損失モデル)により損失評価引当金が認識される。
日本基準において、債権は債務者の状況に応じた3つの区分に分類され、区分ごとに算定された貸倒見積高に基づいて貸倒引当金が計上される。「満期保有目的の債券」、「子会社株式及び関連会社株式」ならびに「その他有価証券」の時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
(h) 金融資産の譲渡による認識の中止
AGAAPのもとでは、金融資産の譲渡による認識の中止は、譲渡企業の譲渡資産に対する支配およびリスク/経済価値のエクスポージャーをどの程度留保しているかに基づいて行われる。所有に伴うすべてのリスクおよび経済価値が実質的には留保も移転もされない取引において、当該資産に対する支配権が失われた場合に当該資産の認識は中止される。一方、金融資産に対する支配の一部が留保される譲渡取引において、企業は継続的関与の範囲内(企業が譲渡資産の価値変動にさらされる範囲)について引き続き認識を継続する。
日本基準においては、財務構成要素アプローチに基づき、金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転した場合に、金融資産の譲渡による認識の中止を行う。金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転するのは、(a) 譲渡された金融資産に対する譲受人の契約上の権利が譲渡人およびその債権者から法的に保全され、(b) 譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接または間接に通常の方法で享受でき、(c) 譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期前に買戻すまたは償還する権利および義務を実質的に有していない場合である。
(i) ヘッジ会計
AGAAPのもとでは、公正価値ヘッジ、キャッシュフロー・ヘッジ、海外事業に対する純投資ヘッジが認められている。公正価値ヘッジの場合、ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動とヘッジ手段の公正価値の変動は、ともに損益計算書に計上される。キャッシュフロー・ヘッジおよび海外事業に対する純投資ヘッジの場合、ヘッジ手段の公正価値の変動のうち有効部分は資本の部に計上され、非有効部分は直ちに損益計算書に計上される。キャッシュフロー・ヘッジに関連して、
・ヘッジ手段が消滅、売却、解除された、またはもはやヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合、資本の部に繰延べられた累積額はキャッシュフロー・ヘッジ準備金に留保され、その後ヘッジ対象が損益計算書に計上される際に損益計算書に振替えられる。
・予定取引がもう発生しないと予想される場合、資本の部に繰延べられた金額は直ちに損益計算書に計上される。
海外事業に対する純投資ヘッジに関連し、資本の部に認識された累積損益は、海外事業の処分または一部処分の際に損益計算書に認識される。
日本基準においては、ヘッジに有効性がある場合は原則として「繰延ヘッジ」が適用される。「繰延ヘッジ」とは、ヘッジ手段の公正価値の変動を、対応するヘッジ対象の損益が認識されるまで資本の部に計上する方法である。この例外として、売却可能有価証券(いわゆる「その他有価証券」)の価格変動リスクをヘッジする際には、「時価ヘッジ」を適用することができる。「時価ヘッジ」では、上記AGAAPの公正価値ヘッジと同様に、ヘッジ対象およびヘッジ手段の両方の公正価値の変動を同時に損益計算書に認識する。
(j) 確定給付制度
AGAAPのもとでは、各確定給付制度の確定給付債務の現在価値(予測単位積増方式を用いて計算される)が各制度の資産の公正価値より大きい場合には確定給付負債が認識される。また、この計算によって資産が生じる場合、回収可能な額を上限とする確定給付資産が認識される。各報告期間において、正味確定給付負債(資産)の増減は、以下のように取扱われる。
・当期の勤務費用、正味確定給付負債の利息純額、過去勤務費用およびその他の費用(例えば、縮小および清算の影響など)に関する増減(純額)は、損益計算書の営業費用に計上される。
・正味確定給付負債(資産)のうち数理計算上の差異および制度資産からの収益(利息純額に含まれる受取利息を除く)を構成する部分の再測定は、その他包括利益を通じて利益剰余金に直接計上される。
・雇用者の拠出額は正味確定給付負債(資産)に直接認識される。
日本基準においては、退職給付債務額は「給付算定式基準」または「期間定額基準」のいずれかを用いて計算される。
利息費用は退職給付債務に割引率を乗じて算定される。各報告期間において、勤務費用、利息費用、年金資産の期待運用収益、過去勤務費用および数理計算上の差異の当期の費用処理額(その他包括利益からリサイクリング)は、退職給付費用の一部として損益計算書に含まれる。
未認識の過去勤務費用および数理計算上の差異については、その他包括利益を通じて貸借対照表の資本の部に認識される。過去勤務費用および数理計算上の差異については、従業員の平均残存勤務期間の範囲内の一定の年数で、営業費用として損益計算書に計上することとされており、また発生時に費用処理する方法も認められている。
(k) 個別財務諸表における持分法
AGAAPのもとで、当行は親会社の個別財務諸表において関連会社に対する投資に持分法を適用している。日本基準においては、関連会社に対する投資は個別財務諸表において取得原価で計上される。
(l) リース(借手の会計処理)
AGAAPのもとでは、借手は単一の会計モデルに基づき、すべてのリース(少額資産および短期のリースを除く)を貸借対照表に認識しなければならない。その結果、借手は対象リース資産をリース期間にわたって使用する権利を使用権(ROU)資産として認識し、リース料の支払義務をリース負債として認識する。また、損益計算書において、借手はROU資産に関する減価償却費とリース負債に対する支払利息を認識する。
日本の基準において、リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類される。基本的に、契約に定められた期間の中途においてノンキャンセラブルかつ資産の使用に伴うコストとかかる使用からもたらされる経済的便益が実質的に借手に移転している場合には、ファイナンス・リース取引、それ以外をオペレーティング・リース取引とする。原則として、ファイナンス・リース取引については売買と同様の会計処理を行い、オペレーティング・リース取引については賃貸借と同様の会計処理を行う。
企業会計基準委員会は、IFRSおよびAGAAPに概ね整合する新リース会計基準を公表しており、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首より適用されることになっている。
(m) 共同支配下の企業結合
AGAAPのもとでは、共同支配下の企業または事業の結合は、AASB第3号企業結合の範囲から除外されており、明示された規定はない。
日本基準において、共同支配下の企業または事業間の結合について企業会計基準等で規定されている。共同支配下の取引は、原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額を引き継ぐ。
(n) 保険契約
AGAAPのもとでは、保険に関する会計基準は、保険契約の定義に該当する契約に対して適用される。保険契約に対して保険契約負債が計上される。保険契約負債は、保険契約グループについて現在価値で測定され、履行キャッシュ・フローおよび契約上のサービス・マージン(「CSM」)で構成される。履行キャッシュ・フローは、非財務リスクに関するリスク調整とともに、将来キャッシュ・フローの保険契約からのキャッシュ・フローを反映した割引率による現在価値の最善の見積りで構成される。CSMは、未稼得利益を表す。保険契約負債は毎期更新される。
不利な契約による損失は、直ちに損益計算書に認識される。契約初日に損益は認識されず、CSMは、契約グループの予想カバー期間にわたるサービス提供に応じて、規則的に損益に認識される。新契約費は、履行キャッシュ・フローの一要素として繰延べられる。
日本においては、保険に関する会計処理は、保険業法及び関連規則等により規定されている。保険会社の保険契約負債として、保険契約準備金が計上される。その内容および計算は保険業法およびその関連規則により詳細に定められている。特定の契約に関して、前提条件は、規制当局によって規定されている。保険契約負債は契約時の計算前提に基づいて積み立てられる。各年度末に再計算されるが、その際計算前提の見直しはされず、代わりに保険契約負債の十分性の検討が行われ、必要な場合には追加の負債が認識される。
日本基準においては、原則として保険料は収受した時点で損益計算書に認識される。新契約費は、発生時に費用処理され、繰延べられない。
(o) 引当金
AGAAPのもとでは、引当金は、過去の事象の結果として現在の債務(法的または推定的)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、かつ信頼性のある見積りが可能な場合に認識される。引当金の金額の見積り、および不利な契約や再編費用を含む特定の種類の引当金を認識すべき時期に関する具体的なガイダンスが存在する。
日本基準においては、将来の特定の費用または損失に関連し、当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ金額を合理的に見積もることができる場合に引当金を認識する。
第7【外国為替相場の推移】
発行会社の財務書類の表示に用いられた豪ドルと日本円との間の為替相場が、国内において時事に関する事項を掲載する2以上の日刊新聞紙に当該半期中において掲載されているので、記載を省略する。
第8【提出会社の参考情報】
(1) 有価証券報告書及びその添付書類
令和7年12月16日に関東財務局長に提出
(2) 半期報告書
該当事項なし
(3) 臨時報告書
該当事項なし
(4) 訂正報告書
該当事項なし
(5) 発行登録書(募集)
該当事項なし
(6) 発行登録書(売出し)
該当事項なし
(7) 訂正発行登録書(募集)
該当事項なし
(8) 訂正発行登録書(売出し)
該当事項なし
(9) 発行登録追補書類(募集)
該当事項なし
(10) 発行登録追補書類(売出し)
該当事項なし
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
1【保証の対象となっている社債】
該当事項なし。
2【継続開示会社たる保証会社に関する事項】
該当事項なし。
3【継続開示会社に該当しない保証会社に関する事項】
該当事項なし。
第2【保証会社以外の会社の情報】
該当事項なし。
第3【指数等の情報】
該当事項なし。